メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「オヴィ? ……あんた何なんだ?」
パリパスの男性信者は怪訝そうな顔をする。
まあ、知らないエルダ族の若造がいきなり話し掛けて来たんだし、当然かもしれない。
俺は
「いきなりスミマセン。実は様子を見て来て欲しいと頼まれまして」
なるべく丁寧に事情を話す。
警戒されるとまずいしな。
俺の言葉を聞いて男性信者は
「誰に?」
当然そう訊いてきたので。
「ハイペリック司祭のときに関わった人らしいんですが、今オヴィという人物がどうなっているのか気になってしょうがないと」
……王妃の名前を出さずに、オヴィという人物に関わりの深い、ハイペリックの名前を出す。
ハイペリックはオヴィにとっては無視できない名前のはず。
保護を受けていた人物の名前である上に、一度彼女の母親を死の淵に導いた人物でもあるので。
……病気だったんだ。彼女の母親。
どうも根本原因は、施設の不衛生から来た病気だったみたいなんだけど、ハイペリックがそれを「神の懲罰である」と捉えて、祈禱以外の治療をしなかったせいで悪化。
文字通り死に掛けた。
おそらく、今の第一王妃と国王が助け出さなければ、そのまま死んでいただろうとのこと。
そしてこれは別に第一王妃と国王は自らの武勇伝のように語っている話では無い。
つまりオヴィにとっては「自分と国王と第一王妃たちだけの秘密」なんだ。
ハイペリックの名前を出したとき、パリパスの男性信者の表情が変わった。
「……ハイペリック? 確か問題を起こした司教だったな。それ、あの事件の被害者の1人なのか?」
「ハイ。らしいです」
俺は得意の演技で自然に振る舞う。
男性信者は思案して、俺に
「……どうしてその人が直接来ないんだ?」
そう訊ねて来たので
「……言って良いんですか?」
目で「怒らないでくださいよ?」という雰囲気を出す。
そこで相手は察したらしい。
事情を訊いたら惺教信徒にとって聞きたくない話をされると。
なので
「分かった。オヴィだな。今も信者として居るかどうか、調べてみるわ。ちょっと待っててくれ」
男性信者はそう言って、箒を持って宿舎に引っ込んで行った。
そしてだいぶ待たされて
「……ええと、私に一体何の御用ですか?」
白い毛並みの蝙蝠獣人……ユージフの女性がおずおずと、宿舎から出て来たんだ。
その声には、戸惑いと不安があったけど。
その黒い目には強さがある気がした。
こんな状況でも信仰を捨てないでずっとここにいるわけだしな。
そりゃ、信念が無いと続かないかもしれない。
俺は彼女に
「オヴィさんですね? ……実はどうしてもお伝えしたいことが」
目を見て、伝える。
真剣さが伝わるように。
「今、出られますか?」