After the War:World Witches United Front 作:手の遅いエリオット
原作:ワールドウィッチーズ
タグ:ワールドウィッチーズ サ終ゲーム独自解釈 ユナフロ 公式が放り出したので勝手に終わらせてみた
そこに別の世界から現れた不思議な力を持つ天駈ける少女たち。ストライカーと呼ばれる魔法の箒を駆使し、世界の驚異「ネウロイ」と戦う勇敢な乙女たち。
彼は司令官として彼女たちと協力し、困難に立ち向かい(謎なイベントもこなしつつ)、遂には脅威のネウロイの根源を叩くことに成功した。
これは、それから後の顛末を私的に記した物語である。
これは、珍しく課金してハマったゲームが哀しい終わり方をしたのが何ともやるせなく、その上公式がまともに物語を畳まず放り投げたことから、「じゃあ俺が代わりに補完しときます」とばかりに某所コミュニティで投下したネタです。
今回はそこからまるっとそのまま(校正もせず)コピペでこちらに持ってきました。
芳佳ちゃんになんかやらかしてますが、見逃してくださると幸いです。
エーテル設備の問題も収束し、怪異も集団では現れなくなってから数週間。別次元から来てくれたウィッチたちも、一人また一人と旅立っていった。
坂本少佐や管野少尉のように笑顔を残してさっさと立ち去るもの、雁淵ひかり軍曹のように涙をぽろぽろこぼすもの、帰り方は様々だったが皆自分たちの世界のことが気になるからと言い残して旅立つのだった。
ロマーニャの赤ズボン隊やアフリカのマルセイユは大人数での帰還となったが、ウィッチと輸送機が随伴飛行することで帰還は果たされた。
中には黒田中尉や西沢飛曹のようにいつ旅立ったのか分からないものも。きっと別れの雰囲気を見せたくなかったのだろう。隊長として実績のあるヴィルケ中佐やラル少佐は、ウィッチがいなくなってもやっていけるようにと小型ネウロイに通常兵器で対処する方法や防衛プラン、ストライカーの基本データに各種兵装の詳細、その他細かく分厚い書類を残していった。
最後まで残ってくれたのは、下原少尉、ルマール軍曹、ビショップ軍曹、そして。
宮藤軍曹だった。
世話好きの4人は、自分たちの世界も気になるがこちらも気になると言いだし、その上それぞれの隊長から「もし帰りが遅くなってもこちらで何とかする、気の済むまでこちらの用事をやってから帰ってこい」と言い渡されており、それぞれが私の食事の世話から部屋の掃除に洗濯にと、かいがいしく働いてくれた。お礼をしなければならないのはこちらなのに、これでは本末転倒だ。
ただ、やはり気持ちは嬉しい。可愛らしく美形なウィッチたちに身の回りの世話をされて嬉しくない男など存在するはずがないだろう。
あれからも散発的にネウロイが単体で現れ、彼女たちは当たり前のようにそれに立ち向かってくれていたが、それもそのうち現れなくなった。
この世界から脅威が消えた瞬間だった。
則ちそれは彼女たちとの別れの時が来たということでもある。
これ以上磨きようがないほどにあちこち掃除を丹念にやってくれたルマール軍曹から話は切り出され、申しわけなさそうに彼女たちは私にその旨を告げた。正直、私もいい頃合いだと考えていた。このままだと彼女たちへの好意が次の段階に進展してしまいそうだったから。そうなる前に身を引いておきたかった。
恐らくどちらの世界でも通用するであろう金貨を飛べる重量制限ギリギリまで渡し、私は謝意を述べた。心の内は隠したまま。こいつは墓まで持って行く。
やがて彼女たちは身支度を整え、ストライカーを履いた。私が機械仕掛けの魔女の箒を目にするのもこれが最後だろう。
4人は目に涙を浮かべて別れの言葉をかけてくる。いかん、私の気持ちも抑えられる限界が近い。心の防衛線を引き上げ、努めて平静を保つ。
最後に宮藤軍曹が話しかけてきた。「司令官、今までありがとうございました。帰っても、司令官のことは一生忘れません」
不意に頭に光景が広がった。あの時、怪異から市民を守ろうと必死の抵抗を続けていた時の、空から舞い降りた魔女の姿。初めてこちらに来てくれたウィッチである宮藤芳佳軍曹の姿。絶望的な戦いの潮目が変わった瞬間だ。
あの時の軍曹は凛々しくネウロイに立ち向かう戦士の顔をしていた。劣勢だった我々に加勢して皆を守る、その気概にあふれた表情だった。
今の彼女は、涙を浮かべながらも懸命に笑顔を取り繕おうとしている。別れの悲しさを押し留めているのが手に取るように分かる。
思わず、私は彼女を引き寄せ、胸に押しつけるように抱きしめてしまった。咄嗟のことで自分でも狼狽してしまう。だが感情からの動作は止められなかった。これでは軍人失格だ。
彼女は驚きの表情は見せるものの、特に嫌がるそぶりはなかった。
「よいか、ヘルウェティア軍人たるもの、何があっても民間人を守る気概を常に維持せよ。ベッドで眠っているときも、シャワーを浴びているときも、食事をしているときも、商売女とねんごろになっているときであろうともだ。片時もそれを忘れるな。他国からの諜報員はいついかなる場所でもお前の隙を狙うのだ。気を抜くことは許されぬ。それが軍人の心得だ。ヘルウェティアで軍人を志し、認められた瞬間からお前は祖国を守る義務を負ったことをけして忘れるな。いいか!」
脳裏に最初に仕官した際の教官の顔と言葉が蘇ってくる。そうだ、私はヘルウェティア軍人だ。その誇りとともにあれ。
辛うじて理性を留めることに成功した。彼女の女性らしい柔らかさと、働き者特有のお日様の匂いを感じながらも、どうにか衝動を抑えられたらしい。なんてこった、怪異に小銃だけで立ち向かった時よりも精神的ストレスが大きいんじゃないか。
長いようで短い時間が経過した。私はさらに気力を総動員して、宮藤軍曹を抱き留める力を抜いた。
力が抜けるとともに、私と彼女の距離が開いていく。自然と小柄な彼女が私を見上げる表情も視線に飛び込んでくる。目を潤ませ、動揺を感じながらも全てを赦す聖女の表情だ。力を抜いたはずの両腕が理性から切り離されてふたたび過ちを犯しそうになる。耐えろ、お前はヘルウェティア軍人だ。
最期まで男らしく頼られる司令官でいたい。彼女らにみっともない姿を見せて返すわけにはいかないぞ。
そう思ったとき、周囲の三人の様子が目に映った。
ビショップ軍曹は手をもじもじさせ、何とか動かないように自制しているようだ。下原少尉はと言えば、ルマール軍曹の目を押さえて見せないようにしているらしい。ただ自分の視線は釘付けになっているようで、眼をランランと輝かせている。
なんという情けない姿なのだ。今まで頑張ってきてそれなりに敬意も受け取ってきたつもりだったが、これで台無しかもしれない。
そう思った瞬間、自分の体に理性が戻った気がした。
再び教官の顔と声が頭に響く。心なしか、声色に規律に厳しいカールスラント魔女が乗っているようにも思える。
「我ながら情けない。これでお別れかと思ったら動転してしまったようだよ」
そう声を出しながら、宮藤軍曹をさらに離すことができた。
「こんな無様な姿を見せたと知ったら、せっかく向こうに戻ったバルクホルン大尉がこっちにとんぼ返りして鉄拳制裁してくるかもしれないな。そう思ったら命が惜しくなったよ」
そう話すと、場は一気に緩んで笑顔も浮かぶようになった。すまない大尉、いないところで話の肴にしてしまったが許してほしい。
私の右腕が軍曹の頭に伸びようとする。私は軌道修正を試み、それを肩に置くことに成功した。伝わる体温がさらに領土的野心をくすぐるが、それを抑えて飛び地の確保までに制限させる。
「ありがとう、宮藤軍曹。そして最期まで残ってくれた愛しいウィッチたち。今一度、君たちにこの世界を代表して礼を言わせてもらうよ。私たちが生き残って平和を取り戻せたのは君たちウィッチあってこそだ。もうこの世界にネウロイはいない。出てきても小規模だ。我々には戦訓が残されているから、私たちだけで対処してみせる。君たちは君たちの世界を守ってくれ。ここはもう大丈夫だ」
「ありがとうございます司令官。えへ、私が返事していいのかな?ええと、今までどうもありがとうございました。そして私たちウィッチが世界を平和にする、それを成し遂げた体験ができたことを感謝します。この気持ちを大事にして、私たちの世界でもネウロイの脅威からみんなを守って平和にする、その日まで頑張ります」
「あの……司令官。今までありがとうございました。私はまだひよっこで、みんなの助けがないと実力を出せません。でも芳佳ちゃんがいてくれれば力を出せるんです。うまく言えませんけど、この世界でもみんなで助け合えば、きっと、もっと、平和になると思います。みんなが笑顔でいられるように、戦って下さい」
「私が配属されていた場所は、寒くてネウロイも強くて、とても厳しいところでした。ここはそれに比べて過ごしやすくて居心地のいい場所でした。でもそれはきっと司令官がいてくれてみんなの力になってくれたこともあるんだと思ってます。みんなが力を出せる環境を整えて下さったから、この平和はやってきたんだと思います。どうかそれを誇りにこれからも頑張って下さい」
「定ちゃんが言ったとおりです。司令官はすごい人です。これからもこの世界を優しい世界に、何が現れても負けないように引っ張っていって下さい。気持ちで負けなければ、きっと活路は開けます。夢は持ち続けてあきらめないことが大事なんですよ。私たちも頑張ります!」
この二年間、私は降って沸いた怪異騒動をまとめる役目を任され、時には国際連盟との折衝もやらされた。世界がまとまって団結しなければならないときに他国との思惑で暗躍する連中の対応もやった。個性的なウィッチたちの面倒も見て、一部の自由奔放な彼女たちに手を焼いたこともあった。
でも、それも今ではいい思い出だ。
今回は、確かに私にも大いなる体験となった。築いた国際連盟の人脈はこれからも活用させてもらう。祖国の防衛にも大いに役立つだろう。人類同士が武器を向けて人命を賭して泥沼の領土紛争をやるのはだめだ。われらがヘルウェティアがその先頭に立とう。人類の協調という副産物は決して手放さない。
確信とともに彼女たちに笑顔を向けた。彼女たちも微笑み返してくる。この暖かな気持ち、これこそが平和の原動力となるに違いない。祖国に栄光を。世界に平和を。
いよいよ彼女たちがストライカーを始動させた。発進器が緑ランプを点滅させる。彼女たちが旅立てば、この発進器が彼女たちがこの世界にいた数少ない証となるだろう。私の政治力がどのくらい発揮できるか、これの扱いで試してみるのも一興か。これを人類資産として永久保存させてみようじゃないか。
「では行きますね、司令官。どうかお元気で」
宮藤軍曹がこちらに手を振る。こちらも脱帽し、大きく振り返す。
ストライカーが大きくうなりをあげる。何度も聞いた轟音だ。これから聞けなくなるエンジン音だ。
四人が回転数を上げて発進器から切り離された。たちまち彼女たちは滑走路を滑り、離陸する。
彼女たちは離陸してから低空で何度も水平飛行で上空を周回してくれた。名残惜しそうに、何回も。
そして、遂に高度を上げていく。みるみるうちに姿は小さくなり、空に溶けて見えなくなる。エンジン音もやがて聞こえなくなった。
私は見えなくなっても帽を振り続けた。振るのをやめたらそれっきりになってしまう。そんな気がしてやめるにやめられなかった。
腕が疲れた。それと共に私は立ち尽くす。消えた方向をずっと見やる。帽で日差しを遮りながら見続ける。
ありがとう。かけがえのない素晴らしきウィッチたち。この世界を救ってくれて、ありがとう。
私は、この体験を糧に生きていく。世界の平和を守り、祖国の国民を守り、永遠に語り継ぐために力を尽くそう。
おわり