ハイスクールD×D ~比翼の連理の行き着く果て~   作:レナ丸

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 ご覧になってくれて、心より感謝します。
 
 前々からずっとずっと書きたかったハイスクールD×Dの二次創作がやっと書き出せました!感想や評価など貰えましたら励みとモチベになります!



第一話 比翼達の胎動

 

 

 

  「オオォォラァァッ!!!」

 

  

  放たれた雄々しい咆哮、直後()()()()()()にした拳が文字通り山河を砕いた。

 

  

  「ははっ!成る程、成る程!!出鱈目にも程があるとはこのことだッ!!!」

 

 

 漢服を学生服の上から羽織った黒髪の青年は、大口を開けて心の底から楽しそうに笑う。

 

 手に掲げた、神々しさそのものの具現化と例えて誤りのない、極大のオーラを放つ槍を独楽のように回転させながら、砕かれた山河から飛来する水や岩を払い除け、彼の者から距離を取る。

 

 

  「馬鹿言うな、聖槍なんて大層なもん持ってるやつに言われた所で嬉しくともなんともねぇよ」

 

 

  「この槍が大層だという言葉には所有者ながら頷かざるを得ないけれども。

 だというのに事実、この神殺しの槍を追い詰めている貴方が俺達と同じ人間だという点には、胸が踊るよ」

  

 

  ザァァ、と高く舞い上がった河の飛沫を浴びる二人の青年。

  槍を肩で遊ばせながら喜びを隠しきれない青年に対し、もう一人の青年は濡れた陽の光を束ねたような金糸の髪をかきあげ、滅紫の瞳に獰猛さを滲ませた。

 

 

  「ハッ!そりゃオレは『神器』の類いは持ってねえが、教会の暴力装置の爺さんだの、うちの姉貴分だの()()()テメェを追い詰めれる非神器所有者の人間なんざ、知り合い含めりゃ二桁は固ぇし電話帳だけでもその半分はいるぜ」

 

  

  「それはそうかもしれないな。だが、シンプルな徒手空拳で俺を防戦一方に追い込める人間となるとそれこそヴァスコ·ストラーダや、君や君のお仲間と極少数だろう」

 

 

  抑えきれない感情の高ぶりを声に乗せながら、黒髪の青年は穂先を相手へと突きつける。

  所有者の高揚に合わせるかのように槍はそのオーラを更に開放させた。

 

 

  

  「さぁ、第2ラウンドと行こう。よわっちい人間として、人間のまま蒼天の下で!!」

 

 

 

 何の武具も持たずに、能力と言う能力を使わずに己と戦える人間の存在に歓喜しながら黒髪の青年は、手に持った槍の穂先を開きそこから辺り一帯を照らさんばかりの光を放ちながら、瞬き一つの間に距離を詰め──ようとした。

 

 

 

 そこで彼は聞いた。

 

 

 

  「よわっちい人間、ね」

 

 

 戦闘中、一瞬にも満たない出来事の最中に発せられたその言葉。

 その言葉に込められた複雑な感情。それが乗せられた声音。

 

 

 それよりも速く届いた固く握られた拳。

 

 

 

  「····グッ、オォ!」

 

 

 

 脚へ、腰へ、背へ。

 体全体の筋肉を無駄なく使って加速した神殺しの槍を持つ青年は、無理矢理に慣性に逆らう。

 槍から真横に光のオーラを放ち激しい擦過痕が残るほど脚をふんばり迫りくる拳を紙一重で避ける。

 黒髪の青年の出だしに合わせた絶妙な一撃。

 

 直線の高速移動に合わせたカウンターを、刹那の見切りで何とか避ける。

 耳元で唸る轟音と風圧が、魔力も何もないただの拳を振るっただけで起こったとは未だに信じがたい。

 

 

  「どうだ?よわっちい人間の一撃は?...って避けられといて格好つかねえな」 

 

  

 

 転がり込むように鳩尾を狙った拳打を避けた漢服の青年は追撃に備え、素早く上体を起こし半身で槍を構える。

 

 

  「...よわっちぃ人間、という言葉が気に障ったのかな?」

 

 

 今の攻防で起きた少なからずの動揺を悟られぬように、ポーカーフェイスを努めながら質問を投げかける。

 

 当然、一瞬たりとも隙さえあれば彼は聖なる槍を刺し貫くだろう。

 

 だが、次に金髪の青年が放った言葉に黒髪の青年─かの三國志の大英雄と同じ名を冠する曹操は愕然とすることになる。

 

 

  「あぁ、気に障ったね。種として人間が弱いってのは一部納得するがオレやオレの仲間、それ以外の人間でありながら異形に恐れられる程の才を持ち、もしくは修練を経て高みに至ったヤツら。

   ───そして何より『黄昏の聖槍』の所有者とは関係なしにとんでもない技量を持つテメェ自身を侮辱するその言葉、闘う相手として聞いてて気持ちのいいもんじゃない」

 

 

 「───」

 

 曹操は絶句する。驚愕、困惑の奥から仄かに涌き出てくる喜びと、怒り。

 よわっちぃ人間、という発言で触れた怒りは自身の強さに対する自負か、人間賛歌の類から来るものかと思ったが、まさかそうくるとは。

 

 いや、それもあるのだろう。彼の発言にはそのようなニュアンスがあったのだから。

 

 だがまさか曹操自身に向けたものだとは思いもよらなかった。

 

 そして、かの高名な彼に実力の一端とは言え、認めてもらえたような嬉しさを感じてしまった。

 

 だが、それを越える怒りがグツグツと、ゆっくりと沸騰していく水のように奥から沸き上がる。

 それだけで幼き頃より歩んできた修羅の道が、これからも歩むと誓った覇道への道が報われたかのように一瞬でも感じてしまった己の、情けさに。

 

 

 金糸の髪の間からこちらを見つめる滅紫の瞳に、嘘偽りは当然ない。

 

 

 「───」

 

 

 曹操は、強さ故に複雑に絡まった蔓のような心境を瞬で、飲み下し改めて聖槍を腰から構える。

 

 

 「───ハハッ」

 

 

 それを見た金髪の青年───葉菊仰陽(はぎくあおひ)はまるで相手心情を見透かしたのか、そうでないのか分からないように間を空けて、屈託のない笑顔で心地よい威圧を放つようになった曹操を見て、笑った。

 

 その笑み、笑みで返すことはせず。 

 

 ───瞬間、互いに踏みこもうと力を体に入れたときだった。

 

 

 

 「曹操!!」

 

  

 突如として霧と、転移魔方陣の中から眼鏡をかけた青年が声を張る。 

 

 「───この紫の霧は、まさか」

 

  

 現れた青年よりも、その青年が操る霧の方に仰陽は驚きの素振りを見せる。

 

 「おいおい、曹操。勧誘するんじゃなかったのかよ」

 

 「あら?あのコがリーダーご執心の?めちゃめちゃ良い男じゃなーい!あと何年かしたらとんでもないかも」

 

 「......成る程ね。デュリオやエヴァルドさんよりも、ストラーダ先生に近いものを感じる、化け物並みの強さだ。

 僕の後ろにいるんだよ、レオナルド」

 

 「──」

 

 続いて筋骨隆々の男、金髪の女性、腰に6本もの剣を帯刀した白髪の青年、その後ろに少年が、ぞろぞろと現れた。

 少年を除いた全員が全員、手練れの雰囲気を持っていたが、まるで隙だらけの何の変哲もない少年から何故か仰陽の中の何かが、反応している。 

 それは、槍を持つ青年と、眼鏡の青年からも同じものを感じていた。

 

 

 槍の青年の仲間だろう。

とはいえ突然の乱入者に、曹操も仰陽も戦意を折られ萎えていた。

  

 そこで突如として

 

 

 《ねぇ、聖槍と、もしあの霧が『絶霧』ならもしかしてあの子も》

 

 

 (あぁ、濃厚だな。てかアイツ曹操って名前なのか、直系か?マジかよ話聞いてみてえ)

 

 

 曹操含めた彼らには聞こえない、仰陽の中に在るもう一つの魂の声。

 

 

  《もし闘うんなら代わろっか?

 聖槍使いとやれるとこ冷や水差されて萎えてるじゃん。『絶霧』だとしたら一回味わってみたいし、何より使い手も魔法使いだよあれ》

 

 

  (気が早いぞ、無闇に手札見せることはねえ。それがオレ達だ)

 

 

 槍使い、その仲間であろう集団から目を離すことはせずに仰陽は彼女と会話を続ける。

 

 直後に、曹操自身も、出鼻を挫かれた不快感を吐き出すように大きなため息をついた。

 

 

 「勧誘は失敗だよ、ヘラクレス。思想、目的がどうやら噛み合わないみたいだ。何より残念ながら、彼の方が俺より強い。切り札を切ってはいないが、それは彼も同じだろうさ。とはいえ、今はまだ、の話だ」

 

 

 槍を肩で遊ばせながら、曹操は仲間へと声を上げる。流し目でこちらを見ながら薄く笑う曹操に、このやろう、と仰陽も獰猛な笑みを返す。

 

 負けず嫌いなやつだ。だが男たるもの、それでいい。

 

 

 そして、曹操は目線を眼鏡の青年に向けて言葉に少しばかりの怒気を乗せて言った。

 

 

 「ゲオルク、何故来たんだ。無駄にメンバーの素性を知られて得することなんて一つとしてない。力まで使って……冷静な君らしくないな」

 

 

 「すまない曹操、理由は2つある。まず一つだが、君がいない間にアーサーが白龍皇チームに移った。これに関しては特に禍根が残るようなことにはなっていないと認識している。現在留守はペルセウスが守ってくれている」

 

 

 眼鏡を指で掛けなおしながら、青年──ゲオルクは徐々に落ち着きを取り戻しながらそう言った。

 

 

 「……あー、成る程。まあ彼は強かったがウマがどこか俺たちとは合わないところはあった。確かにヴァーリのほうが気が合いそうだ、戦闘狂だしね。

 で?それだけで全員でぞろぞろ来る理由にはならないだろう」

 

 

 ため息混じりに頭をかきながら、曹操は言う。

それはそうだろう。曹操は仰陽にとある組織への加入を促してきた。だが、彼自身の主義にも、目的にも噛み合いそうにないから断ったところ、ならせめて一戦どうか、手ぶらでは帰りにくいんだとの誘いに乗ったのである。

 

 仰陽達の目的のためにも、無駄な戦闘はあまり行うべきではないのだが、かの『神滅具』の代名詞たる『黄昏の聖槍』が相手とくれば、戦いに身をおくものとして興が乗ってしまうのも致し方ない。

 

 そうして始まった小手調べの意味合いが強い戦闘ではあるが、如何せん曹操自身が危機でもなかったにも関わらず、彼らはやってきた。

 わざわざ派閥の首魁であるリーダーが単独で接触を計ってきた意味合いを仲間内で共有してないとも思いがたい。

 

 

 「───いや、情けない話ではあるのだが」

 

 

 何か含みのある視線を仰陽に向けてから、ゲオルクは曹操に伺いを立てるような瞳を向ける。

 当の仰陽はゲオルクとは当然初対面であり、今の視線の意味合いはわかっていないが、どこか怒りを感じられた。

 

 何かを察した曹操は頷きを返す。ゲオルクは渋々といった表情で告げた。

 

 

 「そちらの彼───葉菊仰陽のお仲間の一人がつい先ほど拠点に乗りこんできてね。当然迎撃したのだが、事を始める前だ、あまり手の内を晒したくもない。だから全員でかかったのだが、手酷くやられた。拠点は半壊の上に、ジークフリート、ジャンヌ、ヘラクレスがかなりの深手を負った。今は例の物の実証の意味合いも含めて、三人とも全快だが」

 

 ゲオルクが言い終わると同時に、件の三人が恨めしそうにこちらを見ている。

 

 

 

 「「───」」

 

 驚きは曹操、仰陽共にだった。

まずは仰陽。先ほど接触したばかりだというのに仲間の手の打ち方が余りにも早い。曹操達が属する組織──『禍の団』というのも名前はつかんでいたが、メンバーや目的等はもちろん、拠点の位置など少なくとも仰陽と彼女は知らなかった。

 そして単身で敵組織に乗り込めるだけの力は仲間全員が有してはいるが、血気盛んなのは自身除けば一人だけだ。

 

 曹操自身も接触を計ったこの際に、仰陽が機会を乗じて拠点を狙ったのかと思ったがこの驚きようからしてそれはなさそうだ。連絡を取る素振りもなかった。

 

 

 「ふふ、ハッハッハッ!」

 

 

 「笑うしかないだろう、許してくれ」

 

 

 思わず空を仰ぎ笑う曹操に、ゲオルクも釣られて笑う。

勧誘を断られた戦いでもろくに傷すらつけられず、己の信念を思いも寄らない切り口から否定、あまつさえチームが襲撃され同じくろくに抵抗できなかったというのだ。余りの無様に笑うしかない。

 

 

 

 「くっくっく、いやはや俺も、いや俺たちもコテンパンだな。まぁ構わないさゲオルク。あんな拠点ただの集会所にすぎない、何も情報などないし、メンバーが欠けてないならどうとでもなるさ……いやぁ、無様も通り越せば笑うしかなくなるんだな」

 

 「で?リーダーとメンバー含めウチらにボコボコにやられたオマエらはどうするんだ?口封じにオレをやるなら今がチャンスだろ?『神滅具』三種に、魔帝剣ときたもんだ───腕がなるぜ」

 

 

 あえて、犬歯を見せ獰猛な笑みと挑発的な態度を取る仰陽。実際問題、曹操含めた全員を相手取ってもまず勝てるだろう。彼らの組織のことなぞろくすっぽ知らないが、仲間が襲撃したということは、危険であると断定してもいい。

 

 《ねぇ仰陽、全員が全員英雄の名前だ。多分魂を受け継いでるか直系とかだと思う。あと多人数ならやっぱ私に変わったほうがいいんじゃない?》

 

 (相手がノってきたらそれもありだな、あんま替わるとこは見せたくねえけど)

 

 《でしょ?あと分かってると思うけど龍愛が逃がしたんならそこまで無理に追わなくていいと思う、ほんとに危険なら『神滅具』持ちは除いて絶対あの三人のうち一人は行動不能か、殺してるよ》

 

 

 (あぁ、わかってる。ありがとう)

 

 

 肉体を同じくし、魂をわけあった二人の内なる会話も露知らず、遮るようにその挑発に乗るものが現れた。

 

 

 「舐めんじゃねえええよ!あの桃髪の女もテメエもスカしやがって!苛つくぜ!」

 

 

 

 ───馬鹿が。と仰陽の中の彼女は嬉しそうに吐き捨てた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

  

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
次回戦闘回です!
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