ハイスクールD×D ~比翼の連理の行き着く果て~ 作:レナ丸
星9ラギアクルスと、セルレギオスにボコボコにされてます。夜更かししてまで、こんな想いを味わいたくないっっっ!!
ドゴォォォォン!と、つんざくような轟音が『禍の団』英雄派と呼ばれる彼らの拠点に鳴り響く。
「何だ!?」
「正門だ!迎え迎え!」
彼らの数ある拠点の一つ、ヨーロッパのとある森の中にある古城に魔術的隠匿措置を施しただけのものではあるがそれでも魔法使いとして、突出した実力を持つゲオルクが感知も出来なかった時点で敵の実力の高さを示していた。
高さ数メートルにもなる城門は、その役割を放棄したかのように木扉、石壁共にバラバラとなっていた。
舞い上がる粉塵が駆けつけた英雄派構成員達の緊張を高める。まだ組織として日が浅い上に、彼等は決して戦闘経験が豊富ではない。
そんな彼等でもわかるほどに、襲撃者が放つ威圧は肌で感じ取れた。
カツカツ、と響く靴音が、酷くうるさいように聞こえる。
徐々に浮かんでくる、煙の中歩を進めてくる人影。
「こんにちは、邪魔しにきたで」
腕を振るうことにより巻き起こった突風に、顔を腕で守り、風が治まると同時に襲撃者の姿を視認する。
───桃色の髪を背中まで伸ばした少女。
陽光に煌めく程に明るい桃色の髪を二つにまとめた、いわゆるツーサイドアップにまとめており、非常に整った可愛らしい顔立ちながらも、表情からは勝ち気が溢れんばかりに出ている。
どこか炎を思わせるような少女だった。
起伏に富んだ身体を黒いスーツに身を包ませ、透き通るような萌黄の瞳で構成員達を見渡すと、まるでこれから悪戯をする子供ような笑みを、八重歯を見せながら浮かべた。
「自分ら、『禍の団』の英雄派やろ。いきなりで悪いけど幹部とか、誰か上のもんおるか?」
少女の前に立つ構成員達の数はおよそ二十人。彼らは確かに戦闘経験豊富ではないが、一人一人が常人とはかけはなれた力を持っている。
それを理解した上で、少女の取る態度は正に大胆不敵。
だが、構成員達は投げ掛けられた言葉よりも、少女が片手で肩にかつぐ大剣に目をやっていた。
恐らく少女の身長は165センチ程度だろうが、剣身から柄頭まで少女と同じ長さでありながら、かなりの重量であろうそれを、幅広い刀身に鈍い輝きを放ちながら、軽々しく持っていた。
所々に、赤い装飾が目立つ程度で特段派手でもないが、異常な存在感と力強さを醸し出すその大剣は、まるで少女の分身のように思えた。
そんな目を奪われた構成員達の事など知ってか知らずか少女は大剣を地面に突き刺し、身体を預ける。
「お~い、無視せんといてや。場合によっちゃ話だけで終われるかもなんやし…」
「それは難しいんじゃないかな」
構成員達の後ろから優しげな声が響く。
そこから現れたのは白髪の顔立ちの整った青年。
腰に差した6本もの剣が、彼の特異性を指し示す。
彼の名はジークフリート。とある機関の宿願の完成形。
「初めまして、アンタがジークフリートか。魔帝剣グラムを扱い尚且つ他の魔剣も複数本扱えるって聞いてるで、すごいな。ウチの名は
「初めまして……なんでそんなことまで知っているのかな、情報統制には細心の注意を払っていたんだけれどね」
肩をすくめながら、飄々とした態度を崩さないジークフリート。だが内心は穏やかではない。
───対応が余りにも早すぎる。
(曹操が葉菊仰陽に接触したのは約30分前だぞ、そこから彼が仲間に連絡を入れたとして曹操のところに駆けつけるでもなく僕らのアジトを強襲──?
事前に僕らのアジト位置を掴んでないと絶対に不可能だ。まさか身内に裏切り者がいるのかな、まだ表だった活動もしていないのに、彼女達は何故そこまで僕たちの事を把握してるんだ…っ!)
「安心し、裏切り者なんかそっちにおれへん。ただウチらがちょっとコソコソしてる裏のモン共に過敏なだけや」
まるでジークフリートの動揺を見透かしたようなタイミングで、龍愛は大剣を背にもたれ掛かり腕を組みながら言い放った。
とはいえ、彼女もそこまで腹芸が得意ではない。なんなら偶々である。
(あかん。格好つけて言ったけどこれ全然見当違いのこと言うてたら恥ずいどころの騒ぎちゃうで!
───まあでも、対応が速すぎるやろからあながち間違いでもないやろ。裏切り者がおらんって否定せんと匂わして機能不全にしたったらよかったかな、いやでもすぐバレるか)
ニヒルな笑みの裏ではまずったかな、と少しだけ焦っているのだった。
そこに新たな気配が複数。
「若苗龍愛、だと?『暴龍妃』か。グラムのことを知っていながら来たとなると、実力は噂通り……いや、対面するとそれ以上だな、ジャンヌ、ヘラクレス、迂闊に前に出るなよ」
「うるせぇよゲオルク、てめえん所の玄関ぶっ壊されて、黙ってられるかって」
「うーん、確かにそれはそうかもね。先にちょっかい出したのはリーダーとはいえ」
現れたのは眼鏡の制服の上からローブを着た青年に、筋骨隆々の男に、金髪の美女。
英雄派の幹部クラスの四人が揃い踏みだった。
丁度、ゲオルク達と龍愛の間に挟まれる形となった構成員達は、ゲオルクの手振りで撤退を命じられ、彼らの後ろへと姿を古城の中へ消していった。
「……黙って見ているんだな」
全員の撤退を確認し、ゲオルクは言葉を投げる。当然、その間に、即座に発動できるように魔法式を脳内で練り上げる。
(分かってはいるだろうが、出来るだけこちらの手の内は晒すんじゃない。特にヘラクレス、神器はバレていると感じるか、確実な場面でもない限りは使うんじゃない。『禁手』なぞ以ての他だ。とはいえ各自危なくなれば使うんだ、出来ることなら彼女の撤退、もしくはこちらの逃走を念頭に行く)
ゲオルクは、その旨を素早く三人の耳元に通信用魔方陣を展開させて、共有する。
反論するかと思われたヘラクレスも、不満そうな顔をしながらも了承した。
「そらそうや、無闇に殺生なんかせえへんし、さっきも言ったけど───これはウチのもんに粉かけたことの報復と、アンタら組織への牽制や。ウチ以外の仲間にまた要らんことしてみろ。
────次は骨も残さんぞ」
ゲオルクの質問に応え終わると同時、龍愛は動きなどお見通しだと言わんばかりにその場から姿を消し
───次に彼らが認識したのは、ヘラクレスが砲弾のように吹っ飛んでからだった。
正確には、後ろへと四人の後ろへと瞬時に回った龍愛が大剣を支えとし、至近距離にいたゲオルクとヘラクレス共に両足で放った蹴りを、ジークフリートが勘で、ゲオルクと後ろへグラムを庇うように差し出し、ゲオルクは少し吹き飛ぶくらいで済んだ。
先ほどまで龍愛がいた城門を超えてまだ吹き飛んでいくヘラクレス。魔法使いが故に近接での高速戦闘に追い付かないゲオルクを尻目に、龍愛は瞬時にジークフリートへと狙いを定めた。
(ッ!?なんて重い蹴りだ、まともにくらえば内臓が破裂するぞ!)
蹴りの威力に半回転し、図らずも向き合う形になったジークフリート。だが、体勢を崩した致命的な状態を見逃さずに龍愛は大剣を素早く地から抜き去り、追撃へと移ろうとした。
その瞬間に、彼女の前方足元に無数の聖剣が突き刺すように生えてくる。
ジャンヌの神器『聖剣創造』である。
ゲオルクの申し出を速攻破る形になったが、このままでは混乱のままこの化物に負ける。
ジャンヌの判断は決して間違いではなかった。
ただ、惜しむらくは本物の聖剣に及ばぬ強度であれば、いくら属性を付与した剣を何本生やしたところで、足止めにもなりはしない。
───一閃。目にも止まらぬ速さで、すべての聖剣を横なぎに破壊する。音を立て崩れ落ちて行く聖剣の破片よりも速く、龍愛はジークフリートを唐竹割にするように、肉薄し大剣を上段に構えていた。
だがその一瞬の足止めを見逃すジークフリートではない。グラムだけでは己の膂力で受けきれないと判断した彼は、破壊力重視の魔剣ディルヴィングを抜き去り、二刀で受け止める。
響き渡る甲高い音と、衝撃波。
「───ッ!!ぐっ、ぁ!」
余りの衝撃に、肩が外れそうになり、力は逃げ場を求めて地面にクレーターを産み出した。
一秒と受けていないのに、鼻血が吹き出す。
ダメだ、もう何秒も持たない。
「ジークフリート!」
彼が潰される前に、飛び込んできたジャンヌ。
そして、ドラゴンのような獰猛な瞳と目があった。
しまった、と気づいた時には時遅く、ジャンヌは既に地を蹴り無防備に飛び出してしまっている。
刹那、聖剣を何十にも束ねて防御するが、龍愛は飛び込んできたジャンヌを薙ぎ払うように横合いへと大剣を振るう。バギバギ!!と、聖剣が割れ砕ける音が聞こえジャンヌは直撃こそ避けたものの、聖剣がクッション代わりにはならずに地面へと叩きつけられ気を失ってしまう。
そして、横なぎの勢いそのままに身体を一回転させジークフリートへと放った一撃は、惜しくも空を切った。
「……冗談じゃない、まさかこれほどなんて。君の仲間も、君と同じくらい強いというのか」
身を挺したジャンヌのお陰で、何とか距離を取れたジークフリートは既に背中からドラゴンの腕を生やしており、それは彼の神器『龍の手』の使用を意味していた。
背中の腕に光剣を握らせ、三刀流となったうえに、神器の能力で力は倍となっている。
が、それで彼我の戦力差が埋まるとは、全く思えなかった。
「応えてあげたいとこやけど、ごめんな。ウチらは基本的に秘密主義やねん。でもまぁこれくらいならええか
───せやで。皆強いよ」
五秒にも満たぬ攻防で、英雄派幹部の半分を行動不能にさせられながらこの余裕。
嫌になってくる。こちらも全員が全開でいけば話は変わってきただろうが、過ぎたことを嘆いても仕方がない。
「───舐めていたな、すまない皆」
「いや、同じ剣士である僕が彼女の危険性を直ぐ様見抜けていれば良かったんだ。ゲオルク、君が謝る必要はないよ」
立ち上がってきたゲオルクは、口を拭うと辺り一帯を生暖かい感触が包み込み、紫の霧が覆う。
「───これが上位神滅具の、『絶霧』なんか。発動から展開がかなり速いな」
いつの間にか、足元を覆っていた霧に龍愛は素直に驚いていた。
「そこまで情報が掴まれているのか、益々笑えなくなってきた」
警戒心を最大限に高めながら、ゲオルクの意図をジークフリートは察する。
だが、こちらの狙いは恐らく彼女にも気づかれているだろう。『絶霧』の能力は凶悪無比だが、対策の仕様はある。
それを察したように、ヘラクレスが吹き飛ばされた方向から巨大なミサイルが音を立てて飛来してきた。
同時に、龍愛の後方から数十体の魔獣が牙を剥きながら半狂乱になって襲いかかってくる。
(ヘラクレス!レオナルド!よくやってくれた!)
龍愛はすぐさまゲオルクを制圧しようと動き出そうとするが、ジークフリートが前に陣取り、尚且つ『絶霧』の能力を思いだし、転移されないように上へと飛んだ。
上空で迫りくるミサイルと魔獣を片っ端から叩っ斬りながら、ゲオルク、ジークフリートは、出来ればもう会わないことを願っていると呟き、霧と共に姿を消した。
着地するまでに、全ての魔獣とミサイルを難なく裁いた龍愛は大きく息を吐き出す。
「……最後の魔獣達、偉い不規則やったけどまさかあれが『魔獣創造』か?使い手は見当たらんかったけど──。
まあ、何にしても警告としては上々かな」
振り返り、桃色の前髪の間から、鋭く瞳を覗かせた。
(上位神滅具を三種持つ派閥に、この組織のトップはオーフィスなんやろ?場合に寄ったら、本気でアイツら潰しにかからんとあかんかもな)
だが、仰陽、龍愛達には幼い頃より一貫した目的がある。そのために余り事を構えたくはないのだが、障害となるならば致し方ない。
───邪魔するならば、叩っ斬るしかないのだから。
古城に背を向け、歩き出す。いつの間にか放たれた一刀により、背後の城が大きく崩れる音がしたが、そんなことは露知らず───。
背中を伸ばしながら、彼女は森の闇へと消えていった。
もしかするとお気づきになった方もいるかもしれませんが、オリキャラ達の外見は他一次創作をモデルとしています。