クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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クズ男の愚行、切られた厄災の火蓋

「チッ・・・!!クソがぁ!!」

 

 

この日、俺は猛烈に苛ついていた。何故なら、今日行われたスポーツテストで憎き男である水無月時雨に惨敗を喫っしてしまったからである。

 

 

今日行われたスポーツ大会では、何やら神宮寺海人と水無月時雨のどちらが勝つかで盛り上がっていたが、俺はそれが心底気に入らなかった。

 

 

(なんで、あいつ等は水無月と神宮寺ばかりに注目するんだよ!!俺の事も、よく見ろよ!テニス部の次期主将様なんだぞ!!)

 

 

そう思いながらも俺は綾香に応援してもらおうと、あいつの所に行こうとした。だが、そこで見た光景に俺は頭をガツンと殴られた様な錯覚に陥った。

 

 

(何やってんだよ、綾香・・・。何で、水無月の奴なんかとイチャついてんだよ・・・。)

 

 

そこで目にしたのは、綾香が水無月の背中に後ろから抱き着いている光景だった。その傍には神宮寺と如月も居り、何かを話している様だが、この距離では遠すぎて何を話しているのかすらも分からない。

 

 

だが今の俺は、以前に奴から説教をされた以上近くに行って聞き耳を立てる事は出来ない状況だ。

 

 

(クソッ!何を話してんだよ!!というか、さっさと綾香から離れろよ!!)

 

 

そう思う俺の目線の先には、水無月の奴におんぶして貰っているかのように抱き着く綾香の姿が映っていた。その光景に、俺は血涙を流しそうになる。俺だって、あいつの胸すら揉んだことなんて無いのに、何であいつはあぁも抱き着かれたりされるんだよ!!

 

 

そのとき、俺の背後からおずおずとした声が掛かった。振り向くと、そこにはテニス部のマネージャー・・・。紺野茜(こんのあかね)が立っていた。

 

 

「け、健治君・・・。大丈夫?」

 

 

その声に、俺は慌てて表情を変える事に努める。俺は紳士な男だからな、こんな所で女を怖がらせちゃハーレムを築けるもんも築けなくなっちまう。俺は安心させるように、茜の肩を抱き寄せる。そんな俺の仕草に、茜は頬を染めている。

 

 

(やっぱり、女ってのは単純だな。こうやって、肩を抱き寄せるだけで簡単に落ちちまう。他の女共にも良い所見せて、俺だけのハーレム作っちまうか。ハーレムさえ作っちまえば、綾香も俺に惚れ直してヨリを戻すだろうしな。)

 

 

そう思っていると、スポーツテストが始まったのだが・・・。

 

 

(クソッ!どういう事だよ!なんで、誰も俺に声援を送らねぇ!!)

 

 

女子は種目が30m走だったり、男子よりも緩い為に早く終わる。だからこそ、早めに終わった女子達は男子達の応援に回って来るのが、恒例行事に成っている。そうして、俺にも声援が来るのかと思ったが・・・。

 

 

「水無月様ー!!頑張ってー!」

 

 

「神宮寺様・・・。素敵だわ・・・。」

 

 

「種目が終わって肩を叩くイケメンと、それに対して一見ウザそうにしつつも、なんやかんや受け入れるクーデレ男の娘ショタ・・・。尊いわ・・・。今度のコミケに出す、同人誌のネタにしなくっちゃ!!」

 

 

女共は、俺に目もくれず水無月と神宮寺のみに声援を送り続ける・・・。いや、それどころか幾人かの女子達は俺の方を見て怪訝そうな顔をしつつ囁き合っている。まるで、腫れ物を見るかのように。

 

 

(何だよ、あの眼差しは・・・?)

 

 

そう思いながら、俺は次々と種目をこなしていく。成績も悪くは無いし、他の男共とは比べ物にならない程らしい。

 

 

(ふんっ!やっぱり、俺は神に愛されてるみたいだな!こんなに好成績を残せるなんて、俺は天才だ!!この成績じゃあ、スポーツ推薦も夢じゃねぇな!それにしても、計測してたあの女・・・胸デカいな。あとで、声掛けてみるか。)

 

 

そう思いながら、俺は意気揚々とシャトルランのコースに向かって行く。しかし、隣に立っている走者を見ると自然と舌打ちが出てしまった。

 

 

(水無月・・・!!)

 

 

俺の隣に居たのは、悠々とストレッチをしながら神宮寺と会話をしている水無月だ。そんな奴を見ていると、むかっ腹が立ってくる。この前は俺に説教をかましてきて、今は俺の綾香とベタベタしてやがるからだ。

 

 

この前は突然の覇気にビビっちまったが、今日は違う。今度は俺が、奴をビビらせてやる。そう思っていると、聞き覚えがある声が聞こえてくる。

 

 

「頑張ってー!!」

 

 

その声がする方を見ると、声援を送っていたのは綾香だった。

 

 

(綾香・・・。ハッ!そういう事かよ!!綾香の奴、可愛い所あるじゃねぇかよ!この前はツンツンしてたけど、やっぱり俺を応援しようとする姿勢は変わらねぇんだな!ったく、ガキみたいに意地張ってたと思ってた俺が馬鹿みたいじゃねぇかよ!)

 

 

そう内心でニヤケながら綾香に向かって手を振ろうとするが、次の言葉に再び固まってしまった。

 

 

「時雨君!ファイトー!!」

 

 

(は・・・?今、綾香の奴・・・。水無月の野郎の事を応援したのか・・・?)

 

 

そう思いながら見たくは無いと思いつつも横を見ると、水無月の奴は笑みを浮かべながら綾香に向かって手を振っていやがった!!その瞬間、俺は水無月に殴りかかりそうになるが何とか抑えてドスの利いた声で話しかける。

 

 

「おい・・・。」

 

 

俺がそう声を掛けると、奴はなんて事も無い様な涼しい顔で返事をしてくる。そんな奴の態度に苛つきながらも、俺は奴に勝負を持ちかける。

 

 

「俺と賭けをしろ。」

 

 

俺がそう言うと奴は怪訝そうな顔をしてくるが、そんなのは関係ねぇ。

 

 

「俺が勝ったら、二度と綾香に関わんなよ。」

 

 

俺がそう言うと、奴は困惑した顔に成る。ざまぁ見やがれ!格好つけて、毎日ポーカーフェイスを気取りやがって!!

 

 

俺がそう内心で嘲笑っていると、奴は困惑した表情のまま下らねぇ問いを投げかけてくる。

 

 

「何故、そこまでして彼女に構うのですか?関係を絶ったのは、貴方自身でしょう?」

 

 

奴の言葉に、俺は腹を抱えて笑いそうになった。馬鹿じゃねぇのかコイツは?そもそも、関係性を一回絶ったからと言って「幼馴染」ってステータスは一生消えねぇ!!テメェと俺じゃあ、付き合いの長さが違うんだよ!!

 

 

そう思いながら、俺は奴に向かって大声で脅しにかかるように話し始める。

 

 

「俺は幼馴染だから、アイツを守らねぇといけねぇんだよ!そもそも、綾香の親父さんとお袋さんにもアイツの事を頼まれてんだよ!お前が入り込む余地はねぇんだよ、分かるか!?」

 

 

そう俺が言うと、奴は俯いて片手を自分の顔に持っていく。泣いちまったか?だが、そんなのは関係ない。そもそも、俺と綾香の間に割り込もうとしてきた、こいつの自業自得だ。しばらくすると、泣き顔を隠したのかいつもの何を考えてるか分からないような表情で、奴は了承してくる。

 

 

「良いでしょう・・・。その条件を飲ませて頂きます。」

 

 

虚勢を張ってるみたいだが、俺にはお見通しだ!!ブラフを掛けて、勝負を降りさせようとしてるのかもしれねぇが俺には通用しない。

 

 

いや、寧ろチャンスだ。こいつをボコボコにして、見学している生徒達を失望させてやる!そうする事で、奴は生徒会長として誰からも頼られなくなって、生徒会長としての自尊心はズタボロに成るだろうからな!

 

 

水無月の隣から、神宮寺が何かを言ってるが今更撤回できねぇよバァ~カ。

 

 

そして、体育の先公からホイッスルが鳴らされるとノロマな音楽が流れるが、俺はその音楽を無視して全力疾走をする。そうして後ろを見ると、水無月は愚か神宮寺までもがノロノロと走って来ていた。

 

 

(ハッ!生徒会コンビともあろう奴等がざまぁねぇな!・・・待てよ、このままいけば綾香どころか、如月までもが奴等に失望して俺に惚れて擦り寄って来るんじゃねぇか?如月は、名家の令嬢だ!これで、俺も玉の輿だな!!)

 

 

そう考え終わったところで、ようやくノロマ共は往復地点に到着しやがった。

 

 

「おぅおぅ!生徒会コンビともあろう連中が、随分と遅いじゃねぇか!!だっせぇな!!」

 

 

俺がそう言うと、奴等は悔しさのあまりに返す言葉が無いのか何も言い返せずに黙っている。そんな奴等の様子に、俺は全身が歓喜に震える感覚に陥る。

 

 

(ハハッ・・・。日本最大の令息達を打ち負かしてる・・・!この俺が!!)

 

 

そう思いながら、再び音楽が鳴り始める。そうして、次々と往復を繰り返していくがここで俺は異変に気付く。なんと奴等の横顔は、一切の疲労を感じさせない顔をしていた・・・。それどころか・・・。

 

 

南方熊楠(みなかたくまくす)。」

 

 

「杉田玄白。」

 

 

「空海。」

 

 

「伊藤博文。」

 

 

奴等は何と、俺に目もくれずにしりとり合戦をしてやがる!!俺がそんな奴等に呆けている間にも、奴等はどんどんしりとりを続けていく。

 

 

「宮本武蔵。それにしても、お前相変わらずスタミナえぐいよな。」

 

 

「渋沢栄一。貴方達は、常に筋肉を緊張させ過ぎなんですよ。筋肉の緊張と弛緩を、滑らかにすれば疲労も軽減できますよ。」

 

 

「千葉周作。簡単に言ってくれるぜ。」

 

 

その様子を見た俺の心に、焦燥感が募って来る。

 

 

(そろそろ限界だ・・・!ク・・・ソッ!!こんなふざけた奴等には負けたくな・・・!)

 

 

そう思ったところで、俺の意識は暗闇に包まれた。

 

 

暫くしてから目を覚ますと、俺の身体はベッドの上に寝かされていた。怠い体を起こそうとすると、保健室のババアが酸欠でぶっ倒れたと伝えてくれた。そんな俺は、差し出されたスポーツドリンクを奪い取ると一気に飲み干す。

 

 

(はぁ・・・。クソッ!今、何時だ・・・?)

 

 

そう思いながら時計を見ると、時刻は17:00を示していた。それを確認した俺は、茜に一緒に帰ろうと連絡をしたが、どうやら先に帰ってたようだった。

 

 

俺はそんな返信に失望しながら、帰り支度を整えた。

 

 

(茜の奴・・・。普通、彼氏が保健室でぶっ倒れたなら付きっきりで看病するのは当然だろ!?まさか・・・、俺に隠れて浮気とかしてねぇだろうな・・・。)

 

 

そう思いながら、俺は綾香にもメッセージを送ってみる。すると、怒った顔の絵文字が送られてきた。その返信に、俺はニヤリと笑う。

 

 

(こんな分かりやすい、怒ってますよアピールで俺の気を引こうだなんて、ガキのまんまだな。まぁ、ここは俺が折れて大人の余裕ってやつを見せつけてやるか〜。)

 

 

そう思いながら今に至り、俺は帰り道を進み始める。そして、一人で歩いていたところ筋肉痛の所為かよろけて何かにぶつかってしまう。

 

 

「ってぇ!!何だよ・・・!」

 

 

俺が苛つきながらぶつかった所を見ると、そこにあったのはミニサイズの神社だった。それを見ていると、普段は何とも思わないのに俺は苛立ちが勝ってしまう。

 

 

(これは祠って奴か?・・・クソッ!神様ってのが本当に居るんなら、ひでぇじゃねぇか!確かに、綾香に黙って二股掛けた事は悪いと思ってるけど・・・。俺は、俺に惚れた女達は全員愛する覚悟でいたんだよ!!そんな覚悟を(ないがし)ろにするとか、神様ってのは居ねぇもんだな!!まぁ、そんな生活も明日で終わるがな!きっとその内、俺が折れてやる事で、綾香は水無月を見限って俺の所に戻ってくる!ざまぁみやがれ!)

 

 

そう思いながら、俺は祠を蹴ってしまう。すると、老朽化が進んでいたのか祠の扉が外れてしまう。それを見た俺は、変なテンションになっていた。

 

 

(何が、神様がいる祠だよ!こんなもん、ただのボロイ障害物じゃねぇか!!俺みたいに転んでぶつける奴が居なくなるように、少しバラしてやるよ!!)

 

 

そう思いながら、俺は今日の苛立ちを発散するかの如く蹴りを入れ続ける。数分後、祠は元々ボロボロだったのが更にボロボロに成って屋根なども崩れていた。

 

 

(老朽化も進んでそうだったし、壊れやすかったな!なんなら、俺が壊したって市役所に言ってみるのも面白いな!浮いた解体費用の内の何割かを、謝礼金として貰えるかもしれねぇし!)

 

 

そう思いながら、鬱憤(うっぷん)が少し晴れた俺はスキップしながら再び帰路に就き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、俺はこの日の行いを一生後悔する事に成る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可哀そうに・・・。

 

 

あぁ・・・、仕方がない・・・。これも、運命というものよ・・・。

 

 

仕方がない、仕方がない・・・。

 

 

哀れな人の子よ・・・。我らでは救えぬ、哀れな魂よ・・・。大御神の慈悲があらん事を・・・

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