クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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弥生視点です
(今話は、厨二ワードが出てきます)


剣VS拳

ウチ等4人が時雨君の御部屋に集まってから数分後・・・。勉強会は滞りなく進んで、綾香ちゃんに至っては既に試験範囲を全て暗記してしまったみたいやね。この数日間、綾香ちゃんと一緒に勉強しとって分かった事がある。それは、綾香ちゃんは地頭が良ぇらしくて一回ウチ等が教えた事を自分のモンにしてくれる事や。

 

 

(ホンマに、一緒に()って楽しい子やなぁ~。それに・・・。)

 

 

ウチはふと、綾香ちゃんの御隣で勉強を教えている、もう一人の可愛ぇ幼馴染である時雨君の方をチラリと見遣る。そんな時雨君は、折角綾香ちゃんが隣に居るのに相変わらず真剣な御顔で勉強を教えとる。

 

 

(はぁ・・・。我が幼馴染ながら、堅物やなぁ~・・・。なんちゅーか、明け透けな言い方かもしれへんけど・・・男の子やったら綾香ちゃんみたいな、おっぱい大きい女の子が近くに居ったら、鼻の下を伸ばすまではせぇへんやろうけど、赤面したりくらいはするやろうに・・・。ここまできたら、アセクシャル*1の可能性も出てきたで・・・。)

 

 

御勉強が一段落してのんびりしながらウチが考えとったら、襖が開いて時雨君の女中さん方が入って来て、机に御菓子を置いてくれはった。そんな御菓子は、老舗の和菓子屋さんから取り寄せた感じの、きめ細かい生地で作られた可愛ぇ和菓子やった。

 

 

そんな和菓子の可愛さに、綾香ちゃんは見事にノックアウトされてしもたみたいやね。綺麗なアクアマリン色の目をキラキラ輝かせながら、愛おしそうに和菓子を抱えとった。

 

 

「わぁ・・・。可愛い御菓子ね!!食べるのがもったいなくなっちゃうわ・・・。」

 

 

「せやね~。ホンマに和菓子選びのセンスあるわぁ、雫さんは~。」

 

 

「このヒヨコさんの御饅頭も、とっても可愛いわ!!し、時雨君・・・。これ、写真撮っちゃ駄目?」

 

 

そんな綾香ちゃんの言葉に、時雨君は無言でコクリと頷いて写真を取る事を了承してくれたみたいやね。そして、綾香ちゃんが写真を撮り終えると、時雨君は更なる提案をしてあげてた。

 

 

「フフッ、咲に自慢しちゃおっかな。」

 

 

「宜しければ、綾香さんの御家族用に幾らか包むように母上に進言致しましょうか?」

 

 

「え・・・。さ、流石に悪いわよ!貰ってばっかりじゃぁ・・・。」

 

 

そう言いながら、遠慮する綾香ちゃん。やっぱり、貰ってばっかりやっていう負い目はあるみたいやね・・・。遠慮しすぎんのも良くあらへんし、何より時雨君は間違いなく綾香ちゃんから色んなもんを貰ってんねんけどなぁ・・・。そう考えたウチは、海人君と目配せすると綾香ちゃんに声を掛ける。

 

 

「まぁまぁ。遠慮せんと、人の親切は貰っとくもんやで。」

 

 

「そうだぞー。そもそも、お前の場合は普段から時雨に弁当作ってんじゃねぇか。その礼も含めてじゃねぇのか?有難く貰っとくのも、礼儀の一つだぞー。」

 

 

そのウチ等の言葉に根負けしたのか、綾香さんは苦笑いをしながら時雨君の提案を受けてあげとった。そうして暇になったウチ等は、思い思いの雑談を始める事に成る。

 

 

「それにしても・・・。時雨君の御部屋って、何と言うか・・・ザ・文学的って感じね。あの壁に立て掛けられてるのは、メッセージアプリのアイコンの三線・・・よね?」

 

 

「せやねー。あんまり筋トレ道具とかは置いて無いやんね。」

 

 

そう、時雨君の自室はなんちゅ-か・・・。悪く言うたら年寄り趣味な感じやけど、良い様に言うたら文学的なモンが、いっぱい詰まっとる場所やねん。

 

 

壁には三線が立て掛けられてて、ギッシリ詰められた本棚には小難しい本も詰められとるし、奥に有る金庫の中には一冊で億越えの絶版に成った、歴史的価値のある本が入っとるんちゃうかったっけ?たしか数年前に大企業が集まるパーティが開催されて、ウチ等が三家族で参加したときにオークション会場で1億8000万円で買い取ったって言いながら喜んどったっけ・・・。

 

 

しかも、その本を買う資金源を調達する為に、わざわざ株を買ったりしてチャートと睨めっこしとったくらいやったしなぁ・・・。まぁ、株に関しては先見の明があるのか知らんけど、大儲けしとったなぁ・・・。たったの13万円から2億円くらいに増やしたって、言うとったっけ?

 

 

その本はホンマに宝物らしくて、十年以上の付き合いであるウチ等にも見せてくれた事は無い・・・。なんやら、本に負けたみたいで悔しいなぁ~・・・。

 

 

「けど、庭に部位鍛練用の巻藁とかは置いてあるよな。今朝もやったのか?」

 

 

海人君のその言葉に時雨君は頷くと、海人君に対してとある提案をし始めた。そんでもって海人君も、その提案に目を輝かせて思いっきり賛同しとったわ。

 

 

「はい、朝の鍛錬は欠かしていませんから。・・・海人。折角ですから、夕餉の前に一勝負致しませんか?試合内容と致しましては、模造刀を持った貴方と素手の私による実戦勝負です。如何でしょうか?」

 

 

「良いぜ!そういや、最近お前と仕合って無かったからなぁ!がっかりさせんなよ!!」

 

 

そう言葉を交わしながら、時雨君と海人君は襖を出て縁側を歩き始めよった。そんな二人の後ろを、ウチと綾香ちゃんは会話を交わしながら付いて行く。

 

 

「弥生ちゃん、剣道と素手の格闘の対決って成り立つの?」

 

 

「うーん・・・。ウチも、格闘技とか剣道に詳しいわけやないからなー。せやけど、御巡りさんの逮捕術は武器を持った相手を想定した逮捕術やからなぁ。そういうのもアリなんとちゃう?」

 

 

ぶっちゃけ言って、この言葉は適当や。せやかて、ウチは格闘技とか剣道のルールとか知らへんのやもん。せやけど、時雨君と海人君が楽しそうに仕合ってんのを見るのは、やっぱりワクワクしてしまうねんな~。

 

 

そんなウチの隣では、綾香ちゃんも何処か期待しとるかのように御目を輝かせとった。

 

 

(この様子からして・・・。間違いなく、綾香ちゃんは時雨君に惚れとんなぁ~。まぁ、確認したところで認めてはくれへんやろうけど・・・。)

 

 

同じ女性のウチから見ても、間違いなく綾香ちゃんは魅力的な子や。

 

 

スラッとした高い背ぇに、モデル並みのスタイルの良さ。金髪碧眼の御人形さんみたいな御顔。ルッキズムが如何とかいう時代に言うのも何やけど、間違いなく綾香ちゃんは世間一般で言うところの美少女にカテゴライズされるやろうね・・・。せやからこそ・・・。

 

 

(ホンマに、近藤君は阿呆な事したなぁ~。こないに良ぇ子に黙って、浮気なんぞして・・・。間違いなく、逃した魚は大きかったようやね。ちゅーか、こないに魅力的な女の子が近くに居んのに、(なび)かへん時雨君って一体・・・。)

 

 

綾香ちゃんの元カレである近藤君は、テニス部の次期主将とまで言われてるほどの子や。テニスの才能に関しては、そこそこ有ると言っても過言やない。せやけど、女癖が圧倒的に悪すぎるねんなぁ・・・。ウチも中学生の頃、近藤君に告白されたし・・・。

 

 

まぁ、海人君が間に入って睨みを効かせてくれて事無きを得たんやけど・・・。そのときの近藤君の目は・・・なんちゅーか、ウチ等三人が一番嫌悪感を抱く、金銭とかの御零れを貰う気満々の目ぇしとったしなぁ・・・。

 

 

もしかせぇへんくても、ウチの玉の輿(こし)に乗る気やったんやろうなぁ・・・。しかも、告白しながらウチの身体を舐め回す様に見てきとったし・・・。

 

 

(ちゅーか、あの頃には既に綾香ちゃんと付き合っとった時期やったしなぁ・・・。あの日以降、露骨に海人君は近藤君を敵視し始めたし・・・。あの頃の綾香ちゃんに、生徒会として忠告してあげとったら良かったんやろうか・・・?)

 

 

そんな近藤君は、評価が二極化されとる(ふし)がある。近藤君の悪事を知っとる学校の男の子達とか、ウチみたいに彼氏に対して一途やったりガードが堅い女の子達からは警戒されとるけど、盲目的に外面だけ好きになった子は近藤君に擦り寄ってる感じやなぁ・・・。

 

 

((タチ)が悪いんは、近藤君は猫被ったりしてるからなぁ・・・。悪業とかも、バレ(にく)いんやろうねぇ・・・。)

 

 

ウチがそう考えながら綾香ちゃんと一緒に歩いとると、いつの間にかウチ等は時雨君の家の道場の中に居った。そして道着姿になった時雨君は、袴を穿()いた海人君に対して模造刀を手渡して位置に着く。

 

 

「では、海人・・・。始めましょうか。」

 

 

「おう、いざ尋常に・・・。勝負!!」

 

 

次の瞬間、踏み込みを始めたのは海人君の方や!!海人君は、とんでもないスピードで時雨君に突っ込んで、模造刀を振り下ろす!!次の瞬間、鉄と肉がぶつかり合う音がする!!そして、模造刀を振り抜いた海人君に時雨君は吹き飛ばされて、道場の壁に叩き付けられてしまう!!その拍子に、道場は衝突音と共に大きく揺れてまう!!そんなえげつない音と衝撃に、綾香ちゃんはビックリしてしもうたらしい。悲鳴をあげて、目を瞑ってしもうた。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

「綾香ちゃん!大丈夫やって!目ぇ開けてみぃ!時雨君は、ピンピンしとるで!」

 

 

「え?」

 

 

そう。時雨君は、壁に叩き付けられたはずやのにピンピンしとる。これは、別に海人君が手加減をしたわけやない。(むし)ろ、本気の腕力で打って振り抜いとった。

 

 

海人君の剣術は至高の領域に達しとる。剣道八段という、最高段位に達しとる海人君に勝てる同年代の子はまずは居らん。ほな、何で海人君の本気・・・。それも、模造刀で叩かれて時雨君がピンピンしとんのか。それは、時雨君の技にある。

 

 

覆剛(ふくごう)・・・やね。」

 

 

「覆剛・・・?何それ?」

 

 

「覆剛ちゅーんは、時雨君の創った守りの技や。綾香ちゃんの家で言うとったやろ?全身の筋肉を硬化させて、壁に叩付けられた時のダメージを軽減したんや。まるで、全身を鋼で覆ったかの様にしてな。」

 

 

「そ、それで、あんなに凄い音がしたのね・・・。まるで、トラックが交通事故を起こした音みたい・・・。」

 

 

「本来やったら、浮雲(うきぐも)っちゅう全身の筋肉をゼロレベルまで弛緩させる守りの技で、威力を完全に無効化させんのが最適解なんやろうけど・・・。久々の立ち会いで、判断が遅れたんかもしれんね。」

 

 

次の瞬間、地面が爆ぜる音がした!!まるで意趣返しの様に、今度は時雨君が海人君に向かって猛スピードで突っ込んで行き、正拳突きを叩き込む!海人君も模造刀を構えて拳を防ぎに掛かるけど、勢いそのままに吹き飛ばされてしまう!!

 

 

そして、次の瞬間!!二人は示し合わせた様に、再び同時にえげつない踏み込みでぶつかり合う!!

 

 

そこからは、余人は立ち入る事さえ許されへんような、拳と剣の応酬が始まってまう!!

 

 

「オラオラオラァ!!」

 

 

「セイッ!!ハァァッ!!」

 

 

そんな様子の二人を見たウチは、半眼に成りながらその様子を見守るが、綾香ちゃんは慌てながらウチの袖を引っ張ってくる。

 

 

(海人君の、ギアが上がった・・・。時雨君も守りの型で剣筋を捌きながら、攻めの型で模造刀を壊しに掛かっとる・・・。二人とも、ヒートアップしてもうてるね・・・。こりゃ、どっちかが倒れるまで終わらんかなぁ・・・。)

 

 

「や、弥生ちゃん!あれって、止めなくて良いの!?」

 

 

「いや~。止めたいのは山々なんやけど・・・、あの状態の二人を止めに行くとか自殺行為やで~。申し訳ないけど、ウチはまだ遺書とか書くつもりはあらへんからなぁ・・・。」

 

 

とはいえ、あの二人を止めへんと御屋敷が半壊してしまうなぁ・・・。どないしたもんか・・・。ウチがそう考えていると、ウチと綾香ちゃんの後ろに大きな影が立った気配がした。そんなウチが後ろを振り向くと、そこには合気道の道着と袴を穿いて穏やかな笑みを携えた男の人が立っていた。

 

 

「あ、御邪魔しとります~。もう帰って来はったんですか?」

 

 

「久しぶりだね、弥生ちゃん。今日は仕事が早く片付いてね。・・・ところで、あの状況は如何いったものなのかな?」

 

 

「いや~。何やら、久しぶりに御互い本気で戦えるのが嬉し成ったらしくてですねー。御互いに、ヒートアップしてしもうた感じですわ。」

 

 

「そういう事か・・・。それでは、あとは私に任せていなさい。」

 

 

男の人はそう言うと、臆する事無く拳と剣の嵐の中にゆったりとした動きで入ろうとする。そんな男の人の様子に、綾香ちゃんは慌てたように声を上げ始めてしまう。

 

 

「や、弥生ちゃん!?あ、あの男の人、大丈夫なの!?」

 

 

「あ~、大丈夫やよ。せやかて、あの人は・・・。」

 

 

次の瞬間!その男の人は涼しい顔をしながら、時雨君の攻撃を指一本で押さえて背負い投げ一本を極めてしまう!!そして、暴走している海人君の模造刀を指二本で挟んで止めると、模造刀ごと海人君を投げ飛ばしてしもうた!!

 

 

二人共、受身を取り損ねたんか分からんけど、悶絶しとるなぁ・・・。くわばらくわばら・・・。

 

 

「カッ!カハッ!・・・い、痛ってぇ!!だ、誰だ・・・!?」

 

 

「うぐっ・・・!!わ、私と海人を制圧出来る実力者となると・・・、まさかっ・・・!」

 

 

そんな目にも止まらぬ速さで行われた早業に、綾香ちゃんはポカンと口を開けてしまう。そうして、海人君と時雨君を投げ飛ばした男の人は、穏やかな笑みを浮かべたままポツリと言葉を発する。

 

 

「時雨、海人君・・・。二人共、技を磨くのは結構だけど程々にね。」

 

 

そんな男の人は、ゆるりと優雅な仕草でウチ等の方を振り向くと、穏やかな笑みのまま質問を投げ掛けてくれる。

 

 

「それにしても、弥生ちゃん。・・・その隣の子が桐野綾香さんかな?」

 

 

「そうですよ~。物凄い別嬪(べっぴん)さんでっしゃろ~?」

 

 

ウチの言葉に目を細めると、男の人は綾香ちゃんに対して45度の綺麗なお辞儀をして挨拶をする。そう、この男の人こそ・・・。

 

 

「初めまして、桐野綾香さん。私は、水無月グループの現会長を務めさせていただいております、水無月翡翠と申す者です。以後とも良しなに・・・。」

 

 

時雨君の実の父親であり、水無月グループの現会長・・・。水無月翡翠さん、その人や。

 

 

そして、時雨君(実の息子)海人君(その幼馴染)をアッサリと投げ飛ばした後の微笑みを浮かべた挨拶・・・。そんなインパクトがあり過ぎる自己紹介に、当然ながら綾香ちゃんは・・・。

 

 

「は、はひ・・・。よろしくお願い致しますぅ・・・。」

 

 

緊張の糸が切れてしまったのか分からんけど、へたり込んでしまったのやった。

*1
他者に対して性的欲求を抱かない、または抱く事が少ない人

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