クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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今後の計画

定期テストが終わった日の翌朝。私は『泡沫の夢』の前で、とある人物を待っていました。

 

 

そうして指先に雀を留まらせながら時間を潰していると、件の人物が走り寄ってこられました。その人物とは、額に汗を流しながら息を切らす綾香さんでした。

 

 

「時雨君!御待たせ、待った!?」

 

 

「いえ、私も来たばかりですよ。」

 

 

私のその言葉に、綾香さんはホッとした様に顔を綻ばされました。そんな彼女の顔を見ると、心が温まってきます。

 

 

「良かったわ・・・。この炎天下の中、待たせちゃってたかと思うと・・・。」

 

 

「御心遣い有り難う御座います。綾香さんも、御無事でしたか?」

 

 

「えぇ!まだ、朝の時間帯だから結構涼しいから平気だったわ!!」

 

 

「それは何よりです。では、向かいましょうか。」

 

 

そう私が申し上げると、綾香さんは笑顔を向けたまま手を差し伸べてこられました。そんな彼女の手を、私は握り返します。

 

 

「そういえば、クラスの皆はテストの点数は大丈夫かしら・・・?」

 

 

「その件でしたら、クラスのグループチャットで皆さんから続々と自己採点の結果が良かったいう御言葉をいただきましたよ。」

 

 

「そうだったのね!因みに、私も自己採点したけど赤点回避は確定よ!!」

 

 

「それは、何よりですね。」

 

 

そう話し合いながら歩くと、私達は『泡沫ノ夢』の店前に来ていました。そして扉を開けると、新聞を読んでいたマスターが顔を上げてくださいました。

 

 

「マスター、御無沙汰しております。」

 

 

「マスター、こんにちは!」

 

 

「おや、二人ともいらっしゃい。たしか、テスト期間中だったんだっけ?御疲れ様だね。」

 

 

そう仰られながら席を勧めてくるマスターに、私達は席に就く事にします。どうやら、海人と弥生は来ておられないようですね。そう考えていると、私は少しだけ欠伸をしてしまいました。

 

 

「んっ・・・はぁ・・・。」

 

 

「おや?時雨君、寝不足かい?」

 

 

「はい。昨日から、神楽舞の練習に明け暮れていたので・・・。それに、貸し出しの手続きなどの電話もしていましたので・・・。」

 

 

「あぁ・・・。無人島の貸し出しの事かい?」

 

 

「はい・・・。色々と、手続きが面倒で・・・。此度は、三十人ほどの団体客なのでレンタル料も多く払っていただける分、契約書などの手続きの量も多く・・・。」

 

 

そう私がはしたないと思いつつも欠伸をしていると、綾香さんが心配そうにしつつも私に質問を投げ掛けてこられました。

 

 

「大丈夫?私の肩に、寄りかかっても良いのよ?」

 

 

「いえ、問題はありませんよ。寝不足に関しては、自己管理の甘さによるものなので。」

 

 

「そう・・・。それにしても、貸し出しって何の事?」

 

 

「あぁ・・・。実は先日、テニス部の監督さんから私の保有している無人島をレンタルさせてほしいと打診されまして・・・。」

 

 

「へ・・・?無人島を・・・保有?それを・・・貸し出し?」

 

 

「はい。曰く、テニス部の強化合宿の為だとか。」

 

 

実は、テスト期間中にテニス部の監督さんから一本の電話が掛かって来ました。その内容というものは、先に話した通り私が保有している島をレンタルさせて欲しいとの事でした。

 

 

そんな彼の提案に、私は少しだけ考え込んだ後に了承すると監督さんに契約書を送りました。

 

 

『分かりました。では、契約書をFAXで送付しますので御拝読ください。』

 

 

『あ、あぁ。・・・水無月生徒会長、この契約内容は一体?』

 

 

『記している通りです。テニス部の部員にマネージャーの皆さん。それから、監督さん合わせて32名の合計レンタル料です。これでも同校のよしみで、通常価格の半額にしているつもりなのですが?』

 

 

そう。私が送ったFAXの明細書には、宿泊費や設備利用費などを含めた金額・・・。締めて五十二万五千円と記されていました。しかし、次に監督さんから放たれた言葉は金額内容に関する物ではありませんでした。

 

 

『いや・・・。金額内容に関しては、寧ろ安すぎると思って安心しているんだが・・・。特記事項に書いている、島の中心部に設置されている大木には近寄るなとはどういう事だ?』

 

 

『・・・監督さん。我が水無月家が、代々神道に対して信仰を深めているという事は御存じですね?』

 

 

『あ、あぁ・・・。まさか、大木には何か神道関連のものが?』

 

 

『はい。件の大木には、島の神が長年祀られてきているのです。今では、島の島民の方々も居なくなってしまった事から信仰は薄れていますが・・・。まぁ、言うなれば御神木の様なものです。』

 

 

そう言いながらも、私は一抹の不安感を覚えます。私の様に幼少の頃から信仰深く教育されてきた者なら兎も角、そうでない方々からすれば超常的な話など信じて貰えないかもしれないと思ったからです。

 

 

しかし、テニス部の監督さんは一切笑う事無く真剣な御返事をしてくださいました。

 

 

『話は分かった。その件の御神木には、指一本触れない事を約束しよう。』

 

 

『信じてくださるのですか?』

 

 

『あぁ。生徒の言葉を信用しないで、なにが教師だ。・・・それに、俺も結構信仰深い方だからな。安心してくれ。』

 

 

『分かりました・・・。では、確認事項は以上となります。テニス部の合宿が、実りある物になる事を祈っておりますね。』

 

 

それだけ申し上げると、私は携帯端末の銀行口座のアプリを開きます。そして、約束の金額が振り込まれていることを確認すると、無人島を貸し出す為の手続きを開始したのでした。

 

 

「というのが、つい先日行われた事ですね・・・。その所為で、少々体に疲れが・・・。」

 

 

「そ、そうなの。テスト期間中に、手続きを進めたりはしなかったの?時雨君の学力なら、少しくらい勉強の時間を書類とかの時間に割り振っても良かったと思うんだけど・・・。」

 

 

「少なくとも、テスト期間中は勉学に励みたかったので・・・。まぁ、その所為で溜め込んだ無人島貸し出しの書類整理のツケが、昨晩に襲い掛かってきたのですけどね・・・。」

 

 

そう言いながらカウンターに突っ伏してしまう私でしたが、そんな私の鼻腔をくすぐる良い匂いがしてきました。その正体は、マスターが用意してくれたモーニングセットでした。

 

 

「ははっ、まぁ色々と御疲れ様。良かったら、モーニングセットでもどうぞ。綾香ちゃんは食べるかな?」

 

 

「あ!はい!い、いただきます!!」

 

 

綾香さんがそう仰られると、マスターはにこやかな笑みで私達の目の前にモーニングセットを置いてくれました。それを食べながら、私達は会話に華を咲かせます。

 

 

そうこうしていると、喫茶店の扉のベルが鳴りました。その方向を見ると、そこには海人と弥生が立っていました。

 

 

「オイーっす!待たせたな!!」

 

 

「いや~、今日も暑いやんねー。あ、マスターお久しぶりやん。」

 

 

「おや、久しぶりだね二人とも。外は暑かっただろう?何か飲むかい?」

 

 

そのマスターの言葉に、海人と弥生は目を輝かせると意気揚々と席に就かれました。余程、外が暑かったのでしょうね・・・。

 

 

「じゃあ、カルピスソーダで!!」

 

 

「ウチは、アッサムティーを御願いします。」

 

 

「了解。少しだけ待っていてね。」

 

 

そう仰られると、マスターはカウンターの奥に向かわれると海人と弥生の分の飲み物を作りに行かれました。そんな中、海人はまるで司令官の様に肘を突くと話し始めます。

 

 

「さて、今日ここに集まって貰ったのは他でもない・・・。緊急ミッション、時雨の別荘へ遊びに行こう作戦決行の為だ。」

 

 

「仰々しく仰られていますが、要は旅行の準備の打ち合わせですよね?」

 

 

「うっせ!こういうのは、雰囲気が大事なんだよ!!」

 

 

そう私に叫ぶ海人ですが、改めて咳払いをすると言葉を続け始めました。

 

 

「んんっ。取り敢えず、今日の予定としてはデパートに行って色々買わねぇとな。」

 

 

「あ!だったら、花火セット買いたいわ!!」

 

 

「良い案ですね。どうせなら、打ち上げ花火も買いましょうか。」

 

 

「ウチは水着買いたいかなぁ。綾香ちゃんも、新しい水着買いたいやろ?」

 

 

その言葉に綾香さんはしばらく首を傾げながら思案されると、はにかむ様に笑われながら頷かれました。

 

 

「そうね!どうせなら、新しい水着でエンジョイしたいわ!」

 

 

そう話し合っていると、マスターが興味津々といった様子で話しかけてこられました。そんな彼の両手には、海人と弥生が注文した分の飲み物が握られていました。

 

 

「ははっ、随分と楽しそうに話しているね。」

 

 

「おっ!マスター、有り難う御座います!!そうなんですよ、今年も時雨の別荘に行くんで色々準備しないといけなくて・・・。」

 

 

「おやおや、それは大変そうだね。けれども、こういう風に計画を立てているときが一番楽しかったりしないかな?」

 

 

「まぁ、それもそうっすね!!」

 

 

「そんな君達に、私から少しプレゼントだよ。」

 

 

そう仰られると、マスターは私達四人に何かを渡してくださいました。それは・・・、今から向かおうとしていた商業施設の割引券でした。

 

 

「マスター・・・。これは・・・?」

 

 

「フフッ。少しでも若人に青春を楽しんで欲しいと願う、年寄りのお節介だよ。・・・迷惑だったかな?」

 

 

「「「「滅相もございません!!」」」」

 

 

その言葉に、私達四人は同時に首を振る事になります。そして、マスターから割引券を受け取ると私達は席を立って商業施設に向かう事にします。

 

 

「マスター、御馳走様でした。」

 

 

「美味しかったです!御馳走様でした!!」

 

 

「割引券、あざました~!」

 

 

「また来ますね~。」

 

 

そんな私達に笑い掛けられたマスターに礼をしながら、私達は大型商業施設に向かう事にします。そんな私達を真夏の太陽は、カンカンと照らし続けていたのでした。

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