クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
時雨君の神楽舞と御祭りが終わった、数日後・・・。私は、早朝の時間帯に起きて着替え支度をしていた。何故なら今日は、時雨君の別荘に遊びに行く日だったからだ。
「歯磨きセット良し、パジャマ良し・・・。水着もしっかり入ってるわよね。あとは・・・。そうだわ!三人に内緒で買った、アレも入れておかないと!!」
そう言いながらトランクケースの荷物チェックをしていると、二階からトストスという音が聞こえてきた。そんな階段の方を見ると、そこには大きく欠伸をしている御母さんが立っていたわ。
「ふわぁ・・・。綾香~・・・?Good morning~・・・。」
そう言いながら朝の挨拶をするお母さん・・・。正直に言わせてもらうけど、眠たげにしてるせいで全然"グッドモーニング"に見えないわよ・・・。
「おはよう、御母さん。朝御飯食べたら行ってくるわね。」
「ん~・・・何処に~?」
「時雨君の別荘によ。昨日話したでしょ?」
「んぁ~・・・そうだったわね~。朝御飯どうするの~?」
「さっき、少しだけ食べたわ。」
そうこう話していると、御母さんに続いて咲と御父さんも二階から階段を伝って降りてくる。そんな二人は、私に挨拶をしようとしたけど、私の服装に言及し始める。
「おはよう、綾香・・・!?あ、綾香・・・その服装は、少し肌寒いんじゃないのかい?」
「え?そ、そう?普通の白ワンピースだと思うんだけど?咲はどう思う?・・・咲?」
そう私が質問しているにも拘らず、咲は私の服・・・と言うより体をジロジロ見てきている気がする・・・。そうして、次に先が呟いた言葉に私は思わず顔を赤くしてしまう。
「ふーん・・・、エッチじゃん。」
「咲!?」
「オフショルダーのワンピにする事で良い感じにセクシーさも出しつつ、白ワンピの清楚さでギャップも出てる!最高だね!お姉ちゃん!!しかも、肩出しの御陰でおっぱいの谷間も見えてる!!こんな服装が嫌いな男子高校生なんて、この世に居ないよ!!堅物そうな時雨お兄ちゃんも、これでイチコロだね!!」
そんな男子高校生みたいな反応をしながら話し掛けてくる咲に、私は思わず顔が赤くなってしまう。ちょっと、露出度とか高すぎたかしら・・・?
「それに、御父さんも御母さんも見てよ!!お姉ちゃん、こんなにエッチな水着着ていくんだよ!!」
そう言いながら、私の水着を取り出した咲を止めようにも一歩遅かった。私の買ったバンドゥビキニを見て、御母さんと咲は目を輝かしており、草食系で恥ずかしがり屋の御父さんは顔を真っ赤にしている。
「綾香・・・!これで、ハートを射止めちゃうのね!!」
「射止めないわよ!!」
「お姉ちゃん・・・。私、まだ叔母さんに成る気は無いよ。・・・けど、一応頑張って!!」
「何を!?」
「あ、綾香・・・これは・・・。流石に・・・。」
「御父さん!何も心配しなくて良いから!!普通に、遊んで帰って来るだけだから!!」
そう言い切ったところで、私の精神的疲労はマックスだった。いや・・・本当になんで、あとは家を出るだけなのにここまで疲れるの?そう私が嘆いていると、揶揄いに満足したのか御母さんが優しく話し掛けてくる。
「綾香。」
「・・・何?」
「思いっきり、楽しんできなさい!」
「えぇ!!行ってきます!!」
そう言うと、私はトランクケースを持って玄関を飛び出す。やっぱり、夏だからか蒸し暑い。この服装で来て、正解だったかもしれないわね・・・。あ、日焼け止めクリーム塗っとかなきゃ。
そう考えながら歩いていると、集合場所に到着した。まだ、早朝だから人っ子一人居ないのかと思ってたけど、そこには弥生ちゃんが既に来ていたわ。そんな弥生ちゃんも、夏らしい涼しげだけど可愛らしいワンピースを着て私に向かって手を振ってくれていた。
「綾香ちゃーん、こっちやでー!」
「弥生ちゃん!御待たせ!!待ったかしら?」
「全然待ってへんよ~。いや~、それにしても眼福やなぁ~。」
そう言いながらニマニマとした顔で、私の身体を見てくる弥生ちゃんに私は思わず両手で胸元を隠してしまった!!なんというか、咲もそうだけどそのセクハラおじさんみたいな台詞何なの!?
「あ~、ざんね~ん。」
「ざんね~ん、じゃないわよ!!もう!もう!!」
「ごめんごめん~。も~、怒らんといてぇや~。」
そうこう話していると、私と弥生ちゃんのスマートフォンから通知音が鳴り響いた。同時に鳴ったって事は、私達のグループLINEかしら?そう考えながら開くと、そこには海人君の家?らしき所で顰めっ面をした時雨君の写メが映っていたわ。
『海人が、呼び鈴を鳴らしても起きる気配が有りません!!海人の母君に協力を仰ぎ、彼をすぐに叩き起こしてから向かいます!!』
そのメッセージの後には、
「あ~。相変わらず、海人君は寝坊助さんやねぇ。」
「海人君・・・。結構朝とか弱いの?」
「うんにゃ、毎年恒例っちゅ-やつや。例年、時雨君の別荘に遊びに行く日は楽しみ過ぎて寝れんで、寝坊すんのが海人君の"御約束"っちゅーやつやねん。」
「あ~、楽しみ過ぎて寝れないやつね。けど、私も実際寝れなかったもん。」
「いや~、楽しみやね。海水浴に、ビーチバレーにバーベキューに・・・。き・も・だ・め・し。」
そんな弥生ちゃんの、謎に強調した"肝試し"発言に私は思わず背筋がビシッと伸びてしまう。何故かって?・・・この反応で分かるでしょ・・・?・・・苦手なのよ!幽霊とかそういった類の話は!!そんな私の反応に気を良くしたのか、弥生ちゃんはニマニマしながら、グイグイと肘を軽く押し当ててくる。
「あれれ~?綾香ちゃん、どないしたん~?もしかして~・・・肝試し怖いん~?」
「そ、そんな訳無いでしょ!!小さい頃に、ホラー映画とか見まくってたのよ!!アイスホッケーの仮面を被った殺人鬼の映画も見てるし!夢の中で現れる殺人鬼の映画も見たし、その二人がコラボして対決してる映画も見てるんだから!!」
そう言いながら虚勢を張る私だが、実際のところは・・・嘘だ。私は、ホラーコンテンツが苦手だ。というか、苦手と言うより寧ろ嫌いである。アメリカにいた頃、お爺ちゃんの家で見たホラーとスプラッターが融合した映画を見てからというもの、私は大のホラー嫌いになってしまったのだ!!
まぁ去年お爺ちゃんの家に行ったとき、御母さんは平気そうな顔で見てたし、咲は何故か爆笑しながら見てたけど・・・。片隅で震えていたのは、私と御父さんだけだったわ。もしかして、御父さんの怖がりなところが咲には遺伝せずに、私にだけ遺伝したのかしら?
そうこう考えていると、私と弥生ちゃんの後ろから声が掛かったわ。けれども、その声に反射的に振り向いた瞬間私は固まってしまった。
「おい!綾香!!」
「海人君、遅・・・。・・・は?け、健治?」
そう・・・。そこに居たのは、まさかの健治だったのだ!!そんな奴の登場に、私は思わず顰めっ面をしてしまう!その隣で弥生ちゃんも少し驚いた顔をしていたけど、流石は学園の皆から"ママ"と呼ばれてるだけの事はある。顰めっ面をせずに、真っ直ぐ健治の方を見据えている。
「なんだよ!如月も居るじゃねぇか!!奇遇だな、こんな所で何してんだよ!?実は俺、テニス部で合宿に海に行く事になってんだよ!良かったら一緒に来ねぇか!?」
その言葉に、私は血管がブチ切れそうになるのを必死に堪える。さっきまで別荘で御泊りという、楽しい気分になっていたのに本当に最悪の気分だ。そんな私が怒声を飛ばそうとすると、弥生ちゃんがやんわり仲裁に入ってくれた。
「ごめんなぁ~、ウチ等二人共待ち合わせしてんねん。それに、まだこんな時間なんやから大声で騒いだらあかんよ~。」
その声色はとてもおっとりしていたけど、私は見逃さなかった。弥生ちゃんの目が笑っていないという事に!!これ絶対、滅茶苦茶イライラしてる奴だ!!
「オイオイ!連れねぇこと言うなよ如月ぃ!もしかして、神宮寺の奴を待ってんのか!?あんなヒョロヒョロしてる奴なんかやめて、俺の所に来いよ!情熱的な夏を味わわせてやるからよぉ!!」
その言葉に、私は怒りを通り越して本当に眩暈がしてきたわ。だって、普通考えられないでしょ?いくら別れたとはいえ、元カノの目の前で元カノの友達を口説くとかどういう神経してんの!?サイコパスなのコイツ!?
というか、海人君をヒョロヒョロって馬鹿なの!?海人君、この前に重さが結構ありそうな模造刀を片手でぶん回してたけど!?細マッチョの概念を知らないのかしら、このテニス馬鹿は!
そう思いながら、私がこの七面倒臭い状況を何とかしようと頭を捻らせていると近くから車の走る音が聞こえてきた!!その方向を見ると、そこには見覚えのあるリムジンがこっちに走って来て停車したわ!
「てめぇ、近藤コラ!!何やってんだ、テメェ!!」
そして、中からは憤怒の形相の海人君が出てきて私達の間に割り込んだの!!そして、その後ろからは時雨君も出てきて私達を後ろに下がらせてくれたの!
「二人共!近藤さんに絡まれてると連絡が入りましたが、御無事でしたか!?」
「え!?な、なんで健治に絡まれた事知って・・・。」
「弥生から連絡が入ったのですよ!!」
その言葉に弥生ちゃんの方を見ると、弥生ちゃんはいたずらが成功したかのような表情で片手でクルクルとスマートフォンを回していたわ。もしかして・・・ノールックでSOSのメッセージを送ったの?
私のその心の内の疑問に答えるかのように、弥生ちゃんはウインクをしてくれたわ。ほんと、凄すぎるわね・・・。そう考えている間にも、海人君は健治の胸倉を掴みながら憤怒の形相で一気に捲し立てていたわ。
「おい!近藤!!てめぇ、また弥生にちょっかい掛けようとしやがったな・・・?あぁ!?」
「は、はぁ!?な、何の事だよ!!俺はただ、学校の同級生に会ったから挨拶しただけで・・・。」
そうモゴモゴと言い訳をする健治を制するかのように、時雨君がスマートフォンのメッセージアプリを水戸黄門の
「その言い訳は通用しませんよ。弥生がメッセージアプリを音声入力にしてくれていたおかげで、先程の貴方の会話は筒抜けですからね。・・・それから海人、手を放してあげなさい。」
「・・・ちっ!!」
そう舌打ちをしながら、海人君は突き飛ばすように健治を地面に放り投げる。流石は模造刀を振り回すだけの腕力も有ってか、海人君に放り投げられた健治は見事に尻餅をついていたわ。
「て、てめぇ!!生徒会副会長の癖に、生徒に暴力をふるうのかよ!!」
「あぁ!?テニス部次期主将だって、一丁前に自慢してる奴が尻餅付いたくらいでガキみたいに泣き喚いてんじゃねぇよ!!そもそも、人の彼女口説いたテメェの自業自得だろうが!!」
その言葉に何も言えなくなったのか、健治は一瞬だけ口を噤んだわ。そんな彼を放置して、時雨君の車に乗って退散しようとした私達だったけど、次の言葉に私の中で何かが切れる音がしたわ。
「・・・っ!!う、うるせぇ!!そもそも綾香!!御前も御前で、なんで水無月の奴と一緒に居るんだよ!!金しか取り柄の無い、寝取りチビ野郎に!!」
「・・・は?今・・・あんた、何て言ったの?時雨君が・・・寝取り野郎?」
「あ・・・あぁ?だってそうだろうが!!そもそも最近、御前と連絡取れねぇのもお前がブロックしてるからだろ!?どうせ、そのチビ野郎にブロックするように
その言葉を聞いた途端、私の眼前には健治の顔が間近で映っていた。健治が私に近づいたんじゃなくて、私の方から健治に近づいたと自分自身が気付くまで少し時間が掛かってしまったわ。・・・けど、そのくらいに私は怒っていたの・・・!
そして倒れてる健治の胸倉を掴むとパァーン!という音と共に、ガラにも無く思いっきり平手打ちをしてしまった!そんな私の行動に、虚を突かれた健治を見下ろすと私は一気に
「ふざけんのも大概にしなさいよ!!時雨君が、寝取り野郎!?メッセージアプリをブロックするように、
「な、何言って・・・!た、確かに浮気はしたけど寝取ってなんて・・・!!」
「しらばっくれる気!?クラスの皆から、教えて貰ったわよ!!彼氏持ちの女の子を
「そ、そんなの証拠なんて・・・!」
「証拠なんて、無くたって十分よ!!元カノの私が言うのもなんだけど、アンタに惚れこんで感覚が麻痺してる子は兎も角、マトモな感性してる子はあんたがヤバい奴だって分かってたみたいよ!!それに、そんな噂されるほどアンタは殆どの女子から嫌われてんのよ!!」
そんな私の言葉にショックを受けたようだけど、そんなの私にとっては心底どうでも良い!!目の前に居るのは、幼稚園の頃に私を助けてくれたヒーローの健治じゃない・・・。この世の悪意を詰め込んだ
「アンタが女の子を寝取った所為で、自殺した男の子までいる!!それも、私がアンタにぞっこんだった時期に!!その話を聞いて、私がどれだけ罪悪感を抱いたか分かる!?まぁ、アンタには分からないでしょうね!!浮気しておきながら!!他人の幸福を踏みにじって、のうのうと腐った愛の言葉を
「あ、綾香・・・。」
「二度と私の名前を呼ばないで!!アンタとかいう、人の皮を被った化け物と付き合った事こそ人生の汚点でしかないわ!!」
その言葉が終わると同時に、私は掴んでいた胸倉を思い切り離す!尻餅をついた拍子に健治が呻き声を上げたけど、知った事じゃない。
そして呻き声を上げながら立ち上がって、健治が私達に向かって何かを言おうとした瞬間である。別の方向から低い声が聞こえてきたの。
「健治!御前、先に来てたのか!!ん・・・?水無月会長達も居るな!珍しい組み合わせだな!!」
そこに居たのは、テニス部の顧問の先生だった。健治と付き合ってた頃に、健治をテニス部まで迎えに行ったときに何回か顔合わせはしてるから何となくは覚えてる。たしか、怒ったら滅茶苦茶怖い先生だ。そんな先生は、軽く時雨君に向かって会釈をしたのだ。
「こ、コーチ・・・。な、なんで水無月の野郎に頭を・・・?」
「何でって・・・。そもそも、今回無人島を貸し出してくださったのは水無月様だぞ?」
「は・・・?」
そんな顧問の先生の言葉に、健治の目が大きく開かれる。まぁ、そりゃあそうよね・・・。まさか自分が今から行こうとしている合宿場所が、自分が散々嫌ってる男の子の所有物だなんて。
「いやー!本当にありがたい事だぞ!!本来は百万越えするレンタル料を、同校のよしみで半額にしてもらえたんだからな!!水無月様の御厚意の御陰だぞ!!ほら、御前も次期主将なんだから礼くらい言わんか!!」
その言葉に、健治の顔は赤くなったり青く成ったり忙しい様子だった。そんな彼の様子に、海人君が必死に笑いをこらえてる様子が見て取れたわ。けれども、一向に御礼を言わない健治に流石に痺れを切らしたのか、時雨君が両手を叩いてこの場を治めてくれる。
「申し訳ありません、急いでおりますので此度はこの辺で失礼します。強化合宿が実り有るものになる事を生徒会一同、心より願っておりますね。」
「あぁ!邪魔をしてすまなかったな!ではまた!!」
その顧問の先生の言葉に一礼だけすると、時雨君は私達三人を無理やりリムジンに押し込んでしまった。そして、運転手さんに御願いすると同時に私達を乗せたリムジンは別荘に向かうボートの船着き場を目指して発進したのだった。