クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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綾香視点です


船上での釣り対決!

・・・朝から健治との望まない出会いを果たしたものの、時雨君達の機転やテニス部の監督さんの登場によって面倒事を切り抜けてリムジンに乗っただったのだけれど・・・。

 

 

「本っ当に!申し訳ありませんでした!!」

 

 

「あの・・・、綾香さん?どうなさったのですか?」

 

 

そう首を傾げる時雨君達の目の前で、私は自分で言うのもなんだけど物凄く綺麗な土下座をしていたわ。

 

 

「まさか、健治があんな場所に居るとは思って無かったの!!折角楽しい旅行になる筈が、初っ端から(つまず)かせちゃってごめんなさい!!」

 

 

「そんな事はありませんよ。本日がテニス部の合宿日当日という事を、置き忘れてしまった私の責です。寧ろ、私が直接迎えに行くべきでした・・・。」

 

 

「そんな事無いわ!私だって・・・!」

 

 

そう謝罪の応酬をしていると、見かねた海人君がパンパンと手を叩くと土下座をし続けている私を慰めてくれたわ。そんな彼に続き、弥生ちゃんも気遣ってくれる。

 

 

「ほらほら!もう終わった事なんだから、いつまでもリムジンの床に頭を擦り付けてんなよ!」

 

 

「そ・・・そうね・・・。」

 

 

「よっしゃ!折角の旅行なんやから、徹底的に楽しんでいかなな!!ほな、まずは乾杯といこか!!」

 

 

そう言いながらも、いつの間にかリムジンの中に有る冷蔵庫を漁っていた弥生ちゃんが私達に冷やしたワイングラスを配っていたわ。そんなワイングラスを手に取ると、私は思わず感嘆の声を上げてしまった。

 

 

「わ、わぁ・・・グラスがキンキンに冷えてるわ。」

 

 

「せやろ~。此処にレモンティー淹れて、クイッとやんのが至高やねんで~。」

 

 

「はぁ!?レモンティーより、コーラだろ!!コーラ飲みながら、映画見ようぜ映画!!」

 

 

「冷やすと言えば、麦茶ではないのですか?」

 

 

そう言い合いながらも私達は結局、肩を寄せ合いソファに座って各々の飲み物を片手に映画を見始めまる事になったの。そんな中、私は時雨君の耳元に話し掛ける。

 

 

「そういえば・・・、今日で二回目ね。時雨君と、こうやって映画を見るの。」

 

 

「そうですね・・・。映画館程の迫力は御座いませんが。」

 

 

「そうよね・・・。ねぇ、今度また映画館に行かない?その・・・二人っきりで。」

 

 

そう恐る恐る聞く私に、時雨君は少しだけ呆気にとられたように目を瞬かせると少しだけはにかむ様に笑ってコクリと頷いてくれたわ。

 

 

「はい。また、行きましょう・・・。」

 

 

そう言った次の瞬間、テレビ画面から大きな爆発音が鳴り響いたわ!!そして、そんな大きな音に驚いた時雨君は反射的に私の手をぎゅっと握ってきたの!!

 

 

「も、申し訳ありません・・・。」

 

 

「大丈夫よ。ほら、手・・・握っててあげるから。」

 

 

「はい・・・。有り難う御座います。」

 

 

そんな私の視線の端から、なにやら嫌らしい笑みを浮かべた海人君と弥生ちゃんが映るけど取り敢えずスルーする事にするわ。だって、なんか揶揄われそうだし・・・。

 

 

そうして数時間後・・・、私達を乗せた車はいつの間にか時雨君の別荘のある島へと向かう船の船着き場へと着いていたわ。そうして車から降りると私達は、船着き場に泊めているメガヨットに乗り込む事になったのだけれど。

 

 

「うぁ~・・・。ようやく着いたぜ・・・。」

 

 

「海人君、途中から爆睡しとったもんな~。」

 

 

「しょ、しょうがねぇだろ?寝不足だったんだから。」

 

 

そう言い合う海人君と弥生ちゃんの隣で、私は呆けた顔をしたままメガヨットの船内で立ち尽くしかなかったわ。だって・・・あまりに異世界みたいな内装なんだもの!

 

 

船の天井にはシーリングファンが何個もクルクル回ってるし、床には物凄いサラサラな脚触りの絨毯(じゅうたん)が敷かれてるし・・・。

 

 

「・・・な、な・・・。ふ、船・・・?こ、これ・・・船の中?」

 

 

「はい。そうですよ?」

 

 

「な、なんか・・・。想像の100倍凄い船なんだけど・・・。内装とか、ホテルじゃない!!」

 

 

「一応、これでも控えめな装飾の部類なのですが・・・。」

 

 

そう首を傾げる時雨君の言葉に、私は呆けた様な顔をし続けるしかなかったけど、取り敢えず呆けたままじゃ何も始まらないし深呼吸して落ち着く事にしたわ・・・。

 

 

「うん・・・そろそろ、私も慣れないと・・・。」

 

 

「・・・?よく分かりませんが・・・、取り敢えず各々の荷物を寝室に持っていきましょう。弥生、綾香さんを寝室に御連れしてあげてください。」

 

 

「了解や!ほな、綾香ちゃんこっち来よか~。」

 

 

「え、えぇ・・・。」

 

 

その言葉と共に、私は弥生ちゃんの後ろに付いていき船のとある一室に入る事になる。するとそこには、綺麗な木造の床と壁が敷き詰められ、壁に舷窓(げんそう)が付いて綺麗な海原が見えていたの。

 

 

「うわぁ・・・。物凄い綺麗!!」

 

 

「せやろ~。まぁ、まだ出発はしてへんけどな。」

 

 

「あ。た、確かに。」

 

 

そう荷物を置きながら窓の外を見た私の目には、港の堤防にある・・・。係船柱だったかしら?そこにのんびりと止まる、カモメが映っていたわ。

 

 

「けど、なんだかこの瞬間から既にワクワクしてるわ!!」

 

 

「わかるわ~!飛行機もそうやけど、船とかの乗り物乗ったときに一番ワクワクすんのって出発するまでの時間ちゃうかな?」

 

 

「そうよね~。あ!そういえば、弥生ちゃん。」

 

 

「ん?どないしたん?」

 

 

「そういえば、今から出発したとして何時くらいに着くの?」

 

 

「ん~・・・明日の8時くらいかな?」

 

 

「なるほど、明日の8時ね・・・。・・・ん?明日?」

 

 

そうサラッと言われた事実に私はしばらくポカンとすると、恐る恐る弥生ちゃんに質問をし返してみる。

 

 

「や、弥生ちゃん・・・?あ、明日って・・・?」

 

 

「ん?言うてへんかった?今日は、この寝室で御泊り。明日、時雨君の別荘のある島に着くねんで?多分、近藤君達のテニス部も明日着くんちゃうかなー?」

 

 

「え、えぇ!?ちょ、ちょっと待って!?じゃ、じゃあ・・・。」

 

 

そんな私の脳裏に、一つの懸念点が浮かび上がる。それは、御手洗いや御風呂についてだ。いや、御風呂は最悪一日は入らなくても良いと思う。・・・女子にあるまじき考えだけど。けど、御手洗いは流石に・・・。

 

 

しかし、そんな私の心を読んだかのように弥生ちゃんが水回りのフォローをしてくれたわ。

 

 

「あ。因みに、水回りは気にせんで良いよ?なんてったって、水無月家のクルーザーやからね。トイレとかお風呂の汚れは、神宮司家が開発した特殊な微生物が全部分解してくれんねん。」

 

 

「な、なるほど?そういえば、全然揺れないわよね。この船・・・。」

 

 

「そら、水中翼船とかフィンスタビライザーとか搭載してるからな~。揺れにくいから、全然酔わへんねんで。」

 

 

水中翼船・・・?フィンスタビライザー・・・?・・・聞きなれない単語が並んだけど、恐らくそれが時雨君の船が揺れない秘密なのね・・・。そう考えていると、弥生ちゃんがチョイチョイと手招きしてきたわ。

 

 

「ほな、時雨君達のとこに行こか。今から、一大イベントが始まるからな。船が出発して少ししたら、甲板に出るからなぁ。」

 

 

「え?ど、どうして?」

 

 

「えぇから、えぇから。」

 

 

その声と共に、船がゆっくりと動き始めたわ。そして暫くの間、私と弥生ちゃんは船の中でツーショットを取ってSNSにアップしたりして時間を過ごしていたわ。

 

 

「ほな行こか。取り敢えず、下着脱いで水着に着替えといた方がえぇで。」

 

 

その言葉に疑問符を浮かべつつも、私は弥生ちゃんに付いていくことにする。そして、更衣室で水着を着てその上からシャツを羽織って時雨くんの所に向かう。

 

 

すると、案内された先は甲板だった。そしてそこには、四本の釣竿を立てかけている時雨君と海人君が居たわ。もしかしてこれって・・・。

 

 

「二人とも御待たせ!もしかして、今からするのって釣り?・・・って、何で海人君は海パン姿なの?」

 

 

そう質問をする私の目の前には、海パン姿に長袖の上着を羽織った時雨君と・・・。海パンで半裸の海人君が立っていたわ。

 

 

「何でって、当たり前だろ!夏といえば海!!海といえば開放的!!開放的といえば、水着だろ!!」

 

 

「日焼けをするので、上着を着るように言い聞かせたのですが・・・」

 

 

そう頭を抱える時雨君の言う通り、いつの間にか大海原の中央に居たわ。人工物が一切見えない、大海原の中心・・・。そんな光景に、私は冒険気分になって気分が高揚してくる。

 

 

「よっしゃ!ほな早速、海釣り始めよか!!今日の夕御飯は、釣りで釣った御魚やからな~。」

 

 

「え!?そ、そうなの!?」

 

 

「せや!なるべく、おっきな御魚釣ろな~。」

 

 

そして、早速海釣りが始まったのだけれど・・・。なぜか私と時雨君は、隣り合って釣りをする事になったんだけど・・・。私の隣で、時雨君は物凄い勢いで小魚を釣っていたわ。

 

 

反対側の甲板からも、海人君と弥生ちゃんの魚が釣れたであろう声が聞こえてくるし・・・。それに比べて、私は未だヒットしていない。

 

 

「釣れましたね。綾香さんは・・・、少々不漁といった感じですか・・・?」

 

 

「え、えぇ・・・。それに、釣りとかあまりした事が無いし・・・。」

 

 

「ふむ・・・。少々、気が荒れてはいませんか?」

 

 

その言葉に、私は少しだけドキリとしてしまう。何でかっていうと、少しだけ頭の片隅に今朝の健治の件が焼き付いているからだ。もちろん、健治に恋い焦がれてるとかじゃない。

 

 

けれども・・・。やっぱり、少しだけモヤモヤしてる。なんか・・・私の所為で、初っ端から皆をピリピリさせちゃったし・・・。そう考えていると、釣竿を持つ私の手の甲にそっと時雨君の手が乗っかったわ。

 

 

「綾香さん。大丈夫ですよ、落ち着いて竿を持ちましょう。ゆっくり・・・落ち着いて・・・。」

 

 

そう手を重ねながら話し掛けてくる彼に、少しだけ緊張していると私の持っている竿がピクピクと反応し始めたの!きっとこれは・・・!!

 

 

「し、時雨君!こ、これって!!」

 

 

「魚が餌を食らいました!!落ち着いて・・・!ゆっくり、落ち着いて引き揚げてください!」

 

 

「え、えぇ・・・!!」

 

 

その言葉に従うように、私がゆっくりと釣り糸を引き上げると・・・。釣竿の先には立派な(さば)が二匹もぶら下がっていたわ!!

 

 

「や、やったわ!!鯖が二匹も釣れたわ!!」

 

 

「おめでとうございます!綾香さん!!」

 

 

そして、そうこう話していると放置されていた時雨君の釣竿からも反応が起こった!!なんと、もの凄い勢いでリールが音を立てて回っているのだ!!

 

 

「ちょっと待って!時雨君のリールからも、物凄い音がしてるわよ!!」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

そう言うと、時雨君は慌てて自分の釣竿のリールを掴むと引き上げようとする!!そして、そんな彼の細い腕には血管が隆起して必死に力を入れていることは明らかだったわ!!

 

 

そして、そんな彼を見た私は海人君と弥生ちゃんに助けを求めようとしたんだけど、生憎二人も御魚が引っかかって奮闘しているみたいだった。

 

 

(あ、あれ?もしかしてこれ、助けに行けれるの私だけ!?)

 

 

そう考えた私は、急いで彼のもとへと向かい後ろから抱き着くような形で彼の身体を支えて、腕を掴んであげる。

 

 

「時雨君!大丈夫!?」

 

 

「だい・・・!じょうぶ・・・です!!すみま・・・せん!!このまま・・・!引っ張って・・・くだ・・・さい!!」

 

 

「え、えぇ!!はぁぁ!!」

 

 

そうして、私と時雨君が協力して釣り上げた結果・・・。ザバァァンという音と共に、水面に巨大な魚の影がチラリと見えたの!!そして、その音に私達と反対側に居た海人君と弥生ちゃんも反応する!!

 

 

「おい!大丈夫か!?」

 

 

「なんやら、えげつない音したけど!?」

 

 

「わ、分からないわ!!け、けど時雨君の釣竿に大物が掛かったみたい!!」

 

 

そんな私の言葉に、二人の顔が一気に引き締まったかと思うと彼等は大慌てで船の中に走っていく。

 

 

「マジ!?ちょっと俺、操縦士さんに網何処にあるか聞いてくるわ!!」

 

 

「ウチも行くわ!!綾香ちゃん!海に落ちたらあかんで!時雨君もな!!」

 

 

そうして二人が去った後も、私と時雨君はなんとか海に落ちないように踏ん張りながらも必死に耐え続けたわ。そして、船の操縦士の人が巨大な網で掬いあげてくれたんだけど・・・。

 

 

「いや・・・デカすぎ!!」

 

 

「デッカ!!」

 

 

「何やこれ!?えげつなさすぎやろ!!」

 

 

「こ、これ程までの大物とは・・・。予想外でした・・・。」

 

 

掬いあげた魚を目の前にした私達の反応は、驚愕の一言だった。なんてたって、2メートルは占めるであろう巨大魚が打ち上げられていたからだ!!そんな魚に呆然としていると、船を操縦していた操縦士さんが目を丸くしながら魚の正体を言い当ててくれたわ。

 

 

「ほう!これは、浪人鯵じゃないか!こんなにデカい個体は、初めて見たぞ!!」

 

 

「浪人鯵ですか!?初めて見ました・・・。」

 

 

「いやー、こんなデカブツを吊り上げちまうとはな!!時雨様と御嬢ちゃんの共同作業の賜物だな!!」

 

 

そんな操縦士さんの"共同作業"というワードに、私は思わず顔を赤らめてしまったわ。だって・・・共同作業って、なんか夫婦みたいで・・・。

 

 

「そうですね、共同作業ですね。」

 

 

私がそう考えている最中、サラッと共同作業を認めた時雨君に対しても驚いているとパンパンと手を叩いた海人君が話し掛けてくる。

 

 

「よっし!釣りを始めてから、大体二時間ぐらいが経過したな!!じゃあ、各々の釣った魚を並べていこうぜ!!」

 

 

その海人君の言葉と共に、私達はそれぞれの釣った魚を甲板に並べていくのだった・・・。

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