クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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新キャラ登場です


親友と登校

朝日が昇り始める早朝4:00頃・・・。私は布団から体を起こし、庭に設けられている井戸水で顔を洗い、井戸の傍に設置されてる巻藁(まきわら)に打ち込みを始めます。これが私の日課です。

 

 

そうして私は汗を流す為の湯浴みを終えて、茶の間に向かいます。そこには既に、女中さん達がせっせと働き朝餉(あさげ)*1を作ってらっしゃいました。そんな彼女達に挨拶をすると、彼女達も笑顔で挨拶を返してくれます。

 

 

「女中さん方、おはよう御座います。本日も早朝からお疲れさまです。」

 

 

「おはようございます、若様。本日もお早い起床でしたね。」

 

 

「はい、生徒会の仕事がありますので・・・。本日の献立は何でしょうか?」

 

 

「本日の献立は、主菜は(さば)の味噌煮に副菜は冷奴。汁物はめかぶの味噌汁になります。白米は新潟県から取り寄せたものになりますよ。」

 

 

その言葉に、私は心を躍らせます。魚料理は私の好物ですし、冷奴はあっさりとした喉越しが魅力的だからです。そして、数分後。私の目の前には木具膳(きぐぜん)*2に乗せられた料理が並び立ちます。

 

 

「いただきます。」

 

 

私はそう言うと、鯖を食べて口内で旨味を噛み締めます。そして一度口内をサッパリさせるために冷奴を食べ、めかぶの味噌汁を口に含む・・・。

 

 

そんな幸せな時間が、私は大好きです。

 

 

「・・・ご馳走さまでした。やはり、朝餉は洋食より和食に限りますね・・・。」

 

 

食事を終えた私の声に、女中頭さんがクスクスと笑いながら話し掛けてきます。

 

 

「若様。その様な事を仰っていますが、貴方様が洋食を召し上がっているところなど片手で数えるほどしか見た事がございませんよ?にも拘らず、洋食を引き合いに出すなど(いささ)か傲慢ではないでしょうか?」

 

 

「洋食は・・・。嫌いではないのですが、味が濃すぎて・・・。」

 

 

「左様でございますか・・・。学校の準備は終わっております。本日もお気を付けて行ってらっしゃいませ。」

 

 

そう苦笑しながら頭を下げる女中頭さんに、私は一礼すると家の門を出て歩き始めます。私の家は和風建築の・・・世間一般で言う所の豪邸で郊外に位置しており、家の周囲には温かな草木が生い茂っています。そんな草木は涼しげなそよ風と共に揺れ動き、サァサァと軽やかな音色を(かな)で始め、その音色に私は心を落ち着かせます。

 

 

開けた場に出る出口付近に、我が家が先祖代々祀っている神様の祠がある為、そこへの二礼二拍手一礼も忘れません

 

 

(あぁ・・・。朝から森林浴が出来る事の、なんと幸せな事か・・・。本日も、我が家をお見守りくださいませ・・・。)

 

 

そんな中、私が思い出したのは昨日の出来事でした。

 

 

(それにしても、あの後・・・桐野さんは無事に夜を過ごす事ができたでしょうか・・・。あのような精神状態では・・・、不安です。しかし、近藤健治さん・・・。我が校のテニス部の新進気鋭の部員ともいえる方がまさか、二股を掛けていたとは・・・。)

 

 

そう考えていると、森林を抜けて街に出始めました。ようやく空が白みだしてきており、おそらく夜通し道路の舗装(ほそう)をしていたであろう工事現場の人々が笑い合いながら帰路についています。

 

 

(夜遅くまで、お疲れさまです。ゆっくり休んでくださいね・・・。)

 

 

私がそう思いながら歩いていると、突然大声と共に背中に重みが加わります。

 

 

「おーっす!時雨!おっはよーさん!!」

 

 

この大声と明朗快活にも程がある性格をしている人間は、私の知り合いには一人しかいません。私は溜息を吐きながら後ろを振り向きます。

 

 

「海人・・・。まだ、夜が明けていませんよ。近所迷惑になる様な声量で話すのは、控えてください。」

 

 

「わりぃわりぃ!しっかし、生徒会長様はお堅いなぁ!」

 

 

そう悪びれもせずに私の背を叩く男・・・。彼の名は神宮寺海人(じんぐうじかいと)。私の幼馴染でもあり、我が「水無月家」と同じく旧華族である「神宮寺家」の跡取り息子です。

 

 

彼は、生まれ持っての茶髪のショートヘアに緑の瞳をした・・・まぁ、俗語で言うならばイケメンという奴です。背も高く、先のバレンタインでは数多の甘味や恋文を貰う程の人気者。

 

 

強いて彼の欠点を上げるのならば、私に対する絡み方でしょうか・・・。

 

 

「海人、貴方はもう少し生徒会副会長としての自覚を持ちなさい。私が仮に病に伏せれば、その日の生徒会長の業務はすべて貴方と弥生がする事に成るのですよ?」

 

 

「あー!朝から説教とかやめろよな!というか、毎度言うがお前は真面目過ぎるんだよ!もっと柔らかく生きろ!高校生活なんて、ほんの3年間。俺らに至っては、あと2年しか遊べないんだぞ!!もっと青春を謳歌しろ!つーか、彼女作れ!!」

 

 

「貴方、毎度その話を持ち出してきますよね・・・。」

 

 

「勿体ねぇよ!んなお人形さんみたいな綺麗な顔してる癖に、今の今まで女っ気ゼロ!何で彼女作らねぇんだよ!あれか?身長か?身長がコンプレックスなのか?」

 

 

「そもそも、女性から好意を寄せられるのは貴方の様な、背の高く男らしい方でしょう?」

 

 

私がそう言うと、海人は大袈裟に肩を(すく)めて首を振ります。

 

 

「やれやれ、分ってねぇなぁ時雨は。」

 

 

その言い草に(いささ)か腹が立ちますが、そんな私を無視して海人は話し続けます。

 

 

「今の時代、イケメンの高身長がモテて低身長は女に見向きもされないという話は幻想だ!今の時代、草食系男子や絶食系男子!小動物系男子!果ては、お前みたいな背の低い可愛い系男子など、様々なタイプの男子がモテ始めてるんだ!!お前も、誰かれ構わず平等に接するんじゃなくて唯一無二の女を好きに成れ!!」

 

 

「そう言われましても私が仮に恋愛などをすれば、お相手の方が生徒会長から依怙贔屓(えこひいき)を受けているなどと(よこしま)な噂を立てられてしまうのでは?」

 

 

「そんな奴は、水無月家パワーで黙らせろよ。」

 

 

「無茶を(おっしゃ)らないでくださいよ・・・。というより、そこまで私に恋人を作る様に仰ってくるのは何故ですか?貴方に利が無い様に思いますが・・・。」

 

 

「いや?利はあるぞ。」

 

 

「その利とは?」

 

 

私のその問いに、海人は大きく溜息を吐きながら眉間の(しわ)をほぐします。

 

 

「はぁ・・・。あのな、この前秋葉原に行ってきたんだけどな?」

 

 

「秋葉原・・・。たしか、様々な趣味嗜好の方々が楽しめる場でしたよね。」

 

 

「あぁ・・・。そこで、うちの学校の制服着てる奴がコミケで、自作した本を売り(さば)いてたんだけどな・・・。」

 

 

そう言う海人の声が段々と低くなっていきます。どうしたのでしょうか?

 

 

「俺とお前をモデルにしたBL本が売られてた。」

 

 

「BL・・・といいますと、衆道文化が描かれた物でしょうか?」

 

 

私のその言葉に、海人は目をひん剥いて叫び始めます。まだ早朝だというのに・・・。これは、生徒会室に着いたら説教確定ですね。

 

 

「重要なのは、そこじゃねぇ!俺と!お前が!そっち系の仲に思われてんだよ!しかも、R-18バージョンまで売られてたし何なんだよ!!なんで、俺が受けで時雨が攻めなんだよ!!」

 

 

海人が何やら「攻め」や「受け」などと、専門用語を使っていますが恐らくはその筋の界隈で使われる隠語のようなものなのでしょう。

 

 

「は、はぁ・・・。それは、大変でしたね・・・。」

 

 

「なんで、他人事なんだよぉぉ・・・。俺、彼女居んのに・・・。」

 

 

そうこう話している内に時刻は午前5:30、私達は学校の校門前に到着しました。そして、門に入って警備員さんに学生証を見せた後に生徒会室に向かうと、そこには先客がいらっしゃいました。

 

 

「早かったですね、弥生。」

 

 

私がそう言うと、胡桃(くるみ)色の波打った長髪に緑色の瞳をした女性が座っていました。彼女こそが、私を海人と二人掛かりで支えてくれているもう一人の生徒会副会長かつ幼馴染であり旧華族の「如月家」の跡取り娘、如月弥生(きさらぎやよい)です。海人の彼女でもあります。

 

 

そんな彼女は、ゆっくりと視線を上げてのんびりとした関西訛りの口調で話し始めます。

 

 

「いや~?ウチも来たばっかやで~。それにしても・・・何で海人君は腕掴まれて引きずられとるん?」

 

 

「何やら、色々とショックを受けている様なので早く慰めてください。いつまでもこの調子では、仕事が始まりませんからね。」

 

 

「そやねぇ~。」

 

 

そう言うと、弥生は海人の顔を豊満な胸に押し当てます。

 

 

「海人君、お疲れさんなん?」

 

 

「うん・・・。」

 

 

「さよか~・・・。せやけど、ちょっとだけ頑張ろか?ウチのパワー注入したるさかいな。はい、ちゅ~にゅう。」

 

 

弥生がそう言うと、海人はみるみるうちに活力を取り戻していきます。そんな相変わらずの現金っぷりに、私は(なか)ば呆れながらも彼等と仕事を開始します。

 

 

「取り敢えず仕事を始めましょう。」

 

 

「おう!弥生に抱きしめて貰ったし、バリバリやるぜ!!」

 

 

そうして私が長机の中央に座り、海人と弥生は私を挟むような形で座って仕事を始めます。仕事を始めて30分が経過した頃に弥生がふと思い出したように言葉を発します。

 

 

「そういえば、この前ウチ変なもん見てもうたんよ。」

 

 

「変な物?なんだよ、学校に露出狂の不審者でも現れたか?」

 

 

「そんな訳あらへんやん。ん~・・・。生徒の皆が聞いたら大騒ぎになるやろうから、他言無用でお願いしたいんやけどな?この学校で、一番人気のカップルって誰と誰か分かる?」

 

 

その言葉に、私は少し眉を上げますがとりあえず話の続きを促します。

 

 

「さぁ?そもそも、文化祭でカップルコンテストなる物が開かれる時点で、相応数の恋人達がいるのは明白でしょう?その中から当てろと言われましても・・・。」

 

 

「それな!まぁ、俺と弥生のラブラブっぷりに勝てる奴なんて居ねぇだろうから俺等だな!!」

 

 

「時雨君?ウチは、一番人気のカップルっていう大ヒントを与えたんよ?それから海人君?ウチらはカップルコンテストには、出場せぇへんかったやろ?・・・まぁ、ええわ。正解は桐野綾香ちゃんと、近藤健治君や。」

 

 

その言葉に、昨日の事を私は思い出しますが平静を装って質問します。

 

 

「彼女達がどうかしたのですか?少なくとも、風紀を乱すような男女付き合いはしていなかったはずですが?」

 

 

「それがなぁ・・・。綾香ちゃんは問題無いんやけど、健治君がなぁ・・・。」

 

 

その言葉に、海人は大笑いをし始めます。

 

 

「健治ぃ?あー、アイツな。アイツ如何(いか)にも寝取られ系のエロ同人の、チャラ男みたいな外見してるもんなぁ。テニスするしか能の無い、テニスバカがよ。」

 

 

「海人・・・。言葉遣いに気を付けなさい。」

 

 

「あぁ!?あの糞野郎!高1のときに、俺の弥生をナンパしやがったんだぞ!」

 

 

海人が激昂しながら言うと、弥生は落ち着いた声で海人の怒りを鎮めます。

 

 

「海人くーん。ウチは、海人君以外の女にはならへんから安心しぃ~。」

 

 

「や、弥生ー!!」

 

 

そう言いながら、私の後ろを通って弥生に抱き着こうとする海人を押さえつけて話を促します。

 

 

「それで?健治さんがどうしたのですか?」

 

 

私がそう聞くと、弥生はおおかた私が予想していた通りの答えを出してくれます。ある一点を除いて。

 

 

「まだ、確証は持てへんねんけどな?健治君が・・・。何人かの女の子と、浮気してるらしいんよ。」

 

 

「何人かの・・・?テニス部のマネージャー、一人では無いのですか?」

 

 

その言葉を聞いた私は、疑念を抱きます。昨日の喫茶店での口論を振り返ってみても、健治さんは綾香さんに隠れて他の女性と肉体関係を結んでいた事は明らかです。ですが、あの場ではテニス部のマネージャーとだけしか言われてませんでした。

しかし、弥生の証言が真なら先日は虚言を吐いていたという事に成ります。

 

 

(昨日の時点で大層な遊び人だとは思っていましたが、まさかここまでとは・・・。そのような方が、次期テニス部の主将とは・・・。テニス部も堕ちましたね・・・。)

 

 

そのとき、謎に勘の良い海人が私に質問を投げかけてきます。

 

 

「時雨。何で一人だけだと思ったんだ?」

 

 

その言葉に、私は内心焦燥感に苛まれます。何故知っているのかと言えば、昨日の事を話さなくてはならない。しかし、綾香さんはこの事をあまり知って欲しくないのかもしれない。

 

 

そう悶々としている私の顔を見ながら、海人と弥生が私の方を見てきます。

 

 

「時雨・・・。何か知ってるんだな?」

 

 

「時雨君、どないなん?」

 

 

「時雨・・・。目が泳いでいるぞ。嘘ついてるよな。」

 

 

その両者の質問に、私は素知らぬふりを決め込もうとしますが流石は我が幼馴染。私が嘘を吐くときの癖を見抜いていらっしゃいます。

 

 

「・・・はぁ、大した話ではありませんよ。喫茶店で昨日、綾香さんと健治さんの別れ話を偶然耳にしただけです。」

 

 

「マジで!?別れたのアイツ等!?・・・モガッ!!」

 

 

そう仰天しながら叫ぼうとする海人の口を、私は何とか抑えます。

 

 

「声が大きいんですよ!誰かに聞かれたらどうするんですか!!」

 

 

「う・・・悪ぃ・・・。」

 

 

そんな中、弥生が私に問いを投げかけてきます。

 

 

「ほんで?我らが生徒会長様は、どないしたん?」

 

 

「どうもこうもしてませんよ。おぼつか無い足取りで歩く彼女が心配だったので、後を追ってみるとガラの悪い方々に囲われていたので助けただけです。」

 

 

「マジか!?放り投げたのか?」

 

 

そう叫びながら聞いてく海人が、私の行動に大風呂敷を広げて噂を広げない様に私は正確に状況を話し始めました。

 

 

「放り投げてはいませんが、金的を潰して左腕の肘関節と肩関節を外しました。先に殴りかかってきたのは向こうですので、正当防衛ですね。」

 

 

「相変わらず、容赦の"よ"の字もあらへんなぁ・・・。」

 

 

「男として生を受けたなら、その拳は弱き者を守る為に使う物。我欲を満たす為に力を振るうなど、まさに獣畜の所業に他なりません。あのような方々が男を名乗るなど、反吐が出ます。」

 

 

「うーん。まぁ、正当防衛なんかなぁ・・・?」

 

 

そんな他愛もない雑談をし続けている内に、時間は流れ現在は午前7時50分。この時間帯に成ると、登校してくる生徒数も増え始めます。そんな中、朝餉(あさげ)を済ませてきた私と違い食べ損ねた海人と弥生は各々持ち寄ってきた菓子パンを食べながら仕事をしています。すると、1年の生徒会役員の子が入ってきました。

 

 

「水無月様!神宮寺様!如月様!今、よろしいでしょうか!?」

 

 

そんな彼女は息を切らしています。普段は物静かな彼女が、ここまで焦っているのです。一応、生徒会長として注意をしつつも話の内容を伺います。

 

 

「生徒会役員ともあろう方が、廊下を走らないでください。それで、何があったんですか?」

 

 

私のその言葉に、1年生の子は息を整えながら報告をしてくれます。しかし、その内容に私達3人は顔を見合わせます。その内容とは・・・。

 

 

「現在、東門前で桐野綾香先輩と、近藤健治先輩が口論をしています!至急応援を!!」

 

 

噂をすれば、何とやらとは言いますが・・・。(いささ)か、展開が早過ぎませんかね?

*1
朝飯の事

*2
日常的に使われる簡素なお膳の一種で、2枚の板に脚をつけたもの




次回はクズ男視点です
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