クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
「クソッ・・・、完全にやらかしたよな・・・。」
この日俺は、ベッドの上で悩みに悩んでいた。幼馴染でもあり、初カノである綾香に浮気していることを正直に話したら、アイツに激怒されてしまったからだ。
アイツと幼なじみとしての付き合いは長い。俺が幼稚園に通っていたときに、アイツは転園生としてアメリカからやって来た。そんなアイツを初めて見たときから、俺の恋は始まっていたのかもしれない。
けれども、あの時の俺はアイツに話し掛ける勇気なんかなくて虎視眈々とその機会を狙っていた。
するとある日、幼稚園でアイツが虐められているのを見て真っ先に止めに入った。俺は生まれつき体も大きくて、ガタイも良かったし何より親父が何処かの大企業の役員だったから、その虐めっ子達は俺に恐れをなして逃げて行った。それが、俺と綾香の初めての出会いだった。
そこから年月が経ち、中学生の頃に転機は訪れた。俺はその頃には色黒肌に、髪も金色に染めてイケイケな感じの見た目になっていた。その為、女子からはイケメンだと持て
けれども、俺のプライドはあの日アイツに叩き壊された。
その日は、学内のスポーツフェスティバルという事で様々な競技が行われていた。出場するスポーツは一人一種だった為、当然俺はテニスを選んだ。テニスじゃ負け無しだったし、活躍すれば中学生にしてスタメンに選ばれるかもしれなかったし、女子達からも羨望の眼差しで見られる事になるだろうと踏んだからだ。
けれども、そんな思いはあっさり打ち砕かれた。あのチビ野郎・・・。水無月時雨の手によって!!
試合開始のホイッスルが鳴ると同時、俺はさっさと終わらせるつもりで最初からトップギアでボールを打ち込んだ!しかし、そんな渾身の一撃を奴は涼しい顔で淡々と打ち返し、その後も全ての球を打ち返して、強力なスマッシュを叩き込んでくる!
(チビの癖に、何なんだよあの俊足は!!)
そう思った俺は、ひたすらボールを打ち返し続けたが、奴は眉一つ動かさず息を乱す事無く打ち続ける。そして、気づいた頃には俺と奴には大きな点差が付いており、俺は1点も取れないまま無情にも試合終了のホイッスルが鳴り、完敗した。
その音に俺がぼんやりしていると、奴は俺の目の前まで来て話し始めた
「本日は良い試合が出来ました。有り難う御座います。」
そう頭を下げると奴は踵を返して、自分のクラスに戻って行きやがった。そんな奴に俺は何も言い返せず、放課後教室でワンワン泣いた。もう自分は終わりだ。唯一の取り柄である、テニスもやっても意味が無いと。
しかし、そんな俺を神様は見捨てていなかったようだ。俺が泣いていると、綾香がクラスに来て俺を抱きしめて慰めてくれた。そして、俺に告白をしてくれたのだ。
「あなたが辛いときは、私が傍で支えてあげる。」
その言葉に、俺は大いに喜んだ。元々コイツの事は好きだったし、コイツは昔から発育が良くて背もモデル並みに高いし胸もデカい!それに家庭的で金髪碧眼のハーフ美少女ときた!勿論俺は、その告白にOKを出して綾香と付き合うことを了承した。
(ざまぁみろ!あの、水無月時雨とかいうチビ!!お前は一時の勝利を喜んでるだけかもしれねぇけど、俺にはこんなにハイスペックな彼女が出来たんだよ!せいぜい、一時の勝利を噛み締めてやがれ!!)
そう内心で俺を負かしたチビを嘲笑いながらも、俺は順風満帆な高校生活を再び送ろうとした。しかし、次の日に学校に行きとテニス部のマネージャーに声を掛けられた。そのマネージャーはなんでも、クラスのマドンナのような扱いを受けている女であり、数多くの男子生徒から告白されているという綾香に負けず劣らずの美少女だった!
そんな彼女は綾香と同様に昨日の事を慰めてくれて、更には告白までしてきた。告白の内容は、さほど覚えていなかったが俺の興奮は絶頂に達した。
(なんだよ、なんだよ。皆して、急に俺に告白してきやがって。やっぱりあれだな、悲劇のヒーロー気取ってたら女は慰めに来るもんだな。まてよ・・・、このまま悲劇のヒーロー気取ってたら、他にも女が寄って来るんじゃないか?)
そう考えた俺は、その日から普段は普通に過ごしつつも時折あの試合を思い出して悲しむ悲劇のヒーローを演じ始めた。すると、女共はそのギャップにやられるのか俺にすり寄ってきた。
中には彼氏持ちの女も居たっけ?まぁ、どうでも良いか。
しかし、そうこうしていてもやはり罪悪感はある。綾香に嘘を吐き続けるのも申し訳ないし、俺自身板挟みになって苦しいこともあった。
そこで俺は閃いた。綾香に全部打ち明けようと。綾香ならきっと許してくれる。そして、マネージャーと一緒に俺を大事にしてくれるはずだと。
そして、俺は綾香を喫茶店に呼び出して全てを打ち明けた。しかし、返ってきた答えは予想外の物だった。
「ふざけないで!!」
その声に俺は驚いた。まさか、ここまで怒るとは思っても無かったからだ。綾香は俺に怒った事は無かったし、喧嘩をしても優しく諭してくれるような怒り方だった。
だからこそ、俺はタジタジになって頭の仲がこんがらがってしまった。そして、つい大声を上げてしまった。
「お、お前も悪いんだぞ!綾香!お前が、いつまで経ってもヤらせてくれないからじゃねぇか!!」
その瞬間、綾香の顔から表情が消えたように思った。けれども、俺はヒートアップしてしまい言葉を放ち続けた。
そもそも、高校生のカップルなんてヤることヤってなんぼだろ?そう説明しても、全く綾香は興味を示してくれなかった。それどころか、俺の顔面目掛けて冷水をぶっかけてきたのだ。
それに戸惑いながら、俺は声を出そうとしたけど気付いてしまった。喫茶店中の客という客が、俺達・・・いや、俺一人に対して冷ややかな視線を向けてきている事に。
その視線に、俺はいたたまれなくなり喫茶店をヨロヨロ出る事にした。
「・・・また、明日話そうぜ。」
そう言い残して、俺は自宅に着いて今に至る訳である。
(何に怒ってたんだよ・・・。そもそも、俺がモテ始めたならアイツももっと魅力的に成ろうと努力するのが当然だろ?まぁ、明日になったらアイツも機嫌直ってるだろ・・・。)
そう考えながら、俺は眠りについた。
「健治!さっさと起きなさい!何時だと思ってんの!」
「・・・ チッ!うっせぇなババア・・・!」
翌朝、1階から聞こえるババアのうるさい声と共に俺は起きる。そうして、朝飯を食って学校に出発する。
通学路を歩いていると、小学生であろうガキ達がキャァキャァ喚きながら歩いていたり、道路工事の地面を掘る音が俺の耳に突き刺さる。
(チッ!うっせぇなぁ!!俺は未来の、プロテニスプレイヤーなんだぞ!!道を開けろよ下民共が!!)
そう苛つきながら、俺はようやく学校に着く。この時間帯に成ると、ちらほら生徒達が登校してくる時間だ。
すると、目の前に見知った姿の女子生徒がいた。
(間違いねぇ。あの一際高い背に、形の良いデカい尻・・・。綾香だ・・・。)
そう考えながら、俺は綾香の目の前に立って挨拶する。
「よぅ綾香!今日も良い天気だな!!」
しかし、綾香はそんな俺を無視して横に回って通り過ぎようとする。
「な、何だよ!昨日の事まだ怒ってんのか?いい加減大人に成れって、お前だって俺と別れるのは嫌だろ?」
「何の用・・・?」
「な、何の用っていつも通りの挨拶じゃねぇか!てか、今日も弁当作って来てくれたんだな!今日のメニューは何だ?俺の好きな豆腐ハンバーグか?」
「えぇ、そうよ。」
その瞬間、俺はガッツポーズをする。綾香の作る豆腐ハンバーグは、肉汁が溢れ出ながらもサッパリとした味わいの絶品だからだ。
「そ、そうか!じゃあ、今日もいつも通り屋上で食べようぜ!!」
しかし、次の綾香の言葉で俺の体は固まる事に成る。
「いつ誰が、アンタの為に作ってきたって言うのよ?アンタは、新しい彼女のお弁当でも食べてたら?」
「は、はぁ!?じゃあ、何なんだよその弁当鞄は!明らかに2人分の弁当箱が入ってる大きさじゃねぇか!!」
「これは、私の友達用に作ったのよ。分かったら、さっさと新しい彼女の所に行ったら?」
その言葉に、俺は
「じゃ、じゃあその女友達と一緒に食べようぜ!それで良いよな!!」
「お断りよ、アンタはお呼びじゃ無いわ。というか、別に女友達と食べるわけじゃ無いから。」
「な、何だよ!男と食うのか!?」
「そうよ、問題ある?私だって、男友達は居るんだし何も不思議じゃ無いでしょ?というか、アンタ自分勝手すぎない?私と付き合ってた頃に、他の女の子も呼んでお昼ご飯食べてたわよね。私のやってる事と何が違うの?」
その言葉に何も言い返せない俺は、辛うじて声を絞り出す。
「じゃ、じゃあ!その男の名前を教えろ!!」
「はぁ!?何で、あんたにわざわざ教えないといけないのよ!!」
「その男が安全な奴とは限らないだろ!!」
「人の心を弄ぶアンタよりかは、100倍マシよ!!」
お互いにヒートアップしていって、ちらほら生徒達が俺達の口論に注目してきた頃にその声は響いた。
「朝から何事ですか?」
その声の主に、俺は歯軋りする。そこに居たのは、俺が綾香と付き合うきっかけにもなった憎き男。生徒会長である、水無月時雨が立っていた。その後ろには、副会長の神宮寺海人と如月弥生まで居やがる。
「テメェ等は関係ねぇだろ!引っ込んでろよ!生徒会だからって偉そうに!!」
俺がそう脅す様に声を荒げても、奴は一向に怯まない。
「こんな時間から口論をされては、近隣住民の方々への迷惑になります。痴情の
「ふざけんな!恋人同士の喧嘩に、首突っ込んでんじゃねぇ!!」
そのとき、信じられない事が起こった。なんと、綾香が水無月の方に駆け寄っていったのだ。
「生徒会長君!助けて!!私、こいつに付き
「桐野さん。それは
「この状況で、嘘つく訳無いでしょ!さっきから本当に迷惑してるのよ!!」
「・・・事情は分かりました。弥生、海人。彼女の事を御願いします。」
その言葉に、神宮寺の奴と如月は綾香を連れて校舎の中に入る。
「分かったよ。任せとけ。」
「桐野ちゃ~ん。怖かったなぁ~、ウチ達が来たからには安心してえぇよ~。校舎ん中入ろか?何やったら生徒会室に寄ってき?飴ちゃんあげるわな~。」
それを見届けた奴は、ゆっくりと俺の方に向き直ってきた。俺よりもチビな筈なのに、その体からはとんでもない覇気が流れる。空気がピリついて、汗も吹き出して口が乾きやがる
「さて・・・。近藤さん。」
「な、何だよ・・・。」
「今回の一件、桐野さんの証言が
「そ、それは・・・。違う!俺は、アイツの事も愛して・・・。」
「そのような暴論が、社会で通じるとでも?あなたの行いは、仮に婚姻関係にあったならば不貞行為に当たる行為です。それに、今回の一件で貴方に対する桐野さんの信頼は地に落ちています。それは分かりますね?」
「け、けどお前だって男なら分かる筈だろ!?彼女が居ても、魅力的な女が居たら目移りするのは・・・。」
しかし、そんな俺の言葉を奴はシャットアウトしてしまう。
「質問に答えなさい。貴方は、好きな果物は何かと問われた際に猫と答えるのですか?」
「け、けどよ・・・。」
「いい加減に、無様を晒すのは止めて教室に向かいなさい。そして、仮に彼女に想いを寄せているのなら
そう言うと、奴は踵を返して校舎内に入ろうとする。
「お、おい!待てよ!!」
その俺の言葉に、奴は静かに言葉を返す。
「私が何故、静かな声で話しているか分かりますか?貴方の為を想って静かに話しているのですよ?」
「は・・・?」
「もう既に、幾人かの先生方は職員室に出勤していらっしゃいます。そんな状態で大声で話せば、彼等はこの様子を見に来るでしょう。たしか、貴方は体育会系の大学にスポーツ推薦で入るつもりなのでしょう?そんなあなたが、不貞などをしたと先生達が知ったらどうなるでしょうね・・・。ましてや他の部員に聞かれた場合、貴方の部活内での信頼は地の底に落ちます。この意味が分かりますか?」
その言葉に、俺はゾッとする。俺はテニスは出来るが、勉強は全くできない。そんな俺がスポーツ推薦を取り下げられたら待っているのは破滅だ。ましてや、今まで勝ち得た信頼が地の底に落ちるのはもっと嫌だ!
そうショックを受けた俺だったが、気が付くと目の前から奴は消えていた。
そして無情にも俺が遅刻をした事を裏付ける、1限目を知らせるチャイムが鳴り響いたのだった。
チャラ男視点はしばらくお休みです。