クズ男に初恋を弄ばれたギャルは、誠なるハイスペック合法ショタに慰められる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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綾香視点です


ギャルと、生徒会長の幼馴染

朝っぱらから健治に絡まれていた私は、いつの間にか生徒会室でもてなされていた。普段、滅多に入る事の無いその部屋の様子に私はガチガチに緊張する。

 

 

「桐野さん、大丈夫だったか?」

 

 

「朝から災難やったね〜、飴ちゃん食べ?」

 

 

「あ、ありがとう・・・ございます。」

 

 

飴を受け取りながらも、私の緊張が更に加速する。何故なら、私に話しかけているのは、あの生徒会副会長コンビである、神宮寺海人さんと如月弥生さんだからだ。

 

 

今世代の生徒会は、この高校が設立されて以来、最高の黄金世代とまで言われている。

 

 

「水無月」、「神宮寺」、「如月」。この3つの苗字は日本に住んでいる身なら、必ず1度は聞くであろう家名だ。私や健治のような、一般家庭の人間は一生関わる事の無いであろう、旧華族・・・。

つまり、本物の貴族の末裔である御令嬢と御令息が目の前にいるのだ。そんな状況に、私の背筋は自然と正される。

 

 

「あ・・・この飴、美味しいです。ありがとうございます。」

 

 

「気にせんでええよ、貰いもんのやつやからなぁ~。」

 

 

そう手を振る如月さんは、本当に可愛らしい人だ。なんというか、おっとりとしてて母性的な人とでもいうのだろうか?少なくとも、私みたいなタイプとは真逆の人だ。

 

 

「にしても、本当にアイツ最低だよな!普通別れた女に、弁当強請(ねだ)るかぁ!?」

 

 

そう叫ぶ神宮寺さんは普段から女の子達にイケメンと言われている顔を(しか)めて、本気で私の為に怒ってくれている様だ。本当に、この人達が「歴代生徒会の黄金世代」とまで言われる理由が分かった気がする。家柄だけじゃなく、他人の為に本気で怒れる人達だからだ。

 

 

「相手の気持ちを考えられへん、可哀想な子なんよ。そっとしといたり~。」

 

 

その言葉に、私は恐る恐る質問する。

 

 

「あ、あの・・・。もしかして、生徒会長さんから何か聞きましたか?」

 

 

その言葉に、弥生さんは困った顔になると申し訳なさそうに話し始めた。

 

 

「ごめんなぁ?実は、さっき時雨君から色々聞いてしもたんよ。あ、時雨君を責めんといてな?ウチらが勝手に聞いただけやから。責めるんやったら、海人君だけにしてな?」

 

 

「おいコラ、責任転嫁すんなよ。お前も共犯だろ。」

 

 

「うーん、責任転嫁失敗やなぁ・・・。まぁ、聞いたとしても桐野ちゃんが暴漢に襲われてる所を、時雨君が助けた所までかなぁ?それで、どやった?」

 

 

「ど、どう・・・とは?」

 

 

私が首を傾げると、如月さんと神宮寺さんはニマニマしながら聞いてきたわ。

 

 

「とぼけちゃって~。ウチらの時雨君についてやん?」

 

 

「チンピラに襲われそうになってたところを、助けてもらったんだろ?粋な事するよな、アイツも。」

 

 

「ホンマになぁ?少女漫画みたいな展開やん。」

 

 

「え?お前、少女漫画とか読むのか?」

 

 

「え?そないに意外?ウチの事、バカにしとる?」

 

 

そう言い合う神宮寺さんと如月さんは、本当に仲が良さそうだ。多分、彼等がカップルコンテストに参加していたなら私と健治は優勝できなかっただろう。

 

 

そんな二人を見ていると、彼氏にフラれた自分が情けなくなって涙が出てきてしまう。その瞬間、私の顔は柔らかいものに包まれたわ。なんと、如月さんが私を抱きしめてくれたの。

 

 

「辛かったんやね・・・。恋人に振られた事があらへんウチが言うたら嫌味に聞こえるかもしれへんけど、気をしっかり持たんとあかんよ?そもそも、結婚する前に本性が分かって良かったと思ったらえぇと思うよ。」

 

 

そのおっとりした声は、私の心をグズグズに溶かしてくれた。私の涙で如月さんの制服が濡れてきたけど、如月さんは優しく私の頭を撫でてくれたの。

 

 

「それにしても、桐野ちゃんの髪の毛はサラサラやねぇ。羨ましいわぁ。」

 

 

「グスッ・・・。そんな事無いです。如月さんの髪も、もの凄くフワフワしてます・・・。」

 

 

「ホンマに?こないにかわええ子に言われてもうたら、嬉しなって幸せホルモンが出まくってまうなぁ~。・・・で?どないなん?時雨君の事。」

 

 

その質問に、私は考え込んでしまう。彼が助けてくれたときに感じた鼓動の正体が、恋によるものなのか彼の強さに高揚したものかどうかの判別が付かないからだ。

 

 

「わ・・・分かりません。」

 

 

そう言うと、如月さんはニコニコを微笑みながら私の髪を撫でてくれた。

 

 

「そっかそっか。まぁ、ゆっくり整理してったらええよ。まぁ、仮に好きに成ったらウチと海人君に相談しにおいで。いつでも相談に乗ったるからな~。」

 

 

そう話していると、ドアが開いたわ。入ってきたのは、時雨君だった。

 

 

「お待たせ致しました・・・。って、何してるんですか?」

 

 

「いや。なんか弥生がいきなり、赤ちゃんよしよしプレイを始めてさ。」

 

 

神宮寺さんの声に、私は急いで離れようとしたけど如月さんがそれを許してくれなかった。そんな状態の私達を見ながら、時雨君は呆れた声を出した。

 

 

「弥生、早く放してあげてください。貴方の乳房で桐野さんが窒息死したらどうするんですか?」

 

 

「えぇ?かわええ子がおるから、抱きしめてるだけやけど~?というか、さらっとセクハラしてくるやん。」

 

 

「セクハラではありません。事実を簡潔に述べたまでですよ。」

 

 

「え~?ウチはもう少しぎゅ~ってしときたいんやけど、桐野ちゃんはどない?ウチに抱かれるんは嫌?」

 

 

「抱かれるって・・・。お前さぁ、言い方・・・。」

 

 

神宮寺さんがそう言うと、如月さんは私を放してくれた。そうしていると、時雨君は私のもとに来て話してくれる。

 

 

「桐野さん。先程、職員室に(おもむ)き先生方に貴方の精神状態を勝手ながら御話しさせていただきました。その結果、本日は教室に来なくても大丈夫との事です。貴方も今は、近藤さんに会いたくはないでしょう?」

 

 

その言葉に、私はドキリとする。もしかして、私と健治の件を先生方に知られてしまったのではないかと思ったからだ。しかし、その心配は彼の次の言葉で杞憂に終わる事に成る。

 

 

「心配は御無用ですよ。貴方と近藤さんの一件は伏せて話しております(ゆえ)、御安心ください。」

 

 

「そ、そう・・・。ありがとう。あ!そ、そういえば。このハンカチ・・・。一応洗濯したから返すわ。」

 

 

そう私がハンカチを返すと、彼はニコリと笑いながら御礼を言い神宮寺さんと如月さんにもお知らせをする。

 

 

「お気遣いいただきありがとうございます。それから、海人と弥生にもお知らせです。今回、桐野さんの精神的苦痛の軽減の為に我々も常に付いていろとの事です。」

 

 

その言葉に、神宮寺さんと如月さんがニヤリと笑う。

 

 

「つまり・・・。」

 

 

「そういう事やんな?」

 

 

「はい。我々も生徒会室に缶詰めとなります。但し、桐野さんに勉強を教えることを条件にという事です。」

 

 

「っしゃぁぁ!!」

 

 

「ホンマに!?嘘やったら、針千本飲ますで!?」

 

 

その言葉と同時に、神宮寺さんと如月さんは歓喜の声を上げたわ。その姿に、私は彼等に対して勝手に抱いていた高貴なイメージを払拭していく。

 

 

「ほな、今日はよろしゅうな~。如月先生が、色々教えたるからな~?因みに、ウチは社会が得意やで~。」

 

 

「俺は理数系が得意だ!分からねぇ所があったら、言ってくれよ!!」

 

 

「私は、現代文と古文漢文ですね。ご不明な点があれば、お知らせください。」

 

 

そう笑いかけてくる彼等が、とても頼もしく見える。そんな私は、目尻に涙を浮かべながら大きく頷いたわ。

 

 

「はい!宜しくお願いします!!」

 

 

そうして、本日限定で生徒会に缶詰め生活が始まったの。

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