学園都市のウェイストランダー   作:らいらいてー

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そろそろベガス舞台のfalloutドラマが放映されるそうですので衝撃的に書きなぐってしまいました。誤字脱字多いと思いますがお許しください。


第一話 学園都市のウェイストランダー

 ヘッドホンから流れる曲に耳を傾ける。ブラックマーケットで適当に見繕った品物であまり期待はしてなかったけど私の期待は良い意味で裏切られた。

 この場所では時代遅れと言われかねないジャズ、私が荒野(ウェイストランド)を走り回る時に嫌という程に聞いた。

 

「おい! あっちに行ったぞ!」「絶対に逃すなよ! 逃したら明日の夕飯食べられねぇぞ!」「私の明日の夕飯を寄越せ!」

 

 階段を駆け上り屋上へと出る、それにしても鈍い追手だ。落下防止のために設置されていたフェンスを駆けのぼって、支柱につま先立ちになる。

 体が軽い、十代の頃の肉体を取り戻せたのは女の子として感謝だね。一体どういう原理でこうなったのかは今でも分からないけど。

 

「~♪」

 

 名前も知らない曲の歌詞を口ずさみながらジャンプ、数メートルほど跳躍して次のビルへと飛び移る。

 

「クソっ! ちょこまかと!」「逃げるな卑怯者! 逃げるなぁ!」「私の明日のお夕飯!!」

 

 それにしても、しつこく追手が追いかけてくる。そんなにアタッシュケースの中身が欲しいのかな? まぁ、運び屋(クーリエ)として中身の詮索はご法度だけど、無事に届ける事ができたら報酬は弾んで欲しいものだ。

 

 ヘルメットを被った彼女達がこちらへと飛び移ってくるのを横目に、思わずかつての事を想起してしまった。頭がイカれた薬中達に追いかけ回されてた時の事を。

 あの時に比べたら全然マシ、というより比べ物にならないほど良い。ここで撃たれても死ぬことは無いだろうし。

 

 なので彼女達も死なないと信じて少し手荒に行こう。

 

 利き手で握っている重い荷物が入ったアタッシュケースを宙へと投げ付けていき、右の腰に装着しているホルスターから相棒(ラッキー)を引き抜いてビルからビルへと飛び移ろうとしている赤いヘルメットを被った女の子に射撃。小気味いい音を響かせていきながら357弾が胴体に直撃してそのまま下へと落下していく。

 

「り、リーダー!?」「畜生よくもリーダーを!」

 

 勇敢にもこちらのビルへと飛び移ろうとしていたリーダーが落とされた事によって相手に動揺が走る、まだまだ若いな~。まぁ容赦はしないけど。

 銃に添えている手の平でハンマーを起こして愛銃を連射。体は若返ったけど私の技量と運の良さは全盛期のままらしい。動揺しながらも咄嗟に手持ちのサブマシンガンを構えてこちらに銃口を向けていた判断力の良い黒ヘルメットの胴体に2発命中。バランスを崩してビルの下へと落下。

 少し遅れてグレネードランチャーを構えようとしていた相手には頭に1発、喉に1発、胸に1発命中。相手は悲鳴をあげながら落下。

 

「追手の撃破完了、と」

 

 丁度6発、こちらの愛銃も弾切れ。そこまで強くない相手なら苦戦する事はないね。

 

「他に追手は……無し、と、じゃ、さっさと目的地にいこっと」

 

 リロードを追えて再び駆けだす、仕事はきっちりやろう。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 Mr.ハウスに味方してニューベガスの覇権を握ったまではよかった、説得(speech)が得意だったお陰で戦闘もある程度は避けられたし、私も無事に依頼を完遂する事ができてほっと一安心。

 そう、ここまでは良かった。ただ、ここから問題が3つあった。

 1つ目の問題はシーザーリージョンに属する部族の一部が本軍から離反して散発的にベガスを襲撃してきたこと。

 そしてもう1つがNCRの過激派がなおもベガスに固執し続けた事。大切なのは手放す事であるという事を私は某所で学んだが彼らはフーバーダム利権を手放すという事はできなかった。

 セキュリトロンの大軍団相手に彼らは真正面から戦う事はせず、爆弾によるテロや金で雇った傭兵を使っての破壊工作で対抗しようとしてきた。

 

 まぁ私や私が個人的にコネ築いたコネ、セキュリトロン達のお陰でテロの大半は未然には防げたんだけど、これがよくなかったのかもしれない。私にヘイトを向けてくる相手が増えたからね。目立ち過ぎた。あの地獄のような世界で目立つのはよくないというのに。

 

 これも因果応報と言うべきか、私は宿敵を倒したザ・トップスで殺される事になった。

 

 まさかボディチェックを潜り抜けて武器を持ち込んでくるとは、まさか持ち込んだ武器がミニニュークだったとは、まさか自爆を厭わずこちらに突っ込んでくるとは。まさかまさかの連続でミニニュークによるタッチダウンを決められてしまった後、比喩でもなんでもなく吹き飛ぶ衝撃を感じたので恐らくは私はあの瞬間に死んだ。

 頭に2発弾丸を撃ち込まれても死ななかった私だけどミニニュークによる一撃をまともに食らったら助かる訳が無い。

 

 でも目が覚めたら全盛期の十代の肉体になって、周辺は綺麗なビルに囲まれた路地裏で目を覚ますことになった。物資は死ぬ直前に持っていた物を持って、だ。

 

 もしかしたらこの世界での経験は私が死ぬ前に見ている夢なのかもしれない。だが夢の中だとしても金はいる。

 手持ちのキャップはこの世界では使えないし、戦前の紙幣も価値は無かった。そしてこの場所で使われている言語は日本語、と呼ばれるものらしい。

 幸いなことに私がニューベガスに来る前に日本語を学ぶ機会があったので学んで習得したので問題は無かったが、この世界が夢だとするならば普段使ってる言語が普通に通じる世界であって欲しかったものだ。

 

 ビルからビルへと飛び移り、大型ディスプレイに映し出されるニュースへと視線を向ける。どこぞの学校で爆発事故が起きたやら、どこぞの悪の秘密結社が大量破壊兵器を作っているという生徒たちの噂を紹介したりやら、このキヴォトスと呼ばれている場所では一般的なニュースばかりだ。

 

 物騒な話題ばかりだが、荒野(ウェイストランド)に比べたら天と地ほどの差がある。文明万歳。もしかしたらこの世界は天国なのかもしれない。

 

 私の頭上に浮かんでいるルーレットの形状をしたヘイローがその説を補強している。まぁ私が行くとするならば地獄だろうからこの説は弱いかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 目的地まであと少し、だというのに今日は少し運が悪い。周囲を見回す、どこぞの学区の寂れた場所。使われなくなった倉庫が立ち並び、あまり手入れが行き届いてるとは言い難い線路が通っている。

 かつては活気があったのだろう、物資搬入用に作られたと思われる駅は寂れきって廃墟同然だ。この路線を通る列車自体はあるのだろうけどこの駅に止まることはないんだろうな。

 

「止まりなさい! 貴女の持ってるアタッシュケース。大人しく私達に渡すなら手荒な真似はしないわよ?」

 

 現実逃避気味に周囲を見回すのはやめて、こちらに姿を出した赤い髪と角が特徴的な少女へと視線を向ける。……明らかに先ほど撃退したヘルメットの連中よりも格上。

 その上、リーダーと思わしき彼女の周囲には小柄ながらも軽機関銃を携えている女の子。重そうなバッグの中には爆薬でも仕込まれてそう。目と目が合う。にこりと浮かべてきた彼女に合わせてこちらも笑みを浮かべ返す。

 

 さてはて、この2人相手ならば私の口先の技で何とか場を収める事は出来ないことは無いかもしれないが、問題は……。

 

 あの気弱そうなショットガンを持っている女の子かな。あの子はヤバい、シーザーの精鋭(センチュリオン)と同じぐらいの狂気と狂信を兼ね備えている。こいつを率いている赤髪の子はもしかしたらかなりの大物かもしれない。

 

 姿は見えないけど恐らくはバックアップに一人いるかな。こちらの退路を塞ごうとしているのかも。

 さてはて、退路は断たれたがどうしたものかな。たらりと冷や汗が額を伝う、だがこういう時こそ不敵に笑うとしよう。

 

 さてはて、どう欺いてくれようか。

 ふむ、廃墟になった駅とは言えども時計の電池は残ってるようで、時計の短針は5時を指して長針は3を指してる。ついでに時刻表も確認。

 

「あー……どうして私を狙ってるのか一応聞いて良いかな?」

 

「ふふ……貴女の運んでいるものに興味があるクライアントがいるのよ。運んでいるものを奪ったら大金を出すって依頼が出されてるの」

 

「要するに巨悪にパシられてる小悪党って事かな?」

 

 まぁ十中八九、私を雇ったやつも悪いやつなんだろうしパシられてる側なんだけどそれはそれ。

 どうやら小悪党呼ばわりされたのがショックだったらしく、露骨にショックを受けてる事を彼女は顔に出してしまっている。顔に出やすいのも彼女達がまだ子どもだという証拠なのかもしれない。

 

「な、なんですってぇ!? わ、私が……小悪党!? 取り消しなさいよぉ!」

 

「アルちゃん。客観的に見たらお金でパシられてる小悪党なのは確かだと思うよ?」

 

「あ、アル様、私はアル様がパシリになったとしてもどこまでもついていきますよ……! それこそ地獄の果てでも!」

 

 一番やべーやつのフォロー(?)を受けたのが追撃になったらしくちょっと涙目になっている。少し言い過ぎたかもしれない。若干良心が痛まないでもない。

 

「く……! このっ、良いからさっさとそのアタッシュケース渡しなさいよ! 警告はしたわよっ」

 

「いいや、渡せないね。私の矜持に賭けてね」

 

 巨大な鉄の塊が、列車が大地を鳴らしながら線路を走る。遠くから大地を揺らす音が響く。その音を合図にホルスターから愛銃を引き抜き射撃。狙いは一番ヤバい奴が持っているショットガンの銃身!

 

 狙い通り着弾、破損を確認!

 

「っ! 私の銃が!?」「っとと、向こうもやる気みたいだよ! ハルカちゃんは下がってー、ここは私とアルちゃんに任せて」「初弾から銃だけを狙って撃つとは相手も中々やるわねっ、でも数はこちらの方が上。確実に行くわよっ」

 

 地面を蹴って錆が目立つコンテナの影へと飛び込む。先ほどまで私が立っていた位置にアルと呼ばれていた子が放った弾丸が通る。後コンマ数秒遅れてたら直撃コースだったかも。腕利きを相手にするときは心臓に悪い。

 

 いくら銃弾で死なないと言っても痛いものは痛いのだから避けるのが一番だ。

 

「くふふ♪ 鬼ごっこ? 負けないよっ! ムツキちゃんが鬼ねっ」

 

 ぴったりとコンテナに張り付いていきつつ僅かに顔を出して確認すると、小柄な少女が持っていた巨大なバックがこちらに向けて投げつけられてくるのを確認。冷静に拳銃を使って空中で迎撃。凄まじい爆発音が響く。

 直撃してたら流石に危なかったかも。爆風によって粉塵が巻き起こり視界が塞がれる。……嫌な予感がする。

 

「さっきのっ、お返しですっ」

 

「うへぇ! やっぱり君が一番ヤバいやつかっ」

 

 粉塵を突っ切って拳を突き出して来た一番ヤベーやつの一撃を寸前で回避。拳の風圧で私のそこそこ自慢な髪が揺れ動く。冷や汗がたらり。

 

「銃の修理費用は今度支払おうか!?」「私が欲しいのは貴女の首ですぅっ!」「恐ろしいやつだな君はっ」

 

 相手の胴体に蹴りを叩き込んでその反動で距離を取る、だが相手は攻撃が利いた様子は無い、どんだけタフなんだよこいつ。

 まともに戦うと骨が折れる所か負けかねない。片手が荷物で塞がってる上に私の愛銃の装弾数は実に心許ない。

 

 なのでまともには戦わない、ここは逃げる。

 

 廃墟となった駅を素通りし、走り抜けていく列車めがけてこちらの荷物を投げる。うん、良い命中精度。狙い通り貨物車の屋根に乗った。

 

 そしてこちらの行動に驚いた3人の隙を突いて、地面を蹴って近くにあったコンテナに飛び乗り、走り抜けていく列車の最後尾の車両へと飛び移る。

 

「ま、待ちなさい!?」

 

 赤髪の少女が屋根へとよじ登った私の背中に向けて弾丸を放ってきたものの、動揺によるものか、はたまた私の運がよかったのか頬を掠めるだけで済んだ。今のは少しヒヤっとした。

 

「これがスマートな解決方法というものだよ。じゃあね」

 

 悔しそうにこちらを見送る赤髪の少女に手を振る。それにしても表情豊かな子だ。

 

 貨物車の屋根に転がっていた荷物も回収。これで一件落着……と言いたいところだが、そうは問屋は降ろしてくれないらしい。

 

「やっぱり駅を通る列車を使って逃げるつもりだったんだ」

 

「勘のいいお嬢さんは嫌いだよ。敵にすると厄介という意味でね」

 

 アタッシュケースを拾い上げている私に銃を突き付けている。銃を突きつけられる頻度で言えばこの場所はベガスと同じぐらいかもしれない。

 そして恐らくはこいつは私の口先の技が通じないパターンだろう。となるとやることは一つだ。

 

「しかし、1人で追いかけて来るとは凄い胆力だねっ」

 

 遮蔽物のない列車の上、ここで銃撃戦を仕掛けるのは装弾数の関係で無謀。一気に距離を詰めて接近戦を挑む! 相手の腕を掴んで投げ飛ばそうとした所で腹部に強烈な衝撃。今のは効いた!

 

「皆のバックアップをしないとね」「そのチームワーク誉れ高い、敵に回すとは厄介だよっ」「社長たちを相手に逃げ切るあんたも凄いけどね」

 

 アタッシュケースで相手の脇腹を薙ぎ払うようにして打撃を与えようとする。運んでいる荷物でこんな事するのは気が引けるがやむおえない。相手もこちらの行動に合わせて腕で防御してくる。

 

 ここまでは相手も予想していたかもしれない。だがこれからの行動は読めるかな!?

 

「ほーらっ、荷物が無くなってもいいのかな!?」

 

「っ!? あんた正気!?」

 

 アタッシュケースを思いっきり宙へと放り投げる。キヴォトス史上ここまで空を舞う事になったアタッシュケースは存在しない事だろう。これの奪取が目的である以上、彼女の注意はそちらに向く。それが致命的な隙だ!

 

「うぉぉぉぉぉおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 致命的な隙を晒した相手の腕を掴んで思いっきり背負い投げ! 落下地点は列車の外だっ!

 

「っ!」

 

 列車から投げ捨てられた少し顔の怖い彼女は地面に叩きつけられて何度かバウンドし、ゴロゴロと転がっていきながら見えなくなった。

 

「……ちょっと悪い事したかも。今度会ったら飯でも奢ろうかな」

 

 アタッシュケースもジャンプし、空中でキャッチしながらそう呟いて、ようやく私は一息付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、助かりました!」

 

 セキュリトロンよりも洗練されたデザインの人型のロボにアタッシュケースを手渡していく。これでミッションコンプリートだ。楽な仕事かなと思ったが全然そんな事は無かった。

 

「報酬払ってくれたらそれでいい。現金払いでお願いね」

 

「はい、こちらが報酬となります……しかし、このケースの中身を聞かないんですね?」

 

「聞かない。裏社会では運んでいるものの中身を詮索する奴は長生きできないからね」

 

 札束を受け取りつつ、しっかりと枚数を数える。うん、きっちり依頼文通りの額が支払われてるね。アタッシュケースの傷を口実に報酬が減らされても仕方なかったけど。

 まぁ、中身がなんだろうと運び屋頼ってる時点で何かしらのアクシデントに見舞われる事は間違いないだろうし、ケースの中身は衝撃緩和のためにプチプチで覆われでもしてるんだろう。推測だけど。

 もし電子機器運ばせてるんだったら中身を先に言わない相手の落ち度だね、うん。

 

「学園都市のウェイストランダー。貴女のコードネームですが、本名を聞かせてもらってもいいですか? 次があれば案件も任せたいと思いますし、コードネームだけではなく名前も聞きたいなと」

 

 ふむ、仕事するうえでの名前は決めておいたけど、冷静に考えたら本名というものが無いと活動するのも色々と不便だね。

 

「……運屋クリエ。それが私の名前だよ」




ドラマ二期物凄く楽しみです! 続編については評判がよかったら書きたいと思います。
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