ゲヘナの番犬~私はアコ様の忠犬です!~   作:Katarina T

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番犬の仕事

「ハーハッハッハッハ!今日も元気に温泉開発の時間だ!メグ爆薬の準備はできているかい?」

 

「うん!部長がさっき言ってた場所に設置するようにみんなに頼んでいるよ!あと少しで準備できるみたい!」

 

「そうか!それは上々、早くこの場所に温泉を湧かせなければいけないからな!」

 

そう口にしながら、温泉開発部の部長、鬼怒川カスミは手に持っている地図を眺めながら愉快そうに高笑いを上げる。

そんなカスミの隣にいる同じく温泉開発部の副部長、下倉メグはいつも通りの活発な笑みを浮かべながら、不思議そうにカスミに問いかけた。

 

「ねえ部長、ここって()()()()()()()だけど、ここから本当に温泉、湧くのかな!」

 

「当然だろうメグ!温泉あるところに我々あり!ならば、我々がいるところに温泉も必ずあるはずだ!それに私の直感もここに温泉が眠っていると言っている!」

 

そんな訳であるかっと、少しでも普通の感性を持っている人が聞けば、すぐさまツッコミを入れるであろう暴論ではあるが、残念なことにそれを指摘する者はここにはいない。

 

そもそもあるかも分からない温泉を掘り出すためにデパートの地下を勝手に爆発するという倫理観を彼方に投げ飛ばしているいるであろう連中が、今更そんなことを気にするはずがない。彼女たちにとってどんなに暴論であろうとあり得ないことであろうとここに温泉があると思ったら後は突き進むのみなのである。

 

「そっか!流石だね部長!そんな事が分かっちゃうなんて!それじゃあ一刻も早く温泉を掘り出して、皆に入って貰わないとだね!」

 

「その通りだメグ!温泉を見つけ、開発し、浸かる!それこそ私、温泉開発部の使命なのだ!その為にもこの地下で温泉を見つけるまで、好きなんだけ爆発してツルハシを振るうんだ!」

 

「「「「「おおおおおーーーーー!!!!」」」」」

 

そうして、温泉開発部とは名ばかりのテロリストも真っ青な明確な破壊行動が行われようとしていた。

 

 

 

――――しかし、今日そこから爆発音もツルハシを振るう音も聞こえてくることは無かった。

 

代わりに聞こえてきたのは生徒の悲鳴とどさりと人が倒れていく音。

 

「ま、待ちたまえ!は、話を私の話を聞いてくれ!私たちはただここに温泉を作ろうと!」

 

「んん~~?難しいことはよくわかりません!とりあえず物を壊すのは悪い事なので全員ここで捕まえます!」

 

「ひいいいいっ!!」

 

その後、カスミとメグ含めた総勢約100人近くの温泉開発部が牢屋へとぶち込まれた。

 

 

 

 

ふ~~、今日もお仕事完了です!

 

巡回中に温泉開発部の皆さんがデパートの地下に集まっているって聞いたので、とりあえずアコ様に連絡したら、「なにかやらかす前に全員捕まえてください」って言われたので、その場にいた全員気絶させて一旦牢屋に入れてきたんですけど…………やっぱり何も聞かずにいきなり牢屋に入れてもよかったんでしょうか??

 

ううん……。カスミ先輩がなにか言っていたような気がしますけど、難しくてよくわかんなかったです。後でアコ様に聞いてみましょう!

 

ついでにちゃんと仕事を終えたことを褒めて貰いに行きましょう!頭も撫でてもらえたら最高です!

 

 

そんな事を考えながら部室に続く廊下を歩いていると、目の前から見知った人が歩いてきました。

 

「ヒナ委員長!」

「ん?ああ、サベラ。」

 

やって来たのは、私達風紀委員会の委員長、空崎ヒナ先輩です!

ヒナ委員長はとっても強くて優しくて、アコ様にも頼りにされていて、とにかくすっごい先輩なんですよ!

 

委員長は私に気付くと、優しそうに微笑みながら私の傍まで来ました。

 

「ヒナ委員長!お疲れ様です!」

 

「ええ、ありがとう。サベラもお疲れ様。さっきアコからカスミ達温泉開発部を捕まえたって聞いたわ。周りにほとんど被害なく制圧したことをアコが褒めていたわよ。」

 

「ほ、本当ですか!アコ様のお役に立てたなら、私とっても嬉しいです!」

 

「ふふ……、サベラは本当にアコのことが好きね。」

 

「えへへ……///。はい、アコ様はいつも私に的確に指示をくれますから、私は頭があまり良く無いので、いつも冷静にみんなに指示を出してるアコ様はとっても凄いと思ってるんです!」

 

正直言って、私はバカです!一人だと何をすればいいのか、分からなくなることが多いです!

でもアコ様はそんな私にちゃんと指示をくれます!

私だけじゃなく風紀委員会のメンバー全員にです!

そしてその裏で、ちゃんと指示を出せるようにアコ様がどれだけ頑張っているのかも私は知っています。

 

以前、部室にわたしが忘れ物をした時のことです。

その時は風紀委員会の仕事が忙しくて、忘れ物に気が付いたのは夕日も沈み始めた頃で、とり戻るころにはすっかり日が暮れてしまっていました。

 

部室に入るためにドアに手を伸ばしたとき、部屋の中からペンを走らせる音と誰かの話声が聞こえてきました。

日もすっかり落ちて、他の風紀委員も全員帰宅してると思っていた私は、驚いて一体誰が居るのかこっそりと部室を覗いてみたんです。

 

そしたら、その部屋の中にはアコ様が真剣な表情で机に向かっている姿がありました。

あーでもない、こーでもないっと、時折一人愚痴りながらも必死に何かを考えている様子で、私は何を必死に考えているのか気になって、部屋に入ってアコ様の手元の紙を覗き込みました。

 

突然入ってきた私にアコ様は驚いていましたけど、私は構わず紙を見るとそこには、後日行われる仕事に関すデータや作戦がまとめられていました。

 

アコ様は、作戦を遂行するには事前の準備が大切であり、自分はやるべきことををやっているだけだと言っていましたが、こんな夜遅くまで一人で私達のために考えていたことやさっき覗き見した時の真剣な横顔から、ああこの人なら私をうまく使ってくれるとはっきり思ったんです!

 

だから私はアコ様の指示を信じていますし、とってもすごいと思ってるんですよ!

 

 

 

「そう、貴方にそこまで思われてアコも嬉しいと思うわ。」

 

「そ、そうですか!それなら私も嬉しいです!ああ、あと私ヒナ委員長の事もすごいと思っています!」

 

「……私も?」

 

「はい!ヒナ委員長はとっても強くて、いっつも私のことを気にかけてくれて!アコ様とは違いますけど、私はヒナ委員長のことも大好きなんですよ!!」

 

「………。……そう、ありがとう。」

 

「わっぷ!」

 

ん~~?なぜかヒナ委員長に抱きしめてられています!それに何だかヒナ委員長、私の頭に顔を埋めているような……。

もしかして、私から変なにおいでもするんでしょうか。一応シャワーは浴びてきたんですけど。

 

突然の出来事に戸惑っている私をよそに抱きしめ続けるヒナ委員長でしたが、少ししたら私のことを離してくれました。

 

「………ん、ありがとうサベラ。貴方にそう言ってもらえて嬉しいわ。私もまだまだ頑張れそうね。」

 

「は、はい!どういたしまして!」

 

「それじゃあ、またね。」

 

そう言ってヒナ委員長はそのまま廊下の先に行ってしまいました。

はっきり言って、なにがなんだか分かんないんですけど……一つ分かった事があります。

 

「ヒナ委員長……温かくてフワフワで………すっごくいい匂いでした!」

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