ゴルコンダ=ノア*テラー概念   作:新人先生

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前話で完結しているので続きではありません。
データを整理していたらボツにした初稿が一部出てきたのでその公開です。

要はパイロット版です。


ボツにした初稿

 人生は一行のボードレールにも如かない、と言います。

 

 ええ、全くその通りでしょう。

 私には彼のような洞察力も表現力もありませんが、そもそも人生なんてもののほとんどは、どこを切り取っても一行で事足りてしまうんです。

 特に私たちのような、思春期の学生にとってはなおさらのことです。

 ですので、私の人生という、物語であり、ゲームであり、そしてパズルでもあるものの背景にあるのは、まさしく一行です。

 

 私は高校生で、16歳。そして──。

 

 ……もう飽きてしまいましたか? そうですか、良かったです。まだまだ序盤もいいところですから、ここからが本番ですよ? では改めて自己紹介をば。

 

 私は生塩ノア。

 趣味は読書と暗唱。そして先生を揶揄うこと。

 

 ミレニアムサイエンススクールの生徒会であるセミナーで書記を務めていました。今は所属を移しています。今は――

 

「……ノア? 君、なのか?」

 

 おや、先生。こんなところで会うだなんて奇遇ですね。追いかけて来てくれたんですか?

 

 ふふ、何ですかその顔は。まるで幽霊でも見ているかのような顔じゃないですか。まあ気持ちは分からないでもありませんけれどね、くすっ。

 

「ノア……! どうして……!」

 

 ああ、その質問は二度目ですね、先生?  これはとてもシンプルな話なんですよ? 

 何故なら私はもう生徒ではないからです。確か、私がミレニアムを飛び出したときにも、先生はそう言っていました。あのときモモトークでのメッセージは、まだ覚えていますよ?

 

 先生の周りには、ミレニアム時代の友人が何人も立っていました。ユウカちゃんなんか、今にも泣き崩れてしまいそうです。それでも先生を守るようにして立っているあたりが、とっても健気ですよね。

 

 そしてユウカちゃんとは別に、また違った形で私に対して警戒を向けている先輩方が数名。リオ会長とネル先輩、アリスちゃんに……あら、これはこれは。ヒマリ部長とエイミさんまでいらっしゃるとは。

 

 お久しぶりです。ご機嫌いかがですか?

 

「……」

「…………」

「……!」

 

 返答がないので勝手に話を進めることにしましょうか。

 

 この場にいる全員が、きっと同じことを考えていることでしょう。どうしてノアがここにいるのか。どうしてこのような姿になっているのか。なぜこうなってしまったのか。……何が目的なのか。

 

 残念ながら、最後の疑問については今すぐには答えられません。ですが、それ以外の全てのことはすぐに説明できるはずです。

 

……先生が、それを許してくれるのならば。

 

「許すも何も……ノア、君は……」

 

 ええ、そう。そういう顔です。とてもいいですね、その顔。

 

 困惑と安堵と狼狽と、それから、まだ名前のついていない何か。人間の表情というのは本当に便利です。一枚の顔の上で複数の文章が同時進行できるんですから。しかも本人はだいたい無自覚です。朗読しているつもりが、実際には余白のほうがよほど雄弁だったりする。文学の話ですよ? もちろん。ええ、今のところは。

 

 先生は何か言おうとして、それをうまく言葉にできずにいるようでした。

 

 珍しいことでもありません。だって、こういう場面で流暢に喋れてしまう人間は、たいてい信用ならないでしょう? 再会、変貌、元教え子、武装した友人たち、張りつめた空気。舞台装置としては悪くありません。少し盛りすぎなくらいです。ここで気の利いた台詞を即座に返せるとしたら、それは日常を生きている人ではなく、最初からその劇の登場人物になるつもりで待機していた人です。

 

 ですから、先生が言葉に詰まってくれたことには、少しだけ安心しました。

 

 ああ、ちゃんと現実なんだな、と。

 

 ――そう、そうなんです。どうあがいたところで、やっぱり私たちにとっての現実はこの箱庭なんです。

 

 

 

 

(初稿はここまで)




ゲーム部の誰かがテラー化して地下生活者になる概念とかないだろうかと思っているんですが、探しても見つからないです。

【追記】
書 き ま し た
https://syosetu.org/novel/411962/
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