海王類が頭を下げた一件から半年が経過したころ。
「あう あう」
「「頑張れー 1、2、1、2、1、2」」
両親の掛け声に合わせて一歩ずつ歩く
「あうっ!?」
「「あ、」」
ガッという音が鳴った
仰向けに倒れて角が床に突き刺さってしまった
「ママ!ママ!」
短い両手を振り回して放電しながら母親を呼ぶ
「パパじゃないのか」orz
「はーいママですよー」
父親は自分を読んでくれなかったことに悲しみ、母親は父親に対して満面の笑みを浮かべながら抱き上げに行った
「それにしても、まだこんなに小さいのに結構炎も
あたりには背中の炎と全身から迸る電気のせいで黒焦げになっている場所だらけになっていた
「今のとこは俺が水をかけて消火出来てるがいつ家が全焼するかわかったもんじゃないな」
それから一年後
「パパー!追いかけっこしよー」
あの足取りが怪しかったリディも野生の獣顔負けの速さで野山を駆け回っている。
「いいぞー、だけど走る時はちゃんと前を見ろよー」
「うん!その後は海で遊ぼ!」
父親の指摘を聞いて前を向いたリディはまるで野生の虎などの猛獣のように樹々の間を駆け抜けていた、目の前に自分と同じくらいの岩があれば「えい!」の掛け声でだした拳で粉砕し高さが4m以上にもなる大きな岩があれば自慢の翼を使い飛び越えていた
「はぁ…あんなよちよち歩いてたあの子がこんなアグレッシブな子になるとはなぁ」
父親はぼやきつつもリディを追いかけていた
「お腹空いたなぁ、お母さんに勝手に果物は食べるなって言われてるけど…っあ!」
リディは何かに気づいたようだ
「なんか変な鳥がいるー!」
リディが見つけた鳥は島の外ではニュースクーと呼ばれる存在だった。
「!おいっまてリディ!」
父親がリディを呼び止めた
「どうしたの?」
「あの鳥には近づくな」
「なんで?」
「あの鳥は服を着てるだろう?、あの鳥は他の人の子だから勝手に触ったりしたらダメだから」
父親は最もらしい理由を言ってニュースクーに近づくのを止めた、実は父たちはリディに新聞などを見せないようにしていたのだ。
「(リディが外の存在を知ってしまったら勝手に島から出ていってしまうかもしれない)」
父親たちはリディが外を知ってしまったら島から出ることを危惧していた、その理由は自分たちが冒険をしていたことやリディ自身が好奇心が強いことを理解していたからだ、しかもリディにはもうすでに島を出ることができるほどの力を持ってしまっていたのも理由だ
「わかった!」
幸いにもリディは父親の言葉を信じてニュースクーから離れて父親の方へ歩いていった
「いまから海で遊ぶか?」
「うん!」
親子は手を繋いで海に歩いていった
海に着いたリディは勢いよく走り出し飛んで潜った、リディの泳ぐ姿はかなり奇妙なものであった。例えるならばペンギンとイルカを混ぜたようなとでもいうような姿をしていた。
本来リディの体は海を泳ぐのには向いていないはずだった、なぜならば人魚のように一本の下半身ではなく両足と尾が生えた姿で上半身には大きな水の抵抗になる翼が生えていたからだ
だが、リディは自分で自分に合った泳ぎ方を編み出したのだ、齢二歳にして最適解を編み出したのだ。
「おーい見えるところから離れるなよー」
父親は飛び込む直前にリディに注意を促していた
「はーぃ」
リディは翼をペンギンというよりカツオドリのように折りたたんでヒレように使い水中で横回転、宙返り急発進、急停止などをして遊んでいた。
「(ん?なんだろこの声、いつも聞こえる魚の声と違う)」
リディは遥か遠方から発せられたとある存在の声を聞いた
「ップハァ、ねぇねぇあっちから声が聞こえるからいってきていい?」
リディは大声で父親に声をかけた
「ちょっと待っとけ!」
父親はリディの声を聞いて急いで泳いでいた、現在リディは岸から役1500mほど離れた場所を泳いでいた
「パパおそ〜い!」
否、父親は遅くない、魚人の血筋らしく人間ではとても追いつけない速さで泳いでいる、リディが早すぎるのだ。まだ二歳にも関わらず時速にして70キロを越す速さで泳いでいたのだ
そうこうしている間に父親もリディに追いついたようだ
「どっちから声がしたんだ?」
父親がリディに問いかけると、リディは島から見て10時くらいの方向へ指を斜め下に向けた
「あっち!」
指の方向に意識を向けた父親は心臓が高鳴った、それは半年前に海王類が消えた方向だったからだ。
「(また海王類が来るのか?)」
心配した父親だったがすぐに安堵に変わったなぜならばその方向から聞こえた声が自分の父親の声だったからだ
「(なんだ、親父だったのか)」
「ねぇねぇ!あっちに行ってもいい!?」
いつまでも反応を返さない父親に対してリディは頬を膨らませていた
「ごめん、ごめん…えーとリディは先に島に戻ってくれないか?」
「えーどーしたー」
「後で美味しい物を食べさせてあげるからな」
「わかった!」
リディは元気よく返事をして猛スピードで帰っていった
「おーい!親父だよな!」
父親は声が聞こえた方向へ呼びかけた
「元気にしとったか!手紙で子供が産まれたのは知ってたがさっきお前の近くにいたやつがそうか?」
父親にどことなく顔つきが似ている魚人が喋りかけた。
「そうだよ、いやー子供は可愛くて仕方ねぇな」
「はっはっは子供ってのはそんなもんよ」
父親とその父(つまりリディの祖父)楽しく会話を始めた
「ってこんな話せずに島に戻らねぇとリディに親父のことを教えないといけねぇしよ」
「そうだそうだ、早く孫を見せろ!」
「はいはい」
元気よく泳ぎ始める祖父の姿に父親は肩をすくめながら追いかけた。
「あなたーその人ってあなたのお父さん?」
「あぁそうだよ」
「そうじゃ、わしがこいつの父じゃ」
「パパのお父さんってことはじいちゃん?」
「そうじゃよ〜わしがじいちゃんじゃよ〜」
先程まで凛とした顔立ちをしていた祖父だったがリディにじいちゃんと呼ばれた瞬間、格好を崩した
「おっとそうじゃったわしがこっちに来たのは孫が二歳になったと聞いてプレゼントに来たんだった」
「なんだ?親父、プレゼントって」
「これじゃ!」
そう言って祖父が取り出したのは小さな小包だった
「なにこれ!」
「これはなぁ、ボーイン列島に生えている果樹の種じゃ!」
「おぉ!ありがとう、ちょうどリディのおやつに困ってたところだったんだ、リディこれはすごいぞ、ボーイン列島の果樹は成長がすごい早くて美味いんだ」
そう言って父親は小包から種を取り出して植えた、植えた途端種は凄まじい速度で成長を始め数十秒経てば果実まで実った
「これはモモかリディは食べたことない果物だな」
父親はそういう時皮を器用に剥き始めた
「ほれ、食ってみろ」
「うん! ムシャムシャ美味しい!」
「美味いか!よかった、それじゃワシは今から帰るわ」
「もう帰るの!?」
「家に家内を残して来ちまってらからな、またな」
そう言って祖父は海に潜っていった
「またねぇ〜」
これがリディの二歳の誕生日だった