セイア:先攻・ターン4
場:『魔術師の鷹』『ファウスト博士』『善なる魔女ロジェスティラ』
シールド:5
マナ:0(4)
手札:5
ククイ:後攻・ターン3
場:『教会の鐘』『幼い天使アレフ』『幼い天使ベート』
シールド:2
マナ:3
手札:3
〔神聖礼拝〕:23
「た、ターンエンド……」
頭が混乱する。この状況で、明らかに俺有利で、勝利が近いのに、勝てる自信がない。
それはきっと枠外変数〔神聖礼拝〕がまだ有効に使われていないためだ。そこにどこかしら不気味なものを感じているのだろう。そして、俺の勘も警鐘を鳴らしている。
「ターン……ドロー。マナ、チャージ」
いつも通りの文節で区切った喋りかた。単語区切り。そもそもカード名以外に助詞を使った所を聞いていない。
ククイ:後攻・ターン3→4
場:『教会の鐘』『幼い天使アレフ』『幼い天使ベート』
シールド:2
マナ:3→4
手札:3→4→3
〔神聖礼拝〕:23
「セット、『死の天使サリエル』」
狂気の天使が舞い降りた。目が赤い黒髪の天使。まさしく恐怖を振りまく存在。無感情の目で見つめられ、体が震えた。死と隣り合わせの感覚を味わう。
ククイ:後攻・ターン4
場:『教会の鐘』『幼い天使アレフ』『幼い天使ベート』→『教会の鐘』『幼い天使アレフ』『幼い天使ベート』『死の天使サリエル』
シールド:2
マナ:4→0(4)
手札:3→2
〔神聖礼拝〕:23
『死の天使サリエル』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:4
スキル:【神の命令】【死を司る月の鍵】【直死の魔眼】
【神の命令】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされている時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が40以上、かつ、このプレイヤーがゲーム中アタックしていない場合、敵はアタックできない〉
【死を司る月の鍵】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされている時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が12以上の場合、コスト4未満のコンテナカードは破壊される。また、セットできない〉
【直死の魔眼】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が10以上の場合、敵の手札を1枚破壊する〉
ボードと、手札破壊!? しまった。
ククイちゃんが選んだ手札は右端。本人はテキトーに選んだのかもしれない。手札を閲覧する効果はないからだ。しかし、そのカードは『メフィストフェレス』だった。有益なカードが墓地へと送られた。
セイア:先攻・ターン4
場:『魔術師の鷹』『ファウスト博士』『善なる魔女ロジェスティラ』→なし
シールド:5
マナ:0(4)
手札:5→4
ククイ:後攻・ターン4
場:『教会の鐘』『幼い天使アレフ』『幼い天使ベート』『死の天使サリエル』→『死の天使サリエル』
シールド:2
マナ:0(4)
手札:2
〔神聖礼拝〕:23
一気に風通しがよくなった。バトルエリアに何もないのは心細い。その上、折角セットしようと思ったカードが墓地に行かれた。悲しい。焦燥を感じる。
「ターン……エンド」
息をゆっくりと吐く。
落ち着け。負けた訳ではない。ただ、すぐに勝てなくなっただけ。〔神聖礼拝〕がやはり枠外変数だということが確定した。〔神聖礼拝〕の値を条件とすることで、破格のスキル効果を得られる。
だからといって、負けるかどうかで言うと、まだそんな状況ではない。依然、俺の方が有利。ククイちゃんは崖っぷちを免れただけ。
「ターン……ドロー。マナ、チャージ。……ターン……エンド」
セイア:先攻・ターン4→5
場:なし
シールド:5
マナ:0(4)→4→5
手札:4→5→4
なんかククイちゃんの喋り方になってしまった。しかし、これは仕方ない。だって、ドローがしょぼかったのだから。そして、手札にはコスト4か5のカードがない。よって、このターンは何もできない。
「ターン……ドロー。マナ、チャージ」
ククイ:後攻・ターン4→5
場:『死の天使サリエル』
シールド:2
マナ:0(4)→4→5
手札:2→3→2
〔神聖礼拝〕:23
「『能天使ライラ』、セット」
ククイ:後攻・ターン5
場:『死の天使サリエル』→『死の天使サリエル』『能天使ライラ』
シールド:2
マナ:5→0(5)
手札:2→1→8
〔神聖礼拝〕:23
『能天使ライラ』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:5
スキル:【受胎】
【受胎】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が12以上の場合、7枚ドローする〉
金髪の可愛らしい天使が舞い降りた。胸が大きい所から女性をイメージしているのだろう。セミロングの髪。聖母のような微笑み。
今更だが、ククイちゃん以外とバトルした時は実体化されたカードから凄い敵意を向けられることが多い。特にここに来てから顕著だ。ククイちゃんのカードだけ微笑んでくれる。不思議だ。どういう違いがあるのだろうか?
それにしても……。
なんか中途半端な数字が多いな。12と7と4と。何か意味がある数字なのだろうか? しかし、それでも効果が強いのは変わらない。これ以上強力なスキル効果があってたまるか。
「ターン……エンド」
「……」
今回もアタックしなかった。
なぜアタックしないのか。それは『死の天使サリエル』のスキル【神の命令】による所が大きいのか? しかし、勝利を目指すカードゲームでアタックしないのはそれ相応の理由がないといけない。【神の命令】は〔神聖礼拝〕が40以上で敵がアタックできないというスキル。しかし、40になっていない今、意味はない。そして、相手がアタックできない状態にするまでに負けていれば意味がない。それとも他の要因があるのか?
わからない。時間稼ぎかもしれない。かつての俺みたいに自然災害でも起きて、ゲームが中断されるのを待っているのかもしれない。……流石にそれはないか。
今の俺は、どうか?
アツキとのゲームで、どう感情を持っていけばよいのかわからなくなった。思考も感情の不安定さから今にも崩れ落ちてしまうような錯覚がある。今までも葛藤は感じた。悩んで迷って、どうにか生き残ってきた。殺してきたとも言う。それでも、アツキとのゲーム以降、ゲームに対して好意的な感情が芽生えてしまった。それが罪悪感となっている。命を賭けた真剣なゲームを、遊び感覚で楽しむ。狂気の沙汰じゃない。殺した子供達に顔向けできない。
正直、わからない。俺の気持ちが。
「……ドロー。早く」
ククイちゃんが言った。一瞬光りが見えた気がした。静かな、しかし、どこか楽しげな無邪気な声。表情も変化があまりないし、佇まいも自然体。それがククイという少女なのだろう。感情豊かなポーカーフェイスに心が洗われていく感覚になる。
アニメのククイではない。ここにいるのは、現実に存在するククイなのだ。そう当たり前のことを新しい発見でもしたかのような心地で感じた。
慌ててドローする。
「ターン、ドロー」
セイア:先攻・ターン5→6
場:なし
シールド:5
マナ:5
手札:4→5
コスト6が来た。
「マナをチャージして、『賢者イネン』をセット」
セイア:先攻・ターン6
場:なし→『賢者イネン』
シールド:5
マナ:5→6→0(6)
手札:5→4→3
『賢者イネン』
分類:コンテナカード
属性:魔
性質:賢者
コスト:6
スキル:【魔力の声】
【魔力の声】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈マナエリアにセットされたカードのスキルを2つセットできる〉
老人の賢者が現れた。見た目はいかつい。筋肉が引き締まった老人。まさしく英雄の貫禄。英雄の魔法使いだ。
「スキル【魔力の声】で俺が選ぶのは……『魔術師たちの黄昏』のスキル【黄昏】と『死の魔術師グノーシス』のスキル【墓荒らし】」
セイア:先攻・ターン6
場:『賢者イネン』
シールド:5
マナ:0(6)→6
手札:3
『賢者イネン』
分類:コンテナカード
属性:魔
性質:賢者
コスト:6
スキル:【魔力の声】→【魔力の声】【黄昏】【墓荒らし】
【黄昏】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈マナを全て回復する〉
【墓荒らし】
トリガー:[自分のターン終了時]
効果:〈墓地にセットされたスキルを1つこのカードにセットしたと見なして良い。次のターン開始時、セットしたスキルはアンセットされる〉
このスキル【魔力の声】はマナに置いているカードがバレるが、それにあまりある利益を齎す。マナエリアに置くカードを出し惜しみしなくてよいのだ。マナに置いても使えるという安心感があるのだ。
「そして、手札から『アーネンヘルトの無反動迎撃魔砲』をセット」
セイア:先攻・ターン6
場:『賢者イネン』→『賢者イネン』『アーネンヘルトの無反動迎撃魔砲』
シールド:5
マナ:6→0(6)
手札:3→2
『アーネンヘルトの無反動迎撃魔砲』
分類:コンテナカード
属性:魔
性質:兵器
コスト:6
スキル:【Sトリガー】【即死】
【即死】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈バトルエリアにある敵のコンテナカードを1枚破壊する〉
「スキル【即死】で『死の天使サリエル』を破壊」
ククイ:後攻・ターン5
場:『死の天使サリエル』『能天使ライラ』→『能天使ライラ』
シールド:2
マナ:0(5)
手札:8
〔神聖礼拝〕:23
魔法の砲撃によってサリエルが消える。しかし、苦悶も怨嗟もない。潔い退場。
勝てる。かもしれない。しかし、勘は勝てないと言っている。矛盾。
わからない。何が正解なのか。アツキとのゲームでも、勘は負けると告げていた。しかし、実際は勝った。
まぁ、あれはお情けみたいなものだった。それでも勘が外れたことは事実。〝なんか鋭い勘〟は結局のところ、未来予知ではない。
しかし、それでも未来予知のような感覚に陥ることもある。例えば、今回の【Sトリガー】があると思ったのはまさしくその通りだった。
何が正しいのか、わからない。
そもそも勝てた所で、結局どちらかは死ぬ。意味がない。
それでも、戦うのは、なぜなんだ?
「ターン、エンド。……スキル【墓荒らし】で取得するスキルは【贈り物】」
セイア:先攻・ターン6
場:『賢者イネン』『アーネンヘルトの無反動迎撃魔砲』
シールド:5
マナ:0(6)
手札:2→4
『賢者イネン』
分類:コンテナカード
属性:魔
性質:賢者
コスト:6
スキル:【魔力の声】【黄昏】【墓荒らし】→【魔力の声】【黄昏】【墓荒らし】(【贈り物】)
俺はどうすればいいんだ?
セイア:先攻・ターン6
場:『賢者イネン』『アーネンヘルトの無反動迎撃魔砲』
シールド:5
マナ:0(6)
手札:4
ククイ:後攻・ターン5
場:『能天使ライラ』
シールド:2
マナ:0(5)
手札:8
〔神聖礼拝〕:23