セイア:先攻・ターン10
場:『魔王ルシフェル』『魔神ヘカテー』
シールド:5
マナ:ー
手札:0
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『盾の老魔術師ヒスラー』
シールド:0
マナ:7
手札:1
〔神聖礼拝〕:111
『熾天使ラファエル』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:10
スキル:なし
『熾天使ミカエル』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:10
スキル:なし
『熾天使ガブリエル』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:10
スキル:なし
ククイちゃんのエリアにあるスキルがヒスラーを除いて空欄になった。ミカエルのスキル【神の守り手】がなくなったことで、属性・聖以外のカードもアタック可能になった。対して、ククイちゃんはルシフェルのスキル【堕天せし明けの明星】でアタックできない。
これで終わりなのか?
倒せてしまうのか?
殺してしまうのか?
アツキの顔を思い出す。主人公の次は、ヒロインを殺すのか? 現時点で、コスト0のコンテナカードは出ていない。このままではククイちゃんが跡形もなく消し飛んでしまう。肉片すら残さずこの世からおさらばする。いわゆるバッドエンドまっしぐら。第二期どころか第一期で終わる。この世界が。
「……ドロー。早く」
また言われた。これで3回目だ。審判を見る。不動で何も語らない。本当は注意するのは審判の役目だろうが、何も言わない。動かない。
日和っている。と自分で思う。ここまで来て、戦うことを、勝つことを恐ている。それでも自分のターンは来る。
「……ドロー」
セイア:先攻・ターン10
場:『魔王ルシフェル』『魔神ヘカテー』
シールド:5
マナ:ー
手札:0→1
コスト0だった。しかし、スキルカードだった。
『奇跡の魔法』
種類:スキルカード
属性:魔
種別:魔法
コスト:0
スキル:【奇跡の魔法】
【奇跡の魔法】
トリガー:[このスキルがデッキに入っている限り]
効果:〈奇跡が起こる〉
いま奇跡が起きろよ。
「……ヘカテーで、ヒスラーにアタック。……そして────」
「────『巨人の天使サンダルフォン』、セット」
「え」
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『盾の老魔術師ヒスラー』→『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『巨人の天使サンダルフォン』
シールド:0
マナ:7→0(7)
手札:1→0
〔神聖礼拝〕:111
『巨人の天使サンダルフォン』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:7
スキル:【創造主の被造物】【天使の兄弟】【ガード】
【天使の兄弟】
トリガー:[敵がアタックした時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が40以上の場合、このカードを手札からバトルエリアにセットできる〉
巨人の天使が現れた。見上げても頭が見えないくらいでかい。翼もでかい。まさしく世界を覆う兄弟。
そうか、いわゆるクイックスペル。DDDでは珍しいそれは、相手のターンでセットできるスキル。相手が使っているのは、あまり見たことがない。
……もちろん、男爵令嬢として経験した9年間とこの施設で暮らした1年での記憶内でだが。だから、想定していなかった。
「……『魔王ルシフェル』で『巨人の天使サンダルフォン』を破壊。……ターン、エンド」
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『巨人の天使サンダルフォン』→『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』
シールド:0
マナ:0(7)
手札:0
〔神聖礼拝〕:111
さて、何をする気だ?
1ターン長く生きただけだ。次のターンが始まれば、終わるだろう。
それでもククイちゃんの目には、諦めというものはない。逆に闘志のようなものさえ見える。死ぬことに怯えていない。生きることに必死ではない。ただ、純粋に楽しんでいる。カードゲームで戦えることを喜んでいる。
「ターン……ドロー」
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』
シールド:0
マナ:0(7)→7
手札:0→1
〔神聖礼拝〕:111
あ、と思った。このままでは負ける。ククイちゃんではない。俺が負ける。そう、勘が告げる。ふざけるな、と。お前の目は節穴か、と。確かにこちらはシールドが5枚あり、相手は0枚。【ガード】というプレイヤーを守る方法もない。有益なスキルもククイちゃんの前から消えた。妨げるものは何もない。手札だって、ククイちゃんは1枚。俺は0枚だが、それでもあまり優位性はない。そもそも1枚で切り抜けられるとは思えない。
圧倒的俺有利。
しかし、どうしようもなく、勘が告げる。「お前は負ける」と。「次のターンで終わる」と。
この状況。勘を信じる者なら、不安や悲哀に暮れるだろう。だって、生死がかかっているのだ。
また、勘を認めない者なら、傲慢にも「次のターン勝つ」と言っていただろう。
俺の場合はどうかって?
……俺の場合は。
たいへんに、楽しい思いをしていた。
ククイちゃんの可愛さ、ククイちゃんのプレイ、ククイちゃんの全てが良い。ワクワクさせる。前世ロリコンじゃないとか関係なく、愛おしい。もう、俺が転生した理由を見つけてしまった。これからも、ククイちゃんの隣で、彼女を見守っていたい。望むのなら、一緒にDDDを毎日したい。
それくらい、好きになった。
なぜ? ここまで入れ込むのだろうか? 原作のヒロインだからか? いや違う。
絶世の美少女だからか? それは否定しないが、違う。
じゃあ、俺がただ単に惚れやすい質だからか? 前世でも今世でも二次元が好きでした。違う。
じゃあ、何か?
俺のゲームにここまで付き合ってくれた力。
自惚れる訳ではないが、こちらは神様転生のチート持ち。まぁ、使いこなせていないが、それでもコスト0は強いはず。もちろん、俺自身のプレイが下手糞で宝の持ち腐れ感はある。
それでも、頑張った。それに、最後まで付き合ってくれた。そこに、ククイちゃんらしい優しさも感じた。
この長く短い時間、けれども一生とも思える瞬間。俺は、ククイちゃんが好きになった。
「『神の代理人メタトロン』、セット」
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』→『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『神の代理人メタトロン』
シールド:0
マナ:7→0(7)
手札:1→0
〔神聖礼拝〕:111
『神の代理人メタトロン』
分類:コンテナカード
属性:聖
性質:天使
コスト:7
スキル:【契約の天使】【天の書記】【神の代理人】
【契約の天使】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が100以上の場合、このカード以外の自分のバトルエリアにセットされたカードを全て墓地にセットし、墓地にセットした枚数分マナ消費なく墓地からバトルエリアにセットできる〉
【天の書記】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされた時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が100以上の場合、マナ消費なく自分のマナエリアからバトルエリアにセットできる。その後、マナを全て墓地にセットする〉
【神の代理人】
トリガー:[このスキルがバトルエリアにセットされている時]
効果:〈〔神聖礼拝〕が100の場合、このカード以外の自分のバトルエリアにセットされているコンテナカードにスキル【速攻】【連撃】をセットしているとみなし、コストを+10する〉
目が無数にある天使が現れた。巨大で、目玉の集合体に翼が生えた、奇っ怪な天使。それでも神聖さを感じるあたり、このカードも天使であることには間違いない。
通常時であれば、スキル【神の代理人】は強い。しかし、こちらのスキル【堕天せし明けの明星】でククイちゃんはアタックできない。その状況だと、無意味なスキルになってしまう。
しかし、スキル【契約の天使】はご都合主義にもほどがある。これでミカエルたちを墓地に送って、再セットできるのだ。当然、ミカエルのスキル【神の守り手】でまたこちらもアタックできなくなる。
それでも、楽しいと思えるのだから、笑ってしまう。ククイちゃんだから許せるのかもしれない。それぐらい、愛おしいと思っている。
スキル【契約の天使】から。
「『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』……熾天使らふぇえる……」
あ、噛んだ。
「……『熾天使ラファエル』、墓地へ、セット」
ククイ:後攻・ターン11
場:『熾天使ラファエル』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『神の代理人メタトロン』→『神の代理人メタトロン』
シールド:0
マナ:0(7)
手札:0
〔神聖礼拝〕:111
最初のスキルで墓地から呼び戻すカードなんて知れている。
「『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』……熾天使らふえる」
また噛んだ。不服そうである。可愛い。「ファ」が言えないのだろうか? 最初は言えていた。いや、セット時、言えたから満足そうに見上げていたのかも知れない。たしかにラファエルの時だけ満足そうにしていた気がする。可愛い。
「……『熾天使ラファエル』、墓地から、セット」
ククイ:後攻・ターン11
場:『神の代理人メタトロン』→『神の代理人メタトロン』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『熾天使ラファエル』
シールド:0
マナ:0(7)
手札:0
〔神聖礼拝〕:111
3体の天使が降臨した。神聖なオーラが戻る。神々しさ。三大天使の集合。
再セットだ。これで、スキルが復活する。また同じ状況。スキル【神の守り手】でこちらも攻撃できなくなった。
そして、スキル【天の書記】。効果処理後マナエリアのカードを全て破壊するというデメリットがあるが、マナエリアからカードを1枚マナ消費なくセットできる。マナの踏み倒しができるスキルだ。有益。
これで出すカードによって戦局が大きく変わる。
「マナエリアから、セット」
ククイちゃんがカードを掲げた。
嫌な予感がした。底抜けの恐怖。何か犯してはならない領域を垣間見てしまう、本能的は嫌悪。それが今から顕現する。
ワクワクとドキドキ。しかし、カードを見た途端、冷水を浴びる気持ちになった。
「『人工天使エンス』、セット」
ククイ:後攻・ターン11
場:『神の代理人メタトロン』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『熾天使ラファエル』→『神の代理人メタトロン』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『熾天使ラファエル』『人工天使エンス』
シールド:0
マナ:0(7)→0(6)→0
手札:0
〔神聖礼拝〕:111→0
『人工天使エンス』
分類:コンテナカード
属性:
性質:人工天使
コスト:0
スキル:【信仰の冒涜】【創造の禁忌】【人工の奇跡】
【信仰の冒涜】
トリガー:[〔神聖礼拝〕が100以上の時、かつ、このプレイヤーがゲーム中アタックしていない時]
効果:〈〔神聖礼拝〕を0にすることで、このカードをバトルエリアにセットできる。〔神聖礼拝〕を0にしないで、このカードをセットした時、このカードはゲームから除外される〉
【創造の禁忌】
トリガー:[〔神聖礼拝〕が100以上から0に減った時]
効果:〈このカードとこのカードのスキルはスキル効果の対象にならない。バトルエリアにセットされているスキル全てをこのゲームから除外する。その後、自分のバトルエリアにセットされているカードにスキル【速攻】【連撃】【ガード】をセットする〉
【人工の奇跡】
トリガー:[ゲームに勝利した時]
効果:〈────<観測不可>────〉
それは水晶でできた人工の天使だった。水晶の体、水晶の翼。荒削りなその姿に、畏敬よりも狂気に似た何かを感じた。まさしく今回の闇のゲームを行わされている理由。実験の名前。『人工天使降臨実験』。その人口天使が顕現した。おぞましいものを感じた。そして、それを無邪気にセットしたククイちゃんは何もしらない赤子のように微笑んでいた。それが何よりも悲しかった。
セイア:先攻・ターン10
場:『魔王ルシフェル』『魔神ヘカテー』
シールド:5
マナ:ー
手札:0
ククイ:後攻・ターン11
場:『神の代理人メタトロン』『熾天使ミカエル』『熾天使ガブリエル』『熾天使ラファエル』『人工天使エンス』
シールド:0
マナ:0
手札:0
〔神聖礼拝〕:0