修行から小豆長光が帰り、入れ替わりに物吉貞宗を送り出した審神者。
「これで、修行待ちの刀はいなくなったな!」
その翌日。
「謎の玉、20万いったぁ~! 終わり終わり! もう頑張らないよ、俺は!」
「お疲れ様」と、帰還したにっかり青江。
「みんなも、お疲れさん! ありがとうな!」
沙央は、周回をさせていた第一部隊を労う。
「アタシ、宴会したーい」
「おう、いいぞ!」
すぐに、次郎太刀の希望を承諾した。
「厨番に伝えといてくれな」
「りょうかーい」と、次郎太刀。
その晩。金砂城で宴会が開かれた。
「乾杯!」
審神者の声で、皆が乾杯をする。
それぞれ、酒だったりジュースだったりお茶だったり。アルコールの味が苦手な上に、全く酔えない沙央は、カルピスを飲んでいる。
「つまみうめぇ」
酒は飲まないが乾き物が大好きな沙央は、次々に口に運んでは咀嚼し、呑み込んでいった。
「主、食べ過ぎ!」
「早い者勝ちだ!」
「アンタは酒飲まないから、全部食べられちゃうでしょ!」
「ぎゃーっ! 高い高い高い!」
次郎太刀に皿ごと奪われて立たれ、沙央は騒ぐ。
「次郎太刀、行儀が悪い」
「はいはい」
太郎太刀に諌められ、次郎太刀は座り直した。
「主、砂肝があるよ」
「全部食う!」
にっかりが差し出した皿を見て、沙央が欲深い声を出す。
「半分は残すように」
「……はい」
にっかりに冷静に諭された審神者は、ひとつひとつをゆっくりと噛み締めて食べた。
「あのー、フライドポテトはどのくらい食べていいですか?」
「少しだけ。もう、だいぶ食べ過ぎだよ」
「……はい」
手のひらに乗るくらいのフライドポテトを食べて、沙央はそれ以上は食べないことにする。
その後は、カルピスやアイスココアやカボスジュースを飲んだ。
「主~。なんか歌って~」
酔っ払った次郎太刀が言う。
「宴会で歌うようなやつって何よ?」
「楽しいやつ」
「オッケー。何それ人生みたいじゃん、歌います」
沙央は、独特な世界観の人生の歌を唄った。
「主って、人生の答えとか探してるの~?」
「そんなん、もう答え出てるよ。人生とは、面白おかしく遊んで、末長く暮らすもんだ」
「ふーん」
「急に興味をなくすな! 酔っ払いがよ~」
やがて、宴会はお開きになる。
後片付けを手伝った後。沙央は、にっかり青江の隣へ行った。
「少し、月を見ないか?」
「うん」
ふたりは、庭に出て夜空を見上げる。
「綺麗だね」
「お前も綺麗だよ」と、沙央が芝居がかった調子で言った。
「ふふ。ありがとう。君は、可愛いね」
「へへ。ありがとうな」
にっかりに差し出された手を取り、そのままふたりは秋の月を眺める。
宴会の後の静けさが心地よかった。