「161万!」と、審神者が叫んだ。
博多藤四郎は、それを聴いてサムズアップする。
大阪城の地下に99階まで潜ったので、金砂城の小判は、百鬼夜行前より増えていた。
しかし。
「あのー」
「どうしたと?」
「次、かぼちゃ集めさせられるんですけど、小判使ってよろしいですか?」
沙央は、揉み手をしながら博多に訊く。
「うち、雲生と雲次がいないんです~!」
「仕方なかね……」
「ありがとう! 俺、頑張るよ!」
沙央は、毎日頑張って務めを果たした。
かぼちゃ集めをしながら異去を回っていたら、やっと火車切が来たりもする。
後日。審神者と刀剣男士たちの奮闘により、雲生と雲次の2振りは、無事に本丸に来た。
先に来た雲生に、沙央は自己紹介をする。
「よろしくな、雲生」
「はい。よろしくお願いします」
空に憧れている彼に、審神者は海に憧れている自分と近しいものを感じた。
雲生が来た翌日。雲次にも自己紹介をする。
「よろしくな、雲次」
「ああ。この本丸の行き先、見させてもらうよ」
これから共に歩んでくれるなら、頼もしいと沙央は思った。
目標としていた刀たちを迎えたので、審神者は一息入れることにする。
「歌仙~! かぼちゃプリンが食べたいぞ!」
「はいはい。そう言うと思っていたよ」
歌仙兼定は、沙央に作っておいたプリンを差し出した。
「ありがとう! いただきます!」
「どうぞ」
端末で撮影してから、ぺろりとかぼちゃプリンを平らげ、「ごちそうさま!」と沙央は両手を合わせる。
「いつもありがとう、歌仙」
「いつも美味しく食べてくれて、ありがとう」
歌仙は、柔らかく笑った。
「じゃ、ちょっと寝てくるわ」
「ああ。おやすみ」
「おやすみ~」
沙央は、私室へ向かい、布団の上で仰向けに眠る。
すうっと意識を飛ばした先には、悪夢が待っていた。
“誰が養ってると思ってるの?”
“ずっと、あなたの看病してるんだよ?”
“もっと家族らしくして”
“そんな物捨てなさい! 気持ち悪い!”
沙央が目覚めると、肩が錆び付いたように凝っていて。首筋も痛くて。寝る前よりも疲労していた。
「主?」
廊下から、にっかり青江の声がする。
「にっ、かり…………」
上手く声が出ない。
「入るよ」
「うん……」
にっかりは、沙央の側に来て、床に膝をついた。
「酷い顔色だ」
「昔の夢、見た」
「大丈夫だよ、主」
「うん……」
にっかりは、沙央の過去を知らない。話したがらないからだ。
「私は、過去を乗り越えたつもりで、全然ダメなのかな……?」
「君の過去は消えない。一生消えない。でも、今は僕たちがいる」
「そうだな。俺には、お前たちがいる。もう大丈夫だ。ありがとう」
沙央が伸ばした腕の中に、にっかりは飛び込むようにおさまる。
「しばらく、このままでいて」
「うん。分かったよ」
この物語は、独りで綴っているワケじゃない。
沙央は、自分の人生を共に歩いている存在に、深く感謝した。