金砂城の中で、審神者の雄叫びが響いた。
「敵を1万体倒したぞーっ!」
『流石です、主』
端末の向こうから、へし切長谷部の声がする。
「休憩時間にします!」
というワケで、全部隊を前線から引き上げさせた。
「ただいま」と、第一部隊を率いていたにっかり青江が言う。
「おかえり。みんな、お疲れさん」
「主、もう少しで童子切に手が届きますね」
長谷部が、穏やかに笑いながら告げた。
「お前たちが頑張ってくれたおかげだ! ありがとう!」
沙央は、ギザギザの歯を見せて笑う。
「長谷部も偉いな~。可愛いな~」
「主…………」
頭を撫でられ、嬉しそうにする長谷部。
沙央が「可愛い、可愛い」と言いまくっているせいで、長谷部の自認は「可愛い」になっている。
「じゃあ、私は少し寝るので。みんなちゃんと休むように」
沙央は、私室に引っ込み、仮眠をすることにした。
一時間後。目覚めると、隣ににっかり青江が寝ていた。
「うわ……睫毛長…………」
審神者は、小さく呟く。そして、にっかりの頬に触れた。
「おーい…………」
むに、と頬を軽く摘まんで起こそうとする。
「……おはよう」
「おはよー」
目覚めたにっかりは、沙央を見て微笑んだ。
「珍しいじゃん。添い寝するなんて」
「僕も、君に甘えたくなってね」
「なあんだ。そっか。おいで」
上半身を起こし、両腕を広げる。
そこに、にっかりは素直におさまった。
沙央は、彼をぎゅうっと抱き締める。
「可愛いねぇ」と、主が耳元で囁く。
「……怒らないんだね」
「なんで怒るのよ?」
「君は、眠りが浅いから。ひとりで寝たいだろう?」
「まあね。でも、お前ならいいよ、俺は」
「ありがとう。愛してるよ」
「俺もー!」
アイドルへのコール&レスポンスのノリで返す沙央。
「そろそろ、またみんなで遊びたいねぇ。映画鑑賞会かゲーム大会かカラオケかTRPGかお菓子食べ食べ委員会か。迷うな」
金砂城には、シアターのある娯楽室やカラオケルームや昔の駄菓子屋を再現した部屋などがある。10年かけて、文字通り“自分の城”にしたのだ。
「そういえば、行きたいシナリオがあるんだった。長谷部にGMしてもらおうかな。にっかりもやろうよ」
「ああ、いいよ」
「んじゃ、戻りますか。目指せ! 刀剣マスター!」
にっかりから体を離し、拳を振り上げて、沙央は気合いを入れる。
ふたりは、刀たちがいる居間へ向かった。
「野郎ども! 残党狩りの時間じゃ、オラァ!」
襖を開けるなり、そう叫ぶ審神者。
刀剣男士たちは、各々返事をした。
そして、全部隊を疑似平安京フィールドへと送り出す。
「いってらっしゃい」
「いって来るよ」
ぶんぶんと手を振る沙央を見てから、にっかり青江たちは出陣した。