夕方。金砂城に沙央の声が響いた。
「博多ァ! なんか百鬼夜行前より小判増えたぞ!」
「……百鬼夜行の戦果の報酬と、遠征での小判回収と、花火玉回収の報酬が出とるばい」
「いつの間に、そんな稼いだん?!」
「主、ちゃんと金銭の勘定はした方がよかとよ。開け忘れてた小判入れもたくさんあったばい」
「ごめん! でも、金勘定は、お前の役目だから! 俺は数字に弱い!」
「はぁ、仕方なかね」
収支がプラスになったのなら、博多藤四郎に怒られることもないだろう。
沙央は、「やったー!」と喜んでいる。
「それに、近いうちに大阪城へも行けるらしいぞ!」
「俺の出番ばい!」
「地下100階を目指すわよ!」
ふたりは、「おー!」と拳を天に突き上げた。
それからも、審神者は花火玉を回収させ続ける。
そして、燭台切光忠が修業に出たいと申し出てきたのだが。
「ダメです。お前は、私に真剣必殺を見せてくれてないので」
「ええ……?」
「お前たちの色々な様子を記録するのが、俺の趣味なんでな」
燭台切は、いまいち納得のいかない顔をして沙央の前から去った。
『主、疲労が溜まってるみたいだよ』
端末から、第一部隊の隊長のにっかり青江の声。
「本丸に帰城!」
少しして、部隊が帰還した。
「おかえり。お疲れ!」
「ただいま」
沙央が確認したところ、へし切長谷部が疲労しているらしい。
「長谷部~。お疲れさんだ~」
「主……」
主人に両手でわしゃわしゃと撫でられ、長谷部は疲れがとれていく心地がした。
「しばらく休憩な。長谷部、ちょっとついて来て」
「はい」
沙央は、長谷部の手を引いて自室へ向かう。
部屋にふたりきりになり、沙央は長谷部を座らせてから、抱き締めた。
長谷部は、嬉しそうにしている。
「頑張ってくれて、ありがとうな」
「当然のことをしたまでです」
「……お前は、可愛いね」
「主…………」
そっと、沙央を抱き締め返す長谷部。
数分間、ふたりは無言で、そのままでいた。
「眠い」
ぽつりと呟く審神者。
「お疲れですね、主?」
「うん。寝るから、ひとりにして」
「かしこまりました。おやすみなさい、主」
体を離して、長谷部は退室した。
主の部屋を出ると、にっかりと鉢合わせる。
「主は眠っている」
「そう。僕も寝ようかな」
「…………」
「主の部屋には入らないよ」
「そうしろ」
そう言うと、長谷部は立ち去った。
「やれやれ」
溜め息をつき、にっかりは、今は沙央に添い寝するのはやめることにする。
沙央が目覚めて、食事をしてからの夜。
審神者は、にっかりと一緒に打ち上げ花火を見た。
「君は、何を願う?」
「不老不死!」
「ふふ。毎年の七夕の時と同じだね」
「一攫千金だったこともあるわ!」
「はいはい」
ふたりは、用意していたかき氷を食べながら談笑を続ける。
花火の終わりに、にっかり青江は、沙央の同意を得てから、口付けをした。
花火の夜は、ふたりの宝石になる。思い出は、心の中の宝箱へ。