金砂城の審神者は、甘いものが大好きである。
「歌仙! カッサータが食べたい!」
厨に突撃した沙央は、歌仙にワガママを言った。
「なんだいそれ?」
「イタリアのアイスデザート! 作り方はコレ!」
「どれどれ」
沙央が掲げる端末を見る歌仙兼定。
「まあ、僕ならやれなくもないだろう」
「マジ!? よろしく!」
「きみのせいで、僕も随分と洋菓子が作れるようになった」
「ありがとうございます!」
沙央は、深々と頭を下げた。
「まったく、仕方ない人だね」
「えへ」
歌仙は、「やれやれ」と言いながら、カッサータ作りを始める。
「出来たら呼びに行くから、主は仕事に戻るように」
「はい!」
沙央は、言われた通りに厨を出て、部隊の指揮に戻った。
「よく分からんけど、花火玉回収すんぞ、お前らァ!」
『了解』
端末の向こうから、隊長のにっかり青江の声。
第一部隊の指揮と並行して、審神者は、真剣必殺を記録するために燭台切光忠・数珠丸恒次・小豆長光をそれぞれ単騎出陣させた。
「真剣必殺を見せなさーい!」
その後。無事に記録をしてから、沙央は休憩することにした。
9月を3日生き抜き、4日目の今日。
「疲れたな…………」と呟き、沙央は畳に寝転がった。
うたた寝をしていると、遠くから声が聴こえる。
「主、カッサータが出来たよ」
「はいっ!」
ガバッと跳ね起きる沙央。
「主、よだれ」
「うぃ」
洗面所へ行き、顔を洗った。前髪を上げずに、器用に。
それから、歌仙に連れられて厨に行った。
「はい、よく冷えているよ」
「おー! ありがとう!」
「召し上がれ」
「いただきます!」
厨にある中華風テーブルの前に座り、沙央はカッサータをフォークで一口食べる。
「美味い! クリームチーズもいいし、ドライフルーツもアーモンドもヘーゼルナッツもいい! それになにより、ピスタチオね! 最高~!」
「喜んでもらえて何より」
「ありがとうなぁ、歌仙。というワケで、短歌を詠みます」
中華服 日本刀たち カッサータ まるで世界は俺のものだな
「きみは欲張りだね。でも、好きだよ」
「やったー!」
沙央は、右手でVサインを作った。
「また、歌を詠んだら聞かせてほしいな」
「おう! また歌集出したいなぁ」
カッサータをあっという間に食べ終えてから、沙央は改めてお礼を言う。
「いつもありがとう、歌仙」
「どういたしまして。主、今度、レモンシャーベットを作ってあげたらどうかな? 泣いて喜ぶのもいるだろう」
「あー。やるか!」
審神者は、料理が出来ないが、何故かレモンシャーベットだけは作れるのである。
「さて、もうひと頑張りするか!」
沙央は自室へ戻り、端末を手に取った。