妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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幼馴染と幼馴染

「コウヨウカッコいいよコウヨウカッコいいよコウヨウカッコいいよ……」

「サリーが壊れた」

「いったい何があったと言うんだ……」

「コウヨウ好き好き好き好き好き好き……」

「サリーがヤンデレデレになってるけどいつもの事だよカスミ」

「まずはコウヨウって誰なんだ??」

 

 事の発端はイベント6日目。メダル狩りに行ったサリーが帰ってきたのでメイプルは無事だった彼女に喜びながら報告を聞こうとした時である。

 顔を真っ赤にしたサリーがコウヨウカッコいいだの、大好きだの、愛してるだの、トキメキ溢れる言葉を連呼してメイプルを困らせたのが始まり。

 因みに刀を装備して和服を着た第一回イベント上位者にして、メイプルとサリーの知り合いであるカスミにもたまたま会ったのにこの調子である。

 どうやら、メイプルの兄であるコウヨウに会えた様です。メイプルも詳しく聞きたかったのだが、サリーはすでにトリップ状態でずっとコウヨウに対して愛の言葉を吐き続けていた……実際はメイプルに向かってだが。

 

「サリー?」

「コウヨウが可愛いって言ってくれた、服装可愛いって……フフフフフフフフ……」

「後ろに幽霊いるよ」

「え……ひっ!? メイプル助けて!!」

「正気に戻った? じゃあ何があったのか教えて」

「とりあえずコウヨウって誰かから教えてくれないか?」

「私のお兄ちゃんだよ」

「え? え!?」

 

 幽霊という言葉に怯えたサリーだが、そこには何もいない。一応いたのは笑顔だが禍々しいオーラを纏った悪魔メイプルと苦笑いしている和風の刀少女カスミのみである。

 サリーは別の意味で怯えながらも彼女の言葉に頷いたのだった。

 

 ☆

 

「なるほど……メイプルにはコウヨウという実の兄がいたけどメイプル達より初ログインが遅くてどこにいるかわからなかったからゲームでは会えなかった。だが、サリーがプレイヤーを倒していた時にたまたま彼に会ったという事でいいのか?」

「しかも、お兄ちゃんのステータスが私みたいな3桁超えでサリーでも相手にならない様なスキルを使ってたんだね」

「そうなの! でね、コウヨウが刀の二刀流で魔法を跳ね返したり、私にも見えない速度で相手を斬ったりしてとってもカッコよくて……うわぁぁぁぁぁ!! 紅葉ぃぃぃぃ!!」

「サリー、嬉しいのは分かるけどお兄ちゃんの本名はダメだよ!?」

「今のは聞かなかった事にしておくよ……」

 

 頭を抱えるカスミに対してサリー暴走状態である。メイプルはサリーがコウヨウの事を愛しているのは分かっていたがここまで狂変させているとは思わなかった。

 同じ刀使いだが、明らかな実力差をサリーから聞いたカスミは苦笑いを浮かべて戸惑うばかりであるが、サリーが嘘をついているとは思えない以上メイプルを見て恐怖していた。

 

「この妹にしてこの兄ありって事か……」

「お兄ちゃん強くなれたんだなぁ」

 

 一方メイプルはいつか追いつける様に頑張ると言ってくれた兄が本当に強くなっている事を知って嬉しくなっていたのだが、サリーはもうそれどころではない。

 

「はぁ、コウヨウ好き……もうコウヨウとパーティ組もうかなぁ」

「私サラッと捨てられるの!?」

「正直メイプル1人でも何とかなりそうだけどな」

 

 冗談だとサリーは言葉で言うが、目は25%本気である。結局あの後、コウヨウと共闘してプレイヤーを全滅させたのだが、コウヨウと戦わずにお別れを伝えて帰ってきたらしい。

 

「そういえばお兄ちゃんって今何してたの? プレイヤー斬ってた?」

「争いたくないからって言って釣りしてた」

「なんでだ!? イベント中だろ!?」

 

 サリーが認める程の実力があるのに呑気に釣りをしている事に対して突っ込んだカスミ。サリー曰く、イベント参加を促したのはこっちだが、コウヨウがそのイベントでどうするかは本人の自由であると言う事だった。

 

「コウヨウ真面目だからね。人殺しになるからって言って、基本向こうから襲いかかってこなければプレイヤーを斬る気は全くないから」

「それなら仕方ない……のか?」

「サリーいいなぁ、私もお兄ちゃんに会いたいなぁ」

「多分池とか湖で釣りしてるんだと思うよ」

 

 結局サリーの話からしかコウヨウというプレイヤーの情報は聞けなかったが、第1回イベント上位入賞者であるカスミでも、明らかに化物プレイヤーである事は直感で分かったのだった。

 

 ☆

 

「お散歩楽しいなぁ」

 

 イベント最終日になると、流石のコウヨウも釣りばかりしているのは気が引けたので、周辺を少し探索する事にした。

 ぶっちゃけコウヨウに勝てるものなど基本的には存在しないので堂々と歩いても問題無いのだが、自分の悪運の塊である首輪のせいもあり実力を驕る事はない。慎重に歩いている彼だが、それでも1つ言いたかった。お前囲まれてるぞと。

 

「見つけたぞ! 二刀流使い!」

「囲まれたな、死んだぁ」

 

 歌詞が違う。コウヨウが周りを見てみると5人くらいに普通に囲まれていた。サリーと一緒に共闘して、6日目で30以上のプレイヤーキルを達成したコウヨウではあるが、正直おかわりはいらない。

 

「この前俺のフレンドがお前にやられたんだ! 覚悟しろ!」

「恨まれたらしいなぁ」

 

 歌詞を少し変えながらお気に入りの歌を歌うコウヨウ。自分ならどうするか考えたが逃げられないのは分かりきっていたので、仕方なく2本の刀に手をつける。

 

「せっかく昨日はサリーに良い夢を見させてもらったのに今度は悪夢かよ」

 

 良い夢というのは別に昨夜はお楽しみというわけではなく、普通に大好きな幼馴染と一緒に共闘出来たことをさしている。

 因みに余談だが、コウヨウはメイプルよりもそちらの話には弱く、そういった18禁用語をくらうだけでも顔を真っ赤にする。

 サリーはネットを通じてそういった事は知り尽くしているしメイプルもサリーから少しばかり話は聞いているので、ある程度耐性はあるが、コウヨウは本気で無い。

 そんな余談はともかくとして、コウヨウは仕方なく5人まとめて二刀流ともう1本の刀(テイムモンスター)で相手をするのだったが、サリーですらもビビらせたステータスを持つコウヨウが戦えば、勝敗は言うまでも無い。

 

「勝負だ! 二刀流使い!!」

「俺の刀は勝つためじゃなく、生きるために振るうんだよ……【呪斬】!!」

 

 コウヨウがスキルを出すと、爆速で赤黒い斬撃エフェクトに包まれて散って行ったプレイヤーが数人。

 

「ってか、【呪斬】ってAGI0にするんだ。知らなかった……いや、書いてあったわ、ちゃんと見ないとな」

 

 結局コウヨウはイベントを終えた時、自分が予定していた魚180種類を釣り上げる事と、全く一切予定になかった50人斬りを達成したのだった。

 

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