妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と砂の下

「しかし立派なデザートだな、砂だけに」

「感心してる場合!? ご、ごめんなさい!!」

「言っておけばよかったですね」

「ここのボスを倒せば経験値とか多く手に入るかもしれませんね」

「3人に任せる。俺は経験値もう要らないし」

「え? 何でです……?」

「お兄ちゃんレベルMAXだからね。今日は正直助っ人だよ」

「え!? レベル最大……!?」

「一応首輪のせいでやる事なくなった」

 

『呪いの首輪』のせいで経験値が多く入ったのもあり、レベルはペイン達よりも速くMAXに到達してしまった。だからと言って、何もしない訳には行かないので、修行がてらメイプル達について来たらしい。そんな話を聞いたベルベットとヒナタは驚きながら言葉を返した。

 

「どうして貴方みたいな人が……私達なんかに……ついて来てくれたんですか?」

「1回死んだから」

「え?」

「1回殺されたから。油断は出来ない」

「コウヨウさんが負けたっすか!?」

「まぁね! だから俺はみんなの強さをこの目で見て、それを対処しないと死ぬよ! 俺がな!!」

「威張る事なの!? ってか……アレは正直ノーカンじゃない?」

「ノーカンでは無い。俺は負けた。それは事実」

 

 コウヨウが伝えたあの日の決闘。ペイン、ミィ、メイプルの3人に負けた日を彼女達に話す。ベルベットもヒナタも正直コウヨウとの次元が違っている。それでも彼は淡々と述べた。

 

「別に俺はサリーみたいにゲームで死ぬほど努力したわけじゃない。ムサシと遊んで、釣りして、モンスターを倒す。それだけだ」

 

 確かにそれを繰り返したのは事実だが、現実世界で妹と幼馴染にご飯やお弁当を作りながら、もっと言うと勉強だってしていた。現実世界の本条紅葉として仕事をこなしてゲームをしていた。

 

「俺からするとゲームなんて二の次どころかサリーに誘われたからって理由でやっただけだ。そんな奴がここまで来れたのは……」

「バカみたいな装備とスキル……後テイムモンスターのおかげだ」

「「「ギルド仲間じゃない(んですか、の)!!?」」」

「ごめん、そう言いたかったけど……ユイとマイは弟子だから教えてたし……大体ソロで遊んでたし……本当……ごめん……」

 

【楓の木】に入ってから助けられることが多くなったコウヨウなのでみんなのおかげも勿論あるが、この意味不明なステータスの原点は馬鹿の一つ覚えの化物スキルと装備とテイムモンスターなのは第1前提である。

 コウヨウが話をしていると、モンスターが砂の中から出て来た。

 

「くっちゃべってる場合じゃねぇな……折角戦うなら俺もスキル全開で行くか……みんな後ろに下がってくれ! 【二天一流】」

 

 コウヨウの言葉にみんなは大人しく下がると、スキルを発動した彼の姿が一瞬で消える。

 

「な、何ですかあれ!?」

「めっちゃ斬撃が舞ってるっす!? ってかアレレリフルさんの時に見た……」

「あ、お兄ちゃんの気持ち悪い技だ」

「本当に容赦ない物言いだな」

 

 相変わらずどこから出てきたのか分からない無数の斬撃エフェクトによって、このエリアのモンスターは全員斬死して粒子に変わった。

 

「はぁ……サリーに会いたいな」

「え!? 今!?」

「とりあえず、さっさとクリアしないと……サリーに会えない。行くぞサリー」

「私サリーじゃないよ!?」

「行くぞカナデ!!」

「ちょ!? お兄ちゃん!?」

 

 急に恋人の名前を呼ばれたメイプルは照れながらも暴走コウヨウに引っ張られる。そうして、下層に潜った4人。

 

「死霊モンスターなら殴ればいいんだ! 【悪霊退散】!!」

「【天王ノ玉座】!!」

「【トルネード】!!」

「【雷神再臨】!!」

「ちょっとまて!? 物理俺だけかよ!?」

「逆に死霊モンスターなんで殴っただけで倒せるんですか!? 特にエフェクトとか無いのに!?」

「スキルの効果。後ペインさんとたまに殴り合いしたからだ!」

「お兄ちゃんはペインさんになんて事してるの!?」

「向こうが稽古つけろとか意味不明な事言って来たからだよ!」

 

 あのペインという男ですらもコウヨウに対して、稽古を頼むという事実にベルベットとヒナタは驚愕する。メイプルは別の角度でツッコミを入れたが、2人からすればペインというトッププレイヤーが簡単に名前として出て来る2人に対して異常である。

 

「仕方ないっす……メイプルさんとコウヨウさんにはかなり手の内を見せてもらったっすから私達もやるっすよ!」

「うん。きっとまた……ギルドの人に馬鹿正直過ぎるって言われると思います……」

 

 ダンジョンボスの部屋でそういうと、ベルベットは巨大ガントレットを装備して拳で雷属性のスキルと共にモンスターを殴りつける。ヒナタはヒナタで、魔法で敵を氷漬けにして動きを封じ込める。

 

「お、おおー!! すごーい!!」

「ベルベットさんは魔法使いでは無かったのか……なら俺もベールを脱ぐとするかな」

「お兄ちゃん、レリフルになるのは違うと思うよ?」

「そっちじゃないぞ」

「まだ……奥の手があるんですか?」

「ああ。俺の大好きな刀、ぶっちゃけコレよりも使いたい刀をみんなに見せてやるぜ!!」

「あ、あれかぁ……」

 

 そう言ってコウヨウは装備を変える。すると、目に見えたのはどう見ても魚3匹。ビチビチと動く、ただの魚と巨大なシャチである。

 

「何すかそれ!?」

「『秋刀魚』と『太刀魚』with『シャチ』」

「さ、魚……ですよね?」

「お兄ちゃんやっちゃえ!」

「【王者の一撃】、【ダブルスタンプ】!!」

 

 魚を振り下ろした瞬間、地面がぶっ壊れた。全モンスターどころか味方プレイヤーでも吹き飛びそうな風圧と複数のクレーターが一気に出来上がる。モンスターは粒子になり、大地が割れた。魚3匹で、魔界の完成である。

 

「よし、楽しく叩けたな。フルコンボだぜ」

「ヒナタ、これ……私達勝てるっすか?」

「無理……だね……例えコウヨウさんの全てのスキルが分かっても……絶対無理……」

「お兄ちゃん魚カッコいいよ!!」

「俺じゃないんかい」

 

 この後、ベルベット達から謝られながら、偵察していたという事実を話されたが、コウヨウは別に気にしないと笑い、メイプルも許した。

 

「ベルベットさんってギルドマスターだったんだな」

「寧ろ……いえ、メイプルさんごめんなさい。正直……コウヨウさんがギルドマスターかと思いました……」

「私は別にそれでもいいよ?」

「ダメに決まってんだろ。俺は確か最後に入った新参者だからな」

「その強さで新参者とか言われても説得力無いっすね」

「一応言うがあんまり俺と戦わないでくれ、喧嘩と人殺しは嫌いなんだ。どうしてもと言うなら釣りで勝負な」

「お兄ちゃんに勝ったらお魚いっぱい食べられるよ! 速い時は5秒に1匹釣るけど」

「釣りでも勝てないっす!?」

「もう……凄いとしか言えない……この兄妹……」

 

 結論言うとコウヨウではなくメイプルにライバルが増えたのだった。結局、最後にベルベット達の【thunder storm】というギルド名を聞いて別れたのだった。

 

「サリーに紹介しようか」

「そうだな、サリーに会いたいから早く行こうぜ」

「どれだけ会いたいの!?」

「いや、もう最近サリーの顔見るだけで嬉しいんだよ」

「お兄ちゃんってサリーの犬?」

「まぁな」

「威張らないでね?」

 

 そして、サリーと目が合った瞬間ダッシュ(瞬間移動)で彼女に駆け寄り、抱きしめてそのまま頭を撫でたコウヨウ。

 

「サリー会いたかった!!」

「私も嬉しいけど、お願いだから【雷加速】でだけは来ないで、地面が滅亡してるから」

「地面が……焼け焦げちゃった……流石お兄ちゃん……」

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