妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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 コウヨウ死す(笑)


二刀流と弓使い達

「師匠! 10匹目です!」

「私も10匹目です!」

「お、2人とも本当に上手くなったな、今度は料理スキルも鍛えて、みんなで料理しようか」

「「はい!!」」

 

 コウヨウはユイとマイを連れて久しぶりに3人釣りに出かけた。サリーとデートでもしようと思ったが、メイプルに誘われて、【thunder storm(サンダーストーム)】のメンバーと交流しに行くことにしたらしい。

 ユイとマイはコウヨウの誘いにデートだと大喜びしていたそうだが、コウヨウからすればいつものようにお出かけをしている感覚である。

 ここ最近、サリーはコウヨウとゲームでも現実世界でも家や外問わずデートしているので、彼も不満はない。彼が好きと言えば好きと言ってくれるし、サリーがキスをねだると、彼も頬を赤くしながらキスをする。

 とても健全な関係ではあるが、実はサリーが夜な夜なメイプルに電話して、コウヨウとその先に行くための案を考えるのに必死である事を彼は知らない。

 サリーの睡眠薬案にまずいですよと言いながらカナデにやっても面白そうだなと思っているメイプルの姿も彼は知らないのだ。

 

「師匠、何匹目ですか?」

「30かな、今日は魚パーティをギルドで開催……」

「コウヨウさん」

「はいよ」

「下がって下さい……何かいます……」

「お姉ちゃん、気をつけてね」

「確かになんかいるな」

 

気配察知(けはいさっち)】などのスキルは無いが、マイ達には少しばかり分かる。少なくとも狙われてることくらいではあるが、正直油断ならない相手な気がすると妹のユイも悟った。そこまでの予測が出来ているのも、彼女がコウヨウやメイプル、サリーに特訓をしてもらった証拠である。

 だが、コウヨウはマイとユイのいる所より前に出て、下がっていろと一言声をかけた。

 

「コウヨウさん!?」

「ユイ、マイ。危なくなったらギルドに連絡しろ、少しばかり嫌な予感がする……」

 

 しばらくすると、矢が数本コウヨウに向かって飛んできた、ユイとマイを下がらせて彼が取った選択肢は……

 

「無念ぇぇぇぇん!!?」

「「師匠(コウヨウさん)!?」」

 

 コウヨウの身体に3本程矢が刺さった。刀も抜かず、テイムモンスターも呼ばず、そのまま攻撃を受けた。後ろにユイとマイがいたため、身体で受けたのだ。その瞬間、コウヨウは普通に粒子になって消えたのだった。

 

「こ、コウヨウ……さん?? 嘘ですよね??」

「誰ですか! 師匠を倒したやつは! 出てきてください!!」

「ま、まさかこの矢を無抵抗で受けるなんて……」

「少なくともキルをする気は無かったんだけど……」

「「だったら矢を飛ばさないで下さい!!」」

 

 コウヨウが消えたことに慌てるマイと彼が粒子になってから怒り狂いながら武器を装備するユイ。そこに長身細身の男女二人組が慌てながら姿を表した。男の方は身の丈近くある巨大な弓を持った吟遊詩人風の服装をしており、女の方はクラシカルなメイド服を着てモップを持っていた。男は驚きながらも声を出す。

 

「す……すまない、まさか攻撃すらしないでこの矢をまともに受けるなんて思わなかった」

「師匠はVIT0なんです! ちょっとだけ装備で上がってましたけど……それでも無抵抗なプレイヤーに攻撃するなんて愚か者ですね!!」

「ユイ……落ち着こう……」

「でもお姉ちゃん!!」

「私たちがこの人達を消せば良いだけでしょ?」

「お、お姉ちゃん……!?」

「も、申し訳ござませんでした……彼の実力なら確実に避けられると思っておりまして……」

 

 マイの言葉にユイを含めた3人は恐怖した。目は笑っていないし濁っているし、無理心中してもおかしくない程の黒いオーラが見えた。マイはそう男に伝えると、女が本当に申し訳無さそうな顔をして謝った。

 最強の二刀流釣り師コウヨウがここにいる事が分かった2人はどんな実力なのかを小手調べで見てみようと考えたのだ。2人は刀で斬るとか、何かしらのアクションでもするのかと思った手前、まさかそのまま攻撃を受けるとは思わなかった。

 

「ただの言い訳じゃねぇかよ、ユイとマイに謝れテメェら」

「も、申し訳ない。本当に返す言葉がない……って」

「師匠、私達は大丈夫ですから自分の心配を……って」

「「「「え??」」」」

「忍法身体ないない」

「「「「え!!!???」」」」

「身体ないないになった」

「「「「なんで!?」」」」

「テメェらのせいだろ」

「「そっちのなんでじゃない!!」」

 

 そう言って謝らせたのは何故か死んだと思われたコウヨウ本人であった。

 

 ☆

 

「私はユイです。コウヨウさんは私たちの師匠です。なんで生きてるんですか?」

「私はマイです、ユイは妹でコウヨウさんは師匠です。なんで生きてるんですか?」

「私はギルド【ラピッドファイア】のギルドマスター、リリィだよ。改めて先程はウィルが大変申し訳ない事をした。なんで生きてるのか分からないんだが……」

「私はウィルバード……ウィルと呼んでください。矢を打ったのは私です。本当に申し訳無かった。どうして生きてるのかわからないですが……」

「はぁ……俺はコウヨウだ……二刀流釣り師なのは認めるが最強じゃない。まぁ……確かにゲームだからプレイヤーに不意打ちくらいはするか……」

「「「「だからなんで生きている(んですか)!!??」」」」

「強いて言うなら……お前達が最強と言う所以だ」

「「やっぱり最強なんじゃないですか」」

「ちげぇ、言葉の綾だ」

「こ……これは……どういうことだ……??」

「分かりかねます……」

 

 コウヨウは【ラピッドファイア】の2人に自己紹介をしたのだった。だが、なんで生きているのかはコウヨウ以外の4人は全くの不明である。

 

(わらし……恩にきるぞ……)

 

 コウヨウは少し心臓の鼓動を早らせながらわらしに感謝する。

 

冥界の施し(めいかいのほどこし)

 プレイヤーのHPが0になった場合、一度粒子になるがその間にテイムモンスターのHPを0にする。代わりに一度だけ100%の確率でHP満タンで生き残る。

 1日1回だけ使える。

 

 要は幽霊少女の最強最悪新スキルであったのだった。とりあえず死んだということは言わないで忍法だと伝えておいたコウヨウである。

 

(後で何かスイーツでも用意しなさい、コウヨウ)

 

「え? 誰?」

「どうしたんですか? コウヨウさん?」

「いや……女の子に話しかけられた様な……」

「「浮気ですか?」」

「違うよ? ってか、そろそろ離れてね?」

「「本気で心配したので抱かれて下さい」」

「どういう事!?」

 

 ☆

 

「コウヨウさんは最強ではないとおっしゃっていましたが事実ですか?」

「ああ。みんな信じてくれないから面倒だ」

「信じられませんよ。だってコウヨウさんが死んだところ私見た事ないんですもん。絶対さっき死んだと思いましたけど」

「師匠がメイプルさんも倒した話は【楓の木】でも有名ですから、ってか本当になんで生きてるんですか」

「私達も、お噂はかねがね。あの【炎帝の国】のミィさんをキルした挙句、【集う聖剣】のメンバー全員をたった1人で壊滅まで追い込んだ、無名の二刀流使い」

「「無名??」」

 

 ウィルがコウヨウに伝えると、双子はコウヨウが無名であることに疑問を持った。ウィルとリリィ曰く、他のギルドからしたら、ギルド対抗イベントまで何一つ情報が無かった【楓の木】のメンバーであるコウヨウは急に現れて無双したギルドの救世主のような存在で合ったのだ。

 その当時は何者なんだと調べても、核心的な情報は一切なく、二刀流で最強ギルドを壊滅させた強者という認識しかなかった。

 

「だからこそ、元々は無名の二刀流使い。それが【楓の木】のメンバーであり、あのメイプルさんの実の兄である事が分かったのはかなり時間が経ってからのことです」

「まぁ、兄に関しては信じる人いないしな」

「ですが、多くのプレイヤーがメイプルさんとコウヨウさんがお兄ちゃんと呼んで呼ばれる現場を目撃していたのもあり、事実関係はあると認められました」

「一応言うがサリーは幼馴染で恋人だからな」

「「え?」」

「サリーは恋人。相思相愛の恋人、こ、い、び、と」

「コウヨウさん怖いですよ!?」

「師匠……サリーさんの事が絡めば人が変わりますからね……」

「サリーに手を出したら容赦なくぶっ殺す事にした。決意がみなぎるぜ」

 

 サリーの話になるととてつもない殺気を飛ばしたコウヨウに流石の2人も震えた。ウィルは少し戸惑いながらも、彼に聞く。

 

「例えば……即死確定で、気づいたらすでに刺さっているような矢が飛んできたとしたらコウヨウさんならどうするつもりですか?」

「死霊になってもサリーと【楓の木】だけは守る。俺は最強じゃないが、メイプルの兄だ。妹の大切な人や場所を守るのは俺の役目だろ。ってかその矢が先ほどぶっ刺さったんだが……」

「それを言葉にするのは簡単だが……先程の出来事は……貴方なら本当にやれそうな気がするのは何故だろう……やはり……」

「最強じゃねぇって言ってんだろ」

 

 リリィに対してツッコミを入れておくコウヨウ。ふと、気がついたら様にユイとマイは彼に聞いた。

 

「そう言えば、コウヨウさんの最強って思う人は誰なんですか?」

「確かに、師匠が最強じゃないなら他にいるはずですよね?」

「ああ、いるぞ」

「それは……メイプルさん? あるいはサリーさん?」

「いや、人じゃないな……人だったんだが、人ではない」

「それでは誰なんですか?」

 

 4人の言葉に対してコウヨウはハッキリとその名を伝えた。

 

「剣は折れぬと心得ろ……それが最強の答えだ」

「己の装備している刀……いや、違うな……」

「ふむ、何となく分かるような分からないような……」

「「あの子ですか?」」

「そうだよ」

 

 彼の回答に三者三様でセリフを言ったのである。

 

 ☆

 

「どうだったウィル、コウヨウは」

「リリィは気づいていただろう? あの時、もしも彼に矢が当たった事を喜んでいたら……私達が確実に死んでいた事を」

「そうだね。流石にあの時は2人ともやられていた」

 

 あの時、コウヨウが確実に死んでいたと思ったが仮に彼が死んでいるとしても無事にはすまなかっただろう。ユイ殺気やマイの冷徹な目は尋常ではないオーラと強さであった。

 

「それと……彼のテイムモンスターかな? それにしても、あそこまで自我を持って主人を守ろうとするモンスターは珍しいね」

「うん。なんなら、私が弓を構える前から既に首を落とされていた可能性があるそれくらい、近くにいると錯覚する殺気をだった」

「彼のテイムモンスターは……確か刀型のモンスターと人型だが、化物になるモンスター……剣は折れぬと心得よか……」

「もしかして彼が言う最強って……」

「彼らの事かもしれないね」

 

 そう言って、自分達のギルドに戻るウィルとリリィ。コウヨウの真意はわからないが、彼の強さに少しばかり近づいた2人なのかもしれない。

 

 ☆

 

「そう言えばコウヨウさん、ムサシとわらしちゃんは?」

「ムサシはいるぞ、わらしは……」

「ギュルルルル!!」

「うわ!? びっくりした……」

「マイ、驚かせてすまないな。ムサシはさっきからあの2人の首に刃を向けていたんだ。ブチギレてな」

「わらしちゃんは?」

「あいつは……うん。天に帰ったよ」

「「どういうことですか!?」」

「まぁ、俺の意図を組んでなんとかしてくれたのはわらしだからな」

「え? 師匠もしかしてわざと攻撃を……?」

「無抵抗で倒されたら確実に悪いのはあっちだしな。喧嘩両成敗で俺が責任問われるのは嫌だ」

「ギュルルルル!!」

「落ち着けムサシ、俺は平気だから」

「こんなに怒ってるムサシ初めて見ました……」

「サス」

「「「怖いよ!?」」」

 

 ユイとマイかコウヨウの指示で釣り師の続きをしている間、ずっとムサシはアイツら殺すと殺気だっていたと言う。ちなみにわらしもコウヨウが街に戻った後そのまま彼の影に戻ったのだが……

 

「あいつら顔覚えたからなー 絶対千切ってやるからなー」

「落ち着けわらし……後、助かったよ」

「マスター、ケーキ食べたい」

「いくらでも奢ってやるよ」

「全く……感謝しなさいよ、コウヨウ」

「へ??」




ちなみに、わらしちゃんのモチーフは遊戯王カードの屋敷わらしのような見た目してます。
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