妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と稽古2

「俺は一体何をしているんだろうな」

「少なくとも50匹釣ってんのは俺でもわかるぞ」

「あ、クロムさん。どうしたんですか?」

「暇だから散歩。コウヨウは釣りか?」

「ええ。でも、そろそろ終いにしようかと」

「少しだけ俺も釣りしていいか?」

「ええ。それなら延長戦しますよ」

 

 そう言ったコウヨウはクロムに釣竿渡して、一緒に釣りをしながら話をする。隣に座る許可を得て、クロムは座って彼に言う。

 

「それにしても、強くなったよな……」

「何がです?」

「いや、俺から見たらコウヨウは、最初スライムを8時間も斬ってる異常なプレイヤーでさ。それがこうして一緒のギルドでプレイして、いつの間にやらペインを負かすNWO最強プレイヤーだろ?」

「最強……なんですかね?」

「お前は否定するが、NWOプレイヤー全員はそう思っている。俺だってそう思っているし……カスミだってお前の下位互換だと自虐しながら俺に稽古を頼んでくるからな」

 

 カスミの場合は、クロムに良いところ見せたいという別の目的もあると思うが、コウヨウは黙りながら彼の話を聞いていた。自分は最強だとかあんまり興味はないし、思わないがみんなはずっと自分の事を最強の二刀流釣り師と言って聞かないのだ。ただ、最近はムサシと戦って少しばかり最強に興味は湧いている。

 

「みんなが最強最強うるさいから……よし、ゲームやめて良いですか?」

「なにがよし、だよ……そうなったらサリーとメイプルが本気で怒るぞ。勿論俺達もな……コウヨウ、悪いな」

「何がです?」

「俺たちじゃあ、相手にならんだろ」

 

 クロムは真っ直ぐコウヨウの目を見てそう言った。クロムはずっと前から彼のことを見ていたが、コウヨウは強すぎる。【楓の木】のみんなですら、メイプルやサリーですら1VS1で戦っても負けると確信しているのだ。実際コウヨウは深く言わなかったが、イベントでモンスターを倒した時、つまらないとはっきり言った。

 確かに最終的なコウヨウの話ではサリーが構ってくれないから拗ねたと言っていたが、クロムはそのイベントの時ハッキリ聞いていた。恐らく彼は心の中ではサリーの問題以外の……モンスターが弱すぎると言う普通のプレイヤーには理解出来ない悩みもあったのではないかとクロムは思った。急にやる気を出したことの理由ははっきり分からないが。

 

「前のイベントは一応強かったですよ」

「そう言うことじゃなくてだな……というか一応か……」

「クロムさんの言う事は正直言うと正しいです。でも、それは俺の奢り……現実でもゲームでも俺はやっぱりメイプルやサリーのために本気でやらないといけない。ムサシがそれを教えてくれました」

「ムサシが?」

「うん。そうだよ」

「え!? コイツ……喋っ……」

「こんにちは、クロム!」

「凄い人懐っこいな……」

「それに、俺は倒さないといけないやつを倒しに行かないといけませんから」

「それは……【魔王】ってやつか?」

 

 コウヨウはムサシを少し撫でながら、クロムに伝えたのだが、クロムから帰ってきた言葉に少し眉を動かした。クロムは慌ててメイプルの独り言を聞いてしまったと謝ったので苦笑いした。それよりも、コウヨウを導いたのはムサシ。ゲームを始めて間もないコウヨウを助けてくれたのはムサシだった。

 

「ユイとマイがいなかったら今の俺はありませんが、それ以上にムサシがいなければ、俺は強くなかった」

「今度、カスミさんに稽古……いや、喧嘩くらいは仕掛けましょうか」

「カスミに稽古付けてくれるのか?」

「年上に稽古なんてつけるわけないでしょ。喧嘩なら仕掛けると言ったんですよ」

「ハハッ、お前らしい優しさだな」

 

 コウヨウの言葉にクロムは笑うが、彼は真面目に答えていた。そして、彼はカスミの元に出向きこう言ったのだ。

 

「カスミさん、殴り込みです。喧嘩しましょう」

「喧嘩か……フフッ……いいだろう次は負けんぞ」

「ムサシ、わらし。手を出すなよ、蛇諸共ぶん殴るのは俺だ」

 

 そうしてカスミとコウヨウは喧嘩と称し、稽古を始めたのだった。

 

 ☆

 

「お前……本気で殴ってくる奴がいるか!?」

「言ったでしょう? これは喧嘩です」

「くっ……ハク! 頼む!」

「邪魔すんな白蛇がぁぁぁ!!」

 

 コウヨウは自分のHPガン無視でカスミとテイムモンスターのハクを殴り飛ばす。カスミもハクも両方吹っ飛ばされた挙句、彼が全力で新しい刀を使い2人を斬り刻む。

 

「俺は……最強じゃねぇ……お前らが最強最強うるせぇだけだ……」

「コ、コウヨウ……お前、前よりも……」

「だとしても! お前らが最強最強うるせぇんだから……ムサシと共に俺たちが最強になるって言ってやるよぉぉぉ!!」

「な!? 刀一本が……急に二刀に!?」

 

 そう叫んでコウヨウは武器を二つに分けて、二刀流でカスミに全力で斬りかかった。カスミも何とかスキルを使って防いではいるが……

 

「何という……威力……スキル無しでこれか……!!」

「俺は……今からムサシとなってやる……NWOプレイヤー……世界最強の二刀流釣り師に……お前達が黙るまで……俺を最強と言わない時まで……粛清開始だ、ムサシ! カスミさんを本気で斬れ! 完膚なきまで……叩き潰す!!」

「斬るよ」

「な!? ムサシが人型に……!?」

「主様、やるぞ!」

「おう!! 【コネクト】、【極天二刀】、【豪傑にして英雄】……」

「ちょ、ちょっと待てコウ……」

「【居合極】……ダブル!!」

 

 コウヨウと彼を超えるムサシの最大STRがカスミとハクの全HPに襲いかかったせいで、この決闘で2人の犠牲者を出したコウヨウであった。

 

「調子乗りました。すみません」

「いや……気にしないでくれ……クロム……私はコウヨウの下位互換だとはっきりわかった……慰めてくれないか……?」

「カスミ、俺もメイプルの下位互換だ……お互い頑張ろうな」

 

 結局コウヨウはカスミに謝りながら、新たな目標を決意して、クエストに向かうことが多くなったと言う。

 

剣豪の帰還(ケンゴウコウリン)

 ムサシとの絆が強くなった時、彼は真の姿となりて汝に力を貸し与えん。

 彼は汝と同じ力と加減で、敵を無惨に葬り去るだろう。

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