妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と【ラピッドファイア】

「コウヨウさん……また会ったね」

「俺は会いたくなかったんだがな」

「え? コウヨウ知り合いなの?」

「こいつらに殺されかけた」

「お兄ちゃん、私が処してあげるよ」

「いや、メイプル。私がやる……」

「無事だったから武器を収めろ……双方だ」

「「だったらお兄ちゃん(コウヨウ)も構えるのやめて」」

「刀抜いてないぞ」

「コウヨウの事だから手を振っただけで真空刃とか出すでしょ」

「出しません」

 

 メイプルとサリーが殺気を帯びながら男女に武器を向ける。同時に彼らもまた武器を構えたが、平和主義(仮)のコウヨウが全力で止めた。ちょっと警戒で構えはしたが、少し遊んでやっただけである。

 

「お兄ちゃんどいて、そいつ殺せない」

「殺すな、謝って貰ったから」

「とりあえず私はコウヨウを切るよ」

「サリーに関しては何で俺を斬る!?」

 

 ツッコミが追いつかないコウヨウではあるが、何とか説得して、事なきを得た。

 

「うちの妹と恋人が申し訳ない」

「いや……あの時はこちらに非があったし……それよりも、思ったより有名人が揃っていて驚いたよ」

「有名人だとよ、良かったなメイプル、サリー」

「「君もだよコウヨウさん」」

「「お兄ちゃん(コウヨウ)に言われたく無い」」

 

 正直メイプルやサリーもかなり有名プレイヤーなのだが、名前だけ含めて1人歩きどころかNWOプレイヤーの伝説になってるのは2人ではなくコウヨウである。

 

「それで、その人達は?」

「ウィルさんとリリィさん……【ラピッドファイア】のギルドマスター達だよ」

「よろしくね、メイプルさん、サリーさん」

「先日はお世話になりました、コウヨウさん」

「世話も何もうちの双子とテイムモンスターがブチ切れて2人とも殺しそうでしたけど、あの後報復とか問題無かったですか?」

 

 サラッとユイマイがお前達を殺しにかかったと言ってのけるコウヨウ。ウィルもリリィもほんの少しだけ冷や汗を垂らしながら苦笑いを浮かべる。

 

「お前らー、いつか覚えてろー」

「うわ!? て……テイムモンスター……ですか?」

「こらわらし出てくるな。すみませんウィルさん。こいつ幽霊なので礼儀とか知らなくて……結構教えてたつもりなんですけど……許して下さい」

「あ……ああ。構わないさ……とんでもないモンスターだなぁ……」

「所で、どうして私達を見ていたんですか?」

「はい、ベルベットの紹介で……どんな人なんだろうって」

「まさかコウヨウにダメージを与える人がいたなんてね……」

「あれは……本当に運がよかっただけだよ……ね、コウヨウさん」

「さぁ? 何の話ですか?」

 

 ベルベットの紹介により知り合った【ラピッドファイア】の2人は彼のすっとぼけた反応とは真逆の殺気を感じ取りながら、メイプルやサリーと会話するのだった。

 

 ☆

 

「なんか適当に斬るか」

「お兄ちゃん、スキルは?」

「使わないと鈍るから使う【海皇】!!」

「斬ってないじゃん!?」

 

 斬ると宣言したコウヨウだが、久しぶりに使ってなかったスキルでも使おうと、【海皇】で津波を発生させる。巻き込まれたモンスター達はだいたい粒子となって消えて、運良く生き残ったとしても追加効果でAGIが0では無抵抗で斬られるだけだった。

 

「こ、こんなスキルあったの?」

「忘れてた訳ではないが、範囲攻撃ってあまりしないからな。使ってなかった」

「お兄ちゃん本当に漁師みたいだね!!」

「ウィル……どう思うあれ……」

「やれない事は無い……けど……彼の全てを見ていないからね……なんとも」

「後ムサシ、さっきからウィルさんの首に刃当てるな」

「サス! サス!!」

「うわ!?」

 

 いつの間に自分の首が取られかけていたのか……殺気も動作も一切無いまま、ムサシは小さい刀に【変身】してずっとウィルの首にスタンバイしていたらしい。

 ウィルは恐怖した。ここまでテイムモンスターが自我を持って動く事だけでなく、上位ギルドの人間すらも気が付かない気配で、彼の首にずっと待っていた事を。

 

「い、いつからいたんだい?」

「俺がなんか適当に斬るかと言った時にムサシなりに斬れそうな適当な奴見つけたんでしょうね……ムサシ、そろそろ許してやれ、元大剣豪がみっともないぞ」

「うん……ごめん」

「「「「うん……ごめん!!?」」」」

 

 急に喋った刀モンスターに驚く4人だが、コウヨウは進化したら話せるようになったの一点張りだった。驚きながら目を点にするサリーとメイプルだが、ウィルとリリィはずっと恐怖しか感じられなかった。

 

「なぁ……コウヨウさん……1ついいかい?」

「どうしたリリィさん」

「君の切り札になるスキルを教えてくれないか」

「はい。どうぞ」

「え? お兄ちゃん!?」

「コウヨウバカなの!?」

 

 リリィのストレートな質問に対してコウヨウは自分のステータス画面を中途半端で少しばかり隠したのもあるが、見せた。呆気に取られながら何をしているんだと聞くと、そっちが聞いたんだろうと突っ込まれた。

 

「こ、これは……私がおかしいのだろうか……??」

「ふむ、改めて見ると……ステータスが凄いな……」

「そんなに見たけりゃ見せてやるよ。見せられる範囲ならな」

「コウヨウ……死ぬよ?」

「良いよ別に、俺達全員が死ぬわけじゃねぇし」

「どういう事? お兄ちゃん?」

 

 コウヨウは1つ考えていた。最強とは何なのかを。最も強いという意味ならわかるが、それはどういう事なのかをずっと考えていた。

 

「無敵なら敵がいないから負けないが、俺は既に負けている。じゃあ最強とは何なのかを俺自身で考えた結果……」

「俺とムサシとわらしを倒して初めて相手に負けを認める事だ」

「無茶苦茶だよねそれ」

「サリー含めてお前達が耳腐るくらい最強最強うるせぇから、本当に俺達が最強になるって言ってんだよ……なんて。言ったけど正直最強なんてよく分からん。とりあえず平和じゃねぇなら全員斬る。勧善懲悪くらいはやってやる」

「なるほど、つまりコウヨウは戦闘狂になるんだね」

「向かってきたら斬る。俺からは斬らない」

「つまりコウヨウはつまりなんだね」

「つまりつまり。めっちゃつまり」

「お兄ちゃん達【つまり】からの会話が成り立ってないよ!?」

 

 だからこそと言ったらおかしな話だが、ステータスくらい見せても問題は無かった。百聞は一見にしかず。コウヨウは見るだけじゃ自分には勝てないと伝えた。

 

「俺が危なくなっても、テイムモンスター共の最強部隊が待ち構えてるからな。俺のスキルを見て予想してるだけじゃムサシには勝てねぇよ」

「仮に俺が死んでもムサシが勝つ。そうすりゃ負けてもそれは敗北にならない……俺が死んだカウントはされるがな」

「コウヨウを倒すにはムサシとわらしも倒さないとそれは本当の勝利では無い……うん。無理ゲーだね」

「その前に主を守るのは私の役目だ」

「その前にマスターに傷つけたら食いちぎるぞー」

「その前にその前だぜ」

「「【その前に】の意味わかってないよね??」」

 

 ぶっちゃけるとテイムモンスターも倒さないと俺は負けてないなんて負け惜しみに聞こえるものだ。ただ、コウヨウはテイムモンスターと共に歩んで、戦って来た事実がある以上、自分の命は自分だけでは無いと伝える。

 

「仮に2人が俺を追い詰めても、わらしとムサシに勝つのは無理だ。諦めろ」

「て、テイムモンスターに命をかけるなんて……凄い自信だ……」

「こんなに自信に満ち溢れたコウヨウはカナデとのオセロ以来かも……」

「ふむ、だから自分のステータスくらいは見せても構わないと……」

「正直言わせてもらうが、俺は最強じゃねぇ、ムサシが最強だ。ついでこいつ……わらし。とりあえず、こんなステータス如きで俺含めてムサシ達を倒せるなら見せてやるよ」

「やれやれ……凄いプレイヤーが出てきたものだね……」

 

 そう言いながらコウヨウはダンジョンの奥に進む。その後ろ姿はまるで異世界から転生してきた侍の様な威圧を持っていたという。

 

『お前も負けちゃダメだぞ……主様……』

「分かっとるわ」

『マスターは絶対分かってないだろー』

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