妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流達の特訓場所

「これが俺の特訓場所です」

「知らないわ……こんなところあったのね……」

「カスミさんくらいしか言ってないですからね、まぁ、しっかり使えるようになったのは少し前なんで」

 

 コウヨウはイズに答えた。イズは声を出すが、驚きすぎて大した言葉が出なかった。彼女がこのような反応をする少し前までは、普通にコウヨウを呼ぼうとしただけなのに……

 

 ☆

 

「クロム、コウヨウ君いるかしら?」

「コウヨウなら第一層に行くって言ってたぞ」

「珍しいわね、彼の実力なら……いえ、釣りの方かしら?」

「そうだろうな。アイツの用事は基本それしかないし」

 

 ギルドホーム内でクロムの言葉に予想するイズ。事の話は、先日コウヨウに頼まれた船の生産結果である。結論言うと、大きなものではないが小船くらいなら完成したと彼に伝えようとしたのだが、彼の姿は無かった。

 最強の二刀流釣り師という異名を持つ彼の実力で第一層に行くのは珍しいと思ったイズだが、恐らく闘いの意味ではなく魚釣りの方で潜ったのだろうと考えた。

 

「メッセージでも打てばいいんじゃないか?」

「それでもいいけど……ほら、やっぱり実物を見て欲しいじゃない? サプライズよ、サプライズ」

「なるほどな……第一層ならイズも行けるんだから迎えに行ったらどうだ? メッセージは何処にいる? くらいで打ってさ」

「それもそうね」

 

 クロムの言葉にそのまま賛同するイズ。生産職といえどもイズは戦闘狂生産職なので、第一層くらいなら簡単に探索は出来るはずである。

 だが、サプライズがどうしてもしたいイズはコウヨウにメッセージを送らず、そのまま第一層に潜ったのだった。

 

「うーん、やっぱりメッセージ打たないと手がかりが無いわね……」

 

 早くもメッセージを打とうか迷うイズ。第一層も簡単ではあるが決して狭いわけでは無いのでコウヨウが何処に行くか分かってないのだ。とりあえず手当たり次第釣り場の方に向かうのだが、一向に見当たらなかった。

 

「彼が帰って来たら伝えようかしら……」

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「あら? 可愛い女の子ね……迷子?」

「それはこっちのセリフよ?」

 

 イズに話しかけて来た小さな少女。黒髪は肩まであり、ドレスに似たゴスロリ並みの黒衣装を着て何処かのお嬢様みたいな少女が彼女に話しかけて来た。どうやらイズを迷子だと勘違いしてるらしい。

 

「ま、迷子じゃないわよ……少し人を探しててね」

「もしかして青いお侍さん?」

「え、ええ。貴方何処にいるか知ってるの?」

「うん……こっちだよ」

 

 そう言って少女はイズの手を引いて走った。しばらく行くとそこには1つ洞窟があり、周りは水で囲まれていた場所があった。イズも見たことがない場所である。

 

「ここに……コウヨウ君がいるの?」

「うん。乗って、お姉ちゃん」

「え? きゃ!?」

 

 小さな悲鳴をイズが上げたのは、少女の肩に両手を無理矢理置かれた瞬間身体が宙に浮いたからだ。少女は手を離すなと伝えて、そのままイズを孤島まで送る。

 

「この中にいるよ」

「あ、ありがとう……貴方、名前は?」

「私は……うん。もう名乗るほどの女じゃない……マスター、また強くなったから……それじゃあね」

「え? マスターって……ちょっと!?」

 

 1つ言葉を残して少女は粒子となって消えた。何だったのかとイズは考えるが、正直渡ってしまったものは仕方ないのでそのまま進むことにした。

 洞窟の中は特にモンスターとかは出現せず、ただ階段があるだけ。そのまま降りれば少女の言う通りコウヨウがいるはずだとイズは思った。

 

「み、見つけた……けど……コウヨウ君が2人?」

「はは!! やるな! 主!」

「当たり前だ、テイムモンスターのお前には主人として負ける訳にはいかねぇ」

「ど、どういうこと……??」

「それよりも、主。お客さんだぞ」

「え? ってイズさん!? どうしてここまで……?」

 

 そうしてイズは目的の人に会うことが出来たのだった。事情を聞いたコウヨウはお礼を言って、地面を叩き割り、盛り上がった岩にイズを座らせた。

 

「ランチマット引きます?」

「いえ……大丈夫よ……ありがとう。というか、これはどういう事なの?」

「人型ムサシと訓練中です」

「本当にどういうこと???」

 

 コウヨウ曰く、第二回イベントの時に見つけた巌流島ステージが第一層にあったみたいなのだ。そこはムサシをしっかりと人の姿に変える事が出来る唯一の場所であり、強くなったムサシと何回も戦える意味不明なシステムがあるらしい。

 そこでコウヨウは今まで、釣りついでに鍛えておこうという事で、割と長期間闘い続けていた。

 

「主、浮気とは感心せんな」

「浮気じゃねぇ、イズさんにはクロムさんがいるからセーフだ」

「ええ。それで良いわ……私は今それ以外の話に興味があるけど……」

「いいんかい……そういえばイズさんはどうしてここに? この距離って泳げましたっけ?」

「ちょっとよくわからない女の子に助けられたのよ……それにしても……どうして言わなかったの?」

「ここにいる人がムサシのターゲットになるので。来たとしても秒で溶けるからです」

 

 コウヨウはイズにハッキリ言った。正直真面目な話をすれば、この場所のムサシは異次元な強さを誇っている。コウヨウでも一撃まともにくらえば即死級の攻撃であり、尚且つ速すぎるスピードなのもあり、多分コウヨウと同等のAGIが必要だと彼は伝えた。

 

「サリーならワンチャンと思ったんですけど……やっぱり事実上ノーダメージで頑張って欲しいので」

「メイプルちゃんは?」

「妹でも死にますよマジで」

 

 コウヨウが本気でそんなことを言うということは、このムサシはただのモンスターではない事が明らかにイズでも分かった。

 

「一応、セーフティはあるので、そこで休んでいてください……ムサシ、ラスト一回頼む」

「任せろ、主様」

「見てて良いの?」

「イズさんなら口は硬いでしょうし」

 

 そう言ってコウヨウはムサシと対峙して……姿をお互い消した。いや、正確には消えていないが、イズは確実に消えたと認識するくらいのスピードである。

 何とか地面を蹴る音と刀が交差するエフェクトはあるものの、姿形がほぼ原型を留めていない。

 

「はは!! 楽しいな! 主様!」

「うるせぇよこの戦闘狂がよぉ!!」

 

 もはやレベルどころか次元も世界も何一つ違った。レベルMAXに自分がなっても追いつけない未知の領域にイズは踏み込んでいると確信した。

 先手をかましたのはコウヨウ。ムサシの腕に、ひと傷入れて、その後ムサシがコウヨウの頬に切り傷を入れる。

 

「うげっ……相変わらず掠って8割消えんの?」

「流石主様、掠っただけで8割切るとはな……」

 

 お互いひと傷入れただけでHPバーはほぼ空である。とんでもない話だと笑うどころか真剣に見るしか無かった。

 

「うらぁ!!」

「甘いぞ!!」

 

 結局はコウヨウが最後ムサシにひと傷なんとか入れたのもあり彼が勝利したのだが……

 

「俺は勝ってねぇ気がする」

「私も負けてない気がする」

「「もう一度やるか?」」

「ストップよコウヨウ君」

 

 お互い勝利も敗北も認めなかったのでイズが止めたのだった。そうして話は冒頭に戻る。その後コウヨウが休憩がてら見せた新しいムサシのスキルは、イズを驚かせるには充分である。

 

「白髪なんですよ武蔵は」

「いや……私の聞きたいことはそういうことじゃないわよ……」

「【魔法反射】と【魔法無効】、後訳わからない【真空刃】が俺と同じステータスで使えるだけですけど」

「それも気になるけれど!?」

 

 ムサシのスキルである【剣豪の帰還】。これはムサシがコウヨウの姿になりながら共に攻撃が出来るスキルに進化をしていた。そしてコウヨウのSTRは10000である。ムサシは【STR 300〈+5000〉】なので単純に2人とも【宮本武蔵】のスキルで15300。それが2人いる。更にはコウヨウ自身が12倍のバフをかけるので意味不明である。

 因みにイズが震えてるのはムサシが刀1本一撃でこの洞窟内にある岩に真空刃のようなもので一閃すると、岩の奥深くまで馬鹿でかい一閃の跡が突き刺さったからである。

 オブジェクトなので本来すぐ修復するはずが、いつまで経っても戻らないのもありかなり深々と刺さったんだな(遠い目)とイズは思った。

 

「おじいちゃんです。俺の」

「随分と力の強いおじいちゃんね」

「クロムさんの将来ですかね?」

「何で私の時はクロムの話題しか出さないのよ!?」

 

 イズの言葉に貴方が好きだからでしょうと真面目に伝えたコウヨウ。実を言うとイズとカスミにクロム争奪戦をさせたのはコウヨウである。まぁ、迷惑でもなく本人達はその気なので恨まれる理由は無いのだが。

 

「とりあえず黙っててください。これは俺の最高で最強のとっておきなので」

「仮にバレても勝てないわよ……2人揃って万超えのSTRなんて……」

「因みにわらしのスキル貰っているので1コンティニュー付きです」

「ごめんなさい、それも詳しく聞きたいわ!?」

 

 そう言われたのでもう、イズにだけ全部言ってしまおうと考えたコウヨウはとりあえず奥の手全てを語ったのだが、イズはずっと自分の頭を抱えて唸るだけであった。

 

「船、ありがとうございます。楽しみです」

「普通に話してたら普通の男の子なのにね……」

「俺は普通の学生です」

 

 そんなわけあるか。そうツッコミたかったイズである。

 

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