妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「サリー。俺にプレイヤーを殺した時の快楽を教えてくれ」
「コウヨウ、イベントとか参加しなくて良いから今すぐログアウトして。私が断罪の子守唄歌って寝かせてあげるから、ゆっくり寝て」
「眠くないぞ?」
「じゃあ今から私と病院行こう。そうしよう。お薬出してもらって、ゆっくり休んで。現実世界で私が家行ってご飯作ってあげるから。そして私が断罪の子守唄歌ってあげるから」
「お前どんだけ歌いたいの??」
「私には音楽しかないの!」
「俺は初心者でも弾けると言われるギターすら弾けない」
「コウヨウならなんでも出来そう」
「というか断罪の子守唄が気になる」
「私は別の世界線でギターボーカルしてるから大丈夫」
「なんの話??」
コウヨウの言葉にサリーの心の中は大慌てしながらも彼を休ませようと必死である。彼は釣りをしながらも、別に気が狂ったわけではないと答えるがサリーはとうとう疲れからかあるいは自分達が彼を追い詰めたかと恐怖した。
彼曰く単純に、みんながゲームでプレイヤーを倒すのは対人戦が楽しいと思っているからだと考えたので、どうすればそれを自分も手に入れられるか聞いただけだ。コウヨウの言葉が悪かったの一言にすぎない。
「あ……そういう事……うーん。確かに私もゲームを始めた頃はこれ倒して良いものなのかとか考えた事はあったよ」
「今では殺人鬼だもんなぁ」
「やめて。まぁ、私はゲームだしって割り切ってる。別に現実でそうなりたいわけではないからね」
「現実は現実、ゲームはゲームか……」
「コウヨウだってそうでしょ?」
確かにと彼は頷く。どれだけ頑張っても結局はゲームの功績なだけ。それで稼ぐならまだしも、ただのプレイヤーなら現実世界を大切にするのは同じである。
「現実でやらなければ、それは犯罪ではないって私は勝手に思ってるからね。それに、私からしたら今更何百人も斬っててそれ今言うのって感じだけど?」
「まぁ……それはそうだが……情状酌量の余地は?」
「ないでしょ」
「これ以上の余罪を積み重ねるのは……」
「余罪もなにもないって。実の妹のメイプル斬っといて」なに言ってんの」
サリーのど正論にぐうどころか音の1つも出ないコウヨウ。それでも、これ以上のプレイヤー斬りはと思うが、今更だと言われたのもあり苦笑するしかなかった。
「それに、コウヨウ割と楽しそうだし」
「は??」
「自覚なかった?? かなり前のギルド対抗戦でペインさんと戦ってた時、楽しそうな顔してたけど」
全く自覚は無かった。その時はメイプルが傷つけられてキレ散らかしただけだと本人は言う。それでも、サリーからしたら対人戦を楽しそうな顔でやってた事を聞いてとんだ殺人鬼だなと呆れてしまった。
「最終的にはコウヨウが決める事だけど……みんな逃してはくれないと思うよ。だって……」
「俺に挑む人がいるからだろ? 来なくて良いのに……」
「そんな事言わないの」
優しく諭すサリーはさながら母親の様な、嫁さんの様な雰囲気であった。正直サリーからすると彼にはイベントには出て欲しかった。
「別にこっちが有利になるとか関係なく、コウヨウと一緒に戦いたいなぁって」
「人殺しはサリーに任せて俺は弓矢でも装備してるか?」
「結局プレイヤー倒すのは同じでしょ……後、人殺しはやめて」
あの弓矢は刀よりは使い勝手が悪いものの、当たれば即死(矢の効果だけではなくコウヨウのSTR数値のせい)なので結局同じ話である。
「仕方ねぇな……んじゃ……サリーや【楓の木】がピンチになったら斬ってやる。俺の刀は誰かのために……なんて主人公みたいな事を言いたくはないが、ユイやマイ、メイプルにサリー。みんなのために振って来たもんだからな」
「まぁ……それは確かに……」
斬りたくねぇなと言葉で言いながらも、あくまで用心棒。つまりはただの最強ガーディアンとしてイベントに参加する事を考えたコウヨウ。
「報酬で良い刀あったら貰うか」
「それ以上強くならないで。本気で追いつけないから」
そう言ったサリーの膝に頭を乗せて少しばかり目を閉じた彼は、優しくサリーに撫でられながらそのまま言葉を交わし続けた。
☆
「ムサシ、お前はどう思う?」
「戦いについてか?」
ムサシの言葉に対して自分が戦うことについてと一言加えたコウヨウ。ムサシが人になれる洞窟内で会話をしていた。
「俺が戦いを嫌うのはお前も知っているだろ? でも、お前は昔歴戦の剣豪だったから、そんな俺に喝でも入れるのかと思ったんだが……」
「主の好きにすれば良い」
「良いのか?」
別に自分も好んで戦ってた訳では無いとムサシは伝えたが、正直自分もわからんのだとコウヨウに言う。
元々ムサシは刀を好む武士である。武士の名声というのはどれだけ強いものを倒したか、どれだけの勝利を重ねたか。これに尽きた。
「だが、主を見て少し考えたのだ。本当に戦いだけが全てなのかと。確かに私は昔60戦無敗という成績を残して散った。それを否定する気もなければ寧ろ自慢になる」
「それでも主の様に戦いは嫌いだが、己を守るために、誰か大切な者を守るために戦うという生き方も嫌いではないのだ」
そう言ってムサシはコウヨウの姿で笑う。スキルの影響で自分と同じ姿(髪だけ白髪)になっているので、少し抵抗はあるが、発言に関しては一言も聞き流せないくらいためになった。
「そもそも私の用事に付き合わせたのは他でも無い私だからな……あまり不平不満も無い」
「ムサシ……」
「ただ……一つだけ主には言わねばならぬ事はある」
「な、なんだよ??」
「もしも主が強くなりたい気持ちが少しでもあるなら、相手の挑戦くらいは受けても良いのでは無いか? もしもそれを受けなかった時、主の妹君や恋慕う女に何かあれば困るであろう?」
「それは……そうだな」
みんながコウヨウと戦いたいのだとミザリーから聞いていたし、サリーからも聞いている。なんで自分なんだと思いはするが、折角挑んでくれているのに戦わないのも……
「宮本武蔵に失礼……か……」
「主にはまだ成長してもらわないといけないからな。よろしく頼むぞ」
☆
「お散歩楽しいなぁ」
「クエストなんだけど……」
「なんかお兄ちゃん凄く楽しそうに斬ってる……」
「僕ら何もしてないけどいらなくない?」
「全部コウヨウが斬り捨ててるからな」
「というか俺からすれば第九層でも一撃で倒せるモンスターがいる事に驚きを隠せないんだが……」
「味方ならいいわ……味方なら」
第九層の坑道で彼は先頭でモンスターを斬り刻んでいるが、割と一撃で倒せるらしい。首輪はもう外れたままであり、【極天二刀】の効果もあるので常に3倍補正があるためSTRは30000程。まぁ、倒せるでしょうねとみんなは思った。
「そうだ、みなさんに話がありまして」
「話? また進化したのか?」
「カスミさん。俺はモンスターでは無いのですが……」
「コウヨウの報告なんてスキル覚えたとか、珍しい魚が釣れたくらいだからな、カスミの考えも分かるが……どうしたんだ?」
「俺は【楓の木】の為だけにイベント参加します。ピンチになったら呼んでください。相手殺すんで」
「どういう風の吹き回し? コウヨウあんなに嫌がってたのに……」
「サリーがプレイヤーを斬る快楽を教えてくれたから」
「出鱈目言うな! 違うよ!? 誤解だからメイプルはそんな目で私を見ないで!?」
とうとうサリーが人殺しに加担したかとメイプルが言うとサリーもいつからそんなキャラに自分が変わっていたのか聞いた。
ドタバタしながらも、コウヨウは恋人達のためにイベント参加をして、自己防衛に励む事にしたのだった。
「「私達もコウヨウさん(師匠)のお役に立ちます!!」」
「めっちゃ頼るわ、頼むぜ」
「ロリコンヨウ! 私も手伝うからね!」
「俺の喧嘩は俺がやる。それだけ頼むわ」
サリーの世界線は中の人繋がりです。