妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「つまりそのスキルを使える特訓をしたいと」
「そうだよ。気持ち悪いから慣れたい」
「最悪私が貴方を殺して良いわけね」
「お、そうだな」
「なら早速始めましょう、手加減は……しないからな」
「マホイップ」
「その返事何とかならないの!?」
「許してください何でも以下略」
コウヨウ的には「はいっ」と言いたかったが、ちょっと訛ったらしい。イベントの前に遡った時間帯、吸血鬼のいる屋敷にお邪魔した彼はスキルである【名状しがたい何か】の特訓をお願いした。
【豪傑にして英雄】で戦うと、HPの半分を消費して2倍の強化しか得られなくなったのもあり、ワンデスで終わりのイベントで使うと、危険と隣り合わせになってしまう。
だからこそ、なるべくそれ以外のスキルを使いこなしたかった。特にわらしから貰ってすぐのこのスキルは敵を食べるよりももっと他の使い道がありそうなのだから。
「【名状しがたい何か】……やっぱりすげぇ気持ち悪い!?」
「落ち着け人間。化け物になっても自我は保てるスキルだ。姿形が変わったところで正気を失くすな」
「ぐっ……SAN値的に闇に飲まれそうだ……やみのま……ヤミノマァァァァァァァ!!」
「何だその叫び方!? というか流石に化け物だな……物理が効かない私にも使えるのか」
「闇に飲まれよ!!」
「たまに挨拶代わりに殴ってくるはお前だけよ!」
コウヨウは少し暴走しながら、それでも自我はギリギリ保ちながら吸血鬼と拳で語り尽くす。スキルの影響もありコウヨウの言葉遣いも段々と荒く、男性的なものになっていく。
「我が未来の最終地は闇……天をも喰らう闇なのだ。煩わしい太陽よりも、その闇に身を沈める事こそ至福……」
「もはや誰なのよアンタは!?」
「我が名は……スカーレット……闇の魔族である末裔だ」
「スカーレットは私の名前よ! 勝手に名前を取るな!!」
「じゃあ……サリーみたいにアトランティスの使者かなぁ?」
「急に戻るな、やりづらい!!」
もはやスキルの影響でただの厨二病と化したコウヨウだが、時折素に戻るので吸血鬼として初めて名乗ったスカーレットはやりづらかった。
結局、そこからイベント開始期間まで、コウヨウは吸血鬼と一緒に自らを鍛え上げるのであった。
☆
「コウヨウ、最近どこに行ってるの?」
「少し特訓をしていただけでクエストは行ってないぞ」
「どんな特訓?」
サリーがコウヨウに聞くと、彼は目を手で覆って彼女に話した。サリーは少し嫌な予感がしたがコウヨウは続ける。
「私もアトランティスの秘術を取得したのです……サリー、私も貴方と同じ、アトランティスに住む者として……」
「ギャァァァァァァァァアアア!!??」
「お前が俺にかけてくれた加護は、今も生きてるぞ?」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい……!!」
「そう言えば名前を聞いてなかったけど……あの時の名前は何なんだ?」
「言わない! 絶対言わないから!!」
「理沙だから……リリィ……いや、別のギルドマスターと被るか……サリーだから……サリア……」
「予想しないで!!?」
厨二病の歴史が蘇って、大声で叫ぶサリーと真剣にあの時のサリーの名を考えるコウヨウ。
「言えない……紅葉と結婚した後に付ける予定だった子供の名前なんて……絶対言えない」
「え? 何だって?」
「何でもない!!」
「【名状しがたい何か】」
「ギャァァァァァァァァアアア!!??」
「この特訓してただけ」