妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「上手く行きすぎだな……まぁ、めっちゃ俺は変身しただけだけど……」
「キュルルン!!」
「よくやってくれたよ、ムサシは」
正直コウヨウはウィルとリリィをキルする気は無かった。少しでも驚いた顔を見せて貰って、傷ついたメイプルの痛みを分けてやろうと思っていただけだ。
だが、あの【ラピッドファイア】にダメージを与えるのは至難の業。特にウィルバードとリリィはそのギルドの1,2のナンバーであり、コウヨウでも姿を現して喧嘩を吹っ掛けなければダメージの「ダ」すらも与えられない。要は、不意打ちは無理なのだ。
「あいつらがあの金の弓矢がまさかムサシだとは思うまい」
「そうだね」
コウヨウの言葉に片言でムサシは話す。タネを明かすと、あの時ウィルの前に現れたのは本物のコウヨウである。つまりはあのウィルバードの本気で放った矢を手で止めたのは彼自身。そして、あの金色の弓矢はムサシ。
結論言うとウィル達は見事に騙されたのだ。
「本当に賭けだったな……スキルを生身で受け止めたから6割HP消えたけど」
コウヨウは自分が現れた時、ウィルとリリィどちらが動くかは分かっていた。森の中で木の上にいるのを見つけた瞬間、確実にウィルが矢で仕留めてくることを確信。リリィは万が一倒せなかった時のトドメ用意兼サポート。
ならば後はウィルはどこに矢を放つのか。コウヨウはそれが一番考えを張り巡らせた。
「『例えば……目でも追えない矢が死角から現れた時、どうするか』なんて、サリーに意地悪言いやがった罰だ。アイツだってアホだがゲームに関しては努力の天才だ」
予想して感覚で避けるに決まってんだろと、笑いながらコウヨウはムサシの棟を撫でる。
1番有効なのは足……だが、気づかないフリをしたコウヨウに対してウィルは一撃で決めようとしていた。そうなると、足は相手を動かせなくする場所になるので2発目が必要なはず。
「俺に気づかれず一撃で仕留めるなら首しかねぇよな。でも、俺は首に対しては背後より1番警戒してんだよ……元々あった首輪のせいでな」
「呪いの首輪」に関しては今も持ってはいるが、レベルMAXな以上既に外している。そんなコウヨウはこの装備のせいで首を異様に警戒しているのだ。もっと言うとサリーにキスマを付けられたり、吸血鬼に噛まれる可能性とかも理由は他にもあるが……
そんな訳で、あの時の金色の矢はムサシが透明化で気配を消してウィルとリリィをブッ刺した。因みにコウヨウがやったのは弓を止めた事と【早着替え】を【無詠唱】で使って着替えまくっていただけである。結果この勝負、コウヨウの勝ち。Q.E.Dである。
「後は一瞬だけムサシを人の姿にして戻してとかやったが……まぁ、反省会は後だ。【無詠唱】は流石に最終手段。あの2人が強いのは認めるが今回のイベントはアイツらより俺は戦わないと行けない相手がいる……あ、ムサシ、早速出たぞ」
「初めましてだな。最強の二刀流釣り師……いや、コウヨウ」
「そうっすね。こうして顔を合わせるのは初めてです……4人まとめてかかって来いや」
「遠慮なくいかせて貰う。クロムから話を聞く限り1人では秒だからな」
コウヨウにはこのイベントで目的が1つあった。それは、コウヨウと戦いたいと志願した者たちを全て斬り刻むこと。そうして、集まったプレイヤーは4人。大剣と魔法、槍、弓を使うプレイヤーである。
「行くぞ!」
「ムサシ、手は出すな。俺が斬る……【コウヨウ二天】!!」
「新手のスキルか!?」
「適当に名前言って二刀構えただけだ!! 行くぞ!!」
「舐められたもの……速い!?」
「【呪斬】」
槍使いに対して一閃刀を振るうコウヨウは槍で止められながらもそのまま槍使いの身体を吹っ飛ばした。飛ばされた槍使いを放っておいて、次は大剣使いに迫る、
「ぐっ!? く、クロムの言っていた事は……全部本当だったか……」
「掲示板でどこまで話したのかは知りませんが、仮に知られても目で見ないとわからないでしょう?」
「援護は任せろ! 【多重炎弾】!!」
「魔法なんて消し去ってあげますわよ!! 【多重水弾】!!」
「れ、コウヨウの女版……れ、レリフル!?」
「わたくしは男ですわ!! ぶっ放してやりますの!!」
「何だこの速さ!? 侍装備じゃなくても速すぎるんだが!?」
大剣で凌いだ後、魔法使いが複数の炎弾を放つが、すぐにコウヨウは装備変更。レリフルの姿で水弾を撃ち込み、炎弾を全て相殺する。そしてすぐにまた、彼は姿を変えた。
「皆さんはこの世界で宇宙を感じた事はないでしょ! 行くぞ! サジタリアス!!」
「ご、ゴールド装備……魔法使いよけろ!!」
「【多重障壁】……はぁ!? 5枚張って全部割れたんだが!?
「な!? しかも弓矢が曲がって……ぐぅ!?」
「ラッキーパンチだな!」
コウヨウは黄金装備に身を包み、サジタリアスの矢を放つ。魔法使いは障壁を生み出すが、矢はまるで自我を持ったかの様にありえない軌道でカーブをして魔法使いの背後に周り、そのまま刺さった。
驚いた弓使いはコウヨウに矢を向けようとしたが、さっき魔法使いに刺さっていた矢が自分自身の腕に突き刺さる事で、驚きと痛みの声を上げた。
「な、なんなんだアレは!?」
「わたくしもわかりませんわ!!」
【絶対必中】で放つ即死の弓矢である。少し知らないふりしてレリフル装備で放った【多重水弾】もあり、魔法使いと弓使いは被弾して粒子として消えた。まだ、弓使いが攻撃もしていない事実があるが、コウヨウからすれば攻撃が来る前に倒せてよかったと言う思いである。
「くっそ!! やるぞ槍使い! もう2人だけだ」
「ごめん……8割持っていかれた……」
「そうだ、2人ともクロムさんにお土産を持っていってください」
「お、お土産?」
「ムサシ、一瞬約束破るわ」
「良いよぉー」
彼のお土産という言葉に警戒をMAXまで強める2人。装備を侍に変えたその瞬間、槍使いが粒子になった。
何が起こったか、大剣使いには全く理解できなかった。後ろを向くと既にコウヨウがそこに移動していて、槍使いが消えていたのだ。だが、たった1つ、彼でもギリギリ分かることがある。それはコウヨウのこの動きはイベントのビデオなどでよく見た動き……
「い、【居合極】……だよな? で、でも……なんで……」
「行きますわよ」
大剣使いは困惑しながらもコウヨウの動きを見る。今度はレリフルになりそのまま手を前に出しただけで【多重水弾】を発動した。あまりの速さについていけず、そのまま直撃した大剣使いは、消える前に1つ疑問を投げた……
──どうして……詠唱していないのに……スキルが発動しているんだ。
そう、言葉にしたが、既に消えた大剣使いには聞こえなかった。
「最高の幽霊が助けてくれましてよ」
そう言ったレリフルはコウヨウに姿を変えてそのまま歩き出したという。
「貴方達の名前は聞きません。俺にとって貴方達4人は名無しの人で有名なのでね」
「いたぞ! 最強の二刀流使いだ!! コウヨウ、覚悟!!」
「うわぁ連戦めんどくせぇ……ムサシ、行くぞ……お情け無用じゃぁぁぁぁ!!!」
「シンラバンショウ」
結局コウヨウに向かって行った相手は、雄々しくも勇猛ではあったが最後は彼の剣技の前に散って行ったのだった。
「主、行こうか……二天の先に……」
「あぁ。いざ、新たな二天の向こうへ……いかねぇからな!?」
「残念」
多分掲示板の名無しさん達は全員敵に回ることはなくても良かったんですが、とりあえずコウヨウの餌食にしました。