妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「全く……何で俺なんかが第一層のボスを……」
「お兄ちゃん、ギルド入るなら攻略してね」
「入りたく無いぞ☆」
「許さないぞ♡」
「お兄ちゃんの最大限の償い」
「かえ……メイプルに関してはなんの償いだよ!?」
「師匠! 頑張ってください!」
「コウヨウさんなら余裕ですよ!」
「よし、やってやるぜ」
「「出たロリコンヨウ」」
「違うぞ!?」
サリー達にユイとマイの存在がバレた挙句、妹とゲームで初対面したその後、少し日が経ってからロリコンヨウ達は第一層ボスに向かった。
メイプルやサリーは第二層まで行っているのだが、ロリコンヨウはまだである。本気で第一層のボスを倒せる気がしないと口で言っているし、正直釣りしてた方が良いと駄々をこねたのだが、メイプルが食べるよ(物理)と、サリーが食べるよ(意味深)の言葉が原因もあり、彼は観念した。
「それにしても流石ロリコンヨウ、本当に斬ってるんだ……よね?」
「斬ってる……というかその名前やめない? お嬢様の挨拶じゃねぇんだから」
「「全然見えません……」」
サリーもユイもマイもロリコンヨウがモンスターを斬り倒しているように見えない。なのに、湧いてくるモンスターが次々と斬撃エフェクトに包まれて粒子となっているのなら、本当に斬ってるのだろう。
だが、メイプルはずっと彼を見つめて反応してない。サリーが不思議に思って声をかけても、何でもないと答えた。
「あの子……恥ずかしがり屋なのかなぁ……?」
「キュルルン!?」
「えへへ、私メイプル、よろしくね」
「え? お前こいつ見えんの?」
「何の話??」
「いや……なんでもない……」
彼の周りで飛び回ってモンスターを斬り刻む存在に自ら気がついたのは、メイプルが最初であった。そして、彼のモンスターがメイプルにだけ気づかれているのを知って、驚いたのも、この日が最初である。
そうして迎えたボス戦大樹が変形した巨大な鹿。ロリコンヨウは少しだけビビってサリーの背後に隠れる。
「なぁ、サリー……あのモンスター強そうじゃないか?」
「え? 全然?」
「いってらっしゃいお兄ちゃん!」
「お前ら鬼だろ!?」
「師匠……倒せますか?」
「コウヨウさんなら大丈夫……ですよね?」
「うっ……」
プレイヤー数人を斬ったり、巨大なイカを斬ったりしたロリコンヨウだが、いざボス戦だと目に見えるとやはり戸惑いはある。だが、後ろからはユイとマイの声援が聞こえるのもあり、彼女達にみっともない姿を見せるのも気が引けた。仕方なくサリーから離れ、刀に触れる。
「よ……よし……ユイとマイを守るユイとマイを守るユイとマイを守るユイとマイを守る……」
鹿が全力でロリコンヨウに近づいてくるのを見てから、彼は呪詛を言いながら両刀を握りしめて、叫ぶ。
「【極天二刀】、【居合極】!!」
この日、ロリコンヨウ以外の女の子達は見た。いや見えなかったが見たのだ。彼がスキルを叫ぶ瞬間にはそこに姿形は無く、鹿を通り越した奥に、すでに刀を鞘におさめていた彼の姿。
そしてバグか何かか分からないが、その数秒後に斬撃エフェクトが無限に鹿を包み込み、HPバーを0にした後、また全回復して、また0になるというよく分からない不具合が発生した。
最後には鹿がカクカクしながら変な動きをして粒子すらも無くまるでワープしたかの様に一瞬で消えた事を彼女達は覚えていた。
「危ねぇ……勝った」
「いや、圧勝でしょ……動き全然見えないし……というか何あれ、バグ?」
「やったね! お兄ちゃん!」
「ねぇ、ユイ。今の見えた?」
「ううん……全く……でも、カッコよかったよねお姉ちゃん!!」
それぞれロリコンヨウの戦いを見ていた彼女達はそれぞれ感想を言うが、ユイとマイは目を点にしてロリコンヨウの動きを再確認しようとしても無駄で、サリーに関してはロリコンヨウのスピードについて行けず、尚且つバグみたいな動きをした鹿を改めて考えていた。
メイプルは嬉しさあまりにロリコンヨウに抱きついて、ロリコンヨウはありがとうとお礼を言って彼女を撫でていたという。
こうして、ロリコンヨウの第一層デビュー戦を終えたのだが、その後、ユイとマイ、ロリコンヨウがメイプルの作った【楓の木】に招待されたのもあり、さっさと第二層も突破するのはそこからすぐの事である。
「地の文いつまでいうねん、ロリコンヨウ」
「なんの話?」
「俺の話だからサリーは気にしなくていいぞ」
「でもお兄ちゃんのロリコンヨウって響き良いよね」
「やめてね」
「そういえばコウヨウって本当にメイプルと同じで名前そのままなんだね」
「ネーミングセンスは俺達にはねぇぞ」
「お兄ちゃん、サリーそれどういう意味!?」