妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
観戦エリアとは今回のイベントで負けたもの達が試合観戦出来る場所。文字通りそこにはイベント観戦の為に多くのプレイヤーが集っていた。
負けたドラグやドレッドはミザリー、シンと共に観戦エリアで会話をするのだが……
「おい……3人とも、これがどういう事か分かるか?」
「いや、全く分からない……何であいつがまだいるんだ?」
「確か……ウィルバードさんと戦って負けたはずですよね……」
「あぁ、仲間からそう聞いたから喜んだんだが……この場にいねぇ」
「彼は生きています……残念なことに……」
3人の言葉に話しかけたのはコウヨウに斬られた【thunder storm】のヒナタ。彼女曰く倒された彼の姿は一向に無かった。
「ウィルさん達が倒して粒子になったのは客席で見たんですけど……いつまでもコウヨウさんはこのエリアに来なかったんです。しかも、プレイヤー名にノイズがかかっていて、いつの間にか彼の名前が復活していて……」
「って事はコウヨウは本当に生きてるのか!?」
「やったぜドラグ、これならマジで勝てるかもしれないぞ」
彼女の言葉に喜ぶ2人だが、ミザリーとヒナタ、シンは考えるだけである。アレは一体何のスキルなのか、もしスキルならば全く知らないスキルである。
「恐らく何かしらのコンティニュースキルですよね」
「はい。だけど……モニターを見る限りコウヨウさんの隣にムサシがいないんです」
「もしかしたらテイムモンスターを犠牲に生き返るスキルかもしれないな。そんなもの使えるなんて……チートにも程がある……」
「クロムも確か生き残る時はあるが……確かあれ確率依存だろ? コウヨウが万が一100%蘇生ならマジで勝てねぇよ……相変わらずコウヨウはいつでもチートじみた事やってるよな」
「ああ。でも、あいつがチーターなんて俺は思わないな」
「確かに……あの人真っ直ぐな人ですからね」
「俺はそんな奴に顔面を殴られたけどな」
「俺は片手で止められた挙句大剣で飛ばされた」
「俺なんか魚の刀で地面に叩きつけられた」
「私はもう魔法を何しても無効にされました」
仮にみんなが知らないスキルであっても、彼をズルとかチートだとか言わないのは、彼の人間性と真っ直ぐな性格の賜物であった事はコウヨウは知らない。それでも、そう言った事抜きで5人は本気で思った。
「というかマジで100%コンティニューとかされたらマジであいつに勝てる気しねぇな。いや、本当マジで」
「ムサシがいないとしても無理ゲーだろ」
「コウヨウさん自身が強すぎますからね」
「私の魔法も跳ね返されましたし……」
「私の魔法なんて斬り刻まれて無効化されたんですからもうなす術はないですね」
「もう殴られたくないぜ」
奴には勝てないと悟った5人はもう一度誰かがコウヨウを倒す奇跡の瞬間を見てみたいとお菓子を食べながら考えたのだった。
「つかアイツテイムモンスターいる時より動き速くなってね?」
「マジでほぼ残像じゃねぇかよ……吹っ切れて強くなったか?」
「あ、あの時に見たコウヨウさんの姿をしたテイムモンスターより速い……ですね……」
「今の彼に勝てるものは、恐らくいない……のでは?」
☆
場所は【楓の木】と【集う聖剣】が【炎帝の国】と対峙している場所に戻る。一時休戦として一度街に戻ったメイプル一向はみんなの安否を確認する。
「おー、よかった。マイユイ、無事だったか!」
「はい!」
「皆さんが全力で守ってくれて……」
「ユイとマイ凄かったよ! 特にユイなんて『師匠を倒した人出て来てください!!』って何人も倒しちゃった」
「師匠を殺したやつは許しません。私はまだ師匠と流れ星を見てません」
「コウヨウさんを倒した人は地獄に落とします。コウヨウさんの言葉を借りるなら……」
「「私達は絶望の殺戮者です」」
「怖いからやめてね。ってかコウヨウはユイとマイになんて言葉教えてんの!?」
何とか死を免れたと同時に恐ろしい言葉を口にするユイとマイ。コウヨウが普段ブチギレて残虐なセリフと共に戦うものだから弟子に良い意味で悪影響を及ぼした。兎に角犠牲は出たが、ある程度は生き残ってくれたみたいで良かったと結論付ける。何とか全員で次の策を考える話をして王城に帰ってきたのだが……
「あれ? なんかみんな笑顔だな?」
クロムが自軍の王城で笑いながら会話をしているプレイヤー達を見つけた。嬉しいことでもあったのだろうか?
「私たちがこんなに頑張っているのに……みんな平和顔ね」
「あの、何かあったんですか?」
「おお! メイプルさん……みんな! 【楓の木】と【集う聖剣】が帰ってきたぞ!!」
そう言った大歓声を上げる自軍の防衛プレイヤー。これで勝てるとみんなの士気は最高潮になり盛り上がっているが、【楓の木】と【集う聖剣】達は何が何なのか分かっていない。
「そんなに私達の帰還を待っててくれたの? いやぁ照れるなぁ!!」
「ああ! それもあるけど、もっとヤバいことが起こったんだ!!」
「ヤバいこと? それって何ですか?」
調子に乗るフレデリカに対して落ち着いて事情を聞いたサリー、そして、男性プレイヤーが報告をする前に、ピロンとポップアップが表示された。見た人達は大歓声を上げるもの、その場で飛び上がるもの、中には涙を流して抱き合う者もいた……
『【楓の木】コウヨウがNPCとプレイヤー累計1500人斬りを達成しました』
「ははっ……相変わらず……なんて奴だ……」
「生きてるなら連絡くらいしろ……バカコウヨウ……」
「サリーちゃんごめんなさい……私の元に来てたわ……」
「僕の元にも来てた」
「は? 殺す」
「サリー怖いよ!?」
「まぁ、僕とメイプルは兄さんが生きてるだろうなって分かってたよ。面白いスキル知ってたから」
「カナデ!? そんなこと言ったら……」
「クワシク。超クワシク……」
「あ、ヤバい……」
「あ、もしかしてあのコンティニュースキルかしら? すっかり忘れていたわ……」
「イズさんもデスカ?」
「ご……ごめんなさい……コウヨウ君から少し聞いただけで実際に見た事が無かったから……忘れてしまっていたのよ……」
「というかコンティニュースキルってナニ?? コウヨウマタカクシゴトシテルノ??」
「「サリー落ち着いて」」
カナデとメイプルが止めるがサリーブチギレである。コウヨウからすれば全線でメッセージを見られないメイプルやサリーを考慮して、一瞬でも確認出来そうな後衛のカナデとイズに送っただけなのだが、サリーから理不尽な怒りをくらった。
「というか生きてるならお兄ちゃんは今どこ!?」
「コウヨウさんならさっき俺のギルドメンバーと2人きりで最前線に向かったけど……会ってないのか!?」
「あいつ……奇襲仕掛けてるわけじゃねぇよな?」
心配になったクロムがみんなに聞くがそんな心配はすぐ終わった。
「ちーす」
「お、お邪魔します!!」
聞いたことのある男の娘の声が聞こえた瞬間、みんなは振り返って……
「誰か俺の事今男の娘って言った?」
「コウヨウ、死にたいの?」
サリーがまたブチ切れた。なぜならレリフルが見知らぬ少女を背中に乗せて、宙を浮いていたからである。ダガーを抜いてそのまま走ろうとするがメイプルに止められる。
「紹介しようか? 俺の回復サポートしてくれた助っ人のシャーレさん」
「は、初めまして! コウヨウさんのファンで……」
「死ねばいいよね」
「サリー!? 流石に味方だよ!?」
「どいてメイプル! その女殺せない!!」
「サリーはなんで怒ってんだ!?」
「ご、誤解です!! 私はコウヨウさんのファンで……」
「尚更タチが悪い!!」
「落ち着けサリー!? 頼むからカナデも止めろ!?」
「やぁ、兄さん。悲しみの向こうってどんなところなんだろうね」
「やめろぉ!! カナデ俺を抑えるな!?」
「ナイスゥ! カナデ!」
「サリー落ち着いてって!?」
結局戦い前に一悶着あるのがコウヨウとサリーなのであるが、それを見ていたペイン達は苦笑いどころか普通に笑っていたのは言うまでもない。
「「師匠(コウヨウさん)! 南無阿弥陀仏です!!」」
「死んでねぇよ? いや死んだけど……幽霊ではないぞ?」
「師匠……私は幻を見ているのでしょうか……?」
「本物だぞ、ほら、よしよし」
「あ! ずるいです! 私も撫でて下さい!」
「よしよし」
「ロリコウヨウ本気で許さない!!」
「ロリコウヨウなのかロリコンヨウなのかもうどっちかにしてくれ……」
「うるさいよロリコンお兄ちゃん」
「さらに増えやがった!?」
正式名称はロリコンヨウです。ロリコウヨウだとちっちゃいコウヨウ君になるので。