妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「ねぇ! みんなで海行かない?」
「海か、良いねメイプル!」
「海なんて久しぶりだな」
「いや、お兄ちゃんは良く釣ってるじゃん海で」
「泳ぐのは久しぶりだという話だよ」
時はイベント前に第八層でのんびりしていた時である。メイプルの提案に頷いたコウヨウとサリー。どうやら近くにビーチがあるそうで、そこに水着を着て泳ごうと誘ったのだ。
「イベントも無いしな。いいぜ」
「私は隠れてる」
「ムサシなんでだ?」
「私お風呂嫌い」
「そうなの!?」
「前世はあまり入ってない」
「今回海だけど」
「丸腰が嫌だから入らない」
「まぁ……仕方ねぇ……何かあったら守ってくれ」
「任せろ」
「コウヨウ、競争しようよ!」
「俺泳げない」
「それは現実ででしょ?」
「それじゃあ私もみんなを誘うね!!」
☆
そうして集まったメンバーを見ながらコウヨウは隣にいるプレイヤーに絶望的な表情で声をかける。
「皆さん……身長……高いですね……ガタイも良いし……」
「ははっ、コウヨウは改めて見ると小さいな……痛!? 何すんだよペイン!」
「コウヨウが体格で落ち込んでるのに笑うとは流石に褒められたことではないぞ」
「そうだぞドラグ、それに……本気で揶揄うならその俺達より小さいやつに一度でも勝ってから揶揄えば良いだろ」
「うっ……ま、まぁ……そうだな……悪いコウヨウ」
「いえ、クロムさんもそうですけど、俺は背が高い方ではないし、少しトレーニングはしてますけど、ガタイは小さいのは事実ですから……」
「まぁ、俺がいうのもアレだけどよ……170とかならともかく、180とか行き過ぎると逆に大変だぜ?」
「クロムのいう通りだ。俺もドラグも少しばかり体格は良い方だと思ってはいるが、エレベーターとかで満員近くになる時は特に困るぞ」
「ペインさんエレベーター乗るんですね」
「寧ろ乗らないやついる?」
コウヨウは【集う聖剣】の男性陣と【炎帝の国】のシン、同じギルドのクロムを羨ましく思うのだが、そこに待ったをかけたのは【炎帝の国】のマルクスと同じギルドのカナデである。
「コウヨウ、落ち着いてよ。僕はそこまで背が高い方じゃないけど……ミザリーはそんな僕に気にしないで一緒に歩いてくれるんだよ?」
「僕だってメイプルが気にしないって言ってくれたんだ。自分の愛する人が自分の身体を認めてくれるなら、無理に何かする必要って無いと思う」
「お前ら……」
「「僕たちはファミリーだ」」
「お前ら……!!」
「なんか急にドラグを殴りたくなってきたな」
「いや何でだよ!?」
「惚けるな、お前が最近フレデリカと出来てることは知ってる」
「ドレッド!? 何でそれを……あ!?」
「「リア充は撲滅する」」
「ペイン助けてくれ!?」
「うちの紅一点に手を出したんだ。それくらいの覚悟は決めてもらおう」
「味方がいねぇ!?」
「ドラグさんこちらに。コウヨウ二天……」
「よしドレッド! 泳ぐか!!」
「あ、ああ! せっかく海に来たしな!」
「負けるの早いんだよなぁ……」
わけわからんコウヨウ、カナデ、マルクスの茶番劇とコウヨウも驚きのAGI手のひら返しをしたクロムとドレッド。ペインはこんな日も悪くないと笑ったのである。
「あ、因みにクロムさんはイズさんとカスミさんが取り合ってますよ」
「ドレッド……今度一杯付き合ってやろう……」
「ペインさんと食事できるの羨ましいですね」
「コウヨウ、俺とビーチフラッグしねぇか?」
「シンさん【崩剣】使う気でしょ……まぁ、剣に乗っても別に良いですけど」
「それでもコウヨウは倒せません」
「じゃあやめておくか」
「やりましょうか」
「コウヨウ引っ張るな!? ってか力強!? 首片手で掴まれてるだけなのに俺の身体が空中に浮いてるから身動き取れねぇ!?」
「「やべぇなアイツのSTR」」
そんな会話の後に、女性陣も水着の姿でこちらに向かってきた。メイプル、サリー、フレデリカ、ミィとミザリーイズ、カナデの7人さらにはユイとマイの子供合わせて9人なのだが……
「ユイ! マイ! 可愛いぞ!!」
「コウヨウ?」
「ありがとうございます師匠!!」
「ユイ?」
「コウヨウさんに褒められるとなんだか照れちゃいます……」
「マイ?」
「サリー、ニヤってるぞ」
「コウヨウ!! あれ……コウヨウ???」
サラッと冗談めかしてサリーをいじるコウヨウ。カナデはメイプルの元に行きそのまま声をかけるとメイプルの顔が真っ赤になった。イズのカスミはクロムの元に行ってまた正妻戦争をしてドレッドに睨まれる。フレデリカはドラグの元へ、ミザリーはマルクスの元へ向かった。
「わ、私だけ……独身……」
「ミィ、俺達と一杯やろう」
「ギルドマスター同士で親睦を深めるとでもするか」
「ペイン、俺も行く。俺も……行く……」
後の4人はもう、バーベキューの時に飲み食いすることを目的とした慰め会になった。
「コウヨウいつまでユイとマイの頭撫でてるの!? 私も撫でろ!!」
「分かったから、飛び込んでくるなよ!?」
「コウヨウさんモテモテですね!」
「とりあえずユイとマイは俺とサリーの子供役でおままごとでもするか」
「「おままごとですか!?」」
「コンコンッ……ガチャ……お兄ちゃん、起きてる?」
「やめろ何しに来たメイプル!?」
「兄さん、僕のメイプルに何してるの?」
「コイツが勝手にドラマCDやり出しただけだろ!?」
「八宝菜!!」
「サリーやめろぉ!!?」
「「美味しそうです」」
「ユイ、マイ、その先は地獄だよ」
泳げよお前ら。
「海か……俺は泳げないからなぁ……これが精一杯だな」
「え? 兄さん泳げないの??」
「現実はな。いや、潜れないとか水が怖いとかじゃなくて、泳いでも前に進まないんだ」
「なんか、珍しいね。兄さんにも弱点あったんだ」
「現実はそんなに万能じゃねぇよ。ご飯作って、勉強して、風呂洗って洗濯回してアイロンかけて、掃除してパートしてゲームしての学生だ」
「主夫にも聞こえるけど」
「あ、俺とメイプルの布団コインランドリーに出さねぇと」
「主夫じゃん」
カナデとコウヨウは2人で海に浮き輪で寝転びながら会話をしていた。コウヨウの弱点が暴露されたところで、カナデも天才だが何か弱点があるかと聞いてみた。
「うーん……まぁ、兄さんよりは料理とかしないから苦手かもそれに、僕昔天才だからって孤立してたし」
「俺がいるだろう!!」
「うわ!? う……うん……ありがとう……コウヨウ」
カナデの悲しい過去がこんにちはしたが、コウヨウはそんなカナデに俺を愛せとわけ分からない事を言い張る。
「カナデ! 俺はお前を愛してるぞ!!」
「ちょ、兄さん声……」
「好きだ! カナデ!! だから、お前を無視する野郎より、俺だけをみろ!!」
「コウヨウがカナデと浮気した!!」
「カナデがお兄ちゃんと浮気した!!」
「「違う!!」」
イイハナシダナァ。なんて片付けられない誤解が生じたビーチである。
「でも……カナデってカッコいいより……何だろうな……」
「どうせ男らしく無いんでしょ?」
「そそるな」
「兄貴、離縁しよう」
☆
「ねぇ、メイプル……」
「どうしたのサリー?」
「虚しいね……」
「何があったの!?」
ビーチでコウヨウが自分の身長と体格コンプレックスをこんにちはさせてる間、サリーはサリーで体型のコンプレックスをこんにちはさせていた。彼女が指を差した方向をメイプルも見て、彼女もコンプレックスがこんにちはした。因みにユイとマイは既に着替え終わって別の部屋で待っていた。
「あぁ……確かに……」
「どうしたんだ、メイプル、サリー」
「カスミ……剥ぎ取って良い?」
「何をだ!?」
「イズさん、私に半分下さい」
「メイプルちゃんも何の話かしら……?」
サリーとメイプルは同じギルドメンバーのイズとカスミに恨めしそうな、羨ましそうな目を向ける。その視線を感じ取ったカスミとイズは苦笑い。
「私達……もう終わっちゃったのかなぁ……」
「まだ始まってもいない……と、信じたい……」
「どうかしたのか? 2人とも」
「ミィなんて嫌い!!」
「何でだ!?」
「メイプルさんはどうしてそんなに怒っているんですか?」
「うわ、G級装備……」
「はい??」
「まぁ、確かにサリーの羨ましい気持ちも分かるかな。私も大きな方じゃないしね」
フレデリカの言葉に、ようやくミィもミザリーも何の話なのか理解した。少し顔を赤くしながらも、サリーとメイプルに話をする。
「まぁ……ドンマイ」
「ミィのバカ!!」
「そんな事言われてもな……自分ではどうしようもないんだから仕方ないだろう?」
「私ももう少し……小さくなりたかったです……」
「はっ殺(はぁ? 殺すぞ)」
「サリーはどこかの同人誌みたいなセリフをやめろ」
ミィの言葉に言い返すことができないメイプル。ミザリーは言葉を発するとサリーがキレそうになる。そんなサリーやメイプルを見かねたイズは冷静に答える。
「そうね……メイプルちゃんやサリーちゃんも年頃の女の子だからそういうのは気になるとは思うけれど……カナデちゃんやコウヨウ君が胸の大小だけで好きになる訳ないじゃない」
「そうだぞメイプル。申し訳ないが私もメイプルよりはあるのは認める。だが、この中で独り身なのは恐らく私だぞ?」
「サラッとイズさんカナデの事ちゃん付けしませんでした?」
「気のせいよ」
ミィの自虐もあってメイプルやサリーはそれ以上の追求はしなかった。少し考えながらメイプルは言う。
「でも、多少でも大きい方が良いのは事実ですよね」
「まぁ……それは……そうだが……」
「コウヨウがロリコンか聞いてこようかな」
「サリーに関してはそれとこれとはわけが違うだろ!?」
落ち着けとカスミがサリーを嗜めるが、サリーは止まらない。しかしながら、サリーはコウヨウの元に向かおうとして足を止めた。
「コウヨウが大きいのが好きだったらどうしよう……」
「カナデも大きいのが好きだったらどうしよう……」
「もう本人に聞いて来い……ってミザリー? どうした?」
「私もこの身体のせいでマルクスにはしたない女だと思われるのは嫌です……」
「お前らいい加減にしろ!? 泣くぞ! 私が!!」
「クロムってどっちなんだろうな?」
「少し不安になってきたわ……」
「みんなやめてよ……ドラグが大きい側だったら……よし、殺してやる!!」
「よし、みんな突撃しましょう!!」
独り身のミィを置いてさっさと出て行った女子組。更衣室で1人になったミィは乾いた笑いをしていた。
「皆さんどうかしたんです……え!? み、ミィ……さん??」
「どうして泣いてるんですか!?」
「ユイとマイ……だっけか……すまない。今日だけは……泣かせてくれ……」
ミィは別の意味で虚しさを感じたので双子に慰めてもらったのだった。
☆
「カナデ! 愛してるぞ!!」
「「お兄ちゃん(コウヨウ)殺す!!」」
コウヨウが胸の大小どころか男女関係なくカナデに告白する事件が起こったのもあり、胸の大小話の前にコウヨウを埋めることにしたメイプルとサリーはとりあえず彼を頭から地面に突き刺しておいた。
「前が見えねぇ……」
「どうやったらこうなるのさ……」
そうして時はすぎ、メイプルはカナデと、サリーはコウヨウと2人きりになった時に2人はそれぞれ聞いてみた。
「「BIG or small?」」
カナデもコウヨウもわけわからんと伝えることしかできないそんな第一声。事情を聞いて少しだけ顔を赤くしながら笑って2人はそれぞれこう言った。
「俺はロリコンだからサリーを愛してるぞ」
「僕はメイプルじゃないと嫌かな」
こう答えたどちらかが殴られましたが、その夜にしっかりと事実を話して仲直りしたそうです。
「コウヨウはロリコンヨウだった」
「兄さんはロリコンだよ?」
「お兄ちゃん、ロリコンだよね?」
「過去るな、聞くな、断定するな」
「「「過去るなってなに!?」」」
「過去形で話すな」