妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と大決戦

「やっはろー、ウィルのん。殺しに来たぞもうちょっと喜べよ」

「残念ですがそんな気には一切なりませんよ。というかその名前はなんでしょうか?」

「やっはろーと言えばゆきのんちゃんだろ? だからウィルのん。残念なのは俺がコンティニューしたからか? 安心しろ、もう二度と使えねぇ。ノンノンだよバナナ」

「もはや何を言ってるかわかりません……というかそうですか、なら安心……なんて言える訳ないでしょう。貴方を倒すのにどれだけ私達が手の内を見せて苦労をしたと……」

「お前らが俺のステータス見といてなおも油断したのが悪いんだろそれが驕りだ」

「それは認めるけどね……コンティニュースキルなんてチートスキルは誰も知らないし確認してないよ。しかも……貴方は今何かがおかしい」

「まぁ、それだけは見せてないからな。というかあの時は俺のステータスよりもわらし側のステータスに載っていた。今の俺は剣豪と幽霊の命背負った、最強の名を借りた侍だ」

「真の情報は隠しておいてあのステータスを見せたのは囮ですか」

「格上が格下を演じるのは簡単らしいぞ、俺の最強の恋人曰くな。そんな訳で……テメェらの夢もここまでだ」

「私達を格下だと……そう言いましたか?」

「現にテメェらサリーより弱いからな。んじゃ、せっかく会ったんだ、俺の口上から始めるか。『剣豪と幽霊の魂を宿した最強の二刀流釣り師、誰かの為に刀を振るい、いざ行かん……二天の向こうにあるエルドラドへ。お前達のキラメキ、この俺に示してくれよ』【楓の木】出席番号9番、コウヨウ。スタァライト極めるぜ」

「「何の話でしょうか???」」

「決して誰にも邪魔はさせなーいー♪♪」

「「歌わないで下さい」」

「歌わねぇとスキル使えねぇんだよ。私だけの永遠の舞台〜♪♪」

 

 サリーとペインがベルベット率いる者達と喧嘩中の間に、コウヨウは因縁の弓使い達と喧嘩真っ最中である。最初から暴言と本音と明らかに厨二病言葉を発したコウヨウだが、リリィは強化を、ウィルは気にせず矢を放つ。それでも彼は前と同じで二本指で止めた挙句に矢を跳ね返してきた。

 

「一体どんなスキルを得れば、私のスキルを跳ね返す事が出来るのですか?」

「このゲームの運営に聞け、さぁて、二刀のレヴュー開演だ」

「ならばこちらも容赦はしませんよ……」

「登ってこいや、テメェらに意地があるなら……コウヨウ二天!!」

 

 弓を構えたウィルに対して二刀を用意するコウヨウ。もはやレリフルの格好はやめて侍装備で全力を尽くす事にした。

 

「もう一度倒したら、流石に生き返らないって事で良いんですよね?」

「やってみろ、俺の命は最強剣豪の命。テメェら如きに二度も敗北するわけにはいかんのだ!」

「ウィル、2対1だけどやろう」

「そうですね……全くこちらが有利に見えないですが……」

「気合い入れるか……にっこにっこやー! パワー!」

「「もう何ですかこの人」」

 

 ウィルは全力で矢を放ちながらコウヨウの逃げ場を防ぐ事にした。何をしてもあの刀で斬られるのなら、もう隙を見て撃ち抜くしか無いのだ。

 だが、さっき会った時ではあるが、彼の様子が少しばかりおかしい気がするとウィルは悟った。なんだか前のコウヨウは【雷加速】などを通して全力プレーな感じがしたのだが、今回に限っては少し静かだ。特にスキル発動もなく、AGIで高速移動も少ない。ジリジリと歩み寄ってくる行動に少し気味が悪く感じた。何を隠しているのかウィルやリリィは分からない。

 

「疲れて声も出ませんか?」

「もしや……あれだけ言い出して万策は無いのでは?」

 

 少しばかりの挑発にコウヨウは答えない。ただウィルの放つ無数の矢を斬るだけである。そしてジリジリと歩み寄って、たまに横にズレながら進んでくる。

 

「一体何を隠しているのか……」

「ウィル、落ち着こう。もう彼にはあのテイムモンスターはいないんだ」

「そうですね、それだけは救いです……」

「よそ見すんな」

 

 リリィはバフをかけながらもムサシが、彼のテイムモンスターがいないのは分かっていた。だからこそ、怒りから彼は黙っているのかと思ったが……コウヨウはハッキリと伝えた。

 

「今やってるのは俺とお前達のタイマンだ。俺だけを見ろ……!」

「やっと突っ込んで来まし……!?」

「俺は、不死身の……コウヨウだぁぁあああ!!」

 

 そんな言葉と共にコウヨウは走ってきた。ウィルは複数の矢を撃って迎え撃つのだが……コウヨウは消えた。

 

「死ねゴラテメェ!!」

「ど、どこに……がっ……!?」

「ウィル!?」

 

 コウヨウがどストレートに暴言を吐き散らかした瞬間、腹部に強烈な痛みを感じたウィルはそのままうずくまる。コウヨウはウィルの目の前に立っていてそのまま指を曲げながら挑発した。

 

「来いや」

「ウィル、援護するよ【王佐の才】【戦術指南】【理外の力】【賢王の指揮】!」

「くっ……【範囲拡大】【矢の雨】!!」

「ソゲブ!!」

 

 ウィルとリリィの合わせスキルによって彼の上に威力の高い無数の矢が迫ってくる。だが、コウヨウは訳の分からない3文字セリフと共に、その矢を右手を上げるだけで赤黒い何かで全て喰った。

 

「な!? 何が……」

「言っただろ、本気で殺しに来たと。【名状しがたい何か】【魔法削除】の応用だ」

「今、彼は詠唱をした……のか?」

「なんだテメェら、遠距離武器なら眼には自信があると思っていたんだが……とうとうやっと目ん玉と耳が腐りやがったか?」

「何もしてねぇよバーカ」

 

 右手が血の色をした化物に変わって口を大きく開けると、ウィルのスキルで放った矢の雨は全て食い尽くされた。ウィル達驚いたのはそれだけではなかった。

 スキルを放ってからなんとか彼から離れたのだが、一瞬で距離を縮められた。しかも、あのエフェクトは【雷加速】である。ウィルは焦りながらも彼に質問を投げる。

 

「なんで詠唱無しで……スキルが……」

「うるせぇトドメじゃ」

「ウィル!? 危ない!!」

「【炎帝】!!」

「ほぅ……俺の前でそれを出すか……この……火遊び……いや、クソ雑魚ナメクジ野郎!!」

「とんだ言われようだな!? 私が何をしたって……!?」

 

 突如現れた炎によってウィルに対してコウヨウのトドメの一撃は無かった事になった。そこに現れたのは火遊び女こと【炎帝の国】最強ギルドマスターにして、炎魔法で右に出るものはいないミィが……

 

「沈めやうらぁ!!」

「ゴフッ!?」

「バカな!? あの長距離に追いついてミィさんに拳を当てるなど……!」

「あ、あのエフェクトは……【雷加速】……やはり無詠唱で彼はスキルを……」

「その幻想をにっこにっこにーだ!! もう怒ったね! コウヨウちゃん怒ったよ! こんなにキレたのは人生で初めてだな! テメェらのせいだぞ大人しく殴られろやァァァ!!」

「い……異常だ……彼に一体なにが……いや、何が彼をこんなプレイヤーに……」

「約束したんだ……俺はスタァに、なってやるんだぁぁぁ!!」

 

 ウィルを助けに来てから姿を表した5秒後にミィは顎にアッパーカットを食らった。女でも容赦なくぶん殴ったコウヨウは宙に浮きながら怒鳴る。その姿はまるで違う世界からやって来た、怒り硬め殺意マシマシの化け物の皮を被った侍だった。

 

「テメェらのせいでメイプルとサリーが死にかけた! 1発殴らねぇと気が済まん!! このイベント世界を灰にするまで絶対許さねぇからな! バーカバーカ! バーカバーカ! バーカバーカ!」

「くっ……よくも乙女の顔を……というかアイツ……なんか様子がおかしいんだが……あんなに語彙力無かったか?」

「うるせぇ! 持ってけ泥棒!!」

「え? うわ!?」

「ちょっと!? 一体何を!?」

「お片付けだ!」

 

 コウヨウはすぐにウィルとリリィの元に行った挙句、2人の首を掴んでミィに向かってぶん投げた。流石に隙をつかれてされるがままに投げ飛ばされたので、ミィに直撃した。

 

「うっ……痛いし……流石に2人は重い……」

「じゃあな! 用事思い出したから覚えてろよ!!」

「な……なんであいつが……負けた側のセリフを……吐いているんだ……くっそ……顎が……」

「すみません、ミィさん……」

「いや……構わない……が、アイツ前よりもヤバくなったな……」

「ミィさん。今のコウヨウさんは無詠唱でスキルを使うみたいだ……」

「は? え? はぁ!? と言うか、ベルベットが危ない! 急ぐぞ!!」

 

 リリィの話を聞いたミィは絶望しか無かったが、ベルベットが危険だと判断して、2人でコウヨウを追いかけるのだった。

 

「いったい……どんなカラクリ……なんだろうか……」

「知りませんよ……とにかくあの状態のコウヨウさんが私達にとってまずいのは確かです……あの人……私達の予想を超えてかなり強くなってます……」

「しかもアイツの様子……今までのコウヨウじゃないくらい暴走してるぞ……」

 

 ☆

 

「もはや彼は何をしているのかな……??」

「こ、これは……どう言うことなんだ……???」

「ど、どういう話……何ですか……??」

「2人とも! 助けて下さいっす!!」

 

 ミィは自分のテイムモンスターであるイグニスに乗り、ウィルと2人でコウヨウを追いかけたのだが、一歩遅かったのは分かった。だが、この訳の分からない状況はおそらく敵のサリーやペイン達も訳が分からないと思っているに違いない。理由はもはやコウヨウのせいであるが……

 

「ガトランディス、バベルズィグレット、エーデナルー!!」

「「なんであいつが歌ってるんだ!!??」」

 

 そんな声がミィと他のプレイヤー合わせて数百以上があった。とりあえず簡単に言おう。コウヨウはレリフルの装備で、フィールドで宙に浮かびながら空中に仁王立ちして歌っていた。

 男には絶対出せないであろう綺麗なソプラノボイスを夜に響かせて、まるでミュージカルステージのソロコンサートでも開いているかの様にコウヨウは歌い続けていた。

 しかも何がタチ悪いかというと、コウヨウは【救いの手】を使って分離した刀二本その手に握らせて、近づいてきたプレイヤーを【ダブルスタンプ】し、クレーター付きで叩き伏せながら、後ろにいるサリーとペインが回復出来るように壁になっていた。

 

「何をしているベルベット!! 早くコウヨウを攻撃しろ!!」

「したいのは山々っすけど……攻撃が一切当たらないっすよ!!」

「そんな訳ないだろ!! 【炎槍】!!」

「バフは私が……【王佐の才】【戦術指南】【理外の力】【賢王の指揮】【この身を糧に】【アドバイス】」

「【ロングレンジ】【引き絞り】【渾身の一射】!!」

 

 ベルベットの言葉を信じきれずに射程範囲内まで近づいたミィとリリィ、ウィルはスキルを使うが……

 

「エミュ、ストロンゼンフィーネ、エルバラルズィーズルー!」

「嘘だろ!? すり抜けた!? しかも【炎槍】が跳ね返って来た……変なバリア張ってる!?」

「どうしてなんですか!?」

「だから言ってるじゃないっすか!! 誰が何をしても、運良く近距離でコウヨウさんに攻撃出来ても……すり抜けられたりバリアみたいなので跳ね返されて挙句そのまま叩き潰されて私達の味方が沈むんですよ!!」

「すり抜ける……まさか……【無双転生】!?」

「ウィル、知っているのか!?」

「何分か忘れましたけど……そのスキルを使うとどんな攻撃も当たらなくなるスキルです」

「なんという無茶苦茶な……」

「じゃあ今のアイツに何をやっても……!? 全員近づくな!! アイツには今攻撃は全く通らないぞ!!」

「じゃあバリアはなんすか!?」

「知らん!!」

「おかしい……彼にはもうテイムモンスターがいないはず……なのに、この異常な強さは……」

「もはやあの人は人間じゃないっすよ!?」

 

 ミィの言葉を聞く前に突っ込んでいったプレイヤーは全員死んだ。バリアの正体は【咆哮詠唱】である。歌うとVIT×10のバリアが張られる。レリフル装備なのでVIT自体はないが、メイプル達が彼にVITのバフをかけたので発動出来るのだ。

 

「エミュストロンゼンフィーネエルズィーズルー……やっぱりウィルさんにステータスを見せたのは間違いか?」

「コウヨウ、ありがとう!」

「なんとか回復は出来た、レリフル感謝する」

「べ、別に貴方の為にやった訳ではありませんことよ!」

「ツンデレお兄ちゃんキモい」

「刺すぞテメェ」

「怖いよ!? というかなんかさっきからお兄ちゃんのテンション変なんだけど!?」

 

 そういうとレリフルはバトンを渡して後ろに下がった。反撃の狼煙はまだ始まったばかりである。

 

「許さねぇ……【楓の木】も、メイプルも、サリーも、ムサシも、わらしも……俺の大事な奴ら傷つけやがって……イベントなんてどうでも良い。あの5人は絶対俺がぶった斬る……」

「こ、コウヨウ? 大丈夫か?」

「ペインさん……ええ。俺は侍、剣豪、そして……スタァです」

「なんだか少し嫌な予感がするな……休める時は休めよ」

「マホミル」

「なんだその返事は……とにかく命大事にな」

「マホイップ」

「本当に進化させないでくれ……」

 

 ☆

 

 脱落者観戦フィールドにて多くのプレイヤーがモニターを見て愕然としていた。だいぶプレイヤーが減ってきて、激戦を繰り広げる時間帯になったと言うのもあるのだが、その中で最も目を見張る人物がまた意味不明なムーブをかましていたからである。

 

「おいちょっと待て!? コウヨウが浮いて歌ってるんだが!?」

「しかもあいつ……浮く前にスキル詠唱したか??」

「いや、全くしてないと思うぞ……もしかして無詠唱のスキルとかあるのか!?」

「いや、流石にそんなの聞いたこと……いや、無いものを持ってくるのがコウヨウとメイプルだよなぁ……」

「もうあの兄妹が最強で良いだろ。誰か早く玉座譲れよ」

「相手と味方の玉座にコウヨウとメイプルを座らせて最終決戦でもさせたらどうだ?」

「というかまずなんで絶対的な歌唱をしてるんだ……」

「しかも歌上手すぎるだろ……誰が出せるんだあんなマーメイドみたいな声……」

 

 ペインやサリーなどの【楓の木】や【集う聖剣】、ミィやベルベット、ウィルバードの【炎帝の国】や【thunder storm】、【ラピッドファイア】を応援するものも多かったのだが、それを超える勢いでメイプルとコウヨウの化物スキルが目立ったのである。

 

 ☆

 

「このまま勝負を決めよう、メイプル、コウヨウ」

「うん! そのためにみんなで準備してきたんだもんね!」

「もう何も怖くないですわ!」

「コウヨウそれ死亡フラグ」

「もう絶望する必要なんて、ない!!」

 

 そう言ってコウヨウはレリフル装備のまま、サジタリアスの弓矢を1発放つと、狐の面があったおかげで相変わらずの即死の弓矢が射程範囲にいる相手プレイヤーを割と結構な数散らせた。

 

「これもう専用防具いらねぇじゃん」

「本当になんなの……その弓矢……」

「お兄ちゃんカッコいい!!」

「我に値する者は今この世には存在せん……我、盃に花を浮かべ、髑髏のように貴様らを葬り去るのだ……」

「私だって、現実で紅……ってコウヨウなんか凄くテンション変じゃない!?」

「お兄ちゃんが私を守ってくれるなら、私がお兄ちゃんを守ってあげるよ!!」

「メイプル、わたくしは恩義や礼目当てで貴方の兄をしたつもりはありませんわよ!!」

「コウヨウ! 相手をどれだけ倒してももう最悪どうでも良いから死なないでね!」

「約束しましたわ! ひかりちゃんと一緒にスタァになるって!!」

「お兄ちゃんの台詞の人はもういよいよ誰なの!?」

「サラッと浮気するな!!」

「この前いちかちゃんってアニメの子がサリーに雰囲気似てたから惚れた」

「はっ倒すよ?」

「歌めっちゃ上手い」

「お兄ちゃん声フェチ?」

「多分」

「なら今度からコウヨウの耳元で囁いて搾り取ってあげるね」

「ヤメテクダサイシンデシマイマス」

「お兄ちゃん顔真っ赤」

 

 防御面ならば魔法は全てコウヨウが止め、攻撃はメイプルが止める。攻撃面ではコウヨウが斬り裂いて、サリーも鍛えたプレイヤースキルで相手を倒す。最強の三角陣形が今ここに誕生した。

 

「面倒だからミィさんもベルベットさんもウィルバードさんもリリィさんも兎に角全員ぶん殴りますわよ!!」

「「お願いだからレリフル姿で殴らないでね!?」」

「ウィル! 頼むぞ!!」

「【ロングレンジ】【滅殺の矢】……流石に今度は……」

 

 決意中にも関わらず、流石になんとかしたいウィルはメイプルにでも一撃を当てようと矢を放って見るが……

 

「「させるかぁ!!」」

「サリー、お兄ちゃん!?」

「コウヨウ! メイプルは私が守るから暴れちゃって!!」

「サリー、妹を頼む! テメェ……舐め腐ってやがるなこの野郎!!」

 

 コウヨウとサリーは絶対に許さなかった。確実に仕留めたと確信したウィルの矢は、刀とダガーに斬り捨てられたのだ。

 

「フフッ、流石に私も怒っているから身体借りるわよ……闇に蔓延る哀れな魂よ……」

「え? こ、コウヨウ??」

 

 サリーが少しばかりコウヨウから発せられないような声で喋った彼に疑問を持った瞬間、レリフル装備を高速で侍装備に変えて【無詠唱】で【浮遊】と【雷加速】を発動。既に彼は弓兵の元にいた。

 

「人を傷つけ、貶めて……」

「ウィル!? いつの間に首に刀が……?」

「な……なんという……速……さ」

「罪を重ねる業の魂……」

「くっ……間に合……」

「無駄よ、愛の力を思い知れ人間共」

 

 弓を向ける前に刀を首に当てたのは……一度彼に敗北した最強の侍。【無詠唱】での【居合極】はウィル達の目よりも、弓の速さよりも、どんな光の速さよりも……最速だった。

 

「いっぺん、死んでみる??」

 

 彼の本気は絶対に勝てないと心で悟ったリリィとウィルバードはそのまま消え失せたのだった。

 

「コウヨウナイス!! やっぱりちょっと様子変だけど……」

「フフッ……私のマスターを殺した罪は……地獄で報いなさい……」

「コウヨウ?? なんか口調変じゃない??」

「今戻るわ……ん? いや、普通だぞ? とりあえず……ご機嫌ようベルベットさん……次は貴様だぁぁぁぁ!!!」

「み、ミィさん! なんかあのお嬢様侍が怖いっす!?」

「リリィ……ウィルのやつ……動きや立ち回りは全く悪くは無かったが……アイツの怒りを買う意味では余計な事をしてくれたな……」

 

 そう言って頭を抱えたミィは怒ったコウヨウの恐ろしさを思い出すと恐怖で震えが止まらなくなった。

 

「シンフォーギーアァァァァァァァ!!!」

「ヒィィィィィ!? 逃げるっすよ!!」




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