妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流とテイムモンスターと打ち上げ

「朧よ」

「何? ムサシ?」

「主達仲直りしたみたいだな」

「まぁ……そうね……シロップも良かったわね」

「ふぇ……? うん。そうだねー」

 

 コウヨウ達が打ち上げしている中で、テイムモンスター達はこっそり集まって楽しく会話をする予定だ。今会話しているのはメイプル、サリー、コウヨウのテイムモンスター達、ムサシ、朧、シロップである。

 

「それにしても……相変わらずアンタ強いわね……」

「私は死んだ」

「でもその一度だけじゃない。私、サリーが恋人だからコウヨウの戦いとか見るけど、アンタその一回しか死んでないんでしょ? しかも自分のスキルの犠牲なんて死んでない様なものよ」

「まぁ……そうだが。でも、それって主が強いからだ」

「ムサシちゃんも強いと思うけど?」

 

 謙遜じみた事を言うムサシに対して亀のシロップがムサシの強さを褒める。確かに全体的に考えたら、メイプルやサリーはノーデスであるし、サリーに至ってはコウヨウとのイレギュラー勝負を除けば完璧なノーダメージである。

 対してコウヨウはダメージも受けるし、普通に死んだのもあるから2人より大した事ないと思われる可能性も大きい。

 だが、コウヨウの強さはそんなメイプルを決闘と言えどもキルした挙句、サリーを投げ飛ばし、挙げ句の果てに2人よりも全てのイベントをカウントすると彼の方がプレイヤーを斬る人数が何十倍もあるのだ。

 しかも、それの助けをしているムサシはあの一回以外はノーデスだった。だからこそ朧もシロップもムサシを讃える。

 

「シロップも朧も強いと思うが??」

「そりゃ……負ける気はないけど……私もシロップもマスターであるサリーとメイプルを補助する役割だから、アンタみたいに自分で攻撃とかしないわよ」

「私はメイプルを守るだけだからー、攻撃に参加する事はあまりないかなー」

「口から波動砲撃つのにか」

「たまにしか撃たないよー」

「シロップも相当ヤバいわね……」

「それを防がれたー」

「暇つぶしだ」」

「ムサシ、やっぱりアンタが一番やばいわ」

 

 この中で完全攻撃特化なのは確実にムサシだけである。たまに【精霊砲】という訳の分からない光線を口から吐くシロップもいるが、たった一度だけメイプルとコウヨウが毒まみれで遊んでいる(コウヨウは【無双転生】で避けながら【毒竜】撃ってただけ)時に、こっそりムサシはシロップのそれをたまたまぶった斬った事もあったので朧は真似出来ないとドン引きした。

 

「私も参加してよろしいですか?」

「楽しそうな話してるな、俺も混ぜてくれ」

「イグニス、レイ。構わんよ」

「また凄いメンバーが来たわね……」

「こんにちはー」

 

 間延びした声でシロップが挨拶したのはペインとミィのテイムモンスターである、白竜のレイと鳳凰のイグニス。堂々とした佇まいではあるが、ムサシ達の話に興味を持ってこちらに来た。

 

「イベント楽しかったな」

「あぁ、なんとかこっちサイドは勝てたから良かったぞ」

「負けたのは悔しいですが……楽しかったのは事実です」

「そういえばイグニスだけ別のチームよね、そっちはどんな感じだったの?」

「感じ……ですか……そうですね、マスターは本当に頑張ってましたし、他のメンバーも頼りがいがあって正直負ける気は無かったです……あの男がいなければですけど……」

 

 そう言ってイグニスはサリーと仲良く食事をしているコウヨウを見つめる。レイも視線を彼に向けながら目を細めて答えた。

 

「最初アイツと会った時は正直舐めているなと思った。マスターの戦いの誘いを断り、釣りなどという訳の分からない事に誘って来たからな」

「竜として戦いは誇りだ……それを断る人間などたかが知れてる……そう思ったのだが……」

「彼は本当に強すぎますよね……」

「主は強いからな!!」

「お前もな……」

 

 ペインがレイを引き連れてコウヨウと戦った事が、実は一度だけあった。その時はペインがテイムモンスターを手に入れたからとコウヨウに伝えたのに、おめでとうございますと全く気にもしない態度をとりやがったのもあり、【集う聖剣】で囲んで強引にペインとコウヨウの決闘に持っていった時である。

 その時は彼は普通にムサシを巨大な剣に変えて、レイの炎などを斬り裂いた挙句、頭にムサシを叩き込んだ。普通に一撃で地面に叩きつけられたレイは本気で何が起こっているのかなど分からなかったが……

 

『テメェらそろそろしつこいから俺も容赦しねぇぞ?』

 

 そう言われた時にはもう既にペインと一緒に地面に落ちていた。あのスピードはもはや龍であるレイも追いつけなかった。

 

「お前がどんな奴か分からなかったが……まさか30メートルの大剣に変身したり、1センチも無いカミソリの刃に変身したりする奴とは思わなかった……」

「しかも人間になるわよコイツ」

「私も見た事あります……というか私もあの人に斬られましたし……」

「流石ムサシちゃんだねー」

「ありがとうシロップ」

 

 もはやテイムモンスター同士でも、話題の中心はコウヨウになるようだ。ふと、ムサシは思い立ったのでコウヨウの方に向かった。少しだけ会話した後すぐに戻って来たので、朧達は何かあったかと問うた。

 

「主から許可得られたぞ」

「なんの話よ?」

「変身!!」

 

 ムサシがそういうと、人型の姿に変身した。相変わらず姿形はコウヨウにそっくりである。強いて言うならコウヨウより少し身長が高いのと、髪が白色である事くらいだ。

 

「フフッ、やはり馴染むな、この格好は……」

「本当に何者なんだお前は……」

「でも、カッコいいですね」

「サリーが間違って惚れちゃうんじゃない?」

「サリーは大丈夫だよー、お兄さんしか見てないから間違わないよー」

 

 サリーが間違える可能性を考慮した朧だが、シロップはお兄さんと呼んだコウヨウをサリーが間違えるわけ無いと確信していた。メイプルと同様に、ゆったり、まったり、のんびりとしているシロップだが、大事な事はハッキリ伝えるし、大事な局面では真剣になる。

 

「朧、今の私はどうだろうか?」

「え? まぁ……カッコいいんじゃない? でも……普通のムサシの方が、私は好きよ」

「じゃあ戻るか!!」

「早!?」

「朧、好きだぞ!!」

「くっつくな! 暑苦しいわね!! って、ちょっとアンタ達、止めなさいよ!!」

「仲が良くて良いですね」

「恋人同士の間に入って邪魔をするほど俺も野暮ではない」

「恋人じゃないわよ!?」

「違うのー??」

「違うわよ! シロップも変な事言わないで!!」

「私は朧の事好きだよ?」

「うっ……あ、ありがとう……」

 

 ムサシはムサシでコウヨウに似ているのか、言葉の愛情表現がストレートなので朧も照れる。朧は朧でサリーに似ているのか似ていないのか分からないが少しばかりツンケンしているが、もしもムサシと仲が深まったら彼女のように好き好き大好き犬系女子みたいになるだろう。

 

「そういえば……アンタってどっちなの?」

「どっち? 人間ってことか??」

 

 朧が聞きたいのはムサシの性別だった。私と言っているし、人型になると女性になるので女の子かと思っているのだが……

 

「私はどっちも変身出来るよ。ただ、元々男だった」

 

 ムサシの答えに4匹のテイムモンスターは驚いた。ムサシ曰く、元々大剣豪と呼ばれる程の男侍であったのだが、死んでから転生か何かをして、気がついたらこの格好だったと改めて伝えた。なので女にもなれるし男にもなれる両生類のモンスターだと伝えた。

 

「本当に……不思議ね……アンタって」

「でも、そんな事どうでも良い。私は朧が好きで主の事も好き。それで良いからな!!」

 

 あまりにもストレートな物言いに朧も呆れるのだった。

 

(まぁ、こう言っておけば……みんなも怪しまないだろう……後は野となれ山となれだな主……)

 

 ☆

 

「そんな訳でコウヨウはそろそろ存在自体規制がかかっても良いと思うんだ」

「本人がここにいるのにミィさんは真顔でなんてこと言うんですか」

「コウヨウはもう人間ではない。みんなもそう思うだろう?」

「おい火遊び、斬るぞ?」

「まさにトップスタァだな」

「ペインさんまで……」

 

 ミィの言葉に全力で頷いた【集う聖剣】、【炎帝の国】、【thunder storm】、【ラピッドファイア】のギルドマスター含めた上位プレイヤーの各々。打ち上げでメイプルが呼んだメンバーは全員ミィの言葉に異論はなかった。誰か突っ込めとコウヨウは言うが誰も突っ込まない。

 

「だって私達4人でかかったのに……1人倒された挙句……コンティニューして最終的に全員コウヨウさんに斬られたんですよ?」

「それに関しては私も同感です。コウヨウさん……貴方はこのゲームに居てはいけない……」

「ウィルさんもシリアス顔して俺を仲間外れやめてくれません?」

「確かにお兄ちゃんがいると私たちがペインさん達と戦えないから困るよね」

「メイプルまでもか!?」

「そりゃそうでしょ、私達だってペインさんやミィさん達ともライバルなのに、嫌でも嫌じゃなくてもコウヨウをみんな見てしまうんだから」

「サリーの場合恋人だからでは?」

「いや、俺達もサリーと同意見だ」

「ペイン……お前まさかコウヨウの事……」

「ドレッド、お前はコウヨウを見すぎて基準がおかしくなっているんだと思うが……今の俺ならお前くらいは切れるからな?」

「すみませんでしたギルドマスター様」

 

 サリーの話よりも正直、実の妹に間接的と言えども邪魔なんだよねと言われたら普通に泣きそうである。だが、みんなの言う事も一理あるとコウヨウは思った。

 

「まぁ……俺だって分かってるよ。ただ、初ログインの時に変な首輪つけられてステータスが下がる代わりに経験値とスキルポイントがぎょうさん獲得出来たせいで、誰よりもレベルMAXになった挙句、ステータスが5桁っていうありえへん数字出たからでらやばいやん」

「色んな言葉が出るくらいコウヨウも混乱してるんだな……」

「それでも、私達が合流した時から既に超えられない存在になってるのどうなの??」

「ムサシテメェのせいだぞ」

「だってしょうがないじゃないか」

「「「テイムモンスターが喋るの!?」」」

 

 

 ムサシが喋る事を知らないプレイヤーが驚きの声を上げるが、それよりもコウヨウだって正直本音言うとそんなつもりではなかった。サリーからゲームに誘われて、ものは試しにやってみるかとプレイしたらわけ分からないくらい強化されていたのだから。

 

「俺は普通にサリーとメイプルでこのゲーム楽しめたらなと思ってたのに、俺が始める前に妹はわけわからんVITで第一回イベントで3位になるし、サリーはサリーで始めたばかりなのにやっぱりゲーム大会経験者だから回避盾でノーダメージやって大暴れしてるし……最初はなんか置いて行かれた気分だったよ……でも、なんとか追いついたと思ったらなんかライバル視されてるしワケワカメ……」

「ちょ、ちょっと待って下さい!!」

 

 コウヨウの言葉に【thunder storm】のヒナタが待ったをかける。彼は何も気にせずどうしたのかと聞くが、彼女にとってはありえない単語が聞こえたのだ。

 

「コウヨウさんはサリーさんとメイプルさんの3人で一緒にこのゲームやったんですよね?」

「違いますね。最初はサリーが勉強するからメイプルが先に始めたんです。その後イベント終わりにサリーがメイプルと始めて……俺が初ログインしたのは確か……第二回とか第三回イベントの開催少し前ですよ」

「って事は……え? コウヨウさんが1番遅かったんですか?」

「そうですよ」

「メイプルさん達と一緒に同じ時期でやってたのかと……」

「ハードがメイプルの分しかないから東奔西走して抽選受けたり並んだりして探してたんです。NWOリリースのせいでソフトはサリーが買ってくれたんですが、ハードがすこぶる売れたので抽選受かり待ちでした。だから俺が【楓の木】で一番の新人です」

「だから主の出席番号は9番なんだな」

「後、師匠が戦い嫌いだからとかメイプルさんやサリーさんが強いから足引っ張りたくないとかほざいてギルド加入してなかったんですよね」

「ユイちゃんマジ辛辣」

 

 コウヨウとムサシ、ユイの言葉にみんなが黙る。リリース後から参加したプレイヤーも多くいるしコウヨウはリリース後から見ると他のプレイヤーより遅めのログインである。ただその成長ぶりにみんなは驚きを隠せなかった。

 

「俺より遅いのに……俺より成長早いのはヤバいな……」

「結論言うと元々の原因はこのわけ分からない首輪のせいです」

 

 そう言ってコウヨウは【呪いの首輪】を見せて話をしたが、誰もが謎だと伝えるしかなかったのだった。

 コウヨウはイズの手伝いをすると言って、ギルドの厨房に向かって歩いたので、残されたのはコウヨウとイズ、コウヨウについて行った双子以外のメンバーである。

 

「それにしてもコウヨウもそうだが、サリーもヤバいよな」

「スキルをキャンセルして見えない攻撃を撃ってきたのはハッキリ言って異常ですよね」

「サリーはプロですからね」

「果たし状でも送ろうかな」

「あはは……まぁ、勝ちますよ」

「正直俺達がサリーに挑んだ所で彼女は満足しないだろう」

 

 サリーの実力もこのイベントで露出した事もあり、全員がメイプルだけでなくサリーにも目をやるのだが、サリー自身は遠くで魚を捌いている1人の男を見ていた。

 

「恋人とか幼馴染とかそういうのもありますけど……コウヨウっていう存在にいつか勝ちたいですから」

「私だってサリーと戦いたいよ!!」

「メイプルにもね」

「それにしても……アレだね……」

 

【ラピッドファイア】のリリィは彼の姿を見て少し考える。イベント以外の彼はとても温厚だなと。

 

「彼はアレが本来なのかい?」

「え? どうして?」

「イベントの時はまるで天下の大将軍のような立ち回りや言葉遣いだったからね……正直意外だよ」

「まるで二重人格だよなぁ……何で普通の時はあんなに歳下に懐かれながら魚捌いて優しく話してるのによぉ……」

「戦った時だけおぞましいよな」

 

 恐ろしいではなくておぞましいとドレッドはドラグと話す。みんなからすればとてつもない感情の切り替えであると苦笑いする。

 

「そういえば……こう聞くのもアレだが……コウヨウにぶん殴られた奴いるか?」

 

 一回でも殴られた事のあるドラグがみんなに尋ねると、ペイン、ミィ、マルクス、ウィル、ベルベット、シン、フレデリカ……

 

「ほぼ全員じゃねぇかよ!?」

 

 女も殴るのかとドラグは別の意味で恐怖した。

 

「サリーやメイプルは大丈夫ですか?」

「え? お兄ちゃん怒ったら怖いですけど殴りませんよ?」

「はい。私も全く殴られた事は無いですね……まぁ、冷静に言葉で段々と注意されるのは怖いですけど……」

「飴と鞭の差がデカすぎる……」

「僕なんてミィが挑発したせいでとばっちり受けたからね……」

「マルクス、アレは本当に申し訳ない……」

 

 マルクスは別にコウヨウを刺激して殴られた訳ではなく、ミィがコウヨウに暴言を吐いたせいでブチギレた拍子に近くにいたマルクスを全力でぶん殴ったのだ。

 

「もうアイツ殴るだけで俺たちと戦えるんじゃねぇか?」

「ベルベットみたいだね」

「私っすか!?」

「ベルベットのスキルで殴っても、殴り返されて終わりそうだけど……」

「ヒナタの言う通り過ぎて怖いっす……実際殴り返されましたし」

 

 確かにベルベットも拳で殴ることを武器としているが、コウヨウの様に素手で殴るプレイヤーはそもそも威力とか間合いの問題もあり誰もしない。殴っても基本的には良くて10くらいしか削れないからだ。なのにベルベットはぶん殴られただけでかなりHPを持ってかれた。

 

「コウヨウがウワキシテル……」

「してないよね!? お兄ちゃんどう見てもユイとマイ……あれ? どうして話してただけなのに……頭撫でてるの???」

「不穏な空気だな、ミィ、俺達は逃げよう……みんなはどうする?」

「「「「逃げよう」」」」

 

 その10秒後、サリーとメイプルはコウヨウという名の色男に全力のストレートを顔面にぶつけに行ったのは当たり前の話。

 

「俺が何をしたっていうんだ……」

「まさか指先1つで止められるなんて……」

「お兄ちゃん反則! 最低!」

「飯作ってる時に何してくれるんだお前達は!!」

 

 コウヨウ君は普通に怒りました。

 

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