妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と【魔王】の暗示

 打ち上げが終わった後、【楓の木】は全員で次回のイベントやこれから行く第十層の話をしていた。まだ第九層のクエストとかが残っているが、第十層の然るべき時に備えて準備をしなければとみんな気合を入れた。

 

「第十層……いよいよここまでアプデが来たのか……」

「コウヨウがいれば大丈夫そう」

「サリーちゃんの言うとおりね」

「サリーの言うとおりだよね」

「「サリーさんの言う通りです!!」」

「お兄ちゃんなら平気でしょ」

「サリーに賛成だな」

「兄さんがんばれ」

「お前らそこに直れぶった斬る」

 

 コウヨウは少し怒った。せっかくキリのいい10という数字なのだからみんなで攻略しようぜと伝える。

 みんなからすればわけ分からないステータスの彼がいるおかげで助けられているので、それが当たり前になっていた。

 

「俺が使い物にならなくなったらどうするんですか?」

「リタイアだね」

「おいゲーム大会優勝者、それでいいんか?」

「冗談だけど……でも、凄くキツイかも……」

 

 サリーは冗談めかして笑うが、コウヨウからすればギミックでプレイヤー封じなんてものも存在する可能性があると予想をしていたのもあり、いつ自分が役に立たなくなるか分からないと伝えた。

 

「でもコウヨウならなんとかしそう」

「カナデ、無理だって」

「コウヨウなら鎖とかも引き千切りそうだな」

「そういうギミックじゃなかったらどうするんですか」

「戦略的撤退ー!!」

「するんじゃねぇよ」

 

 まぁ、そうならない様に隠しダンジョンなど見つけて、新しいスキルを手に入れれば対策にはなるだろうとはコウヨウ含めて少しばかり思っていた。

 

「それじゃあメイプル、私達はレベル上げしようか」

「俺も行きたい」

「コウヨウレベルMAXなのに?」

「俺も行きたい」

「お兄ちゃん来たらすぐモンスター倒しちゃうじゃん」

「俺も行きたい」

「「連れて行くから泣かないで!?」」

 

 コウヨウも寂しがりなのでメイプルとサリーについていく事にしたのだった。

 

 ☆

 

「頑張れ、頑張れー」

「手伝ってお兄ちゃん!?」

「2人のレベル上げだろ?」

「だから来なくても良かったのに……」

「楽しいからいいんだよ」

 

 コウヨウはこうして形は違っても、メイプルとサリーの隣でこうして参加するだけでも、嬉しいのである。まるで、母親の様に微笑んで見ていた。

 

「お兄ちゃん聖母みたい」

「2人が可愛くてな」

「昔はコウヨウがいっつも私たちの面倒見てくれたよね」

「でも今はメイプルはカナデに世話して貰ってるし、サリーは俺がいなくても頼りになるからな」

 

 コウヨウはそう言ったが、2人は違う。彼がいないとダメだと言わんばかりに幼少期は甘えまくったし、今もこのゲームで彼に頼らないと出来ない事ばかりだった。

 

「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「ありがとうね」

「俺今何もしてないけど」

「今は、ね」

 

 立てば殺戮、歩けば兵器、振るう姿は天下無双。そんなコウヨウはサリーやメイプルに大きく影響を与えた。

 

「さてと……俺も新しいスキルを……」

『ミツケタ』

 

 2人を見て安心したコウヨウは少し別の場所を振り返ると……真っ黒な魚の形をしたモンスターがそこにいた……そして……

 

『ガブガブ!』

「うわぁ!!?」

「「お兄ちゃん(コウヨウ)!?」」

 

 コウヨウは喰われた。魚に。残されたのはメイプルとサリーだけである。

 

 ☆

 

「お前が殺した同胞の数を数えろ」

「お前は今までに食べたプランクトンの数を覚えているのか?」

 

 喰われたコウヨウが目を覚ましたのは、暗い海の底である。久しぶりだと感じたコウヨウ。そこにいるのは前に倒した海皇だった。

 

「俺を殺すか? 海皇」

「それもいい……が、今日は別だ……装備を返してもらおう」

「は?」

 

 海皇の言葉を詳しく聞くと、サジタリアスの矢などのゴールド装備は元々海皇の物だという。

 

「お前を倒すためになんか手に入れたやつなんだけど」

「元は我の秘宝だったが、貴様が気に入ったようでな。我に対して人間を虐めるなと反発してきたのだ」

「無茶苦茶だろこの装備……」

 

 とは言え、結局は海皇の物だということは割と嘘ではなさそうなので、装備は一式渡すことにした。その後、海皇はその対価としてと一言伝えて、呪いの首輪という言葉を口にした。

 

「これ……もしかしてお前も関係が? でも、【魔王】ではないよな?」

「我は違う……だが、それはこれからお前の脅威になる。この次の場所にある気配と同じ気配が……ある」

「同じ気配……第十層か?」

「主、恐らく……【魔王】がそこにいるのでは無いか?」

「そうだな……」

 

 いやそれだけでは無いと海皇が伝える。現にこうしてコウヨウに会いにくるのは絶対に何かある。『海皇を説得しろ』なんてものが出てきたからだ。

 

「お前は本気を出した我には勝てん」

「主でも勝てぬと?」

「侍だろうが所詮は人間。1人如きで我を倒そうと思うな」

「仲間連れてこいってか?」

「ただの人間の寄せ集めでは勝てぬ。貴様が共に戦うつもりである者どもと一緒に、我を倒してみろ。さすれば新たな話を貴様に伝える」

「【魔王】の存在を知りたいなら強くなれってか……」

「さらばだ……人間……」

 

 そうして海皇は消え、コウヨウも転移していったのだった……

 

 ☆

 

「大丈夫!? お兄ちゃん!?」

「ああ……心配かけたな」

「コウヨウが喰われたのもビビったけど……そのまま口から出てきたのもびっくりしたんだけど」

「なんとか脱出した……帰ろう、2人とも」

 

 黒い魚から出てきたコウヨウは心配するメイプルとサリーに一声かけて、そのまま進んで行った。

 

「なんか……お兄ちゃん変だね?」

「うん……大人しいよね……」

 

 海皇が最後に言った言葉……

 

 ──もしも我を倒すことができた貴様達なら……この首輪も、これからの脅威も何とかなりそうだな……

 

(アレは……やはり【魔王】の暗示。もし、この呪いの首輪がまた俺を苦しめるのなら……やるしか無いよな……)

 

 コウヨウは考えながらも、ムサシに対して一言伝えた。

 

「ムサシ」

「何?」

「俺を強くしてくれ」

「分かった」




 ものもらい引っかかって左眼見えないんで、新章の前に少し休みます。
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