妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
シロップ(亀)投稿まではいかないですのでご安心ください。
「主に足らぬものは受けである」
「攻撃受けたら死ぬけど」
「たわけ」
ムサシが人型になれる洞窟で話をするコウヨウは彼に強くなる極意を聞いていた。ムサシが言うには今のコウヨウに足りないのはステータスでもスキルでもなくPS一択であることだという。
そうしてその極意はムサシ曰く『受けの極意』。内容としてはただ攻撃を受けきりながら、相手のスキルや攻撃の動きを把握して予備動作前に斬り捨てる絶対的反撃が彼を強くするのだという。
「例えば私がこの速さで主を斬る」
「危ねぇ!? 速いって!?」
「すると主は止める……が、今私がやった動き分かるか?」
「いや、速くて見えねぇよ……」
「それを見て覚える。そして私が攻撃する前に、私に攻撃される前に、主が斬り伏せる。それが真の受けの極意」
「攻撃特化はダメなのか?」
「たわけ、相手の動きが分からぬ以上無闇矢鱈と動くものではない」
「理解……だが、お前は早過ぎる」
「頑張れ」
「え? 本気で言ってる??」
突っ込んでしまったが、今の話はコウヨウも分かる。今までの戦いはまさにAGIで殴り込むスピード勝負であるが、それだけだと相手もスピードに慣れてしまう。ベルベットに殴られた事や、焦りすぎてあの4人との戦いで敗北をした時はまさにそうだった。
「主は頭では理解しているが心では理解しておらん」
「どういう事だ?」
「今までの行動を思い出してみろ。本気で自分のステータスに謙遜があるならそこまでの速さで敵は斬らぬし、戯言も言うまい」
それをしている事はもはや驕り。頭ではスキルだけでなく、AGIやSTRに頼りすぎはいけないと分かっていても、コウヨウの戦いからムサシは心が浮ついているのだと指摘した。
「貴様の強さは私も知っているが、それを驕るなら私を地に足つける事は叶わぬ。まして【魔王】も二の次よ」
「ぐっ……なんか……最近ムサシ厳しくねぇか?」
「主が言ったのだろう。俺を強くしろと。ならば心を変えてでもやってやろう、我が最強の極意【二天一流】を伝授しながらな……ほら、立て主」
「戦えんのか?」
「【魔王】が近づくにつれて私の力も取り戻しつつある。今の私なら主くらいには余裕だ」
「やってみろや剣豪」
「黙れ小童」
そう言ってムサシはコウヨウに対して刀を構え、そのまま彼を叩き潰す事にしたのだった。
⭐︎
「と言うわけでムサシに勝てません」
「「師匠(コウヨウさん)は何を言っているんですか?」」
「本気出したムサシに勝てないです。俺が死んでムサシが消えて俺が生き返ったらもう一回ムサシを生き返らせてやり直しループしてるけど……」
「空飛んでも、黒龍になっても、化け物になっても、全力AGIで【無詠唱】斬りしても全部止められて斬られました」
「人間五十年」
「それお前じゃねぇだろ」
「「怖いです」」
まさに無限ループ特訓である。ユイとマイはたまたまギルドに顔を出しており、目の前に愛しのコウヨウがいたから成果を聞いてみたのだが、返ってきたのは化け物クラスの意味不明な出来事である。
「だが、主の動きはだんだんと良くなっている。このまま行けばまさに夢幻の如くなり」
「だからそれお前の名言じゃねぇだろ。ってかアレの内容理解してます??」
織田さんの名言だった気がすると歴史は宮本武蔵以外あまり詳しくないコウヨウが突っ込むが、流石にユイとマイの知識には無く、2人からすればハテナであった。
「師匠、私達もムサシと戦いたいです」
「正気か貴様?」
「師匠!?」
「コウヨウさん怖いです」
「いや、ごめん。ユイがとんでも無いこと言ったからつい……ムサシは?」
「全員纏めてかかってこい。何時にても、役にたつやうに稽古し、万事に至り、役にたつやうにをしゆる事、是兵法の実の道也」
「「通訳お願いします」」
「えっと……実戦の役にたつような稽古をつけてやるから来いって言ってる」
「行くぞ我が弟子達よ」
「いつからお前の弟子に……いや、そうかもな」
思えばコウヨウはムサシと出会ってから飛躍的に強くなったし、ユイやマイにその強さを自分なりに纏めて伝えたのはコウヨウである。正直みんながとやかく言ったところで、割とコウヨウもユイもマイもムサシの弟子だったことは本人達はスッと胸の中に入った。少し笑いながら、3人でムサシと特訓をするために、あの洞窟に向かうのであった。
「「「勝てません」」」
「動きは良いが、まだまだひよっこだな」
誰も一勝出来なかったが……
「この程度か」
「勝てるかこんなの……」
「師匠が空飛んでも負けるなんて……」
「コウヨウさんの全スキル使っても負けるなんて……」