妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と因縁の双子

「お互い8本持ちならもはや俺の出番は無いかな」

「やぁぁぁぁ!!」

「はぁぁぁぁ!!」

 

 テイムモンスターである熊に乗りながらユイとマイはモンスターを蹂躙する。最近【決戦仕様】というスキルのおかげで当たり判定が広くなったのもあり、より一層悪質な蹂躙が始まったのである。

 それを見守りながら微笑むコウヨウだが、他のプレイヤーからすれば笑えないし微笑めない。

 

「コウヨウさん! なんか大きいモンスターが……」

 

 マイがコウヨウに対してモンスターの存在を告げた瞬間にモンスターは粒子になった。既に刀は抜いており、斬撃エフェクトが無数にモンスターがいたところを飛び回っているだけである。これが【二天の無紅へ】。コウヨウ史上最強スキルだった。

 

「「は……速い……」」

「なんかあったら斬るから存分に暴れとけ」

 

 ユイとマイはかなり強くなった。【楓の木】に入るまではSTR極振りを笑われ、バカにされ、パーティに誘っても来てくれないし誘われない状態だった2人。それが今やコウヨウやメイプル、サリーのアイデアや特訓を続ける間に一目置かれる存在にまで成り上がった。

 それでも追いつけない。どれだけのモンスターを倒しても、スキルやレベルが強化されても、どれだけプレイヤーを倒してギルドの役になっても、この化け物プレイヤーコウヨウがいる限り目標は高く、追いつけない。ユイは少し悩んでから、コウヨウにハッキリと伝えた。

 

「師匠……お願いがあります」

「なんだ?」

「一度私達と、決闘してくれませんか?」

「ちょっと!? ユイ……」

「良いぞ」

「コウヨウさん!?」

 

 本来であれば断るコウヨウ。だが、何となくこの誘いは断ってはいけないと本気で思ってしまったのだった。

 

「力試しがしたいんです。お姉ちゃんもやろう」

「そ、それじゃあ……お願いします……」

「分かった」

 

 ☆

 

「んじゃ、審判頼みます。ミィさん」

「お前らはどうしていつも私に対して無茶苦茶な誘いをしてくるんだ」

「俺達の偵察という体でどうですか?」

「ぐっ……仕方ない……」

 

 観戦ありの決闘、ユイマイVSコウヨウのゲームが始まった。HP0が敗北条件だが、コウヨウはムサシを使わないと宣言した。

 

「別にお前らを舐めてるわけじゃねぇよ。俺は俺の力でお前らを斬る、それだけだ」

「そんなわけでよろしく、火遊びの若造」

「そんなわけよりお前は誰だ!?」

 

 コウヨウの言葉から急にミィの隣に現れた侍ことムサシ(ツルギ)あまり事情の知らないミィは戸惑いながらコウヨウの説明を聞いて絶望した。

 

「コウヨウが2人とかもう無理だろ……」

「コウヨウさんには負けません……!」

「師匠を倒せるかなんて、考えないで戦います!」

「んじゃ、行くぜ?」

 

 決闘開始と同時に仕掛けたのはコウヨウ。【早着替え】を【無詠唱】で発動してレリフルになりながら、詠唱無しの【多重水弾】をテイムモンスターであるツキミとユキミにぶち当てた。

 

「え!? うわわわわ!?」

「お姉ちゃん! 降りて!!」

「テメェも早く降りやがれユイ、相手にとって小細工とかいらねぇよな?」

 

 そう言って思いっきりユイのテイムモンスターを蹴っ飛ばして吹っ飛ばした。テイムモンスターがやられた今、ユイとマイはその身一つで戦わなければいけないという状況が爆速で訪れた。あまりの速さと大人気なさに流石のミィも口を開けながら嘘だろと、呟くしかなかった。

 

「こ、コウヨウ!? お前手加減とか……」

「するわけねぇだろ、アイツらが本気で向かってきやがるならこっちは勧善懲悪だ」

「「ま、負けません!!」」

 

 コウヨウを前にしてもユイとマイは突っ込んでいく、コウヨウは大槌を避けながらも少し苦笑いを浮かべた。合計16本の大槌が彼を襲っているのもあり正直いつ当たるかわからない。

 

「こりゃ……意外とやべえかもな……」

「お姉ちゃん、合わせて!!」

「うん! ユイもね!」

 

 コウヨウがそう言ったのにはしっかりと理由がある。双子の攻撃が一方的なものではなく、しっかりと自分の動きから予測して動くコンビネーションスタンプを見せつけてきたからだ。

 元々大槌を振り回して攻撃するだけの2人だったが、交互に振り回す事により16本もの大槌をコウヨウは避けなければならない作業に駆られた。

 さらにいうとコウヨウのHPでも双子のSTRがあれば一撃で沈められるのは目に見えている。自分のやっていた一撃必殺が自分に向けられたのもあり、普通に恐怖だった。

 

「私たちから見て師匠はこんな感じですよ」

「俺いつもこんな事してたのか?」

「「そうですよ!!」」

 

 そして双子も双子で攻撃の手を緩められなかった。一瞬でも油断すればAGIで突破された挙句STRで一撃。綱渡りなのは一緒である。

 

「大技を使わねぇのがめっちゃキツイ……隙がねぇ……」

「大技に頼るのは腕に自信がない証拠だと、カスミさんから言われましたから」

「私達は本気で貴方を倒しにきてますから、覚悟して下さい……【ダブルストライク】!!」

「危ねぇ!? マジじゃねぇかコイツら!?」

 

 普通に避けてるコウヨウだが、冷や汗ダラダラである。ミィもミィで手に汗握ってはいるが、あの化け物同士の戦いには絶対入りたくない。16本の大槌を振り回す2人の少女とそれを二刀で弾いたり、避けたり、受け止めたりする力と力のぶつかり合いには、本当に小細工が効かないのだ。

 

「やっとコウヨウを地に落とす時が見えそうだな……」

「それはどうだろうか?」

「は?」

「主はまだあの型を出してない」

「な、なんの話だろうか……??」

「このままだと普通に負ける……ならばコチラも虚を捨て立ち向かわなければならないな」

 

 ふと、コウヨウが言葉を発した。双子は躊躇わずにそのまま大槌を振り回すが双子にも聞こえる声で恐怖の一言を放った。

 

「俺が16本まとめて弾き飛ばす」

「「えっ……??」」

 

 瞬間、コウヨウが刀を地面に叩きつけて大地震を起こす。【無詠唱】の【ダブルスタンプ】は2人を一瞬動けなくする為には充分であった。そしてその一瞬で……

 

「二天一流は兵法……テコ関連の知識があれば大槌くらい刀で飛ばせる」

 

 ──バキャァァァァ!! 

 

 ユイとマイ、そして2人の【救いの手】に持っていた大槌は一瞬にして宙に浮いた。

 

「な、何が起こ……!?」

「流石に剣豪よな、火遊び」

「その名で呼ぶな!?」

「【二天の無紅へ】そして、俺の全力。それで、お前達の大槌を持っていった。さぁ、その次はどうする?」

「「負けません!!」」

 

 ミィが驚き、コウヨウが台詞を発した瞬間に双子の目の前に迫る……が、

 

「お姉ちゃん!」

「ユイ!」

 

 これを待っていたと言わんばかりに自分達が持っていた2つの大槌を目の前の男に全力でぶつける。

 

「ヴェェェ!? 真正面からぶん殴って来るの!?」

「16本の大槌を弾けるのは師匠だけですが、力を分散しすぎて私達の持っている大槌があまり飛ばされなかったので!」

「持ち直しましたよ、コウヨウさんお覚悟!!」

 

 ユイとマイはメイプルやサリーと出会う前から、NWOでのコウヨウの戦いを前から知っている。だからこそ、メイプルにも、サリーにも、下手すればコウヨウでさえも知らない無意識の弱点があった。それは……

 

「「【ダブルスタンプ】!!」」

「なっ……!? グァァァァァ!!?」

 

 持ち前のAGIがあるにも関わらず、トドメを指すときは背後から奇襲を仕掛けることがあまりないということ。コウヨウは特に奇襲指示がなければ真正面から突っ込んで、その速さだけで斬り刻む事。だからこそ、双子はそれに賭けた。トドメを指す時は基本的にサリーなどの指示がない場合、絶対に正面から突っ込んでくると言うのはわかりきっていた。だからこそコウヨウはなす術なく……

 

「火力消し二刀流ぅぅ!!」

「ま……マジですか!?」

「嘘……でしょ!?」

「ハァ……ハァ……お前ら……マジで今のは効いたぞ……」

 

 双子の餌食となり、HPが1になりながらも、【救いの手】以外で持っていた彼女達の両手大槌累計4本を二刀流で受け止めたのだった。

 

「なんで4本も止められるんですか!?」

「これが俺の全力じゃい」

「む、無理……もうコウヨウさんには勝てません……」

「いや、勝てるね。もう少しメイプルやサリーから特訓してもらえれば絶対いける」

「流石我が主様よ」

「も、もう嫌だ……私おうち帰りたい……なんなんだよぉ……この化け物たちぃ……」

 

 その瞬間、謎のブザーが決闘上に響き渡った。

 

「「「え??」」」

「あ、タイマーセットしてたの忘れてた……コウヨウ、決闘は終わりだ!」

「って事は今の勝敗は……」

 

 決闘は基本HPが0になるまでだが、時間制限になる場合、残りHPで判断が下される。一言で決着をつけるならば……

 

『Win ユイ&マイ』

 

 そのポップアップで勝者は決定したのだった。

 

「ほら、勝てたじゃん」

「「く、悔しいです……」」

「それ俺のセリフなんだけど??」

 

 それでも双子は追いつけない。16本もの大槌を振り回してもそれを1人で対処する彼を倒すのには、全く持って程遠いと改めて感じてしまったユイとマイだった。

 

「こりゃ……私だけでコウヨウを倒すのは無理なわけだ……」

「ドンマイ」

「峰で私を叩くな!?」

 

 刀に戻ったムサシが何故かミィを慰めていた。

 

「ふむ……やっぱり複数人でジリ貧は負けるのか……もう少し俺は頭使わんとダメみたいだな」

「成る程……あの範囲が……それなら……」

「ユイ? どうしたの?」

「ううん。なんでもないよ」

 

 コウヨウとユイだけは1人で何かを話していたが、マイとミィはその言葉が聞こえなかった。

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