妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「よぉ、俺のスキル最近使ってねぇじゃんどうしたよ?」
「いきなり第九層で出てきたと思ったらお前かよ黒龍」
「暇だから来たんだよ」
第十層の前に第九層を回りながらPSを磨いていたコウヨウは【呪龍 ミラ・マキナ】をくれた黒龍に会った。
『クエスト 【始祖を超えた始祖】を開始します』
「また意味不明な力でもつけたか?」
「おう! 倒せたらまた良いもんやるよ……グガァァァァァァ……」
「し、白?? なんだその姿?」
勝手に開始されたクエストをコウヨウは攻略するかと考えたのだが、相手は黒龍ではなくまさかの白き龍。色が変わっただけでは無いなとは思ったが……
「主、アレはまずいぞ……」
「は?」
「主! 上だ!!」
ムサシがビビるなんて珍しいと思った瞬間、上から雷と隕石がそのまま落ちてきて……
「あ、これ死んだ……」
完成に油断したコウヨウに直撃したのだった。そのまままさかの粒子と化したコウヨウは、ムサシが粒子になると同時に姿を現した。
「へぇ、アレで死なないのか」
「いや、普通に死んでんだよ……ムサシ無しでまた戦うのか……」
「やり直せば??」
「悪いがそう言うわけにはいかなくてな……何故か弟子が泣くし……」
正直コウヨウとしてはそろそろ敗北は許されないことになっていた。あのイベントで一度死んだ彼はユイとマイに泣きつかれた。
「師匠、嫌です! もうずっと死んじゃ嫌ですぅ!!」
「コウヨウさん……私達を置いて……勝手に死なないで下さい……」
「メイプル、サリー助けて」
「「可愛い死ね」」
「ナニソレ怖い」
なんで自分だけ死んでは行けないのだろうか。自分はあの陣営イベントで初めての死亡カウントをしたので正直ノーデスとか考えなくても良いのに。むしろメイプルやサリーがノーデスなのだから向こうに頼めばいいはずである。
「なんであんなに泣かれたかしらねぇけど……まぁ、弟子たちの頼みだからもうあんまり死ぬわけにはいかねぇんだ」
「じゃあ倒してみろよ。お前1人で」
そう言うと白龍はそのまま宙に浮かんで翼を使って飛行を続けながら隕石と雷を落としまくる。対してコウヨウも【浮遊】で浮かびながら雷は避けて、隕石は斬り刻む事をしていた。というか隕石斬るってなんだよと、もしも誰かいたらそう突っ込むプレイヤーだと思うが、コウヨウを舐めてはいけない。
確かにイベントで死んだが、そもそも1回死にながらコンティニューして2000斬り自体が通常のトッププレイヤーが10人でやったとしても出来るか出来ないかの強さであり、それをしばらくたった1人でやってたコウヨウはもうすでに何者にも変えられない何かである。
「変身……ウガァァァァァ!!」
「お、いいね、カッコいい龍だね」
「勝負じゃあぁぁぁ!!」
コウヨウは【無詠唱】で【ミラ・マキナ】の黒龍に変身して、そのまま白龍に突っ込んでいく。攻撃はしっかりと避けるが、力比べになった瞬間、そのまま地面に叩き伏せられた。
「グァァァァ!!??」
「俺が渡したスキルを俺が攻略出来ないと思ってんのか??」
一瞬で元の姿に戻されたコウヨウは一旦離れて隕石を再び斬り刻んで行くが、正直ジリ貧どころか……
「勝てねぇ……」
「はは! この姿は始祖龍を超えた姿だ、お前の刀で倒せるわけねぇだろ!」
その言葉にコウヨウは止まる。そして一つ聞いてみた。
「お前はどうやってその姿になった?」
「あ? んなもん俺が元々龍だからに決まってんだろ?」
「ただの龍ならそこまで強くねぇだろ? なんか志でもあったのか?」
「なんだよ急に……時間稼ぎなら無駄だけど、まぁ俺はな、別に特別な龍でもなんでもねぇんだよ。負けたら群れから外れるし、勝ち続けても群れから外れる」
「じゃあなんでそこまで……」
「俺は龍王になりたかった。だから努力した」
白龍は少し喋る。元々小さな黒龍であった彼は、龍の中の王様になるために強くなったと。だが、そこで待っていたのはただの孤独。
「強くなりすぎても群れから外れるし、なんか失敗したなぁとは思った。でも、前の俺は本気でなりたかったんだ」
「龍の王様ってやつにな」
「なるほど、よし殺すか」
サラッとそんな話をしてくれた白龍に対して、コウヨウは少し考えて、その後やっぱり負けるわけにはいかないなぁと伝えた。
「は?」
「やっぱり俺はなんやかんやで人間でも、幽霊でも、ドラゴンでも……放っておけねぇんだな」
「何言って……」
「お前を斬るわ」
その瞬間、先程まで仁王立ちしていた白龍の右爪が破壊された。
「グガァァ!? な、なんで……爪が!?」
「言ったろ、斬るって。テメェを斬れば俺が龍王だ。お前はやっぱり負けたわ、とか言いながら群れに戻ればなんとかなるだろ」
「クッ……たかだか爪1つ……」
「爪1つ? 笑わせんな」
そしてコウヨウは一瞬で距離を詰めて、そのまま【二天の無紅へ】でもう片方の左爪も破壊。あまりの速さに流石に痛みと一緒に怯んだ白龍は空を飛んで、隕石と雷をコウヨウに対して落とすが……
「もう見切った」
隕石どころか雷すらも斬り刻んだ。しかも龍が驚いたのはコウヨウの速さでも、隕石や雷を斬ったことでもない。
「なんで俺の攻撃スピードについて来れる?」
「俺が見切れば最悪木刀でも貴様の技は斬れる」
「な!? ぼ、木刀ごときでこの俺の爪を……!?」
「やってやろうか?」
コウヨウは空を飛んで白龍に向かう。その瞬間、龍が木に負けた。龍からしてみればさっきの刀【青龍以下略】の方が圧倒的に力はあったはずなのに、何故木刀ごときで自分の爪が破壊されたのか疑問である。
対してコウヨウ自身は正直【豪傑にして英雄】を発動しながら、刀を【木刀】で喧嘩を売っただけである。
「いつかムサシに侍装備とこの刀は返すし、【海皇】にも黄金装備を返すつもりだったしな、もう黄金は無いけど、たまにはいいだろう。まぁそうなるとだ……この装備に変えるしか……無いんですわよ!!」
装備を高速でレリフル専用の【白装束の衣装】に着替えて、そのままカスミから貰った【紅葉紅】と【木刀】で二刀を構える。口調も整ったので、準備はOK。
「嘘だろ!? 装備は確実にさっきより弱くなってるはずなのに……なんで俺を傷つけられる!」
「わたくし薄々わかってましたの。自分はどうしようもなく弱い事を」
コウヨウは自虐する。最近よりもかなり前から思っていた事、それはたった一つ。
「テイムモンスターに頼りすぎて自分のPSが紙屑なんですのよ」
最強の二刀流釣り師と崇められた男は蓋を開ければテイムモンスターから貰ったスキルや装備で突き進むただの狐である事をコウヨウは前から知っていたし、それを知ってもなお頼り切っていたことを理解していた。
「いつか【魔王】を倒したら、ムサシもわらしも【海皇】も消える。恐らくアレもゲームシステムじゃないと思うからな」
「そうなると俺が【魔王】を倒したとき、今まで貰ったスキルや装備は消えるかもしれない……なら、簡単だ。わたくしが、俺が、NWOで自分自身で手に入れたスキルとステータスでお前くらい倒せないとユイとマイが泣いちまう」
そう言ってコウヨウはレリフル装備のまま白龍と対峙する。隕石も雷もしっかりと二刀で斬り刻んで、龍の目の前まで突き進む。
「取りましたわよ」
「残念、俺の目の前まで来たとしても……炎のブレスは避けられまい!! その忌々しい首輪と共に滅べ!!」
白龍はノーモーションでコウヨウに向かって炎を吐き散らかすが、コウヨウはそのまま突っ込んできた。何故呪いの首輪が関係してるのかは分からないが、コウヨウの強さはほぼこれなのでまぁ、良いかと突っ込む。
「ユイとマイから教えてもらったので把握しましたの。実はわたくしは本気で倒せそうだなと思った相手に対しては、真正面で喧嘩を売るんですわ……【幻の一角】」
まさかの木刀を一本握りしめることにシフトチェンジしたコウヨウは、そのまま炎に向かって刀を突き刺して突破しようとする。
「お前……本気で俺を……というか木で炎に立ち向かうのか!?」
「斬るって言いましたわ、さぁ、貫きなさい!!」
コウヨウにとって、レリフルにとって、火でも水でも風でも土でも闇でも光でも不思議な力も物理攻撃も魔法攻撃もそんなものはただの邪魔な障害物。今まで散々理不尽な奴らと戦ってきて、理不尽な数の暴力を1人で潰してきた自分の経験は例え自分よりも格上の白龍が放つ炎なんてビビるほどでも無かった。
そのまま彼は炎を貫き、白龍の口の中に入り込んでそのまま喉に木刀を貫通させた。
「ガァァァァァァァァァ!!? 痛いぃぃぃ!!」
「うるさいですわね。それくらいの傷さっさと治しなさい……勿論地面で寝そべりながら……ですわよ!!」
そのままもう一本の【紅葉紅】を白龍に向けて、木刀と共に叩き込んだ。龍は地に落ち、そのまま動かなくなりながら、声だけ出した。
「こ、こんな……バカな……事が……」
「わたくしと貴方の違いは1つ、孤独かそうでないかの違いですわ」
そう言いながらコウヨウは白龍の頭に手を乗せて……
「寂しくなったら俺を呼べよ、独りぼっちは寂しいもんな」
そう笑ってクエストクリアの文字を見つめるのだった。
【呪龍 ミラ・マキナ】が【始祖龍 ミラ・オリジン】に進化しました。
【始祖龍 ミラ・オリジン】
ドラゴンに変身出来ない代わりに隕石、雷、炎のいずれかを撃つことができる。威力はプレイヤーが持つSTRの20倍。1日3回まで使える。
仮に刀がボロくても、木刀でも、コウヨウはステータスの基礎が化け物なのでどうとでもなります。