妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と第十層の前

「諦めない、私だって舞台少女よ……!」

「掴んでみたいの……自分星!」

 

 第十層に向けたダンジョンで男が叫ぶ。それは男の想いと執念、全ての願いが詰まった一言。そして、このダンジョン攻略は、この自分星を掴むために奔走した男がケリをつける1つの場所であった。

 

「あ、安全第一で来たのに……そんな事がありえるのか……??」

「ありえない……とは言えないな。アイツがいるから少しばかり慢心もしていた私が言うのもアレだが……」

「もう……次元が違いすぎるわね……」

 

 男は進む、水の中であっても、魔法使いのモンスターであっても、竜巻のような水流を敵が放って来たとしても……ただ、歩いてゆっくりと進み続ける。

 

「テメェらがこれから見るのはたった一つの絶望だ……ムサシ……ツルギの仇を取るために、貴様ら諸共葬ってくれる……」

 

 ——良いぞ主……その勢いだ……さすれば余は……

 

「ん? 余??」

 

 ──どんな訳があったのか、俺は刀に囲まれて、気がついたら身体の全てを刺されていた。痛みはないがなぜか背負う羽目になったその刀はとても重い。長い間、それは消える事のない。

 

「理解者など誰一人〜、傍にはいなかったから〜」

 

 彼は進む、二刀を持って、雑魚敵でもなんでも斬り裂くいて。モンスターが攻撃をしても武器であれば片方の刀で止めて、もう一方の刀で斬り裂く。魔法であれば斬ることで消し去ってそのまま近づいて斬り倒す。ランスと大楯のような立ち回りをしながら彼は歩きを止めない。

 

「コウヨウが簡単に倒してるせいで俺も簡単に倒せそうに見えるな……うらぁ! あ……すみません調子乗りました無理です助けてください!!」

「バカクロム死ぬ気か!?」

 

 クロムが大楯を構えながら敵に刃を当てたが、2〜3割程しか体力は消せなかった。これでもまだ良い方であり、レベルが低い場合、悪ければ1割ほどしか削れないだろう。それもそのはず、ここは第十層の道をかけたダンジョンなのだから。クロムが倒しきれなかったモンスターが彼に襲いかかって来てしまうが、カスミがハクを操作するためにたまたま中間にいたおかげで難を逃れた。

 

「それにしても……コウヨウにはもはや何も言えんな」

 

 カスミ含め彼女のテイムモンスターである白蛇ハクに乗っていた【楓の木】はそれを見ながら彼が斬り逃したモンスターを倒すことしか出来ない。

 

「向かい風に煽られ、心を焼いたの〜」

 

 モンスターが今度は陣形を組んで襲いかかってくるのだが、そんな事は一切お構いなしだった。メイプルも流石にコウヨウにだけ活躍はさせないと最強である兄の姿を見ながら砲撃を仕掛けるが、VITが高く設定されている敵だけは攻撃を弾かれた。

 

「お兄ちゃんばっかりずるい! 私もモンスター倒したい!!」

「そう言うなら手伝ってくれ」

「私だって倒したいのに攻撃通らないんだけど!!」

「お前の最高火力であろう【機械神】で無理なら諦めろ……人には定めの星がある。綺羅星、明け星、流れ星。メイプル、お前は大楯星だ。自分らしく役を果たせ」

「みんなを守るのがお前の星だろう」

 

 そう言ってコウヨウは少しばかりダメージを受けながらも前に進む。二刀を背負い、敵の滅殺に重きを置いてゆっくりと前に進む。

 

「【ヒール】」

 

 ふと、詠唱の声が聞こえた。振り返るとカナデがダメージを少し受けたコウヨウに対して魔法を撃っていた。

 

「にゅふふ……なら僕は魔法使いの星が流れている見たいだね。兄さんが二刀流で敵を倒す役目を持つ星なら、僕はそんな仲間をサポートする役目を果たすことにするよ」

「その恐ろしい笑い方はどうにかしたらどうだ?」

「これは癖だから治せないかなぁ……にゃんにゃんとかでも良いけどね」

「メイプルが獣のような眼光でお前を見てるからやめておけ……とりあえずありがとうカナデちゃん」

「どう致し……今ちゃんって言った??」

「カナデちゃん、私が優しく襲ってあげるね」

「助けて兄さん僕の貞操の危機だ……」

「もう何度も捧げといて今更何言ってんだ?」

「な、何で知って……メイプル……もしかして……」

「たまにスライムを変身させてゲーム内で3人でかましてんのは聞いた」

「うわぁぁぁぁ!? メイプル酷いよ!!」

「いやぁ……カナデが誰のものかって証明しようかなって……後、まぁお兄ちゃんなら良いかなって」

「たまにメイプルの足舐めてるのも聞いた」

「ごふっ……」

 

 悶絶するカナデに対してこれからも妹を宜しく頼むと返したコウヨウは敵のモンスターを斬り刻み続けたのだったが、それを見ていた他の人間は……

 

「メイプルの砲撃やユイとマイのコンボでもたまに倒せないモンスターを一撃だと……」

「2撃もあるけれど……コウヨウ君の強さは今に始まった事じゃない……でもやっぱり異常よねあれ……」

「あれ……サリー? どうした? なんか顔が暗いぞ?」

「アレを……倒すのかぁ……いやいや……流石に……いやでも……うーん……」

「サリー??」

「クロムさん……助けてください……コウヨウを倒せる我が未来のビジョンがいつまでも深淵の闇に葬られていまして……」

「つまりはどう言うことだってばよ??」

「コウヨウを倒せないです。はい」

「サリーでも悩むのか……」

 

 カスミとイズはコウヨウに対して呆れ、クロムはサリーを心配する。サリーはサリーでこれから短い期間で絶対に倒さなければいけない相手を見て少しばかり絶望を感じることになった。

 

「流石師匠、化け物です」

「コウヨウさんマジコウヨウさんです」

「双子が段々辛辣になって来てる件について」

「お兄ちゃんキモい」

「お前らの強さも大概だぞ?」

「「「師匠(コウヨウさん、お兄ちゃん)怖いです(気持ち悪い)」」」

「俺が何をしたってんだよ……まったく……さっさと進むぞ」

 

 そう言いながら進むコウヨウに対して、あることにカナデだけが気づいていたのは誰も知らない話である。

 

「あれ? そういえば兄さん今日ずっとムサシを使ってない……いや……え? 嘘でしょ……それでアレなの??」

「カナデどうしたの??」

「兄さん気持ち悪いなって話」

「カナデお前もか!?」

「さっきの仕返し」

 

 コウヨウのツッコミに対して耳元でこっそり事実を伝えたカナデに対してコウヨウは……

 

「ムサシの恨みと願いは俺が晴らす。そのためには俺自身が迎え撃たねばならないからな」

「やっぱり兄さん気持ち悪いなぁ」

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