妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と史上最強の師弟喧嘩

「人間五十年、下天の……なんだっけ?」

「確か『内』だと思います。夢幻の如くなりってやつですよね」

 

 しかも『内』は『うち』の表記だとユイはコウヨウに伝える。それと同時に、そもそも何で決闘10秒前にそんな事を言い出すのかと突っ込んだ。

 

「この言葉があるようにだ、ゲームが出来る年数なんて今を生きている俺達より短い。ならば好き勝手やらせて貰おうぜ。というわけでお前を倒すわ」

「それなら師匠も好き勝手暴れれば良いと思います。師匠が強くて私達が何も思わない訳はないですが、師匠がいらないとかそんな事を考える人はいないので……というか私が越えるので師匠は安心して私の次の強さとして今は這いつくばってて下さい」

「お前がそこまで言うのは珍しい。正直、今の俺は優しく取り繕う自信は無い。ぶん殴ってでも今日は勝つ。そしてどうせ孤独だと声高々に宣言してやる」

「師匠に退屈はさせませんよ」

 

 ってか仮に万が一そんな考えの人がいたらぶっ飛ばしますと物騒な言葉を言い出したユイはもう、昔の純粋無垢天使ちゃんでは無くなった。

 

「お前急にどうした? 今は撲殺の天使だよな」

「師匠がムカつくので今までの良い子ちゃんをやめただけです。撲殺は認めますが、天使はメイプルさんでは?」

「確かに一周回ってメイプルが一番可愛いよ、俺の妹だし」

「私は妹ではありません。サリーさんと共に貴方に惚れた女です」

「ドラマの見過ぎだよ馬鹿弟子」

「貴方はとてつもなく面倒くさい男性ですよね馬鹿師匠」

「はぁ? 大体お前も──」

「師匠だっていつも──」

 

 普通に口での決闘が始まった。しばらくお前はこの発言がダメだの、この行動がダメだのと10秒どころか1分過ぎても口喧嘩をしていた。しばらくして落ち着いた2人はゆっくりと歩きお互いの距離を縮めて……

 

「んじゃ……口で喧嘩したから今度は身体で喧嘩するか」

「望むところです」

「「【コネクト】」」

 

 ステータスを共有した。コウヨウとユイが話し合って決めた事である。本来ならば真剣勝負なのでこうしたスキルは使わない方がいいのだが、今現在の事実として、ユイとコウヨウには絶対覆せないステータスの差が存在するのが明白であった。

 だからこそユイが一歩、コウヨウも一歩引いて【コネクト】でステータスを共有し表記上ではdraw(引き分け)扱いになる代わりに、プレイヤースキルの観点でどちらかのHPを0にした証拠を目に焼き付ける事で試合を決する事にしたのだ。

 

「かしこまれ、バカ弟子」

「師匠、覚悟して下さい」

「何の覚悟だ?」

「私に教えをお願いする覚悟……ですかね?」

「デカい口を聞くようになった……いや、割と前からか?」

「私はユイ、貴方を潰す者。そして、貴方を越える者!」

「今のお前は全力で打って損はない。行くぞ」

 

 お互いに刃を向けて体勢を整えた。方や大槌8本、方や三刀流、お互いに【救いの手】などのスキルで持ち手を増やした最大限。

 

「うらぁ!」

「やぁぁぁ!!」

 

 弾く。しか出来なかった。コウヨウはユイとステータスを共有中であり、お互いに5桁のSTRを持っている。相手のユイは大槌8本、対してコウヨウは3本の刀。ハッキリ言って突破は無理である。それでもしっかりと刀を大槌に当てて立ち向かう。

 

「弾き返して避けながら隙を見るしかあるまい……」

「絶対当ててやりますから!」

「当たらないようにしないとな……サリーから学んだ回避術……いや、無理使えねぇなんだこれ……」

 

 ユイもユイで今回のルールに対して甘えとか、文句は無かった。現実を受け止めてなお、コウヨウに対して的を絞り、8本の大槌を細かく操作する事で、コウヨウの逃げ場を無くす。そのプレイヤースキルはもはや並のプレイヤーでは勝てないレベルにまで持っていっていた。そしてコウヨウ自身も、ユイが的確に振り回す隙のない大槌に対して冷や汗をかきながらも的確に弾いて打ち崩しに行く。

 

「正直ノーガードで殴り合いなんて俺とお前しか出来ねぇな」

「なら、もう少し近づいてあげましょう。師匠好き好きオーラを出しながら、0距離で拳を当てられるくらいまで」

「チッ……仕方ねぇな、そんな事やられたら割と俺が困るからぶっ放すか」

 

 そうしてコウヨウは【雷加速】で一旦距離を取り、最近覚えたスキルを解放する。あの女の子を呼んだらまた誤解が生まれると思うが、とりあえずアイツを呼ぶ。

 

「武蔵! やるぞ!」

「えっ……ムサ……シ?」

 

【天下無双の指輪】は今現在ユイの元にある。テイムモンスターのムサシは呼べないはずだが、現れたのは狐か猫か、よくわからない耳をつけた黒髪の美少女である。

 

「お久しぶりですね、指揮官」

「うっす、頼むぜ」

「サリーさんや私を差し置いて浮気ですか!!」

「やっぱりそうなるだろうなと考えたから言っておくぞ……ちげぇよ!?」

「というか指揮官様。いささか私を呼ぶのが遅いのでは? 折角力を貸してあげましたのに……使われないなんて意味がないと思うのよ」

「お前を一発でもぶっ放したら威力高過ぎて街中火の海になるだろうが!」

「今は……宜しいの?」

「アイツを倒すにはこれしかねぇ!」

 

 そう言ってコウヨウは【エンゲージ】を発動。無詠唱なのでメイド服に勝手に着替えて、背中に船の装甲機械をつけただけになるが、そのまま宙を舞い、ユイに向かって大砲を構える。

 

「あれは……メイプルさんの……いや【機械神】よりもまずいやつ……!?」

「メイプルみたいに全武装展開出来たぞ! 最大火力だ! 覚悟しろユイ!!」

 

 ——通りすがりの、メイドでございます!! 

 

 そのまま砲弾をぶちかました。砲弾はそのままユイの元に飛んでいって、ユイと宙を舞っている8本の大槌すらも見えなくなるほどの火柱がエフェクトとして出現した。火柱に包まれたユイは凄まじい爆風と熱の中で……声を聞いた。

 

 ——我が弟子相手に……手こずる我が弟子……後はやれるな? ユイ殿

 

 コウヨウは撃ち終えた後、装甲を解除して、侍装備に変身。そして刀を二刀、その爆発の炎に向けた。

 

「指揮官、どうして刀を?」

「お前にも分かるだろ? まだアイツは……」

 

 生きている。そう言った瞬間ユイが煙の中から突っ込んできた。

 

「どぉりゃぁぁぁぁあああ!!」

「ほらなやっぱりだ! メイプル、スキル名だけ借りるぜ……絶対防御!!」

 

 ——グアゴラギリィィィィイイイ!!!! 

 

 まさかの8本大槌が爆速で眼前に迫ってきたがコウヨウは自分の身に降り注ぎそうな大槌だけを刀で止めた……がそのままユイに吹き飛ばされる。だってスキルじゃないもん。

 

「グゥゥゥ……!?」

 

 壁に叩きつけられるかと思われたコウヨウだが、刀を鉤爪代わりにしてブレーキをかけ、寸前で立ち止まった。その後に方膝をつきステータスを確認。HPはしっかりと半分程削られたが、まだマシである。

 

「ムサシ……ツルギめ、大剣になって俺の砲撃からユイを守りやがったな……」

 

 ──たわけ、今の主はこのおなごだ。

 

「師匠、立って下さい。この手で葬り去ってやりますよ!!」

「もうキレた! 俺もう怒った! コウヨウ君ブチギレですぅ!! ぜってぇ負けねぇからなバカ弟子!!」

 

 もはや子供の喧嘩であるユイもコウヨウもまるで小学生のように大暴れしながらフィールドに穴を開けてクレーターを作り、お互いをぶっ飛ばしてやろうと本気でかかった。

 

「俺の気持ちもわからねぇやつらが最強最強うるせぇ! 確かに俺は最強を目指した! だけど結局なんにも楽しくねぇ! 【魔王】は絶対葬るけど、それまでちょっとくらいゲームさせろや!! みんな嫌いだ! 大っ嫌いだ!」

「ごちゃごちゃ言わないでください。だから言っているでしょ? 私が師匠を倒して、最強になれば、師匠はそんなくだらない事で悩まなくていいんです! だから早く……潰れてください!!」

「俺の全力ださねぇと誰も認めねぇんだから本気の本気でやってやるよ!!」

「覚悟!」

「させませんわ……なんてな!」

「うわっ……しまった!?」

 

 大声でレリフル口調になったコウヨウだが、【多重水弾】は出さなかった。これは策である。そもそも【コネクト】を使えば装備を変えられない。それをユイが忘れていたのもあり、コウヨウは知っていた。だから、声とモーションだけでユイを騙した。

 

「うらぁぁあああ!!」

「負けない……! 【ウェポンスロー】!!」

 

 コウヨウの【居合極】に対して7本の大槌を彼に対してぶん投げたユイ。彼は彼で居合斬りをしながら7本の大槌すらも全て一斬りで弾き飛ばすが……

 

 ──ガギィィィィィィ!! 

 

「う……わぁ……マジ?」

「絶対勝ちます。私は絶対に……!!」

 

 8本目の大槌。つまりはユイが【ウェポンスロー】で投げられなかった。意図的に投げなかった大槌でコウヨウの刀を弾き飛ばす番狂せをやった。だが、同時にユイの大槌も彼によって弾き飛ばされる。それでも……負けない。

 

「ハァァァァァァァアア!!」

「拳なら負けねぇぞ……!!」

「「なんてな(なんてね)!」」

 

 全力で拳で語ろうとしたコウヨウだが、それすらも演技。【無詠唱】で【始祖龍 ミラ・オリジン】の雷を指鳴らしでぶちかます。それでもユイは倒れなかったのだが。

 

 ——師匠としてのコウヨウさんの動きはサリーさんよりもわかっていますよ? 

 

 コウヨウが目を開く。不意打ちの不意打ち。この一撃が最後の砦のつもりだったのだが、ユイはそれを身を翻して避けた。

 

「貴方が刀を無くした場合、約89%の確率で刀以外のスキルが飛んできます……そして貴方はこういう時に技と不意をついて最近覚えたスキルを試す時が多い……なら……」

 

 その瞬間、ガラ空きになったコウヨウの身体とバランスをかなり崩したユイ。そうして……その状態で……

 

 ——【ミラ・オリジン】くらい読めないと勝てませんよ

 

「チッ……ユイ……お前がNWO最強を名乗れ……」

 

 コウヨウは目を閉じて彼女に伝えた。だが、目を閉じた瞬間返ってきたのは……

 

「コウヨウさん。ご機嫌、いかがかなん?」

「さいっこうだぜ、化け物」

 

 その後にユイが発したまるでハートマークが付いてもおかしくないとても可愛らしい声から出るコウヨウ大好き宣言と……

 

 ──メキメキメキィィィィイイイ!! 

 

 明らかに現実では骨どころか内臓がぶち撒けられるような音、そして胸元にくらったユイの小さな拳であった。

 

「ぐっ……ガグァァァアア!!??」

 

 そしてコウヨウは今度こそ……壁に衝突をしてバーの中を空っぽにされたのである。

 

「後でハグしましょう、師匠」

「骨……いかれるから……嫌だね……」

 




 覚醒ユイちゃん、コウヨウの行動だけ全て予測できる程度の能力。
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