妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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絶対回避と大槌使い(妹)

「私は……もう、コウヨウと別れようと思ってるんだ」

「本気でそんなこと言うなら私はサリーさんを意地でも叩き潰さないといけないみたいなのでその発言は撤回して欲しいです」

「誰を叩き潰すって?」

「貴方を私がです」

 

 決闘場にて誰もいない中、少女2人の飛び散った火花と火花は誰1人止めることは出来なかった。

 

 ☆

 

「お兄ちゃんどこ!!」

 

 どうしてこんな事になったのか。その前にメイプル達がコウヨウを探すところから始まる。

 

「コウヨウ……アイツは本当に何を考えてるのか分からんな……」

「言っている場合かペイン! コウヨウがいくら【楓の木】のメンバーであっても負けるわけがないのに、メイプルからあいつの敗北宣言を聞いたなんて本人とっ捕まえて尋問しないと信じないぞ!!」

「そもそも現実でコウヨウがメイプルに言うということは……それは事実なんじゃないのか??」

「「だから意味不明なんだよ(なんですよ)!!」」

 

 流石のペインも苦笑いである。あの史上最強の師弟喧嘩の後、第十層を探索することも無くそのままギルドホームでログアウトしたコウヨウ。メイプルが勝敗を確認しようと一緒に現実世界に戻ったのだが、現実の兄、本条紅葉は笑いながら妹である本条楓にこう言った。

 

「決闘なら負けたぞ。ユイに殴られて、後ろから斬られて負けた。久しぶりに面白かったから満足だよ」

 

 そう言った紅葉は事実として本気で笑顔だった。本気で笑顔なんて言葉は存在しないが、まるで今までの悩んでたりした顔が消え、作り笑顔もしていない純粋な笑い声で、楓に話ながら料理を作っていた。

 

「ユイちゃんマジ最強だし、あーしが負けてもしょうがないっしょ」

 

 そんなギャル口調になったギャル条紅葉の話を聞いて混乱したのは妹。本条楓こと、メイプルである。大声で驚いて、それを翌日現実世界で幼馴染兼義理の姉になる予定の白峯理沙に伝え、勉強なんて放っておいてすぐにログインした後、【楓の木】含む【集う聖剣】、【炎帝の国】などの知り合いトップギルド達にチャットした。

 その結果、都合が合ったペインとミィ。メイプル本人のトップギルド上からベスト3である最強ギルドマスターが集まってコウヨウを探していたのである。

 

「お兄ちゃんがユイに負けたなんて……ユイには悪いけど信じられない!」

「メイプルの言う通りだ。確かにあのユイとやらは強かった。私やマルクスの2人がかりでも苦戦した程、昔オーブの取り合いのイベントで戦った時よりも強くなってはいたが……」

「「コウヨウ(お兄ちゃん)が負けるわけない!!」」

 

 ペインはこういうとき、どんな顔をすれば分からなかった。とりあえず苦笑いをしながら自分の思考回路をしっかりと動かしながら今回の話を整理する。

 

「コウヨウはそのユイってやつと決闘をして負けなんだよな?」

「はい。お兄ちゃんは笑顔でそう言ってました」

「なら、そのユイって子にも聞いたらどうだ? コウヨウは逃げ足が速いが、確かその子はSTRがヤバいくらいでAGIはメイプルと同じくらいなんだろう?」

「それが……私が話聞こうとしたら、お兄ちゃんがユイとサリーを誘拐してどこか行っちゃって……」

「なんて事をしてるんだあの男は……」

 

 ペインは頭を抱えた。元凶達がそもそもの元凶に誘拐されてしまっては見つけるものも見つからない。恐らくどこかで釣りしてるんだろうなとは予想がつくが、コウヨウが行く釣りスポットは古参プレイヤーであるペインやクロムですらも知らない隠れ家のような場所ばかりなので、本気で見つけられない。

 

「それならもう……流石に諦めるしか……」

「「トップギルドマスターがそんなんで良いのか(良いんですか)!?」」

「今回に関してはトップギルドマスターとか関係ないと思うんだが……」

 

 そんな会話をしていると、ピコンとメイプル側にメッセージが届いた。相手は話の中心であったサリーとユイからである。

 

『コウヨウはここにいます』

『師匠はここにいます!』

 

 普通にコウヨウがいる場所をバラしたメッセージであった。

 

 ☆

 

「ってなわけであーしは釣りしてるって訳だし」

「そしたらコウヨウさんのこのスキルを弾いて……」

「それで?」

「ユイちゃん、サリーちゃん。あーしのお話聞いてくれし」

「コウヨウさんがこう攻めてきたらこの動きをして……」

「お前ら釣りしろよ」

「「勝手に引っ張って連れてこられてるのにやるわけないでしょ(やりませんよ)」」

「だってメイプルがうるせぇし……お前ら一旦人質っしょ」

「そんな事より……なんでユイがコウヨウに勝てるの!?」

「師匠の【コネクト】があったからです」

「ユイの実力です」

「どっちも正しそうだから困る!?」

「「どっちも正しい(と思います)」」

 

 コウヨウは隠れて釣りをしていた。メイプルが現実でもNWOでもあの決闘に関して普通にうるせぇので、逃げてきたのだ。一応自分の動きをバラされても困るのでサリーとユイを持ってきたのだが……

 

「そいえばお前たちがメイプルにメッセージ打てば終わりか……」

「「その手があった(ありましたね)」」

「もう打ってんのかい……」

 

 まぁ、長く持たない誘拐事件だしとコウヨウは許す。しばらく釣りをしていると、サリーがユイに対して一言言った。

 

「ねぇ、ユイ。せっかくコウヨウが捕まるから私達は決闘上に逃げようか」

「本人の前で言うなし」

「え? 私が……サリーさんとですか??」

「うん! ほら、コウヨウに勝ったのなら実質【楓の木】最強プレイヤーだし……」

「変なサリーさんですね? 確かに私は師匠をぶん殴って、刺し殺して勝ちましたけど、スキルとかの関係でそうなっただけですし。やっぱり師匠が最強に決まってるじゃないですか」

「ユイちゃん怖いっしょ……」

「お願い! 先っちょだけで良いから!」

「あ、珍しい魚……流石第十層」

 

 コウヨウは恋人の危ない発言に対してわざとツッコミを入れなかった。逆に、暇なら行ってこいと背を向けながら伝えると、2人はそのまま決闘上に向かったのである。

 そうして、始まる決闘ではあったのだが、最初に言葉を発したサリーがユイからしたら喧嘩を売ってきたような発言なのでユイはムカついたのだった。

 

 ☆

 

「朧【黒煙】」

「なぜですかサリーさん……どうして貴方が……コウヨウさんを捨てるなどと……!」

「捨てる……というより、今の私がコウヨウに捨てられる立場だからかな」

「意味が分かりません」

 

 サリーはテイムモンスターにスキル発動を命じて姿を消した。ユイは8本の大槌全てではなく2本を使って黒煙を風圧で吹き飛ばしながら声を上げる。

 決闘上でのサリーが発した第一声は、コウヨウと別れようと考えているという衝撃的なセリフ。ユイは最初何を言っているのか理解に苦しんだが、すぐに頭で理解して、怒った。

 もしかしたらサリーなりの作戦かもしれない点もあったが、そんな事を考えられないくらい怒りは激しかった。サリーが武器を変形して不意打ちで撃とうとしながらユイに攻撃を仕掛けるが……

 

「師匠よりは遅いですね」

 

 ユイは普通にサリーの幻影を見抜きながら鍔迫り合いをかました。黒い煙もなんのその、何故か普通に戦った。

 

「はっ……?? 何で……確実に後ろを狙ったはず……というかユイ私のこと見てなくない!? 心眼とか……?」

「確かに不意は突かれましたが、私に向かってくるその矢は師匠のAGIよりも遅いので予測すればいいかなと」

 

 つまりは自分がサリーの攻撃よりも速く動けば良い。ただ、【コネクト】をしていないユイはAGIが0である。ならどうやって今の攻撃を大槌で弾いたかと言うと……

 

「ある程度の予想をすれば、後は6本の大槌をその範囲内に置いておけばいい。サリーさんの矢より大槌の方が大きいので防げる範囲はピンポイントで無くてもザックリと動かせば弾けます。師匠はピンポイントで分かりますけどサリーさんは無理です」

 

 その言葉を聞いたサリーはかなり驚いていた。一撃必殺で、大槌を振り回す事でモンスターを倒し尽くしていたユイだが、戦略的なことはメイプルやサリーよりも確実に劣っていたはずである。それでもこの考えと立ち回り、一か八かの賭けを平然とやってのけた今のユイはサリーといえども怖かった。

 

「それよりもサリーさん。貴方に何があったんですか……!」

「ユイ、私はね本当は弱いんだ。今、私はコウヨウの強さを見て、怯えている。でも、ユイは立ち向かって曲がりなりにもコウヨウに勝った……」

「意味がわかりません!!」

 

 ユイは大槌を使ってサリーに攻撃するが、サリーは全てかわす。対してサリーは武器を弓に切り替えて、ユイを遠距離から攻撃するが、ユイは大槌でそれを相変わらず破壊する。

 

「簡単に……そう言っても簡単な事じゃないんだけどね……私は現実でも、このゲームでも、コウヨウに助けられてばっかり。現実では私は寝っ転がってダラダラ勉強してる間に料理やら洗濯を私の代わりにやってくれて尚且つ自分の勉強も怠らない」

「いや師匠を手伝って下さいよ……」

「ゲームでは今まで協力してやっていたイベントで何度も助けられた。私が寝不足で倒れそうになった時も、前のイベントでは暴走したように見えて、実は【楓の木】が勝てるように1人で画策して敵を倒してくれた」

「それはコウヨウさんが勝手にやってる事じゃ……」

「確かにコウヨウからしたら勝手にやってるって言うかもしれない。でも、みんなから見たらコウヨウにしか負担がかかってない。私はコウヨウの行動力や責任感を一緒に背負ってない。恋人や夫婦はお互い助け合わないといけない……だから!」

 

 サリーは【超加速】でユイのそばまで突っ込んできた。ユイは少し驚いたが、大槌で攻撃をせずに、その大きさで目隠し。サリーの視界を封じてほんの少しだけ距離を取る。それでもサリーのAGIには勝てないのですぐに詰められて大槌とダガーがまたも交差した。

 

「嘘……なら……もう……良いや……ユイがコウヨウに勝ったって聞いた時……いや、そもそもあの十層に行く前のダンジョンでコウヨウの行動をユイが読んだ時から、私がコウヨウの隣で何かするより、ユイがコウヨウの隣で支えて……もうユイがコウヨウと付き合ったほうが……良いでしょ!!」

「そんな下らない事考えてたんなら私よりもコウヨウさんと喧嘩しに行ってください!」

 

 ユイがサリーのダガーを弾き返した瞬間、ユイは大槌をインベントリにしまった。今日は本当に嫌だと、捨て台詞を吐いてそのままサレンダーをした。

 

「ユイ……逃げる気?」

「サリーさん……正直今の貴方には会いたくありません。そんな事を1人で悩んでるなら、コウヨウさんにハッキリと伝えれば良いと思います。『私はコウヨウの足を引っ張っているから、私と別れてユイと付き合って欲しい』サリーさんがそう言ってくれれば私は苦労しないので」

「師匠……コウヨウさんもサリーさんも……本当馬鹿ばっかりです。コウヨウさんはマシになりましたけど……これ以上私の好きな人達を悪く言わないで!」

 

 そう伝えて、ユイは先に決闘上から消えていった。一緒に消え掛かっているサリーはユイのセリフを聞いて……

 

「うるさい……私の何がわかるって言うんだ……馬鹿ユイめ……」

 

 そう呟いたのだった。




 原作ではユイちゃんはここまで強くはない(原作でもかなり強いけど)ですが、コウヨウという人物の弟子になったせいで俺強ならぬユイ強えぇ展開が出来てます。
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