妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「ユイ、大事な話がある」
「サリーさんとはもう良いんですか?」
「今日はお前に用がある」
ギルドホームに戻ってきたコウヨウは飲み物を飲みながら少し休憩しているみんながいる中でユイに話しかけた。ユイは少しだけコウヨウを睨むような目をしたが、コウヨウには悪意が無いので話を聞くことにした。
「なんですか?」
「ユイ、俺はお前を愛してるからちょっと付き合ってくれ」
【楓の木】全員が飲み物をぶちまけた。サリーは固まった。そして泣いた。ユイも吹いた、そして着いて行った。
⭐︎
「久しぶりだな。ここの釣りスポットは」
「第一層が探索できる第十層だからこそ出来ますね」
「ただ……俺はここを紛い物だと思う」
ユイと来たのは第一層……では無いようなそうなような場所。第十層が総まとめで、今までのステージを回ることが出来るので、そこの第一層にいた。
ただ、モンスターレベルは第一層では無く第十層のままなので、コウヨウが言う紛い物発言も否定は出来ない。
「思い出すな、お前達と……ユイやマイとここで釣りをした事」
「あの時は助けてくれてありがとうございました」
「俺もありがとう。釣り相手になってくれて」
2人が言うのは、初めて出会ったあの時間である。大きな蛇に絡まれていたユイとマイを助けるために蛇を斬ったところから、彼の物語は始まった。
そこから仲良くなって、素材を運んで、モンスターと戦って、釣りをして、アイテムを増やして、そして食べられる(モンスターと魚が)生活をしていた。
「ユイがここまで成長するとは思わなかった」
「私も師匠がこんな無茶苦茶になるとは思いませんでした」
お互いが見たらお互い化け物である。コウヨウは最強になり、ユイはその最強に拳を当てて葬った。お互いがお互いを倒せるライバルなのは、メイプルとサリー、コウヨウとユイ。この二組かもしれない。
「それで……師匠はどうしたいんですか?」
「俺はサリーと結婚したい。だからユイとは付き合わない」
まぁ、そうですよねと、ユイは釣りをしながら言う。ユイがどれだけ頑張っても、コウヨウの意思は変わらない。サリーやコウヨウ自身がどんな人間でも、この2人を引き剥がせないのだ。
「でも、愛してるって言うんですね」
「ユイの事好きなのは事実だしな」
「キスしたいって思いますか?」
「正直愛おしいからめっちゃしたい」
「じゃあしませんか?」
「それでもサリーがいる」
欲はある。だが、忠実にはならない。どれだけユイが魅力的でも、隣にいつまでもいてくれたとしても、サリーを守りたい心が勝った。自分からユイにキスはしない。
「じゃあ、私からしますね」
「サリーが許すならな」
「もし許されたら私はサリーさんとは縁を切ります」
「逆では?」
「言ったはずです。お互いを好きなお互いが私は大好きだと。それを否定する人は例え本人でも許しません」
「歪んだ愛だな」
「だけど、それで許してくれるじゃ無いですか。コウヨウさんは」
少し笑って竿をあげる。見た事ない黒い魚が釣れた。
「飯にするか」
「塩がいいです」
ユイと魚を焼いて、塩を振る。昔からユイは割と塩味が好きだったなとコウヨウは思う。醤油とかでも美味しいのだが……
「コウヨウさんが自分の指先につけてから振ってくれる塩を舐めたいんです」
「君もしかしてただ性癖歪んでるだけ??」
普通にカナデやサリーが言ったらど変態宣言である。ユイはサリーやカナデの台詞を真似ただけだと伝えたが、君才能あるよと、コウヨウは返した。
「ほら、焼けたぞ」
「コウヨウさんの味がします」
「ただの塩だけど」
「紅葉味です」
「ただの塩だけど」
「コウヨウさんって本当に紅葉さんなんですか?」
「それは本当」
サリーのせいでうっかり本名バレしたコウヨウだが、正直カスミも知ってるので別にいいかと放っておいた。ユイもマイも、2人きりになる時しかこの話をしないので別に問題無かった。
「もみじさん……もみもみさん……もみじちゃん……全部可愛いです」
「男です」
「もみじさんなんて可愛い名前なのに……ゲーム内でやってる事はただの鬼です」
「それ稀にメイプルにも言われる」
「そういえば男性でも女性にはなれますよね? レリフルさん」
「御意ですわ……ってやっべ身体が勝手に!?」
普通に装備を着替えながらお嬢様口調になるコウヨウのメス落ちは完成してました。後は女装してサリーに掘られるだけである。
「とりあえず……本名は内緒なユイ」
「分かりました。ただ、一つ良いですか?」
「なんだ?」
——紅葉さん、大好きです!
「まぁ……なんだ……とりあえず抱きしめて良いか?」
コウヨウは負けた。普通にユイの可愛さに負けた。すまないサリーと呟いて。普通にユイを抱きしめて頭を撫でた。
「コウヨウさんいい子いい子〜♪♪」
「頭撫でないで、泣きそう」
☆
「フハハ……よく来たな人間」
邪悪なモンスターがコウヨウの目の前に現れる。クロムに黙っているつもりはなかったが、第十層にあるホラーエリアを攻略していると、死神の様な見た目をした黒いマントに大きな鎌を持ったモンスターが現れた。宙に浮かぶ不気味な者はコウヨウに対して笑いながら話しかける。
「私は【魔王】様の配下……死を司る私に、お前如きが勝てるかな?」
コウヨウは黙ってセリフを聞いていた。刀には手を当てているが、動こうとはしない。そして、死神は鎌を振り回して、人魂を飛ばした。
「人間の……闇を、怨念をくらうがいい!!」
無数の炎がコウヨウに対して突っ込んでくる。コウヨウは刀を抜いて、二刀に変える。それだけで、炎は消えた。
「ほう……なかなかやるな……ならばこれで……」
「もう死んでんだよ……お前は」
コウヨウがそう伝えた瞬間、無数の斬撃エフェクトが死神を包み込んだ。
「ガ……ガグァァァアア!!?」
「死んだ者を殺すなんて変な話だが……もう一度殺してやったぞ」
——感謝しろ、全ての怨念は倍にしてお前にやる。
ものの1分。たった1分で死神は人間の手に沈んだ。その人間は、他の者からすれば、化け物、強者、剣豪、最強……色々と呼び名はあるが……
「俺は釣り師だ。何かを釣るのは慣れている。幽霊でも人間でも、何でも釣って斬ってやるよ」
今回釣り師が釣ったのは、ただの死神だった。その死神でさえも魚の様に斬り裂いて、そのまま闇に葬る男は、また一つ頂点への道を歩み続けることになる。
『【魔王の魔力・EX】を入手しました』
「ムサシ、ユイ、サリー、待ってろ。全員地面に叩きつけてやる」
「んで……これ何?」
キーアイテムです。
☆
「【水竜】!」
「【毒竜】!」
「【海皇】!」
「カスミ、助けて俺はもうついていけない」
「諦めろ、私もだ」
三者三様のスキルを使いながらクロムを悩ませる。カスミは苦笑いしながら【楓の木】訓練所にいた。最近サリーが【水竜】を覚えたことによって、モンスターエフェクト付きのスキルを3人とも使える様になったので、お披露目会をしたのだが、毒まみれになったメイプルと、水のドラゴンみたいなものを召喚したサリー。それに対してコウヨウのスキルは2人よりインパクトが薄いが、スキルで発動した津波の上を【エンゲージ】でスケートの様に滑ったり、歩いたりしている。
因みに1番インパクトが強いのはコウヨウのメイド姿である。
「トリプルアクセル、ダブルトゥーループ、トリプルサルコウ」
「凍って無いのに水の上でスケートすんなよ!?」
「出来栄え点は暫定トップだな」
カスミはスケートに詳しいらしい。まるでハニュウのような滑りであった。
「私達が竜を出してもコウヨウはあくまでも人を出してくるのね……」
「でも【エンゲージ】と組み合わせたら強いよね、水の上歩けるし。サリーと相性いいじゃん」
メイプルからしたら何気ない言葉だが、サリーからしたら前回の病みもあったので苦笑いするしか無かったのである。
「試しに凍らせて見れば? お兄ちゃん、氷は滑れるの?」
「水じゃないと無理」
「「普通逆じゃない!?」」