妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と好きなように

「え? まだ足りないんですか!?」

 

 紅葉は少し慌てた。理沙の家に勉強を教える為に行ってみたが、理沙とその母親が何かを話していたらしく、それが紅葉にも聞こえてしまった。その会話は……

 

「やっぱりね……紅葉、ごめん。今日は1人で実力テスト解きたいから、楓と一緒にゲームしててよ」

 

 理沙の成績が少し足りない事である。この時期になってから全くふざけもない状況で紅葉が理沙に勉強をつきっきりで教えていた。そのおかげで、メキメキと力をつけていた理沙だが、目指すところは一歩足りないのだ。

 

「別に紅葉のせいじゃないでしょ? ねぇ、お母さん」

 

 理沙の言葉に母親も強く頷く。元々ゲームばかりの引きこもりダメ娘を、小さい時から面倒見て、今も昔も困っていたら手を差し伸べてくれた紅葉に対しては理沙の母も感謝しかない。まさか恋仲にはなると思って……いましたと理沙の母親は言った。今回の件だって、紅葉がいなければ恐らくちょっと足りないどころじゃ済まなかったくらい、理沙は勉強苦手で、成績がゴミクズだったと理沙の母は紅葉に伝えた。

 

 ——この……成績ゴミクズのニートが

 

「実の娘の前で成績がゴミクズって言うな。学生なんだからニートって言うな」

「ははっ……まぁ、そう言う事情なら……いいんだが……」

 

 好きな事を確かにしたいがNWO内では嫌な予感しかしない。本来なら紅葉だって楽しく理沙や楓とゲームをする目的だったのに、好きな事をしようとした中でわけわからない使命を押し付けられているのだ。また1人で出かけたら何かありそう。

 

「あ、そうだ……久しぶりにあいつに会いに行くか」

「浮気?」

「早いよ……ほら、あの吸血鬼とか、海皇とか……わらしの墓も観に行かないと」

「あぁ……別にいいけど取り憑かれないでよ?」

「そう願ってくれるなら俺が遊びに来る時玄関先で俺に塩を撒かないでくれ」

 

 そんなことしてたのかと理沙の母は謝るが、理沙は昔から幽霊に好かれる体質の紅葉に対して恋人といえども怖いので、一旦小皿に塩を盛って紅葉に渡したのだった。

 

 ☆

 

「んなわけで、聖地巡礼してる」

「この化け物屋敷を聖地巡礼と言えるお前の態度が私に取っては怖いんだが?」

「吸血鬼がビビってんじゃねぇよ」

 

 そうして彼は戻ってきた。第十層では無くマジもんの吸血鬼の家に。

 

「んで、何かわかったか?」

「私も、消える。それくらいだな」

 

 ビンゴかとコウヨウは言った。ツルギもわらしも、この吸血鬼も海皇も、コウヨウと出会ってサポートしてくれたモンスターは全部ゲームシステムでは無かった。

 

「じゃあ、やっぱり【魔王】が?」

「恐らくな。と言われても私はそいつを知らん。ただ、私では勝てんな」

「理由は?」

「気づかない内にこの世界に引っ張られて来たのに、その元凶に勝てるとでも?」

 

 そりゃそうかとコウヨウは椅子に座りながら顔だけ天井を見つめる。そもそもおかしなところしかない。【魔王】はいるとツルギもクエストにも明言されているのに、誰も正体を知らない。でも、こうしてゲームシステムではないモンスター達が、コウヨウの味方をしているし、海皇だって、槍をくれて【魔王】を倒せと呟いてくれた。

 

「にも関わらず、姿を現したのは【魔王】の幹部くらい……ツルギ、どう思う?」

「力を蓄えているか……あるいは……」

 

 ——俺達を待っているか……

 

 分からない。【魔王】の目的やら何やら全ては分からない。ただ、わかる事は【魔王】を倒せば、みんな消える。

 

「俺はどうなるんだろうな?」

「強さが貧弱になるだけで存在はするだろうな」

「主、結局は倒さねばならんぞ」

「その刀の言う通りだ。私たちは貴様の友でもなんでもない。消えても文句は言うな人間」

「お前ら俺の意思は無視かよ……」

 

 そうして、コウヨウは少し足りないが有益な情報を手に、館を去ったのである。

 

【お兄ちゃんー遊んでー】

「おう、悪いな。今日は先客がいるんだわ」

 

 幽霊に話しかけられてもなんのその。コウヨウはそのまま突き進んで、1つの墓に手を合わせる。

 

「わらし、最後の言葉を伝えに来た。【魔王】を倒したらお前も消えるみたいだからな」

 

 屋敷わらし。コウヨウに仕えたもう1人の最強テイムモンスター。自身が呪われた姿で、コウヨウを殺してしまいそうだったので、コウヨウに殺された少女。

 彼はその石の前で手を合わせてから、思いっきり伝える。

 

「テメェの事なんて忘れてやらねぇ。【魔王】を倒してお前が消えても、いつか大人になって俺を呪いに来い。また遊ぼうぜ」

「主、死ぬ気か?」

「こいつの呪い如きで死ぬ俺ではないわ」

 

 ——ちくしょう、マスター覚えてやがれー

 

 ☆

 

「というわけで、好きな事してきたぞ。聖地巡礼の方だが」

「お墓巡りの間違いじゃない?」

 

 流石の楓も苦笑いである。今日の出来事を軽く話すと普通に妹でもドン引きではあるが、紅葉がどれだけあの者達と仲が良かったのかが笑っていたのもあり、否定は出来なかった。

 

「このゲームも佳境かなぁ?」

「とりあえず、ゲーム終わってから勉強しようかな」

「普通逆じゃない?」

「ゲームやらないと俺命取られるかもしれないし」

「もうデスゲームじゃん」

 

 現実世界で理沙の勉強を待ちながら、2人で話し合う。

 

「そういえば新しいスキル覚えたよ」

「お前が分身して爆発する奴だろ?」

「お兄ちゃんは?」

「お前じゃあるまいし。アレ以上は無いぞ」

 

 紅葉は忘れていた。鞘に手を置くと威圧するスキルを。攻撃的なスキルでも無いので普通に忘れてしまっているが、楓は兄をそれ以上強くならない様に望んだ。

 

「それにしてもやっぱりユイに負けたんだぁ……」

「強かったぞ」

 

【コネクト】がない場合なら紅葉の圧勝だと楓は伝えるが、紅葉は仮に今の状態でも、ユイは強いだろうと伝えた。

 

「現にサリーの幻影を受けても大槌でしっかりと攻撃を受けたらしい。アイツも強くなったなぁ」

「お兄ちゃんが100%原因だよね」

「俺は悪くない」

「サリーとユイとマイの恋心掴ませておいてよく言うね」

 

 あいつらが勝手に惚れたとは言わなかった。正直な話をすると、サリーとは恋人で愛してはいるが、他の人からももらえる好意は素直に嬉しいのだ。

 

「可愛いしな、みんな」

「お兄ちゃんって背の低い女の子好きだよね?」

「いや……たまに逆もあるけど、ほとんどが男性より女性の方が背が低いのでは?」

「いや、そうなんだけどさ……なんと言うか……精神や年齢は大人だけど姿は小さい女の子がお兄ちゃんの趣味かなって……いわゆる合法ロリ」

 

 貴様その口閉じろと紅葉は妹に声を出した。実の兄をロリコン扱いにもそろそろ限界が来た様である。

 

「もしも理沙がちっちゃくなったらどうする? 昔みたいに」

「抱っこしてミルク飲ませて、子守唄歌って寝かせる」

「赤ちゃんまではいかないよ!?」

 

 もしそれをゲーム内で紅葉がコウヨウとしてやったらただの子連れオオカミにしか見えない。

 

「あ、理沙から連絡来たぞ。ちょっとミルク飲ませてやろうか」

「いいね、私もサリーちゃんに子守唄歌ってあげよう」

 

 そんな訳で、ゲームにログインしたコウヨウとメイプルは、ログインしてきたサリーに対して良い子良い子するのだった。

 

「え? え? なに? これ?」

「「メイプルとコウヨウの本渡上陸作戦」」

「タイトルが危ないからやめてね!?」

「「ねんねころりよ、あの世にころりー♪♪」」

「殺す気か!?」




 Q、そういえばもう少しで200話ですけど何か一言ありますか?

 A、気が早いです(現時点でまだ190話にすらなってない)。もし200話超えたらこう言っときます、早く【魔王】倒せや。
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