妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「行くぞ、コウヨウ……【インフェルノ】!!」
「俺はいつまでもお前には負けられない【聖竜の光剣】!!」
メイプル達に攻略を任せながら、自分は訓練所でスキルチェックをしていたコウヨウ。客人が来たかと思えば刀を抜いて襲ってきた憎いあん畜生の二人組が許可なしにスキルぶっぱしてきやがった。
事の元凶はペインとミィ。【集う聖剣】のギルドマスターと【炎帝の国】のギルドマスター2人が襲いかかってきたのだ。
「口惜しかりき次第ぞ」
それでもコウヨウは動じない。適当な書物の一節を口にして、ミィが放った【インフェルノ】を斬り裂いて無効化した後、ペインの剣を二刀で止める。
「やはり……止めるか……」
「くっそ……全力で出した炎が……何もなくなってる」
「天下取りの時間じゃ」
そう言ってコウヨウはペインを吹っ飛ばす。それでも2人はコウヨウに向かっていく。その理由は……
「なんでギルドマスターの私が負けて、ギルドマスターでもないSTR極振りのあの女の子がコウヨウを倒せるんだ! 私だって勝てないとおかしいだろ!!」
「アホですか貴方は。別に何もおかしくねぇよ」
「コウヨウ、お前は俺が倒すんだ。簡単に倒されるものでは……」
——安心しろ、テメェらはユイより相手にならねぇから
瞬間、コウヨウは目の前から消えた。絶対やらないつもりだったけど今くらいはキレて良いよなと威圧的な声で脅しながら、【無詠唱】、【二天の無紅へ】を全力で発動して完全不意打ちをかました。
そして爆速でトップクラスのプレイヤー2人が斬撃に飲まれて粒子となったのは言うまでも無かった。
☆
「なんでだ! なんで勝てないんだ!!」
「ミィさん、落ち着いてください」
「コウヨウ、お前が言っても何も意味ないぞ……というか今のはアレか……俺とドレッドが目撃した滝を破壊したスキルだな」
「んじゃ遠慮なく言いますけど……ミィ、テメェ弱すぎんだよ」
「うわわああぁぁぁぁああ!!!」
容赦は無かった。コウヨウもこんなこと言うつもりは無かったが、最近ミィとペインが何の策も無しに突っ込んできてるように感じたのだ。
「これからプレイヤー同士の対抗イベントとかなんかあるんですから、そんな頭空っぽで戦いなんて挑まないでください」
「コウヨウの言う通りだぞ、ミィ。最近のお前は何かおかしい」
「うっ……そんな事は分かってる……! でも仕方ないだろ! メイプルを倒す為にはコウヨウを倒すしか……」
「妹目当てかよ」
ミィの話を仕方ないから聞いてやったコウヨウとペイン。どうやらコウヨウは倒せそうにないが、メイプルにはいい勝負が出来るように頑張りたいとのこと。
だからコウヨウに一太刀でも傷を入れられたら、メイプルにも正気があるかもと思ったらしい。
「だからと言って無策でこないでください」
「無策ではない! 威力高いスキルをぶっぱなさないとあのメイプルのVITは越えられないからな!」
「そのVITが装備込みで100しかない男に威力高いスキル撃ちまくった挙句負けてんですけど貴方」
ミィの精神に10000ダメージ。ペインは苦笑いである。
「んで……ペインさんはなんで向かって来たんです?」
「ミィだけではコウヨウは倒せんからな。少し手伝っただけさ」
「その理由で最大スキル放ちながら不意打ちで向かって来ないでくれません? 手伝うって単語調べて来てください」
「まぁ、無理だったが……メイプルなら頑張れば……」
「俺の目の前で俺の妹に手を出す発言するなら、全力で今からテメェらボコしてやろう」
そのまま二刀を構えようとするが、少し考えてすぐに刀を収めた。どうしたのかと2人は聞いたが……
「サリーに聞けばいいのでは?」
「「え?」」
「あいつ時期の影響もあってあまりゲーム出来なくなるので、最近メイプルとずっと遊んでいるんですよ。俺はユイがいるから寂しくないですけど、たまには構えって現実で俺とサリーが喧嘩してるくらいメイプルと百合の花咲かせてるので多分メイプル攻略を本気で考えてる1人ですよ」
「成る程……サリーがいたか……」
「サリーにも勝ちたいが、そもそも攻撃が当たらないからかなり難しいな」
「サリーを倒せとは言ってねぇんですけど?」
どうしてこの2人はやたらと戦闘狂なのか。コウヨウも最近そのクラスに踏み込んでいるのだが、この2人はそれ以上に戦闘狂の努力家である。軽く、話をしながらメイプル攻略を仕方なく一緒に考えていると……
「師匠ー、稽古してくださ……ミィさんとペインさん!?」
「ん? ユイか。こんにちは」
ユイがいつものように稽古つけてくれと訓練所に遊びに来た。ペインとミィが挨拶をすると、緊張気味で挨拶をするユイ。コウヨウはお疲れ様と言いながら二刀流を構える。
「なぁ、コウヨウ。俺達も見ていいか?」
「確かに、サリーやメイプルだけでなくコウヨウを倒す為には実際に戦い方を見ないといけないからな……お願いしたい」
「良いですけど……見えますか?」
「ユイ……お前言うようになったな……」
「そもそも師匠に敵う人いない訳ですし」
「お前勝ったじゃん」
「私は……まぁ、師匠のストーカーみたいなものなので、師匠のゲームプレイなら、その全てをワンチャンサリーさんやメイプルさんより知ってますよ?」
その一言だけで、ミィとペインは察した。多分とんでもない戦いになると。ユイが言った見える見えないは視力の問題ではなく、AGI。つまりスピードについてこられるかの話だった。少し緊張した2人はなおも頷いてお願いする。
「んじゃ、やるか【コネクト】」
「は?」
「師匠、今日は刀でお願いします!」
「ん?」
そう言った瞬間、コウヨウとユイの2人はもうここにいなかった。代わりに無数の斬撃エフェクトと、微かに見える黒髪と白髪がペインとミィの視界に映る。
「なんだこれは!? 本気で何も見えん!?」
「コウヨウ……お前は……いや、お前達はどんな特訓をしてるんだ……」
「【呪斬】」
「【ツバメリバース】」
刀と刀が交差する。そもそもツッコミがこの戦いに必要なのは、ユイは大槌使いのはずであるのになんで刀一本持ってコウヨウに立ち向かっているのか。しかもコウヨウもなんで涼しい顔してたまに不意打ちで突っ込んでくる大槌8本を二刀で弾き返しているのか。
というかそもそもAGI4桁なので早すぎて追いかけるのが精一杯である。ミィとペインが……
「お前刀の特訓じゃねぇのかよ!?」
「やっぱり師匠にまた勝ちたくなりました!!」
「しゃーなしだこの師匠孝行めが!」
何度も大槌で叩きつけられた訓練所にはクレーターがいくつもできている。それでもコウヨウは何も動じずそのままユイに突っ込んでいく。
「通りすがりのメイドでございます!」
私たちは優雅でなければならないのです。とコウヨウが台詞を発しながらメイド服を着た後、砲術をぶっ放してユイを牽制。ユイもユイでそれを避けながらコウヨウの背後に周る。それでもコウヨウはそれを読みながら刀一本でユイの刀を止めてもう一方の刀で迫り来る大槌を弾き返した。
「流石だなユイ。俺の【エンゲージ】でさえも避けるか」
「やはり貴方とは……1秒たりとも油断が出来ませんね……!」
「ならば受けてみろ。お前にこれが見えるか?」
そう言ってコウヨウは少し後ろに下がった。ユイはやはり来るかと予想しながら、自分の足に集中させる。その瞬間、コウヨウの姿が消える。
「え!? 消え……!?」
もはや勝負は決した。ユイはそのまま何も出来ずに無数の斬撃に仕留められて消えていってしまったのだった。何が起こったのか1ミリも分からないペインとミィはコウヨウが着地した場所を見る。
そこには明らかに地面が焼けこげておるエフェクトが見えた。そして、コウヨウもまた、ユイと共に姿を消した。
「何をしたかなんて……俺の全てを使っただけだ」
「あの動きは……【雷加速】……師匠……複数のスキルを同時に組み合わせましたね?」
消えたユイとコウヨウはすぐにペインとミィの元に行き、先程の戦術を伝える。みんなでも出来る、スキルの複合を使っただけなので話しても問題ないのだが、コウヨウのスキルに関しては複合してはいけないとミィが全力で止める。
「コウヨウ、お前はもはや人間ではない」
「真顔でなんてこと言うんですか」
「正気私からしたらユイもそうだと思う」
「私はまだまだです」
「スキルの複合は俺もミィも誰でも出来る事だが……コウヨウの場合一つ一つのスキルが強すぎてな。まさか【雷加速】と【二天の無紅へ】を複合する事で、誰の目にも見えずに斬るとは」
「師匠の凄さはそれだけではありません。【無詠唱】でそれをやるので本気を出されるとモーションが読めないのです」
「そう簡単に弟子から一本取られてたまるか。因みにコレは他にも出来るからな」
「「ヤベェ」」
「流石師匠」
「「お前もだよ」」
ミィとペインは久しぶりに白目剥きかけた。正直コウヨウ曰く【雷加速】を軸にすればある程度何でも出来るらしいが、その通りかもしれない。【呪斬】に【物干し竿】、走りながら【多重水弾】やらもはやなんでもありである。
「んじゃ、一戦終わったし、メイプル攻略方でも考えますか?」
「「もうお前を前に置いておけば勝てるだろ」」
「貴方達が努力して勝とうとしなくてどうするんですか??」
「「うっ……」」
「ユイに言われたら2人とも負けですよ」