妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ)   作:初見さん

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二刀流と呪いの拳

「さぁて、こんなもんか」

 

 コウヨウは現在殴り合っていた。ユイとではなく、第六層ホラーハウスの舞台をモチーフにしている第十層の一部。そこのモンスター達とである。

 骨、幽霊、ジェイソン、死霊、リッチーでさえも全て殴り飛ばして即死させる事が可能なのは【悪霊退散】と【死の瞳】。下級モンスターと喧嘩を売る時はだいたいコレで倒せる。

 

「刀使ってもいいが……」

 

 別に自分は侍ではないし、刀使いでも無い(いや、おかしいだろ)。釣り師である。たまに殴って戦うのは刀使いでも侍でも無いただの格闘家である。

 

「とりあえず進むか。全員KOしてやるぜ」

 

 まさかの拳で語り合う二刀流釣り師がここにいたのである。しばらく進むと、大きな骨の塊が、コウヨウを見ながら立っていた。

 

「貴様が……侵入者か……」

「お前からしたらそうなんだろうな。悪いがここは通してもらうぞ」

「貴様も私の財宝目当てなら……通すわけにはいかない」

「金とか財宝はどうでもいい。テメェを殴って【魔王】討伐の糧にするだけだ」

 

 さぁ、天下取りの時間だとコウヨウが言った瞬間、骨の塊は人の姿に変化してコウヨウに襲いかかってきた。右手の拳をコウヨウに対して振りかぶるので、コウヨウも同じ右拳をそこにぶつけると大きな波動が生じて、ダンジョンの建物が破壊される。

 

「なっ……俺と同じSTRだと!?」

 

 見ると、骨はコウヨウの姿になり、彼の拳を受けても何も思わず全力で拳を振い続けた。モノマネかコピーか……仮に、流石に同じSTRであるならばコウヨウでも危ない。ならばPSで仕留めるしか無いと、巧みなステップと左ジャブを踏まえて、骨に対して喧嘩を売る。

 

「仕方ない……トリケラトプスにでもならないと勝てねぇみたいだな」

 

 コウヨウは想像する。身体の力を抜いて、液体のようにドロッと溶けながら一瞬で距離を詰め、相手を葬る。それはまさにチャクラの解放。想像した瞬間。コウヨウの視界が下がる感覚。意識を戻すと、地面と同じ目線にあった。

 

『スキル【消極の真髄(しょうきょくのしんずい)】を入手しました』

 

「今!!」

 

 すぐに手に入れたスキルを使ったコウヨウは自分の【雷加速】以上に高速で動き……

 

「うわ速す……」

 

 ぎ、という単語すらも話せず、そのまま骨に頭突きをした。その頭突きは骨の塊を木っ端にして一部を粒子に変える。そして向かい合った骨の塊に向かって、もう一度、スキルを使う。

 

「だらぁぁぁん……ヒュ!」

 

【悪霊退散】と【消極の真髄】の同時発動。そのまま骨をさらに木っ端にして、そのまま優勝した。

 

『スキル合成。【死の瞳】、【悪霊退散】、【消極の真髄】が合成されました。コレにより【ショウキョク】を入手しました』

 

【ショウキョク】

 全身の力を抜きながら脱力する事で一度液体になり、そのまま攻撃できる。動かなければ実物に戻り、相手の攻撃ダメージを8割カットする。1日3回使える。

 攻撃した場合、格闘技をモンスターに当てるとダメージ量が10倍になる。

 また、溶けて実物に戻った後、相手の攻撃を受けてから睨みつけると10秒動けなくなる代わりに目で見た範囲の敵にSTR分のダメージをステータス関係なく与える。発動時、相手のVITやバフは一切受け付けない。

 

「もはやグラップラーじゃん」

 

 ☆

 

「んじゃ、スキル合成したらスライムだった件。始めるぞー」

「「意味がわかりません!?」」

「というかなんで私が呼ばれたんすか!?」

 

 新しいスキルの試し撃ちとしてベルベットを犠牲にしようと考えた鬼畜コウヨウ。とりあえず【楓の木】も徴集して、新スキルのお披露目をすることにした。

 

「コウヨウ君が新しいスキルを覚えたって言ったから来たけれど……」

「嫌な予感しかしねぇな……」

「しかもわざわざベルベットを呼んだ理由が分からないですからね」

 

 クロムの言葉にサリーも頷いた。サリーの言葉に、メイプルやイズも頷いた。普通にお披露目するくらいなら、ここの木偶の坊でも良いはずであるし、適当なクエストでも良いはずだ。

 

「今回ベルベットさんを呼んだのは他でも無い。俺と殴り合いだ」

「それって……本気っすか?」

「本気本気。刀使わない」

 

 ベルベットは他のプレイヤーよりも珍しいアームドギア装備である。ガントレットをつけた右手の拳から出される雷属性の技は、いかにコウヨウやサリーでも、当たれば即死は免れない威力。

 

「前は殴り合いが怖くて出来なかったからな。このスキルがあれば突っ込めるぜ」

「なら……刀無しでやってくれるって事っすよね?」

「おう……いくぜ?」

 

 そう言ってコウヨウがファイティングポーズを構えると、ベルベットが突っ込んで来た。

 

「いくっすよ……【紫電】!!」

 

 一度雷を複数落として、コウヨウの出方を見る。それに対してコウヨウは刀すら抜かず……

 

「私は一向にかまわん……」

 

 ——ちゃぷん……

 

 音を立てて溶けた。

 

「「「「「「「コウヨウ(君、さん、お兄ちゃん、師匠)が溶けたぁぁあああ!!?」」」」」」」

「嘘!? なんすかあのスキ……!?」

 

 ——ドゴぉぉぉぉおおおお!!! 

 

 そのまま、ベルベットは後ろの壁に吹き飛ばされた。壁にめり込んだベルベットの周りにはとてつもない程のヒビが割れており、そのままベルベットは粒子となって消えた。

 コウヨウはいつのまにか、誰1人見れなかったが、しっかりと人の形をしており、見ると彼の右拳はしっかりと握られて正拳突きのように前にしっかりと出されていたのである。

 

「お前のいる場所は既に2000年前に俺が通過した場所だ」

「げ、ゲーム……なのに……お……お腹痛いっす……」

「お疲れ様でしたベルベットさん」

「そんなものじゃ済まされないっすよ!?」

「お兄ちゃん何そのスキル!?」

「かくかくしかじか……」

「グラップラーじゃん!?」

 

 流石のサリーも興奮した。その後、スライムになりながら双子の攻撃を受けるコウヨウがいたが、ほぼノーダメージだったらしい。

 

「師匠(コウヨウさん)もう一回です!!」

「私は一向にかまわん」

「私も戦って良いっすか!」

「私は一向にかまわん」




 シャオリー
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