妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「んで、なんで俺は貴方と戦ってるんですか? フレデリカさん」
「なんとなく……ね」
コウヨウがメッセージを開くと、フレデリカから申請があった。なんの話かと思ったのだが、【楓の木】訓練所で前の件についての話をする。そうたった一言送られてきて来たので、そのまま向かった。念のため、指輪はサリーに渡しながらムサシが付いてこられないように。
そうして来たはいいものの、フレデリカからそのまま戦いを申し込まれたので、適当に刀を振るっていたのだ。何の目的かは分からないが、割と本気で戦って来たのでこちらも容赦はなかった。
「サリーを呼ばなかった理由わかる??」
「は? いえ、全く……!?」
「【超多重炎弾】」
瞬間、とてつもない数の炎の塊がフレデリカの杖から一直線に飛んできた。コウヨウは一瞬驚くが……
「なるほど……サリーに見せたらヤベェっすね」
「そう言いながらやっぱりアンタは全て消し去るのね……あーあ、こりゃ勝てないわけだわ……」
「首に当てて終わりっすよ」
普通に全消しした後、【雷加速】で距離を詰めて、フレデリカの首に刀をあてたのである。
「もう一戦いい?」
「一体どうしました?」
「なんとなく……ね」
同じセリフを言ったフレデリカはコウヨウに対して距離を取る。コウヨウも二刀流を構えて魔法を弾く準備をしたのである。
「んじゃ、【多重炎弾】から!」
「弾き返しますね」
「うわっ……やっぱりおかしいよね!? なんで私が魔法放つ度に私のフィジカルが必要になるのよ!! なんで私が走って逃げたり避けたりしないといけないの!?」
「反射なんで避けないと死にますよ?」
「わかってるけども!!」
どれだけの弾を撃とうが、自身にバフをかけて動こうが、全てコウヨウに止められて斬られるフレデリカは最後に食らった【呪斬】により、KOされてしまった。結局、無理だったとフレデリカは言う。コウヨウはかける言葉はないのだが、まぁ、サリーにならワンチャン通じる策だと自分の考えを伝える。
「サリーを倒すのは私の目的だけどさぁ……これでも【集う聖剣】である私がそんなんで満足すると思う?」
「してください、面倒くさい」
「今めっちゃ本気でアンタをぶっ倒したいんだけど?」
「んで、要件は何ですか?」
「無視かい……いや、まぁ……コウヨウはこれからどうしたいのかなって」
「俺?」
あの話は正直全く信じられないし、コウヨウには隠し事が多すぎるので、フレデリカは何も答えないし聞かない。ただ、コウヨウだけはムサシや【魔王】の話を聞いていて、コウヨウ自身の事は自分で決められるのだ。
「結局はみんなで協力しないと【魔王】に勝てないなら、その【魔王】を倒すための切り札であるアンタの意思を私達も共有したり、納得しないといけないでしょ?」
「意外と大人ですね」
「殴るよ?」
「やれるもんなら」
そう言ってコウヨウは眼を瞑る。恐らくサリーの作戦か何かだろう。ベルベットやペイン達なら核心を突くので少し嫌な感じがしてしまうが、フレデリカ辺りならなんとなく掘り下げて、ゆっくりと相手の心に忍び込み核心を突くことが出来ると言って多分フレデリカ自身が無理矢理自分の元に来たのだ。折角来てもらって収穫させないのも……いや、あんまり隠し事もあれかと。だからこそ乗ってあげるかと、ギリギリの話まではしておく。
「今の俺の事件は元を辿れば全部ムサシのせいです。だから俺は、ムサシも【魔王】もぶっ潰してやりたい。それが俺の意思です」
「そのテイムモンスターが何をやったか知らないけど……結局コウヨウの敵はその2人なのね?」
「はい。全ては【魔王】が言いました。宮本武蔵を倒すと」
「宮本武蔵??」
「もうこの際だから言っちゃいますけど俺が相手する【魔王】とムサシは歴史上にいる本物がここに転生して来た仮の姿です」
「はぁ!? 何それ!?」
無茶苦茶な理論を聞いたフレデリカは焦って驚いているが、コウヨウはフレデリカに伝える。
「あの人間2人の転生者を俺が斬らないとこのゲーム終わらないみたいなんで、サリーに伝えてください」
「本気で何を言ってるのかわからないわね……とりあえずサリーに伝え……あ」
「やっぱりか……とりあえず今お口裁縫するので動かないでください」
「怖いわよ!?」
結局話がバレたフレデリカである。が、コウヨウが何故今回の話をフレデリカが聞いたのかを尋ねると……
「なんと言うか……コウヨウの助けになろうかなって……」
「サリー、俺はお前を愛してるぞ……だから身体は大事にしてくださいビチデリカさん」
「違う!? そう言うことじゃなくて!? しかもそれただの悪口!?」
「じゃあ何ですか?」
「昔からコウヨウには一応助けられてたから……ペインもドレッドも、ドラグも……」
元々【集う聖剣】はNWO最強の攻略組ギルドである。強さだけを追い求め、攻略やレアアイテムを探すガチ勢だったプレイヤー4人。だが、その最強パーティ4人はコウヨウただ1人によって沈められた。
「私達が眼を光らせていたのは【炎帝の国】であって【楓の木】では無いよ。正直、急に出来たギルドほど弱いものは無いからね」
寄せ集めだろうが、友人だろうが、発足して間もないギルドを気にかけるほど上位ギルドは甘くないし、無情である。だが、その中でメイプルというとんでもない防御を持ったプレイヤーだけは【楓の木】で注目していた。
「メイプルもあんなんだけど大したことないなって鷹を括ってた。クロムくらいなら玄人だから少し警戒はしてたけど、正直メイプルがあんなだったなんて思わなかった。でも、ペインがしっかりとメイプルを斬ってくれたから絶対勝てたと思ったのに……」
「俺が刀背負って来たってわけですか」
「反則でしょあれ」
フレデリカは頷いて言った。あの試合は忖度抜きで確実に勝てる試合であった。確かにメイプルの【暴虐】を見てなかったので、それも考慮しないといけなかったのだが、そんなものを出される出されない以前の問題だったと彼女は言う。
「そもそも私がサリーを追い詰めた時、絶対初ダメージ与えたと思ったのに……! アンタのせいよ!!」
「何で俺怒られてんですか?」
「乙女の腹殴った挙句次いで顔面いったでしょ!!」
「(流石にあの状況なら)いきますねぇ、いきますいきます」
「この野獣が!!」
普通に(顔面パンチ)イった。話を戻すとだ。そんな最強プレイヤーだと自負していた人間が、突如としてコウヨウ1人に蹴散らされ、完全敗北を喫した。
しかもその後、どれだけ戦いの誘いをしても、釣りをするの一点張りで敵味方関係無く、遊び尽くしたコウヨウ。
「元々最強プレイヤー達がたった1人の乱入者にコテンパンにされた挙句、釣りばっかりして遊び呆けた結果……まぁ、私達もだいぶ絆されちゃったんだけどねぇ……結構楽しかったわ」
「ならよかったんじゃないですか?」
「それは遊べて? それとも倒されて?」
「さぁ? 俺は普通にプレイしたかっただけですし、みんなを葬ったのもメイプルやサリーのためでしたし」
「メイプルもコウヨウも無茶苦茶だよねぇ……最初兄妹なんて聞いた時は嘘だと思わないと心荒んでたから。2人ともあの強さだし」
「俺の可愛い妹になんて事言うんですか」
「だってあんな天真爛漫で天然のメイプルが天使になったり化け物に変身したり、機械纏ったりしてプレイヤーを蹂躙するなんて思わないじゃん!!」
「確かに」
「いや、同意してるけどアンタもだよ!? ドラゴンになるとか2人に分身するとか……最近刀無しで雷落としてベルベット倒したって聞いた時本当わけ分からなかったんだからね!?」
「はぁ? 俺なんてただの秋の葉っぱじゃないですかモミモミですよ」
「え? 待って?? もしかしてコウヨウって由来それなの??」
「【楓の木】にはほぼバレてますけど俺は本名もじっただけです」
「えっ……アンタもしかして……もみ……いや、言わない方が良いわよね……いや、それだったら……いや名前と実力が一致してない!!」
「騒がしいなアンタ」
フレデリカは不満である。確かにどう考えても、仮にコウヨウの本名が紅葉だったとしてもだ、誰でも斬り捨て皆殺し。立てば殺戮、座れば全滅、歩く姿は大剣豪なんて、たまに言われる彼は明らかに名前が可愛くても実力は恐怖対象であった。
「と言うかさっきから何なんですか? 思い出話しすぎですよ」
「あぁ……えっと……感謝してるんだよ。コウヨウに」
「なんでさ?」
「コウヨウから釣りに誘われなかったら私もペインもめっちゃお堅いギルド作ってたし、そうなったらもう……なんか強すぎてボッチじゃない?」
「確かに、強さの頂点は孤独ですからね」
「あんたに言われたら説得力あるわね」
フレデリカの言うことも最もだった。どれだけ強くても、結局孤独でつまらない。相手がいるから上を目指したり、遊んだりして楽しめる。一度彼にはムサシしかいなかったし、これからムサシを越えるなんて目的のせいで、確実に孤独になりつつあった。
「ユイ強かったなぁ……やっぱり俺はユイを嫁に貰うべきか……」
「おい待てや浮気野郎」
「誤解です。俺を越えると言って、退屈させないと言って、本気で俺を倒しに来たアホはアイツくらいですから……隣に立つのは相応しいなと」
「それでも嫁はダメでしょ??」
「サリーとユイとマイがもう少し仲良くなってくれたら……」
「まさかの3人!? この国はダメだよ!?」
「冗談ですよ……あ、そうだフレデリカさん」
「な……何?」
——あんたもいつでもかかってこいよ
そう言って笑ったコウヨウは少し晴れた笑顔であった。フレデリカは彼のセリフを聞いて、顔を見て、言った。
「【楓の木】、【集う聖剣】、【炎帝の国】、【thunder storm】、【ラピッドファイア】の五チームで叩くわ!!」
「それはなんて虐めですか!?」
そうして、それがサリーに伝わりムサシにも伝わったのだが……
「うむ……私の関係者など怨みの籠ったものしかいないがな……」
「テメェが引き分けた相手くらいは覚えてろ、これが最大のヒントだ」
「うん? ムサシって無敗じゃないの?」
「実はそうじゃねぇんだよ」
「思い出せん……主、正解は……?」
「えちごせいか」