妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「サリー……アンタマジでないわぁ……」
「サリーさん……流石にドン引きっすよ……」
「言わないで……私も改めて酷いと思ってる……」
開始早々フレデリカとベルベットがサリーをゴミを見るような眼で見ているのには訳がある。サリーはサリーで縮こまる事は必然であった。事の発端は、いつも通りサリーの圧勝で訓練していた時の事。
「そういえばサリーとコウヨウって付き合ってるのは知ってるけど……恋人らしいことしてるの?」
「恋人らしいこと? たまにクエスト一緒に出掛けてるよ? 現実世界では忙しいからあんまりデートしてないけど」
「お弁当交換とかそんなラブコメ要素もしてるっすか?」
「あぁ……いやぁ……料理は全部コウヨウがやってくれるからなぁ」
サリーの言葉に対して納得がいくフレデリカとベルベット。
「確かにコウヨウさんの料理美味かったっすね」
「ゲーム内だけかと思ったらまさかの現実世界でもなのね」
「そうそう、しかもコウヨウ掃除洗濯裁縫含めた家事大好きでさぁ、私は気兼ねなく勉強とかゲームとか出来るんだよねぇ!」
「「は??」」
「え??」
サリーの最低発言に対して流石にドン引きした2人である。
☆
「アンタ……いつかコウヨウに捨てられるよ?」
「ゴフッ……で、でもコウヨウはそのままでいいって……」
「いくら労働者でなくてもヒモっすよねそれ」
「うっ……だったらアンタ達家事出来るの!?」
「私はドラグに作ってあげてる側だし」
「私も流石に料理くらいはするっすよ」
「わ、私だって出来るよ!」
「「何を作るの(っすか)??」」
「おにぎり」
「「ふざけんな(ふざけないでくださいっす)」」
別にサリーだって作ろうと思えば作れる。こんなこと言ってはいるがメイプルと2人でバレンタインとかチョコ作ってコウヨウにあげたりしてたので料理音痴とかではないのだ。
ただ、コウヨウの料理がプロ過ぎて私作らなくてもいいんじゃね感が強いだけである。
「コウヨウがなんでも出来すぎるんだよぉ!!」
「「それは……確かに……」」
ゲーム内でも洗濯や裁縫の概念は無いが、普通にイズと装備メンテナンス手伝ってるし、料理はスキルレベルMAXなのでよく料理をイズと振る舞っているし……
「ねぇ、もしかしてコウヨウの恋人ってイズさん……?」
「やめて!! これ以上私の心を削らないで!!」
「ゲーム内でもユイって人にだけコウヨウさん倒されてるんっすよね? サリーさん出る幕ないんじゃ……?」
「やめて!! だから嫌だったの!! 見ないふりとか聞こえないふりとかしてたの!! 私は本当はコウヨウのお嫁さんに相応しく無いって!!」
「「来世に期待しましょう」」
「いやぁぁぁぁあああ!!」
サリー大絶叫である。正直コウヨウが自分なんかを好きになる事に疑問なのは結構前からだったが、コウヨウとゲームをしだしてからそれが顕著に現れ出している事をサリーは呪った。
「ねぇ、サリー、参考までに普段どんな感じなのか聞かせてくれない? もしかしたら私もドラグに同じ事やっててこれが嫌とかあれが嫌とか思われてるの不安だし」
「絶対出汁だよねこれ!? 出汁にする気満々じゃん!!」
「私もこれからに向けて聞きたいっす」
「うぅ……こ、コウヨウが料理出来るようになってから……コウヨウに家事全部任せて、自分はメイプルとゲームばっかりしてました……手伝って無いです……寝っ転がりながらお菓子食べて部屋散らかしてたまに怒られました……下着も脱ぎ散らかしたりしてます……その時だけはめっちゃ顔真っ赤にして怒られてます……」
「「うわぁ……最低(っす)」」
ついでにメイプルにも矢が刺さった。割と自由気ままなフレデリカや雑に見えそうな口調のベルベットですらもそんな事しないし流石にドン引きっす。
「私はもうどうしたらいいの!?」
「仕方ないわねぇ……もう遅いけど。ゲーム内だからあれだけど、少し家事の仕方教えるわよ……もう遅いけど」
「私はコウヨウさんとサリーさんが助け合えるような案を考えるっす……もう遅いっすけど」
「もう遅いけどって言わないでぇ!!」
結局サリーがどれだけの覚悟を持ったところで行動にしないといけないと改めて自覚したのである。
「サリーさんってコウヨウさんの前ではダメ人間なんすね」
「まぁ……確かにゲームめっちゃ美味いから何かを犠牲にしてると思ってたけど……まさか生活能力を捨ててるとはね」
「最近コウヨウが家政婦みたいになってます……」
☆
「「「コウヨウさん助けてください」」」
「急に年下に頭下げないでください……おい特にウィルバードは俺の足持つな逃げねぇから」
「ご容赦を……」
「五輪書で叩くぞ」
コウヨウが少しムサシについての状況を1人で整理しようと釣りエリアで釣りをしていると、【集う聖剣】ドラグ、【炎帝の国】マルクス、【ラピッドファイア】のウィルバードが勝負ではなく土下座を仕掛けて来た。
真面目になんの前触れもなかったので0から話を聞かないといけないコウヨウだが、ドラグとマルクスが少し悲しそうな目で、ウィルバードは苦い顔をしてこちらを見つめているので警戒心を強める。
「んで……0から聞くので話して下さい。内容によっては運営報告とか……」
「「「家事を教えて下さい」」」
「お前らそこに並べ、全員斬る」
別に大変ではなかった。事の事情は各々である。
「フレデリカばかりに負担をかけてしまうのもあれだから料理くらいはしっかり学びたい」
「料理舐めんな。次」
「僕はミザリーが……その……たまに服を破いちゃうから裁縫を学びたくて……」
「お前がちゃんと合うサイズ選んで買ってあげろ。次」
「普段お世話になっているリリィに……その……チョコレートでも作ってあげたいんです……」
「まだ付き合ってないんかい。んで動機がピュアだなお前は。よし、ウィルバードさんとドラグさんだけ協力しますか」
「僕は!?」
「だから破れるならミザリーさんに合ったサイズ買わないといくら裁縫学んだところで意味ないでしょうが」
「うっ……じゃあ……縫い物とか! ほら、ミザリーにはテイムモンスターの猫がいるから……現実でもそれを作ってあげたくて……!!」
流石に必死である。コウヨウは一つため息を吐いて……
「教えてやるから全員まとめてかかってこい、見返りは釣りに付き合ってください」
なんかもうどうでもよくなった。
「ドラグさん、包丁と斧の持ち方は当然違います。ゆっくりでもいいので素材を少し押してしっかりと引く。これでまず切る分野は片せます」
「なるほど……結構難しいな……コウヨウは……」
「手を止めないでください」
「ノールックで切ってる!?」
「因みに料理で1番大事なのはなんだと思いますか?」
「え? えっと……あ、愛情……??」
「フレデリカさんを思って乙女チックに言うと間違ってはないです。ただ、現実考えると衛生ですよ。ちゃんと切るたびに手は洗いましょうね」
「めっちゃまとも過ぎてタメになるな……」
「コウヨウ、初心者の縫い物とかって何があるかな?」
「普通に破れた服の修正、後上級者だとニードルアートですね。因みに必ずやらないといけないのは基礎ですから玉留めなどが出来るようになってから縫いましょうね、ほら布持って」
「む、難しい……」
「ミシンだと勝手にやってくれたりしますが、料理でハンドミキサーを使うのと似たようなものなのでまずは手先で感覚を覚えてからの方が楽にはなります」
「コウヨウさん……チョコレートの作り方は……」
「とりあえずカカオを持ってきてください、ここからがマグマなんで」
「私だけ最難関なんですけど!?」
「チョコレートはもう作られたものなので、クッキーとかにチョコをコーティングしてチョコクッキーにしますか?」
「お、お願いします……」
サリーが【楓の木】訓練所で絶望している間に、コウヨウは【楓の木】ギルド内で家事を教えていた。普通に肉じゃがとか、クッキーとか、裁縫とか、初心者向けの話をしながら実践形式で教えていくと……
「なんかみなさんめっちゃ出来てませんか?」
「「「本とかは読んでるから(ますから)」」」
「実践だけだったと……」
「フレデリカが笑顔で作って来たなんて言うから俺が作るタイミング無くて……」
「ミザリーはぬいぐるみとか買っちゃうから……」
「私は……その……引かれないか不安で……」
「なんでウィルバードさんは弓構えてる時は挑発まがいの事やってるのにこんな時だけ初心なの?」
「も、申し訳ない……」
普通に面白かったのは言うまでもなかった。後日サリーとコウヨウが弁当を交換した日があったのだが、コウヨウは目を丸くして驚いていたらしい。
☆
「【コウヨウ二天】……なんて……似てた?」
「うん。似てたよ……イズさんの変声機があればだけど……」
「お疲れ様、ユイちゃん、マイちゃん」
「「クロムさん、お疲れ様です!」」
因みに今回の事があった間、ユイとマイはイズ特製の変声機で遊んでいた。ふとクロムがログインして来たのでちょっとイタズラしたくなった。
「あの、クロムさん、少しいいですか?」
「ん? どうしたマイちゃん俺に何か……」
「コウヨウ二天」
「「ひぃ!?」」
瞬間、とてつもない威圧感と恐怖に襲われたクロムは振り返ることができない。いつの間にか右首に置かれていた刀一本はいつ仕掛けたかタイミングがわからない。驚いたのはクロムだけでなく、マイも同じだった。
「クロムさん、私ですよ?」
「ゆ、ユイちゃん!? なんだよ……驚かすなよ……ってかコウヨウの真似上手いんだな」
「イズさんの変声機があるからですけどね」
前のイベントで活躍した変声機のおかげでコウヨウの声に似せられたとユイは言ったが、クロムは首を振った。
「いや……声じゃなくて、さっき俺に対して刀を向けた時、コウヨウと同じくらいの威圧感があったぞ?」
「さっきのユイ、コウヨウさんそのものだったよ……?」
「えぇ? そうかなぁ……」
「お、クロムにユイとマイ。どうしたんだそんなに驚いた顔をして」
「お、カスミか。ユイちゃんがまた化け物になったって感じだ」
「ユイが? ほぅ……どんな感じに……」
「【呪斬】」
——ガギィィィィィィ!!
変声機を使ったユイの声真似とユイ自身の威圧感のせいで、味方ながらも思いっきり刀を抜いて全力でガードをしてしまったカスミ。エフェクトが赤く光ってカスミを少しノックバックした後、ユイはユイでたった一言カスミに言った後、刀をしまったのである。
——驚いた、防げるんだ?
「くっ……!? ゆ、ユイなんだよな!? 本物だよな?」
「え? 私はユイですよ?」
「今の……コウヨウさん??」
「何が何やらだな……」
『【陽刀 向日葵】に【親愛なる真剣】のスキルが追加されました。コウヨウが対象になります』
【親愛なる真剣】
仲が良いプレイヤー1人に変身出来、ステータスは変わらないが、スキルの一部を使える。そのプレイヤーとの仲が友情を超える存在であればあるほど使えるスキルは増える。
「え? な……なにこれ……?」
「ユイ? どうしたの?」
「お、お姉……」
ユイの身体が光出す。眩しさが勝ったのでクロムやマイ、カスミは目を隠して光に耐えたのだが、光が弱まった瞬間……
「な、なんですかこれは!?」
「ユイが……コウヨウさんになった!?」
「はぁ!? コウヨウ!?」
「俺がどうした……あれ? なんでムサシがここに?」
「私はここだが?」
「え? じゃあ誰?」
「師匠! 助けてください!!」
意味不明なスキルと共にユイはコウヨウに変身してしまったのだった。
「お前ユイなのか?」
「私はユイですよ! 師匠、助けてください!!」
「ドッペルゲンガー3人は聞いたことねぇんだけど……」
「勝手に殺さないで下さい!?」
「なら私は刀になろうか……ギュルル!!」
「その姿久しぶりだな」
「「言ってる場合じゃないだろ!?」」
「ユイ……もう……そんなにコウヨウさんが好きなら性的に交流すれば良いのに……」
「「お前は(お姉ちゃん)は何を言ってるの!?」」
まさかのユイちゃん大変身。
後、今日38.7の熱出たので明日とか投稿休みます。